江名
kachou fugetsu
本に折らずに挟めるサイズのペーパーに、
まだ大輝とサバトがこじれていた頃のエピソードが載っていました。
サバトが家に帰ると、
料理が盛ってありラップのかかったお皿がテーブルの上に。
弟の円馬からのメモを見ると、
それは大輝が差し入れのついでと言って作ってくれたごはん、
野菜が添えてあるオムライス。
それを見て、記憶を失くす前に大輝とした会話が思い出されます、
卵をたくさんもらったとサバトが言うと、
『じゃあ今日の昼はカニ玉丼かオムライスだな』と大輝。
「円馬はたぶん…オムライスの方がいいと思う」
そうサバトが自分の好みを隠して答えたのに、
『沢斗もだろ、兄弟そろって好みが一緒』そう言って、大輝は笑ってた。
(3巻の中ほどの出来事)
「オムライス……、記憶……失くしてるくせに」
ラップがかけられた美味しそうなオムライスを見おろしながら、
そう呟くサバトの背中は寂しそう…
でも、大輝の中には変わらない部分もある…
そう思って、少しは嬉しかったりもしたかな?
きっとあの時と同じだったろう味に、サバトはどう思っただろう…?
想像して、ちょっと切なくもじんわり…となったペーパーでした。
このペーパーは、第4巻本編を読んで、小冊子も読んで、大輝に沢斗が歩み寄りはじめた、そこを確認してから読むべき内容だと思いました。
というのは…
帰宅した沢斗に、弟・円馬の書き置きで、
『大輝さんが差し入れのついでと言って晩ご飯を作ってくれました。』
そしてラップのかかったオムライス。
カニ玉丼orオムライス…?
これは第3巻で、ヨシさんの入院騒ぎで大輝へのマイナス感情がプラスに変わっていく頃のエピソードですね。
まだ「好きだった大輝」ではない大輝、の作ったオムライス…
沢斗の背中は何を語っているのでしょうか?
嬉しいような、
寂しいような、悔しいような。
こだわっているのは自分だけなんだろうか、と複雑な気持ち?
でもそれもまた新しく始まろうとしている2人だから、こんな事もあった、って言えるようになればいい。