フランク
me wo tojite 3byo
これは電子限定ではなく、紙にも収録してほしいなぁって思ってます。
墓前で手を合わせるマナブ(=チバ)の父・美未の姿からスタートします。
マナブと初めて出会った時を思い出す美未。
縫いぐるみを抱きかかえ俯く幼いマナブに対し、
「パパは遠ぉ~い国に行っちゃったから おじさんと一緒にパパの帰りを待ってようか」と声をかけたかつての自分を…。
いなくなっちゃっう所までソックリに育ったよ!と墓前に愚痴る美未の耳に、「美未さ~ん!」と遠くから聞こえる声が。
それは、そろそろ店を開けるからと声をかけにきた恋人の藤谷。
去る時間となった美未は、バイバイと呟いて、最後になんとも切ない心情を亡き恋人に語りかけて終わるんです。
現世はもう彼を追い求めず藤谷と生きるつもりだけど、死後は藤谷ではなく、やっぱり亡き恋人と過ごしたいと思ってるのかなぁ…。
本編でどうしてこんなところに店を?と聞くマナブに対して、美未さんの大昔の恋人の墓があるんだ、毎日欠かさず墓参りしてるんだと藤谷は答えてましたが、このお墓がそれらしい。
息子のマナブは実は大昔の恋人の忘れ形見だったという衝撃の事実が明らかになる番外編です。
(マナブはその恋人にそっくりらしい。)
マナブの母親については一切描写がないけれど、きっとマナブの実父は美未とは別れ、女を選んで結婚ないし妊娠させてマナブが産まれたってことですよね。
「女の子になる!」宣言をして以降、女装して生きてきたり、を追いかけるためにマナブも道連れで転校する羽目になったりとかなり奔放に生きてるように見えた美未だけど、過去もかなり波乱万丈で、ただし振り回す側ではなくて亡き恋人に振り回される側だったのかなぁとか色々想像膨らむ番外編です。
目をとじて3秒。
このショートの場合は、墓前で手を合わせている間のこととも取れます。
お墓の主は美未の大昔の恋人。
たぶん初恋相手。
引っ越してまで追っかけたかった相手というのは、この人だったんですね。
ただそれだけでなく、成長した息子の姿を見せてあげたかったのかもしれない。
藤谷さん、良い人だよなー。
全部事情を知った上で受け止めてくれて。
恋敵の息子であるマナブの面倒も見ようとしてくれて。
名前もミミちゃんでなく、ちゃんとヨシミさんって呼んでいて、きっと美未さんのことを丸ごと愛してくれているのでしょう。
美未さんも女装でない素の姿をふつうに見せていて、心許している様子。
「もう待たない、もう追いかけない」ってことは、残りの人生は藤谷さんと、って言いたいのかな。
でも、「続きはソッチに行ってから」っていうのは、それはそれで藤谷さんがかわいそうな気もする……。