てんてん
haou no chikai
本品は『覇王の誓い〜囚われた奇跡のオメガ〜』のコミコオリジナル
特典ペーパーです。
本編後、第一皇子の誕生から3年後のお話です。
セフィリアが第一皇子・リカルドを出産して3年が経ちした。今年の冬は
雪が降るのが早く、王都はすっかり雪景色です。アンドラーシュは政務に、
セフィリアは治療塔でと多忙なため、夕餉だけは一緒のテーブルにつく
事を習慣にしていました。
奇跡のオメガから生まれたリカルドはその伝承の通り、とても優秀です。
今日も行儀よく椅子に座っていましたが、夕餉の時間を過ぎてもアンド
ラーシュが帰城しない事で我慢の限界を迎え、空腹を訴えます。
アンドラーシュが遅くなるのは珍しく、従者にも確認をしますが連絡は
入っていないようです。セフィリアはもう少しまっていようとリカルド
を諭します。
セフィリアは春から秋にかけてアンドラーシュが摘んできてくれた野の
花をさしていたテーブルの上の花瓶に自然に目がいってしまいます。さ
さいな事ですがセフィリアにとっては楽しみの一つだったのです。
思わず「早く冬が終わればいいのに」と呟いてしまい、リカルドに冬が
嫌いなのかと不安そうに言われてしまい、「冬も皇子と雪だるまを作れ
るから好きだよ」と慌てる羽目になってしまいます(笑)
それから更に半時が経ち、さすがに安否が心配になってきた頃にやっと
豪快な足音が近づいてきて、扉を蹴破るようにアンドラーシュが入って
きました。
謝りながら室内に入ってきたアンドラーシュの外套は泥とほこりだらけ
で、まるで藪の中でも歩いたかのように、あちこちほつれさせてもいま
した。
リカルドは無邪気にお迎えの挨拶をしながら「そんなに泥だらけだと
エルネーに叱られますよ」と笑いますが、セフィリアの視線には不安が
滲んでいました。
アンドラーシュは服が汚れているだけで何ともないと言い、セフィリア
に真っ白な花束を差し出してきて・・・
B5サイズ片面にてアンドラーシュの帰城が遅くなった日の出来事となり
ます。
アンドラーシュが差し出した花束は北のイリューン山の峠にしか咲かな
いスノードロップでした。雪の中からすっと茎をのばして白い大きな花
をつけるスノードロップは鉱山にしか咲かない珍しい花なのです。
リカルドは絵本でしか見た事がなく、セフィリアはこの花のために山に
登ったのかと驚きますが、アンドラーシュはセフィリアを喜ばせる事は
重大案件だと胸を張ります。
しかもセフィリアがいつも寂しそうに花瓶を見ていた事も知っていて、
花瓶も喜ぶだろうと言われ、セフィリアは気遣いができる夫に感動し
つつも気恥ずかしくなってしまいます。
しかもアンドラーシュは右足を捻っているのを隠そうとしていたのです。
優秀な治療師であるセフィリアが気づかないはずはなく、夫に抱きつき
ながら花を積ん来てくれた事を嬉しいと伝えながらも怪我はしないでと
訴えます。
反省するアンドラーシュの様子を仲間外れにされたとリカルドも抱っこ
をねだってくる
・・・というほのぼのでラブラブな後日談でした♪
セフィリアのためなら火の中、水の中ならぬ雪の中なアンドラーシュが
目に浮かぶようで楽しいSSでした (^-^)