すみれ0401
mitsuiro no koi
以下、内容になります。
お話の舞台は、クリスマスが三日後に迫った日の青竜院のお屋敷。
図書室で仕事をしていた優輝のスマホに着信が・・・
相手は家政婦のミセス・リドル。
用件は、今すぐ、そっと静かに一階のランドリールームに来るように・・・だった。
今すぐ・・・はまだしも、静かに・・・というのは一体??と首をかしげつつ足音を忍ばせてランドリールームへ向かった優輝。
部屋の中には満面の笑みを浮かべて窓のそばに立っていたミセス・リドルが優輝を手招きしている。
そっと近づき、すぐにその理由が分かった優輝。
そう、窓の外では、庭の畑でジャガイモ掘りをしている青竜院の姿が。
しかも、英語の歌・・・クリスマスには君がいれば何もいらない、君の存在が何よりの贈り物だから・・・という内容の定番のクリスマスソングを歌っている。
ミセス・リドルは、ジャガイモを掘りながら歌う青竜院なんてすごく珍しいから、優輝にも見せてあげなきゃ・・・と思ったのだと言う。
青竜院の歌が、自分の事を想って歌ってくれているというのが分かって心から嬉しい気持ちになった優輝。
そんな優輝とミセス・リドルの存在に気が付いた青竜院は、いたずらめいたウィンクを投げ、掘ったばかりのジャガイモを掌で軽く弾ませながら優輝を見つめ、更に「愛する君は僕のすべて♪」と甘く歌い、その様子はまるでミュージカルのように様になっている。
そんな青竜院の歌声に耳を傾けつつ、これから毎年こんなふうに幸せなクリスマスを迎えられる喜びで胸がいっぱいになる優輝なのでした。
(おしまい)