茶鬼
barriquand no yoru
本編の中、夏になって麦わら帽子からはみ出た毛が暑そうだと、万里に「坊主にしたら?」と言われた数多がそうした、そこに込められた想いが垣間見えるお話。
各書店別々の番外パーパーのうちの芳林堂書店分の短編です。
ゲイだと知っても、過去を知っても真っ直ぐ受け止めてくれる万里に数多は惹かれはじめているのですが、彼は猫のビョーを見て、
母親には懐いても自分とはずっと距離をとったままな姿を見て何を思ったか?
前日万里に言われた丸坊主を思い出し、タイにいる母親に電話をしてバリカンを引っ張り出してきたのです。
そこにある想いは、きっと万里は坊主頭の自分を見てビックリするだろうというその反応を想う時の喜び。
何かあることで、自分にまた触ってくれるんじゃないだろうか?また一つ距離が縮まるのではないだろうか、という期待も込められているのではないだろうか。
切ない片思いというより、一緒にいるだけで嬉しいのだが、もっともっとと考え始めているそんな気持ちを覗かせる一場面だったと思います。