すみれ0401
nayameru maou
A4サイズに書き下ろしショートストーリーが両面印刷されています。
以下、内容です。
時系列としては、本編後と言えるのではないかと思います。
攻め様である魔王(※注:人間です。ファンタジー物ではありません。)こと、興津真法が、実は自分が一部の人間の間で「魔王」とあだ名されていることをつい最近知ったというところから話が始まります。
基本的に世間からの評判もあまり気にしない、興味のないことはスルーする興津なのですが、今回ばかりは気になるようです。
というのも、自分が今まで作品で書いてきた「魔王」のイメージと自分自身に一つも共通点が見つけられないから・・・そして、何よりも、そのあだ名の事を教えてくれたのが新しい恋人であり、恋仲になる前はその恋人も自分をこっそり「魔王」と呼んでいたらしきことを知ってしまったから・・・。興津は、恋人が一体自分の中のどこに魔王な部分を見出していたのか・・・と気になってしょうがありません。
そんな中、グレーテル(お菓子屋さん)のケーキを手土産に新しい恋人である千秋が家にやってきます。
家にやってきた千秋を見ながら、興津、心の中で千秋に対してののろけをたっぷり繰り広げてくれています。
千秋が手土産に持ってきたケーキを一緒に食べながら、千秋の顔に見とれてついつい凝視してしまう興津・・・
凝視されて挙動不審な動きになる千秋を見て、不思議がる興津・・・。
もしかして、自分の瞳から相手を不快にさせる呪文だか魔法だかみたいのが出ていて、それだから自分は魔王と呼ばれているのだろうか・・・とかずれた憶測を始める興津。
なぜ挙動不審になるのか・・・と尋ねられた千秋は、挙動不審とかではなくて、好きな人からじっと見つめられたらどうしたらいいか分からなくなってしまうからだ・・・説明するのですが、今一つ良く分からない興津・・・。
なんで分からないかな・・・と言いつつ、頬を紅潮させてうつむく千秋を見て、興津は、恋人が困っている、なんとかせねば・・・と、突然千秋を抱きしめます。「こうすれば俺の目は見えない。どうだ」
そんな魔王に、千秋は、あなたって男は本当に可愛い人ですね・・・と言って興津に口づける千秋。
でも、興津は、なぜ千秋がそんなことをしてくる流れになったのかさっぱり分からず、悩み続けるのでした・・・
興津のムッツリ感と、偏屈さ、ずれた感覚、そして生真面目さ、そこから生まれる可愛さがとってもツボなのでこの書き下ろしで、再びそんな興津を見ることができて嬉しかったです。