てんてん
kaju
本品は『華獣』のコミコミ特典小冊子です。
本編後、瓏蘭が凱焔の袍を誂える話です。
凱焔は邸でくつろいた服装を好みますが、
皇帝親子を除けば唯一の皇族男子の後見役となった凱焔は
それ相応の衣装を何着か誂えていました。
しかし、本来夫の衣服を調えるのは正妻の役目であり
男子ながらも一族の誰もが長の伴侶だと見なし
そう自負している瓏蘭もせめて袍の1着くらいは
用意してやりたいと思います。
出来たら凱焔はに内緒でと計画を打ち明けられた侍女は
喜んで協力を約束してくれ、寸法や好み等も教えくれ
そして先ほど注文していた品が届いたところでした。
瓏蘭は箱からたたまれた袍を取り出してみます。
灰青色の絹地で誂えたそれは肩幅も丈も袖の長さも
瓏蘭の袍とは比べ物にならないくらいの大きさで
つい自分が着たらどうなるのだろうと
興味が芽生えてしまいます。
お付きの護衛よろしく付いていた黒焔が
凱焔の気配に異様に敏感な事から
つい仕立てたばかりの袍を被ってみる
瓏蘭でしたが・・・
A5判カラー表紙(カバー同イラスト)12頁にて
瓏蘭が茶目っ気を出したばかりに
恥ずかしい事態になるお話です♪
頭を出して袖を通し、裾を引っ張ってみますが
結果はため息が出ただけでした。
腕は長い袖の半ばまでしか届かず、
肩は盤領のひもでとめていなければずり落ちそうだし
裾にいたってはずるずると十寸近く引きずり
未幅もあちこち余っています。
凱焔が大きすぎるのか、瓏蘭が小柄なせいなのか。
もっと鍛えるべきかと思う瓏蘭でしたが
かつて間近で拝んだ凱焔の見事な槍さばきを思い出し
空想の槍でその動きを真似てみています。
すると苦し気な呻き声と、何かが倒れる音が!!
振り返った瓏蘭が見たものは
うつぶせで倒れている凱焔でした。
なんと凱焔は気配を断って戻って来ていて
黒焔が吠える間もなくつまみ出し、瓏蘭が袍を
着替えるところからずっと見ていたのです♪
瓏蘭は恥じ入りますが
凱焔は鼻血を祖で口で拭うほどに歓喜し
「家宝にする」とまで言い出しますが
凱焔の瞳の色で選んだのだから着てくれという
瓏蘭の言葉に感極まって寝台に運ばれる
・・・という瓏蘭愛が溢れる幕引きでした。
凱焔の袍を着てみただけでなく、
凱焔の真似をしてみる瓏蘭が可愛いです。
押し倒されても文句は言えないですよね (^m^)
本編がシリアスな分よりコミカル度が際立ち
とっても面白かったです。