てんてん
tooi kuni no chiisana hanayome
本品は『遠い国の小さな花嫁』のコミコミ特典小冊子です。
本編後、おとぎばなしについてのお話です。
サガルはローランに嫁いできて不思議に思っている事がありました。
誰に相談していいかわからず、自分の思いすごしかも知れないと思う
し、自分が気にしなければいいだけのことだともおもいますが、
何か変だなという思いが消えません。
刈り取った羊の毛を毛糸にするための作業をしていたサガルに、馬の
手入れをしていたローランが気になったのか声を掛けてきます。
どうやら考え事をしていて手が止まっていたようです。何でもないと
応えますが、しげしげとサガルをみつめると、大きな体を小さくして
作業用の粗末な椅子に座りました。
ローランはサガルの2倍は大きいブラシをかけ始め、納屋には2人の
たてる作業の音のみ響きます。単調な作業は1人でやっている時にな
りませんが、近くに人がいるとなるとおしゃべりをした巻くなるも
のです。
サガルはローランに前から気になっていたおとぎ話について訊いて
みる事にします。
この国のおとぎ話ってあれで会ってるんですか?
お姫様が7人の小人と森で幸せに暮らしましたってお話とか
魔法使いにドレスを貰ってお城で王子様と結婚したとか
変じゃないですか?
ローランにはそれが普通だと言います。そこでサガルは自分の知る
おとぎ話の内容を話すのですが・・・
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)12頁というボリュームで
サガルがおとぎばなしの疑問をローランに訊ねるお話です。
サガルのブラシをかける音が速くなると、ローランもブラシをかけ
る手を速めます。
7人の小人の所にいたお姫様は毒林檎を食べて死んでしまわないの
ですか?
ローランはなぜそんな物騒な事になるのか、死んでしまったらとて
も悲しいだろうと顔をしかめます。しかも死んでも隣国の王子が
キスで目覚めさせると言うと、どうして王子は死んでいる姫にキス
するのかと問を重ねてくるのです。
そしてローランがもう一度結婚を申し込んでくれた時の靴を灰かぶ
りにちなんだと自慢気に言うのを聞いて、どんな話になっているの
かと笑っていしまった事を思い出したようです。
この国の灰かぶりはタイトルも違うし、舞踏会に行ってそのまま
幸せになるのですが、サガルの知るお話では12時になると魔法が
解けて、王子は残されたガラスの靴を元に灰かぶりを探すという
波乱万丈なお話なのです。
こちらには幸せな話しかないのかと口にするとローランは、父親
から聞いて不思議だった昔話をしてくれます。
ある国の王様は1人の美しい女を妻にしますが、女の腰から下は
鹿でした。2人の間にできた子供は蓮のつぼみの1枚1枚の間に
挟まった状態で30人位生まれるのですが、気味が悪くなった王は
蓮のつぼみを川に流してしまいます。下流にある王国にながれつ
いた蓮のつぼみはについた王子たちはその国の国王夫婦の子とし
て育ち・・・
このお話にサガルは「なんで」を連発し続け、かなり不思議なオチ
を迎えてびっくりします。ローランも同じように思ったと言い、
お互いにハリファはどう思うだろうと想像し、微笑みあうという
ほのぼのした終幕でした。
国によって物語が違うように、人によって物の見方がまるで違う
けれどそれに良し悪しはないのだと言うスタンスなのかな。
あまり深く考えずに2人のラブラブに当てられるのが正しい読み方
なのかもしれませんね (^_-)