marun
yuutousei no okaimono
新装版になって嬉しいのが、新しい書下ろしショートが読めるのも良いものですね。
恋愛ごとにクールと言うか面倒くさいと平気で云い放ってしまうような
オレ様な恋人の匳に愛されている自信もなにもない良の小さなお願いごと。
他人に傷つけられ、自分の弱い心や醜い心をさらけ出して、かなり心にダメージを
おってしまった良が退院することになり、その退院祝いに自分の服を選んでもらう
そんなささやかなお願い、恋人の匳は欲しいのではなく、選んでってところで
チョイ機嫌を損ねてしまうのが逆に可愛いかもと思ってしまう。
それでも、周りが思う以上に繊細で傷つきやすい恋人に何かしてあげたいと
思う気持ちはあるが、かなり無神経な所も優しさにも欠ける言動をする匳さん。
それでも良を大事に思う気持ちは良が思っている以上に持ち合わせているようで
暗くなりがちな恋人にド派手なパーカーを選びその後でひっそり地味な色違いの
サイズ違いを選んでいる辺りに堂々とした愛を感じるショートで嬉しくなりました。
良が退院して、その退院祝いを選んでほしいと先輩にお願いし一緒に買い物に来ている場面のエピソードです。
まだ完全に結城との出来事から抜けきってはいない良の精一杯の先輩への恋人としての態度を感じ取って、
傲慢そうで愛情表現がちょっと苦手そうな印象を本編で受けた先輩がそれなりに良を思っている姿と、傲慢で意地っ張りな姿の影に良を思う愛情が感じられて、安堵感を覚えるお話でした。
先輩は彼の精一杯で良を甘やかしてドロドロにして、いつか結城との事も”そんなこともあった”と思えるようになるくらいまで愛してやってほしいと思うのでした。
本編後の二人。
退院した良の服を選ぶため買い物に出かけます。
ドロドロした本編のあとに
こんなホッと一息つける後日談が読めてよかったです♪
他人の悪意に傷つけられたトラウマが抜けない良は
恋人の筐にも服を「買って欲しい」でなく「選んで欲しい」と
どこか遠慮してしまう。
消極的で、いつも筐の顔色をうかがっている良に対し、筐は
良なら絶対選ばない派手なパーカーを勧めたり
店内で抱きしめてみたりする。
多少強引でストレートな愛情表現により
いまだ「優等生」であることに縛られている良も
少しずつ変わっていけそうな、希望あるラストでした。