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「羊たちの沈黙」で映画界に「ハンニバル・レクター」というダークヒーロー(ダーク過ぎるしヒーローでもないけど)が新たに誕生しました。生みの親である原作のトマス・ハリスと監督のジョナサン・デミの高度な手腕はもちろん、高名な精神科医にして連続猟奇殺人犯(そして囚われの囚人)レクターを演じたアンソニー・ホプキンスの強烈なキャラクターが話題となり、その後の「ハンニバル」(監督:リドリー・スコット)「レッド・ドラゴン」(監督:ブレット・ラトナー)にレクターとして出演。ホプキンス以外にレクターを出来る俳優はもういないだろうなぁ、と思っていましたが、十数年を経て、これほどに「レクター」な俳優が出現するとは・・・北欧の至宝・マッツ・ミケルセンでございます。でもね、レクターを演じる前のマッツの作品を観れば、さもありんというか、なんとなくレクターを演じるのは当然というか必然というか。イギリス人のホプキンスの知的さをも受け継ぎ、妖しくも残忍な「ハンニバル・レクター」がドラマ界に殴り込みをかけてきました。そしてまさかちるちるにレビューできるほどグラハム(ヒュー・ダンシー)との関係性が重厚になるとは…
やはりあの、特定の人やモノを探求する執着心が「愛」と感じられるのでしょうか?「羊沈」「ハンニバル
」でクラリスに向けた感情とはまた別だとは思います。クラリスは惹かれながらも「連れて行かれ」ましたが、グラハムは、彼を壊すほどに、心の奥まで掘り下げられた。精神科医として様々なサイコパス・ソシオパスをカウンセリングし、時には戯れに殺してきたレクターが、正しくその名に相応しいハンニバル・カニバルとして、「食いつくしたい」「壊したい」と思うほどグラハムに向けた思いとは…なんて書くとBL寄り寄りの邪推ですが、またグラハム役のダンシーが少年顔で可愛いから邪眼で観ちゃう気持ちはあります。実際それ系の案はあったと、何かのNET記事で読みました。マッツのインタビューだっけな?現場で色々話し合い、クライマックスには濃厚なシーンを足そうとしたようですが(結構役者陣の方がノリノリだったみたい)最終系はあのカタチになったとか。私見としてはそれで良かったと思ってます。引き算も必要。足さずとも、しっかり二人の世界を作り上げたことには成功してます。だからこそ、この作品を特別に思う人も多く、未だに本作の続きを待ち望んでいる声もあるようです。
製作総指揮はブライアン・フラー。不思議ちゃんドラマが得意で、日本でも話題になった「HEROS~ヒーローズ」の脚本、「プッシング・デイジー」のチェリーパイな世界観、最近では「スタートレック:ディスカバリー」などを手掛けています。映像美と演出が独特で(凝り性なんでしょうね)、デビット・リンチの不条理さとデビット・E・ケリー(アリーマイラブとか最近ではビッグ・リトル・ライズとか)のユーモアセンスに似通ってますが、このドラマ「HANNIBAL/ハンニバル」ではもう凝りに凝ってて、死体のグロテスク美学や、グラハムの自閉症スペクトラムの描き方に至っては焦燥感が半端なく、ついていく人(視聴者)を選ぶだろうなぁ、と思っていたらシーズン3で完結(キャンセル)となりました。でも上にも書いたよう、次回作の要望が高く、ワンチャンはありそうです。マッツさんが乗り気そうなので。
これほどのヴィランもそうそういねえし。
映画は「羊たちの沈黙」で犯罪心理学~プロファイリング~が一気にメジャーに躍り出て、この手のサイコサスペンスが雨後の筍のごとく作られました。もうプロファイラーだらけ。囚人のシリアルキラーに何人もの捜査官が現在の捜査の仕方を聞きに行ってましたよ。
実は「羊沈」の前に「刑事グラハム~凍りついた欲望(1986)」っていうレッド・ドラゴンベースの映画があって、グラハム役はなんと「CSI:科学捜査班」のグリッソム主任!主任若くてカッコいいです!レクター役はイギリス人俳優のブライアン・コックス(この方もドラマや映画の名脇役として現在もご活躍中です)当時から知的犯罪者はイギリス人俳優がデフォルトだったのかしらん?
「ハンニバル・ライジング」では、ちるちるさんでも良く紹介されてた「サンローラン」のギャスパー・ウリエルが若きレクターを演じてました。これは原作者であるトマス・ハリス」が脚本に関わってます。なんやかんやで、レクター博士は4人も演じてるですよねぇ。ホプキンズは当たり役だけど、やっぱりマッツのレクターは出色だなぁ。
そして小説。私の出発点はここからで、一番大事な部分です。
映画と同じく、猟奇殺人のサイコスリラー小説がいっぱい出版され、犯罪心理学の先駆者である、ジェームス・ブラッセル教授の超有名なプロファイリング「おそらく犯人はスラブ系で~略~犯人はダブルのスーツを着ているだろう~略~そしてボタンを留めているだろう~」からの実際の犯人がそうだった~の話は、少なくとも数冊の小説で引用されてました。
小説の発表は①「レッド・ドラゴン」(この時はもう捕まって檻の中)→②「羊たちの沈黙」→③「ハンニバル」(羊沈から逃亡後)→④「ハンニバル・ライジング」(ヤング・レクター譚)。こうやってまとめると、自分が好きなのは①②なのだとはっきりしてきました。③④の舞台が主にヨーロッパで、この時には原作者のトマス・ハリスがレクターに憑りつかれていたと私的には思います。BLでもスピンオフがしばしば蛇足になるような感じかな。そして私は、①②のような、アメリカの片田舎の、曇天の下に繰り広げられる猟奇殺人が好物なんですよ。
あー、ちるちる的ではなくなってしまいましたが、グロが大丈夫な方、どうぞ海外ドラマ「HANNIBAL/ハンニバル」で、妖艶な殺人鬼・ハンニバル・レクター=マッツ・ミケルセンを堪能して下さいませ。