てんてん
monoiwaazutmo aikataru
本品は『物言わずとも愛語る』のコミコミ特典小冊子です。
本編幕間、莉央とアルヴァロの甥の出会いのお話です。
とある日、莉央が昼下がりの庭を散策していると、獅子の少年に突然
「ニンゲンのくせに叔父様をたぶらかすな!」と暴言を投げつけられて
固まってしまいます。
兎の侍従達は理央が言葉を発するより先に、非難の声を上げながら莉央
の前に立ちますが、少年は強い瞳で莉央を睨みつけていました。庭の
向こうから犬の兵士が駆けてくるのが見え、それを追うようにヴィルス
と彼に似た執事のような服を着た狐の獣人が走ってきました。
小さな獅子の獣人はアルヴァロの甥でした。アルヴァロの父の命日に
あわせて里帰りした姉と共に今日ハックィンズに着いたのでした。
王妃の宮は親族だろうと何人たりとも許可なく立ち入る事は出来ない
場所と定められています。常であればアルヴァロの甥も罰せられるとこ
ろでしたが、莉央は子供のした事だからと取りなしていました。
夜莉央の部屋を訪れたアルヴァロは開口一番、謝罪の言葉を口にします。
アルヴァロは甥のした事を許される事ではないと憤っていましたが、
莉央は少年がアルヴァロに似ていた事もあり、咎める気にはなれなかっ
たのです。
それよりも人間である事で拒絶された事が哀しく、莉央は改めてディミ
トリと話がしたいと言います。アルヴァロは1度や2度話したくらいで
考えは変わらないと思いますが、莉央が案外頑固な事も知っています。
それから3日後、莉央は王妃の庭の東屋でディミトリのためのお茶会を
開きます。やってきたディミトリはむっつりとしたまま「何が目的?」
と莉央を睨みつけますが・・・
A5判カラー表紙(カバー同イラスト)12頁のボリュームにてアルヴァロの
大好きな甥っ子が莉央に噛みつくお話になります♪
ディミトリは莉央の誘いを腹いせの呼び出しと思っているようで、1度
ちゃんと話をしたかったと言う莉央に「人間と話す事なんてないっ!」と
握った拳で机を叩きます。
カップやソーサーがガチャンと音を立て、莉央は一瞬目を見開きますが、
怒ったアルヴァロのほうが十倍は怖いとほぅと息を整えます。出会った
頃のアルヴァロに比べたら仔猫の威嚇くらいです。
そんなことを思いつつクスッと笑った莉央に、ディミトリは「馬鹿にし
ているのか?」と再び机を叩きます。するとカップの横にあったカップが
傾き、熱い茶が零れそうになります!!
とっさに莉央は指を振って魔法を使いますが、意図せず浮かび上がった
挙句くるくると回りだしてしまいます。莉央は再度の魔法でやっと卓上
に戻ります。
ディミトリはあまり魔法に馴染みがない様で毒気を抜かれた様に大人し
くなります。莉央はゆっくりとディミトリと話をしたい事、ディミトリ
に自分を知って欲しい事、出来れば仲良くしたい事を話します。
だって君は・・・よく似ているから。俺の、大好きな、アルヴァロに。
照れ隠しのようにはにみ笑いをした莉央を見て、ディミトリは目を見開
きます。ついてぽかんと口を開いて動きを止めたと思うと「ディラハン
イェンの黒い宝玉」とリォルの異名を口にしたかと思うと、ぼそっと
「話して」と呟くように囁きました。
そんな2人の様子をグィルスと共に見守っていたアルヴァロでしたが、
甥が莉央の手を取ると何も言わないまま大股で歩き出し、あっという間
に駆け出していきました。慌てて妻の隣に並ぶ獅子王にグィルスにして
は珍しい事に思わず吹き出してながら笑ってしまう・・・
・・・という莉央と小さな獣人のお話でした♪
莉央がハックィンズに馴染んできた様子と、人間に敵意を向けていた
アルヴァロ似の甥っ子までも一瞬で虜にする莉央の様子が楽しいお話で
した。
仲良きことは良きことですが、アルヴァロってば莉央にメロメロです♡
甥っ子もライバル視するってどうなの!?ってくらい大人げないところが
けっこう萌えました (^-^)