にかわ柚生先生インタビュー

焼き物に絵筆をすべらせると、筆を焦点として不思議な幻想が現れて…
小説家の中村が、取材先の田舎町で出会った少年、睦月。彼が焼き物に絵を入れると、中村の目の前には不思議な光景が広がります！ 中村の反応に、焦ったのは睦月。祖父にしか見えないはずの幻想が、中村に見えるなんて……。8月16日発売、にかわ柚生先生の初コミックス『バニラ・レイン』。表紙に描かれた小説家×絵付けの少年CP『シアンに沈む』を含め、4組の若者たちの、甘く優しい恋物語を収録しています。それでは「801 AUTHORS 108」第401回、にかわ柚生先生どうぞ！

Q. 新刊の紹介をお願いします！
4組のお話がおさまった短編集です。登場人物は大体みんな高校生から大学生の若者で、恋人同士になる前段階の様子を描きました。

表紙の二人が登場する『シアンに沈む』は、焼物の絵付けをする少年と取材に訪れた小説家さんの、少し不思議なお話です。
昔近所にあった工房(焼物じゃないのですが)を思い出しながら作りました。
Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
何と言ったら良いか……表紙の二人は、好奇心旺盛で子供のような大人×引き籠り少年、ではないかと思いますがあまり自信がありません！

コミックスのタイトルのもとになった『バニララテの人』は、カフェが舞台の、ヘタレ常連×弟バイトくんのお話です。
受けくんは実際に攻めさんの弟というわけではなくて、弟のように周りの年上に可愛がられるタイプの子です。
当初攻めさんは余裕のあるかっこいい年上をイメージして話を作っていたのですが、受くんのバイト先での可愛がられっぷりを想像するうちに、カフェ店員さんにちくちく言われるヘタレになってしまいました。
Q. 当て馬や重要な脇役は？
『バニララテの人』に登場するカフェ店員の圭多さんがお気に入りです！ コック服萌え！

Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
強いて言うなら泣き顔です！ 泣き顔描くの大好きです。涙腺の弱い男子はとても可愛いと思います。

Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
コミスタの扱いに特に苦労しました。でも漫画を描くこと自体にまだまだ慣れていないので全部苦労したというのが本音です。
担当さんにもかなりご迷惑をおかけしたと思います…。

楽しかった点は、毎回何かしら大好きなものを描けたことです！ 特に植物とクラゲが描いていて楽しかったです。
Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
『シアンに沈む』に登場するおじいちゃんの若かりし頃の不思議エピソードをぼんやりと考えて萌えていました。井戸と天狗が出てきます。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露お願いします！
本コミックス収録のお話は全てプロット＆ネーム作業を海外でやったので、この先コミックスを見るたびに現地で出会った人やよく通った公園が思い起こされて忘れられないんだろうなと思います。
帰国してからは引っ越しをしたり、急な用事で田舎に帰ったり、何かと慌ただしかったです。

そういえば！ 某ファストフード店を利用することを覚えました！ コンセントの使えるお店って便利ですね。

Q. 今、何かハマっていることは？
星が好きです。星座や神話を覚えるでもなく、ぼんやり星空を見ているのが大好きです。夜の東京が怖い田舎者なので、帰省時に深夜徘徊するのが常です。
Q. BL作家になったきっかけを聞かせてください！
イベントに参加できない・普通の漫画本すらもなかなか買えないという状況下で、鬱憤を晴らすように漫画を描いてweb公開していたら、担当さんにメールをいただきました。
イベントやネットで人気のある方にだけこういうお話が行くものだと思っていたので、「何の実績もない私ごときに何をおっしゃいますか！」と真っ先に詐欺を疑いました。担当さんごめんなさい。

BLにはまったのは深夜のネットサーフィンが原因です。モラトリアム万歳です。
インターネット上に自作の小説を公開している人がたくさんいるのだと知って、それまで別世界の出来事だった「お話を作る」という行為が一気に身近に感じられるようになって、私もやってみたいという気持ちが芽生えました。
でも、インタビューを読んでいただいてお分かりになるかもしれませんが、他人に伝わるようにまとまった文章を書くというのが本当に苦手で、諦めていました。
漫画はあまり読んだことがなく未知の領域だったので、最初は選択肢になかったのですが、結局妄想を形にすることを諦めきれなくて漫画を描きはじめました。
Q. 発売前の今のお気持ちはいかがでしょう？
本にしていただけてありがたいという気持ちと、「いろんな人に読んで貰いたい！ できれば感想をいただければとっても嬉しい！」という図々しい気持ちと、売り場に出てごめんなさいという気持ちと、まぜこぜです。
それから、自由にお話を作らせていただいて、びっくりするほど担当さんからいただく修正が少なくて、ですから、独りよがりな漫画になっていないかなという不安が大きいです。

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
はじめまして。にかわ柚生と申します。
表紙はしっとりした雰囲気ですが、中身はライトなBLです。4組の若者たちの恋物語を読むなかで、少しでも楽しいと思っていただけば幸いです。
初コミックスで拙い点も多々あるかと思いますが、一生懸命描きました。どうぞよろしくお願いします！

担当編集より
人との接触を拒むように隔離された私室のみで出会う、睦月と中村。
睦月の生み出す幻想的な世界は、いつも優しいのにどこか悲しい。
二人の心の距離は、次第に近づいていき――。

にかわ柚生先生の繊細なタッチで描かれる、優しく可愛らしい恋の話、一冊に。

小説家×絵付けの少年『シアンに沈む』の他にも、常連客×カフェの店員のじれったい恋模様を描いた『バニララテの人』や、男子高校生の甘酸っぱい青春『フィルター・ドロップ』など、さまざまな恋が一冊にまとまっています。

今回の『バニラ・レイン』がデビューとなるにかわ先生、書店様での特典ペーパーも3種！
詳細は公式サイトにてご確認ください！

(c)にかわ柚生／一迅社