てんてん
renjo senri wo hashiru
本品は『縁は異なものあまいもの』の
コミコミスタジオオリジナル特典ペーパーです。
本編後、
亘視点での過去回想と後日談になります。
時雨が亘と唯の住む神社の裏の家に
引っ越してきてから1ケ月が過ぎます。
亘が朝のお勤めを終えて休息に戻ると
時雨が居間で丸まって寝ていました。
どうやら今日は朝早くから
防音室で仕事をしていたようで
完全に熟睡している模様です。
畳の上に置かれた時雨の指は
華奢な彼に不似合いなほど
節くれだっていました。
それは彼が長く真剣に
ピアノを弾いてきた証拠であり、
亘は初めて時雨のピアノを
聴いた時の驚きを思い出しました。
当時小学二年生だった亘は
時雨の祖母に孫と遊んで欲しいと
懇願されて家を訪れます。
しかし、
外から声をかけてみても返事はなく
窺うように開けた玄関扉の中からは
ピアノの音がしました。
いつもの亘なら勝手に他人の家に
上がったりはしません。
しかし、この時の亘は
初めて聴いた生のピアノの音に
誘われるようにいつの間にか
上がりこんでいました。
奥の部屋まで行くと男の子が
一心にピアノを弾いていました。
弾き終わった時雨がふっと息を吐くと
亘はどきっとしてしまい…
B5サイズ4つ折り片面ながら
1頁2段組なので長めなSSは
亘視点での二人の出会い編です。
しかし、
亘がいる事に気付いた時雨のほうが
飛び上がりそうなほど
びっくりしていました。
な、なに。だれ?
俺、藤原亘っていうんだけど。
おばあさんに頼まれて遊びに来たんだ。
亘はカブトムシとりに誘いますが
時雨はあやふやな笑顔になります。
時雨はピアニストになりたくて
毎日10時間くらい練習しないと
いけないからというのです。
思わずなれそうなのかと
訊いた亘に
難しけれどだれよりも練習して
何年もしたらやらないより
可能性がおおきくなる
時雨に心からの笑顔で返されて
亘は尊敬の念を抱きます。
すげえな、おまえ
時雨がこの町に引っ越してきて
再び彼のピアノを聴いた時
亘は玄関先で足がすくみ
名前を呼ばれた時には
恋情が激しく再燃したのです。
今無防備に寝ている時雨を見て
昨夜の情事を思い出して
ニヤけてしまいます。
やがて時雨が目覚めて
甘い恋人時間へと流れる終幕まで
亘の時雨ラブ♡溢れてる
ほのぼのしたSSでした。
亘には出会った時から
時雨が特別だったことが
とてもよく伝わってきました。
本編でも2人の出会いは
時雨視点で語られていますが
時雨はびくりはしていても
けっこうさらっとしたのに
亘には衝撃的な感じだったという
2人の対比が両視点で読めたのも
良かったです♪