てんてん
houousama no yakusoku no hanayome
本品は『鳳凰様の約束の花嫁』のコミコミオリジナル特典小冊子です。
本編後、蓮が花嫁になって半年以上たった頃のお話です。
湯あみを終えた蓮はまず左の手首に腕輪を受けます。繊細な金細工に
オパールの様な虹色の意思が配置された腕輪を付けると蓮の胸は幸せ
でいっぱいになります。
仕事から帰って来た鳳凰はそんな蓮を見て微笑みます。蓮は何かお揃
いの物を身につけたいと思い、何気なさを装って「鳳凰様は付けない
のですか」と訊ねます。
しかし鳳凰は、腕輪は花嫁の付けるものだからと言い、私にはこれが
あるからと真鍮の第2ボタンを下げた革紐を衣の内側から引き出します。
白蓮がくれたものだから、私にはその腕輪と同義だ
鳳凰は微笑みながら告げますが、金の腕輪と真鍮製ではあまりにも
差があり過る上にボタンは制服についていただけの物なのです。蓮は
情けなさすぎて、改めて鳳凰に何かあげたくなります。
プレゼントをあげるなら誕生日と鳳凰に誕生日を訊ねます。神と人では
暦が違うのであってないようなもので、しいて言うば人の暦では3年後、
今日からちょうど2ケ月後だと言われます。
それなら2ケ月後のその日にお祝いをしようと提案しますが、鳳凰には
祝う意味を問われてしまいます。人が祝う事を知ってはいますが、神は
祝わないからと言われてしまい、蓮は鳳凰との感覚の違いに唸ってしま
います。
なんとか鳳凰の誕生日を祝いたい、その日に特別な何かをしたいと
いろいろと考えてはみるものの、民に面倒を掛けず、金も使わず、
みんなで幸せになるような何かを思いつきません。
鳳凰の「龍神なら雨を降らせて虹を出すくらいできそうだ」という言葉
から、鳳凰の再生の力で花の開花を早めて花を咲かせる「花祭りの日」
にして大切な人に花を贈る日にしようと提案します。
蓮は花と共に普段は言いにくい感謝の言葉を告げる「国際女性デー」の
催しを参考に提案したのですが、鳳凰の誕生日なのに鳳凰が手を動かす
とはいかに!?
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)2段組12頁というボリュームで
蓮が鳳凰の誕生日を祝おうとするお話です。
花祭りの日は眩しいくらいの晴天となります。鳳凰は収穫への影響を
配慮して野に咲く花だけを夜明けとともに開花させました。目の前に
広がる花ざかりの光景は多くの民を驚かせ歓声をあげさせます。
いつもは地味な色の山裾のあちこちにふんわりと華やかな色が散る風景
を鳳凰電から見た蓮は改めて感嘆のため息をつきます。さらに階下に広
がる町では民達が嬉しそうに花を抱えて行きかっていて嬉しくなります。
民の幸せ様な様子に安心した蓮は、今度は自分の番と文机から折り紙で
作った小玉スイカほどの大きさの花の手毬を取り出します。蓮は試行錯
誤して鳳凰にと枯れない花を作ったのです。
鳳凰はとても喜んで入れて、来年も作って欲しいと望みます。毎年増や
せば自分達の歴史になるからと。鳳凰の思いがけない言葉は蓮をとても
喜ばせます。
その後、鳳凰は蓮に感謝を告げる為に野に行こうとしますが、門には
鳳凰への花束を携えた多くの民がいて、2人はたちまち民に囲まれて
しまいます。蓮は彼らにとって鳳凰も感謝の花を捧げたい対象なのだ
と胸が震えるのです。
結局外出は出来なかった2人ですが、鳳凰殿に戻った鳳凰は蓮に改めて
感謝の言葉を告げてきます。誕生日は花嫁迎えの当日で慌ただしかった
し、人間にとって誕生日のとても大切な日だとわかったからと。
蓮は改めて鳳凰の誕生日の祝いをのべ、来年も再来年もずっと鳳凰の
誕生日を祝うと誓う
・・・という幸せ溢れるお話でした♪ 再生の力で花を咲かせるという発想
が面白いです。
また鳳凰の誕生日についての会話で、天然と言うのとはちょっと違う
けど、鳳凰が生真面目過ぎて蓮の言動が微妙にズレていく様に笑わされ
ました。
2人にはこれからも比翼連理で仲良く過ごしてほしいですね (^-^)