てんてん
itoshii oto no nemuru oto
本品は『いとしい音のねむる庭』の
アニメイト限定特典ペーパーです。
本編後、千秋視点で
千秋のバイト先の映画館に行くお話です。
たまには椎も一緒に外で映画観ない?
椎は少し考えてから
こくりと頷いてくれましたが、
何を観るかは千秋に任されます。
椎は行くというわりには
積極的な様子ではありませんでしたが
家でも選ぶのは千秋ですし
椎は良くも悪くも感情を動かす
という事が多くありません。
そして土曜日。
千秋のバイト先であるミニシアターは
古い映画のリバイバル上映中で
千秋が見たい映画を選びました。
ポップコーンを買って
教室ほどの広さの場内に入ります。
古びた椅子の座り心地は
あまりよくありませんが
スクリーンで見るというのが
千秋にはたまりません。
椎は持たせたポップコーンを
ひとつずつついばむように食べています。
千秋が俺にもちょうだいと
ぱかりと口を開けて待つと
椎はさしたる抵抗もなく
ひとつつまんで入れてくれました。
千秋はからかうつもりだったので
椎のすんなりとした反応に
かえって自分が恥ずかしくなる事に(笑)
映画は地味なお話でした。
ひとりの老人が
伴侶に先立たれた後に飼い始めた犬に
自らの人生を語り、
最後は犬が老人を看取って終わりました。
明るくなった劇場で
凝った背中を伸ばしながら横を見た千秋は
椎の頬に涙の痕を見つけてびっくりします。
千秋は隣に座っていても
椎が泣いている事に少しも気付けなくて
すっかり慌ててしまい・・・
A4サイズ片面ペーパーになります。
いつも家出映画を見ている2人ですが
千秋の提案で映画館に行きます。
そこで観たのは
老人の一生を描いた映画でしたが
椎は老人の死で残されてしまう飼い犬に
感情移入して泣いてしまったのでした。
いつも感情の起伏の少ない椎が
泣いてしまった事で
千秋がアワアワしてしまうのですが
椎の新たな「好き」を
発見出来た千秋は今後の2人の生活に
新たな喜びを見出せそうです。
普通の日常の一コマながら
2人の日頃の暮らしぶりも垣間見られて
ほっこりさせられるSSでした♪