てんてん
kokou no heika no shihou no chouki
本品は『孤高の陛下の至宝の寵姫』のコミコミオリジナル特典
ペーパーです。
本編後、ヴォルフが後宮の庭から掘り起こした日のお話です。
ヴォルフは多くの兄弟がいましたが、気を許していたのは1人の
兄と1人の弟だけでした。不審死が続いても気にせず、兄が王と
なり、自分達が補佐する未来を信じていました。
しかし、弟はヴォルフを庇ってこの世を去り、兄もまた全ての罪
を背負って裁かれます。病床の父王に謝罪と共に譲られた玉座は、
ヴォルフの望まないものであり、重すぎました。
そしてある時ふと周りを見渡し、玉座に座るのは必ずしも己でな
くても良い事に気付くのです。それが更なる悲劇を呼びこむこと
になりますが、愛おしい存在を手に入れられたことは行幸でした。
冬になって土が凍てつく前にとヴォルフは今日の昼間、後宮の庭
に埋まっている「それ」を掘り返えされ、「それ」が移され、
埋められる作業に立ち会います。
宰相は眉を顰めて懸念を表し、将軍は「被嗜虐趣味め」と不名誉
な評価を寄越しますが、寵姫は・・・
B5サイズ4つ折り両面にてヴォルフが過去と決別するお話です。
シリルは賛成も反対もせず、ただヴォルフの隣で一緒にその作業を
見つめていました。全ての作業を終えた頃には日が沈み、深まった
秋の風に身が冷えた事を建前に縋るようにシリルと身体を重ねます。
翌朝、目覚めたヴォルフは眠るシリルに、初めて目が合ったあの時
に何もかもを手放そうとしていたヴォルフの中にも、生まれたもの
が確かにあったのだと感じます。
あの時、あの場所にいたのが、他の誰かだったならば自分はここ
にはいなかったとヴォルフ愛おしい存在に出会えた事の喜びを
かみしめる
・・・というかなりしんみりしたお話でした。
シリルという存在で未来が輝くという幕引きなので悪い終わりかた
ではないのですが、同じ幸せオチなら甘々か、ラブラブなお話が読
みたかったです (>_<)