あーちゃん2016
goukakyakusen no oujisama
「豪華客船の王子様 ~溺愛パレス~」の電子特典SS。時系列でいうと本編の直前にあたる、本編攻め兄の王太子リヒト視点のお話。
ジークの航海が順調に言っていると報告を受けご機嫌な王太子リヒト。可愛い可愛いグランツと一緒のシーンでは、グランツを目の中に入れても痛くない!という様子の爆笑モノローグが入ってます。表面はクールな物言いなんですけどね。親ばか(笑)
ジークが大切だからか?グランツとあまり変わらない系統のかわいらしさを持つと思われる歩途のことは「ちんちくりん」とこき下ろしてるんです。SSは、歩途のことなど認めん!とぷんすこお怒りのまま、終わってます。
本編で和解しているようですが、リヒトが渋々認めた→犬猿の仲ながら、なんとかやってる といったあたりのお話が読めると、個人的には好みだったんだけど、もう一冊出ないかしら。リヒトのお話にならないかな。
「豪華客船の王子様 ~溺愛パレス~」の電子特典SSになります。
こちら、ジーク(本編の攻め)のお兄ちゃんが主役になるんですね。
本編では二人の仲を邪魔する悪役ポジションの彼ですが、このSSで本当の姿が語られちゃったりします。
これが、完全に予想外の愉快な男でして。
いやいやいや、お兄ちゃん、面白すぎるわ~と。
そもそも、弟が大好きなお兄ちゃんってのが、私にとってのツボなんですよね。
本編だと、彼は堅物なまま終了の為、本当のお兄ちゃんをみんなに知って貰いたいよ!って事で、レビューさせていただきます。
バルト海に浮かぶ小さな島国・バルティア王国王太子であるリヒト。
二人の弟王子と二人の妹王女、そして宝物である一人息子・グランツを持つ。
妻に先立たれた悲しみは未だ尾を引いているが、それも家族の愛情で少しずつ癒えつつある。
そんな彼が、執務室で書類に目を通していると・・・。
「王太子殿下、お伝え申し上げます。先ほど、クイーンバルティア号が無事に、ギリシャ港に着いたそうです」
(うおおおおーっ! やったな、ジーク! まずは航海の前半をやり遂げたか! さすが我が弟・ジークフリード・ヴィルヴァルト・フィルスシェルナ・パルティア。『バルト海の黄金の獅子』と異名を取る男!)
「そうか、それで何かトラブルは?」
(ないよな? ないと言ってくれ、神よ・・・!)
ハラハラして手が震えそうですが、精神力で何でもない表情を作るリヒト。
「そう言った情報は入ってきておりません。ギリシャでは歓迎されてるそうです」
(良かったーー・・・!)
「そうか。他には何か?」
「ございません」
(ないのか・・・。そうか・・・。だが、便りが無いのは元気な証拠と言うしな。ジーク念願の処女航海だ。私に私信を送ってる場合では無い事は分かる・・・。そうか・・・)
「分かった。報告ご苦労」
(ああジーク、本当に良かった・・・。お前の航海の成功を、心から祈っているぞ・・・!)
リヒトは心の中で十字を切り、神に祈ります。
「おとーしゃま、ごこうむ、おちゅかれさまでした!」
わーと駆けてくる天使を両手を広げて待ち構えるリヒト。
(おおお! 私の宝! この世の至宝よ・・・!)
「グランツ、ただいま」
両手で抱き締めると、小さな息子はぎゅーっと抱き返してきます。
(おおおふわふわほっぺ。私のましゅまろちゃん。どうしてこんなに愛らしいのだ。食べてしまいたいぞ! チュッ!)
「今日はどのように過ごした? 世話係を困らせなかったか?」
息子との至高のひとときを過ごすリヒト。
深い喜びを感じます。
その翌日の事ー。
執務室でいつものように仕事をこなすリヒトの元に、側近が衝撃の知らせを持ってきます。
ジークフリードが、バルティアの滴のサイズ指定をしてきたとー。
(・・・・は?)
頭が真っ白になるリヒト。
(何を言っているのだ。バカバカしい!)
「何かの間違いだろう」
「それが正式な手続きに則って、バルティアの滴の指輪を宝物庫から持ち出すよう、指示があったとの事です」
(はああ~~?)
混乱の極みに陥るリヒト。
何故なら、バルティアの滴を贈ると言う事は、ただの婚約では無いからです。
一生を添い遂げる覚悟の、特別な事なのです!
リヒトは側近に指示を出し、状況を把握するよう命じます。
そして、その情報が正しいと分かると、強いショックを受けるんですね。
家族に、私に紹介もしてもいない相手にバルティアの滴を贈るなんて!
リヒトはそんな男じゃない!
そして、恐ろしい可能性に気づきます。
まさか、ハニートラップ・・・!
騙されてしまったのか?
そこで、強く決意をするんですね。
「私が目を覚まさせなければ・・・!」
後日、ジークから歩途を紹介されるリヒト。
彼が、恐れおののいた事とは・・・。
と言うお話。
本編でのリヒトですが、堅物だけど愛情深いお兄ちゃんって印象で終わったんですよね。
それが、こんなに愉快な男だったか!
や、このタイプのキャラが好きで好きで仕方ないと言う、個人的好みから来てるんですけど、とにかく楽しくて仕方ないよ!って事で、ひたすら笑い転げちゃいまして。
お兄ちゃん、最高だな!と、鼻息も荒くレビューさせていただきました。
彼は息子が結婚する時も、大騒ぎしそうだなぁ。