てんてん
koi ni ochita Taiyure
本品は『恋におちた仕立屋』のフェア書店限定特典ペーパーです。
本編後、2人が仕事帰りにデートをするお話です。
そろそろクローズという「タイユール・ヴェール・マラン」のショー
ルーム内にはお客様の姿はなく、ウォールミラーの前でタイユール
である綿辺が念入りにコーディネイトをチェックしていました。
その様子をチーフの片山とプレスの安藤がそっと見守っている事に
綿辺は気づいていません。いつもの身嗜みチェックより熱心で、1日
中上機嫌だった綿辺の様子からこの後にデートだろう事は容易に
察せられます。
初めての恋にどうしようもなく浮かれている感な綿辺が愛おしく、
何本も並べられたタイを魚市場の競りに例えた片山の言は安藤を
笑いのツボに落としてしまいます。
片山は綿辺にさりげなくサンローランのシルクジャガードタイを
薦め、綿辺はぱっと笑顔になってタイを合わせます。
実は片山のチョイスは吉成のタイを意識しての事でした。知ってい
るというのは無粋だけれど、気づいているのにわざとらしく知らん
顔も性に合わない片山の無言のエールの効果は如何に!?
A4サイズ(書店で型違いあり)4つ折り片面ですが、イラスト部分も
半分からSSがスタートしているので、通常よりちょっと長めです。
前半はスタッフ視点、後半は吉成視点と仕立てもちょっと変則な
SSです♪
待ち合せてカフェバーのカウンター席で落ち着いた2人ですが、オー
ダーした真嗣が隣を見ると蒼央はまるで、押しを目の前にして辛抱
たまらん、というゆるみきつた表情をしていました。
自分が仕立てたスーツでスツールに座る吉成が最高すぎて見とれて
いたと、出会った頃と変わらず絶賛された真嗣は、お返しとばかり
にスイッチオフの蒼央も大好きと返して、蒼央を照れさせます。
明日からニューヨークに行く真嗣は今日もお持ち帰りする気満々
ですが、1週間も会えない現実を思い出した蒼央は異様なほど静か
になってしまいます。
1週間も会えないなんて長いなぁって思って。毎日会っていたら
よけいさみしくなりそうだけど、会わないほうがいいわけじゃ
なくて・・・それがわかっていても、あしたも、会いたいなって・・・
ド直球な口説きに真嗣は唖然としてしまいますが、無意識なのも
考えものです(笑) しかもさりげなくオソロのタイにしている事を
指摘すると、蒼央は目を瞬かせて片山と安藤のおすすめだと
告げるのです。
蒼央は気づいていないようですが、これはもう偶然のチョイスと
は考えられません。2人からの優しいバックアップに真嗣は優しい
気持ちになって蒼央ともう一度乾杯する
・・・というほのぼの優しいSSでした。片山と安藤の無言の応援と
蒼央の天然パワーが炸裂しまくりなのがとても楽しいです。
蒼央が優しい人たちに囲まれているのは、蒼央自身の実直で真摯
で真面目な性格故であり、そんな恋人をもった真嗣もとても幸せ
な人だよね。