てんてん
tsukamori senmu no renaijijo
本品は『塚森専務の恋愛事情』のフェア書店特典ペーパーです。
本編後、荏原視点での2人の後朝のお話です。
荏原は恋人となった塚森との初めての場所はもう少し選ぶべきだったと
後悔していました。荏原が自室を選んだこと自体は悪くなかったと思わ
れますが、如何せん荏原の住いは会社の男性独身寮なのです。
同僚達の気配が沢山ある上に、原則「同棲の家族」以外の宿泊は認めら
れていませんが、自宅住いの同僚が泊まる場合は多少目を瞑ってもらう
事もあります。ただ塚森はそんなタイプでもなさそうだし、専務取締役
を「同僚」なのかははなはだ疑問でもあります。
タブー感があったのはそれなりに良かったしけっこう燃えましたが、もう
ちょっと考えればよかったと思いながら、荏原は布団の上に横臥しつつ、
ぼんやりと目の前の恋人を眺めていました。
塚森はベッドに腰かけ、裸のままでいる荏原に背を向けて身支度をして
います。荏原はつい、荏原の付けた痕のある塚森の背を隠すシャツの裾
を軽くつまみます。
あーあ。さっきまであんなに可愛かったのに。
俺のものになったと思ったのに。
錯覚だったと言わんばかりの姿に、荏原が少々拗ねながらシャツを引っ張
ると、振り返った塚森は「どうしたんだ、いたずらして」とまるで子供を
相手にする様にふっと小さく笑い、荏原の頬に優しくキスして帰っていき
ます。
冷静すぎる塚森に上手くあしらわれて、負けたような気分なる荏原でした
が・・・
B5版片面にて恋人達の初Hの後日談になります♪
翌日、就業時間を過ぎて外回りを終えた荏原は寮ではなく社内に戻り、そ
の足で専務室に向かいます。
専務室にいた塚森は突然現れた荏原に目を丸くします。何か直接かかわる
案件があっただろうかと考えているだろう彼に、荏原はわす「いや」と
軽く手を上げて昨夜の忘れ物を渡します。
それは昨夜酒盛りが身につけていたネクタイで、いつもは白い塚森の肌が
さっと桜色に染まった事から、荏原は実は彼が昨晩からずっと動揺し続け
ていた事が判ります。
動揺している事を必死に隠していた塚森が荏原には可愛らしく見え、喉を
鳴らしながら真っ赤になった項に口づける
・・・というラブラブな1幕でした♪
冷静に見えた塚森に負けた気分になっていた荏原ですが、塚森がネクタイ
を忘れていった事から塚森の動揺を悟るのですが、悟られまいとした塚森
のいっぱいいっぱいだっただろう心境にまた笑ってしまう荏原の気持ちが
よく分かります。
ふとした瞬間に感じる荏原が感じる愛しさが「可愛い」なのでしょうね。