かつて二重人格だった受! 攻が好きなのは、消えてしまった人格で…デビュー小説には死神が登場、二作目には幻覚と、不思議なストーリーが持ち味の綾ちはる先生。7月10日発売の新刊『彼の愛した翠色』は、二重人格を題材とした恋物語です。幼馴染の笠野真優と森岡翠。そして幼い頃の翠の中に生まれた別人格、スイ。真優が翠に告白した数日後、なんと主人格である翠が消えてしまいます。真優とスイは……!? インタビューでは、三作連続した独特な設定の出どころも明かされます! それでは「801 AUTHORS 108」第372回、綾ちはる先生どうぞ!
Q. 新刊の紹介をお願いします!主人公のスイはかつて二重人格だったという設定です。幼馴染の真優は、消えてしまった人格である翠に想いを寄せていて、今でも翠が帰ってくるのを待っています。
翠が帰ってこないことを知っているスイは、真優の気持ちを自分に向けようとするのですが、真優にとってのスイは親友であり決して恋愛対象ではなく…という話です。
Q. メインカップルはどんな攻×受ですか?陽だまりのような優しい青年×心に傷を抱えて強がっている青年です。
Q. 当て馬や重要な脇役は?受けの兄貴分。「顔も人柄も完璧なのに、察しがよすぎるゆえに損な役回りを担うことが多い、微妙に報われない男が好き」という、私の欲望を体現させられた人です。
Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう?「いつ帰ってくるか分からない想い人をひたすら待ち続ける攻め」と「そんな攻めをなんとか振り向かせようとする受け」いうのが書きたかったのですが、こだわりと言っていいのか…。
質問の趣旨と食い違った回答になっていたらすみません。
攻めの真優は爽やかな青年設定ですが、やっていることや考えていることは結構泥臭い男として書いたつもりです。
Q. 今作にまつわる裏話ってありますか?真優は、最初は寡黙な性格でした。あまりにも喋らず印象が薄すぎたため、180度変えることにしました。
手間をかけさせられたぶん「愛いやつめ…」と思いますが、たまに修正前の性格を思い出すと、あまりの変貌っぷりに面白くなってしまいます。
Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露お願いします!地元の人に自分の近況を話さないせいで、いつの間にか「歌手デビューを目指して、都会で頑張っているらしい」ということになっていました。
「否定して突っ込まれるのも困るから、そのままにしといた」と報告してくれた母親はすごく楽しそうでした。私はびっくりするぐらいの音痴です。
Q. 今、何かハマっていることは?我が家のヒエラルキーで完全に私より上位にいる、実家の猫に遊んでもらうのが好きです。
背中に向かって猫じゃらしを振り続けていると、ごくたまに振り返って「仕方ねぇな…」という顔で構ってくれる優しさを持った猫です。
私にとっては、8:2のツンデレ黄金比を体感させてくれる愛しい存在ですが、彼にとってはたぶん、時折縄張りにやってくる他人という感じだと思います。
Q. 発売前の今のお気持ちはいかがでしょう?少しでも楽しんでもらえるだろうか、楽しんでもらえるといいなと思うのですが、色々考えていると禿げそうになるので、なるべく別のことに気持ちを向けています。
Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!一作目は死神で、二作目は幻覚でした。三作目は二重人格です。
どれも、片思い萌えをこじらせた私が、叶わない恋を書きたくて考えた結果の題材でした。
とりあえず、片思いに重きを置いた話は今作でいったん区切りをつけようと思っていますが、書いていて本当に楽しかったです。
臆病で強がりなスイと、翠を愛しながらスイを見守る真優の恋の行方を見届けていただけたら嬉しいです。
担当編集より互いが全てだった翠とスイ。そんな二人の間に真優が加わったことで変化が訪れます。
葛藤しながらも前に進もうとするスイとそれを辛抱強く見守る真優、丁寧に描かれた優しくて切ないラブストーリーをぜひご堪能下さい!
特典情報コミコミスタジオ限定:描き下ろしSSペーパー
(c)綾ちはる/松岡なお/心交社