てんてん
kimi ga yumemishi rakuen wagaou to kenja ga sasayaku
本品は『君が夢見し楽園我が王と賢者が囁く』のコミコミ特典
小冊子です。
記憶を取り戻したリーブが幼い頃に見ていた夢のお話です。
リーブが目を開けるとそこは真っ白な世界でした。地面も空も
すべて白くて何もない世界ですが、不思議とも怖いとも思いま
せんでした。
この世界にいるということはきっと彼に会える。そう思うとむ
しろ嬉しくて心が弾みます。期待に胸を膨らませてきょろきょ
ろしていると聞き覚えのある少年の声が聞こえます。
リーブを「白き宝珠」と呼ぶ褐色の肌に黒い髪、黒い瞳の少年
は「鳥さん」と呼んでいました。よそ者なのに彼は出会った時
から「ブランイシャカリーブ」というリーブの真名を知ってい
てとても驚きましたが、名前だとは思っていなかったようです。
彼に名前を尋ねたら「トリだ」と答えられ、リーブは年上なの
で敬称を付けて呼んでいました。初めての出会った時には声を
掛けてもひとりぼっち泣き続けていた彼も会う毎に仲良くなり、
沢山の事を知る彼の話を聞く事が楽しみになってました。
彼は「白き宝珠」を生涯を共にする相手だと言い、会った事の
無い「白き宝珠」をいつも想像していたそうで、リーブは彼の
思う「白き宝珠」にぴったりだからいつまでも眺めていたいと
言います。
リーブが「いつの日か本当に会えるのかな」と呟くと、彼は
これを夢だと思っているのに自信満々に「当たり前だろう」と
口にし、「オレが迎えに行ってやるよ」と言います。
でもリーブの住んでいる所は隠れ里であり、一族以外の人間が
簡単には入れるところではありません。言葉を探しながら説明
しようとしたリーブですが、不意に霧が濃くなって彼の姿が
見えなくなっていき・・・
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)12頁のボリュームで、
リーブが夢の中でのバードとの邂逅を思い出すお話です。
リーブが母に鳥さんの夢の話をすると、リーブの不思議な力を
知る母はきっとその夢は予知夢だろうと言います。リーブは
父のように里の外に出る役目をすることになっても、とても
遠い所に住む彼に会えるとは思えませんでした。
しかしリーブは遠い距離を超えてバードと再会し、今では彼の
大切な人となりました。記憶を取り戻したリーブはバードに夢
について尋ねますが、あやふやな記憶しかないバードにはっき
りと覚えているというのは業腹で、リーブもなんとなく覚えて
いるだけと柔らかな笑みで誤魔化す
・・・というほのぼのエピソードでした。何も知らずに夢の中で
出会った2人が現実世界でもめぐり逢い、運命の相手になると
いうのはかなりロマンチックです♪
すべての謎が解けてみると、2人が夢の中で出会っていたお話も
リーブの魔力の強さの一端を示すもののように感じられますね。