てんてん
hana wa shitone ni sakikuruu
本品は『華は褥に咲き狂う~火華と刃~』の
コミコミスタジオ限定特典小冊子です。
恵渡城の宝物殿の宝物達のお話です。
天下を治める将軍の住まう恵渡城。
そこに集う将軍の臣下たる幕臣達が
将軍の寵愛や立身出世を賭けて
権謀術数を巡らせるように
人ならざるモノたちもまた
密やかな戦いを繰り広げていたのです。
城内の中奥に位置する宝物殿は
代々の将軍の遺品や献上されたほうものが
ところ狭しと収められていますが
名工の手によって創られ
長き年月を経たモノには魂が宿りますが
とりわけ優れた主人に所有され
大切に扱われれば命無きモノでありながら
主人と同じ人の姿が取れるようになるのです。
そこでは今、
光彬が腰に差している新参者について
宝物たちが喧々囂々中♪
彼らが話題にしているのは
ほんの数年前に代替わりした将軍と共に
恵渡城入りしたばかりの新参者に
関する事でした。
氏素性の知れぬ刀が
将軍の佩刀となっている事が
受け入れがたいと盛り上がります。
あの卑しい刀を差していては
いずれ当代将軍の威光に傷がつく。
そうなる前に手を打つべきでは?
ここぞとばかりに弥陀の槍が
名乗りを上げたところに
水干姿の童がふわふわと
漂ってきました。
無邪気に笑う童こそが
当代将軍の守護聖刀となった
鬼讐丸でした。
真夜中に何ぞ悪だくみかと
揶揄する鬼讐丸に
弥陀の槍が鋭い矛先で突進し!?
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)で
擬人化した宝物殿の宝物達の
お話になります♪
誰もが弥陀の槍が鬼讐丸の刀身を
へし折る事を想像しますが
実際は弥陀の槍は鬼讐丸の細腕に
ギリギリと締め上げられて
苦痛に呻く事となるのです。
自分達が痛めつけようとしたのは
いたいけな仔猫ではなく
牙を持つ虎だと気づきます。
「破壊」を本質とする鬼讐丸に
頭を下げて許しを乞うたのは
神君光嘉公が打たせた霊刀である
金龍王丸でした。
金龍王丸はこの暴挙は
皆が当代将軍を慕う故だと言い
当代将軍によって聖刀となった
鬼讐丸は一計を案ずることとなります。
後日、
光彬は久しぶりに宝物庫を訪れ
小姓たちとの稽古に金龍王丸や他の
宝刀や槍を手にする用いるようになる
という幕引きまで宝物達の
右往左往が楽しいSSでした。
光彬の魅力は人だけじゃなく
モノにも効くようですね (^_-)☆