てんてん
shinrousama no koigusuri
本品は『神狼さまの恋薬』の
コミコミスタジオ限定特典小冊子になります。
本編後、水晶宮で行われた
桃里の祝福の儀式のお話になります。
生きとし生ける者が
みな暖かな陽光を浴びて天を向く春。
水晶宮の主・蔡牙の愛を一身に受ける
トウリも春に生まれ落ちた一人で
次の望月の誕生日には18歳になります。
満ちる月の誕生日を迎える者は
宮殿で祝福の義を受けるならわしで
トウリは今、
巻尺やまち針を手にした女官達に
取り囲まれていました。
そこに蔡牙が様子見にやってきます。
トウリをうっとりさせる
甘やかな匂いをもつ麗しの伴侶に
成人に近づくトウリに匂いが
華やかとを増していると言われますが
自分自身の匂いはわかりません。
水晶宮と人里では
あらゆることが事成ります。
トウリの母は宮殿での祝いの儀式で
成人する少し前に出会った父の
伴侶になると宣言したと話してくれます。
そして訪れた春のある日。
蔡牙をはじめとする神様達や
トウリの祖父母が列席して
誕生日を祝う儀式が執り行われました。
トウリの真名「桃里」が石簿に刻まれ
正式な水晶宮の一員と認められ
権限と同じだけの責務も与えられて
トウリは胸がいっぱいになります。
そして最後に狼として生きるか
人として生きるかを問われた
トウリが選んだ道は…
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)で、
1頁2段組み12頁の長めな番外編は
トウリが狼として生きる事を選択するお話です。
蔡牙の伴侶となったとはいえ
半分は人の子であるトウリには
祖父母とともに人里に戻る道もありましたが
もちろん、トウリは母と同じ様に
伴侶と生きる道を選びます。
人であるトウリの祖父母は
慣れ親しんだ森へと帰る事を望見ながら
トウリの選択を巣立ちと祝福してくれます。
そしてそんなトウリに
天に住まう母から月光の恩寵がもたらされ
トウリはいつでも狼に変化出来るようなって
終幕となります。
人と狼の間に生まれた事で
様々な苦労をしてきたトウリが
最後に完璧な狼になれたという展開は
良かったなぁとは思いますが
ちょっと都合が良すぎる感じです (^_^A)
蔡牙の伴侶になったので
特別とは言えると思いますが
そもそも水晶宮には
選ばれた者しか入れないので
成人を祝って石簿に刻まれる狼は
特別だとか
半狼であるトウリが月の恩寵で
狼として変化自在になるとか
本作の補完をされたのだとは思いますが
全てが丸く収まり過ぎてしまって
読了感としては本編だけのほうが
良かったかなって感じました。
成人の義のお話事態は良かったので
ちょっと微妙な『萌』評価とします。
本編終了後、トウリが18歳になる成人の儀を迎えるというお話です。
本編で、攻めの仲間の神たちに、受けを伴侶とするというカミングアウトをおこなっていなかったので、特典小冊子はその話かなと思っていたのですが違いました。結局カミングアウトは済んでいるのか、行うべきは成人の儀じゃなく結婚の儀じゃないのか、と思ってしまってややモヤモヤ。
あと、「人間はこの神狼の里に長く留まってはいけない」という設定が急に出てきて、トウリの祖父母が人間界に帰ることに、という展開にもモヤモヤ。本編でそんなこと一言も言ってなかったし…。トウリは攻めにはずっと普通の人間だと思われていたのに、もし人間なら長くいられなかったってこと?
短い小冊子で、本編の設定がだだ崩れ。老い先短い(失礼)ご老人2人くらい、ずっと神の里で暮らさせてあげればいいのに、と思ってしまいました。