「ある執事の話」王様と二人の料理人の話 初回特典書き下ろしペーパー

aru shitsuji no hanashi

「ある執事の話」王様と二人の料理人の話 初回特典書き下ろしペーパー
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×23
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

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レビュー数
4
得点
20
評価数
5
平均
4 / 5
神率
20%
著者
 
イラスト
 
媒体
特典
出版社
発売日
付いてきた作品(特典の場合)
王様と二人の料理人の話

商品説明

執事の五十嵐と志重の若き日の交流を描いた番外編。
裏面はエンゾウ先生によるイラスト。

レビュー投稿数4

涙なくして見られません…

あらすじは省略させていただいて、感想のみで失礼致します。

五十嵐と匂坂の若かりし頃、
もうすでに五十嵐は執事としての土台が出来上がっていて
匂坂と旦那様ご家族を支えていきたい信念が
こちらのSSだけでも充分伝わってきて
そこまで思える強さに感動せずにいられませんでした。

匂坂は、中学生らしい子供っぽい面もありながら
将来を軽く考えているわけではない、
この時代だからこその男子という印象です。
五十嵐の言葉で、医者になりたいと希望するあたり、
ここで既に信頼関係が築かれていたのでしょうね…。

ラストの、神足が出会う前の出来事も、
必要最小限の交わされる言葉に胸が痛みました。

裏面のエンゾウさんのイラストが更に涙を誘います。
木陰でアフタヌーンティーを楽しみ、
匂坂と神足の笑い声さえ聞こえてきそうな一場面。
傍らには口元に笑みを浮かべる五十嵐がいて
彼らが思い出すのはきっとこんな幸せなひとときでしょう。

本編読後、救われたような気持ちにさせられました。
鳩村さんにもエンゾウさんにも感謝です!!!

6

滅びを知り、それでも喜びは終わらぬ

少年時代の志重と、男爵家の執事五十嵐のエピソード。
五十嵐は成績も良く先代男爵の援助も得て中学に通えたはずなのに、家の中の仕事に専念することを選び、傷の応急手当からボタン付けまでも器用にこなしている。
その選択を『自尊心のため』とこともなげに言う五十嵐に、職を好きに選べるからこそ生半可な気持ちでは選べない、と心の内を吐露する志重。
五十嵐の矜恃に影響されたのか否か、医師になることを決めた少年時代の志重。

『発症した』
その言葉で全ての志重の感情、未来、男爵家の行く末を感じ取る五十嵐。
そして志重のために童話探しを仕掛けていく本編へと繋がっていく…

裏面は、エンゾウ先生による志重+神足のティータイムの一コマ。2人は何を話しているのか屈託のない笑顔で。勿論サーブするは執事五十嵐。
志重の、人生への思い。五十嵐の、全てを理解して見届けようとする決意。まだ何も知らぬ神足。
本編の後では、胸が締め付けられて苦しいほど。

5

いつ何時も、主と共に


執事の五十嵐視点の、主の匂坂との回想。

住み込みの使用人として
両親とともに匂坂家で働く、青年時代の五十嵐。
当時、中学生の匂坂は
祖父や父のような官僚になるべきか、進路に悩んでいた。
そんな匂坂に、
五十嵐は「人のため」に働くこの仕事に自分は誇りを持っていると、
「どんな仕事であろうとも、そこから得られる喜びは平等」とさりげなく背中を押す。
五十嵐のこの言葉で、匂坂の心は決まったのであろう。
数ヵ月後、「医者になりたい」と両親に告げ――

五十嵐が神足に全てを捧げてきたように、
神足にとってもまた、五十嵐の存在はとても大きかった。
その後の人生も、きっと幾度となく
こうやって五十嵐に支えられてきたのであろうと思わせる。


そして数年後。
神足が医者を辞めることになる『あの出来事』が――

ゆっくり、ゆっくり滅びゆく一族。
その流れに身をおく覚悟を決めた神足と、
そんな主に最後まで支える五十嵐。
短く静かな会話に、二人の決意が表れていて
どうしようもなく切ない。
それと同時に、余計な言葉を必要としない強い信頼関係に
崇高な美しさを感じます。


裏面は、エンゾウさんのイラスト。
庭でアフタヌーンティーを楽しみながら、
ほがらかに談笑する匂坂と神足。
給仕をする五十嵐は、
二人の会話を聞きながら控えめな微笑を浮かべ…。

本編を思い出すと、胸が締め付けられるイラストです。
つかの間の、儚く幸せな時を過ごす彼らをもっと見ていたい。
そんな気持ちになり、思わず見入ってしまいました。

3

主従の固いきずな

匂坂サイドのお話があるといいな~とおもっていたのですが、書き下ろしペーパーは執事である五十嵐サイドのお話でした。

男爵家に住み込みで働く両親の姿を見て育った五十嵐は自然な流れで高等小学校を卒業後、同じように使用人として働き、成人してからは当主の男爵の書生として忙しい日々を過ごしている。
まだ匂坂が中学生だった時の五十嵐とのやり取り。
ケンカして帰ってきた志重に注意する五十嵐と反発する志重。
何でもできる五十嵐に志重はもっと他にやりたいことはなかったのかと質問をする。
しかし五十嵐は、ここで働くことが望みだと答えると、どうやら志重は自分のやりたいこと、なりたいものについて考えているようだ。
五十嵐の、人の為に働く喜びを知ったからここで働いている という言葉に志重は進路を決めたのでした。
それが医師。

人の為に働くという五十嵐を見て、言われて自分も人の為になりたいと思って医師になった彼が、病の為に医師を辞めなくてはならなくなった時、覚悟はあったものの生きる意味を失ってしまったのではないのだろうか?
と、だからこそ五十嵐が主人である志重に熱中できるものを与えた。
そう推察されるエピソードだったのではないかな?と思うのでした。
ここに描かれる五十嵐と志重の主従関係も、小さい頃からずっと側にいてこその繋がりの深さを感じ、邪な目で見れば深い愛情でむすばれているのだと・・・

裏面にはエンゾウさんの描く、庭でティータイムを過ごす匂坂と神足、給仕をする五十嵐というワンショットイラストです。
作中後半、病気を発症してそれを知ることとなった神足に友達になってほしいと、家に来て匂坂に書きモノのアドバイスをした神足、神足の話しを聞くことを楽しみにする匂坂。
主人の安寧を見守る五十嵐。
この三人の関係がこのワンショットだけで解ります。
きっと、この時間は匂坂にとっての大好きな者達とすごす至福の時だったのでしょう。

3

この作品が収納されている本棚