苦しみの共有に幸せを見いだす、という2人を描きたかったのかも主人公の右介は、医者であるとともにヤクザの愛人。彼を手の中に置く組長の大和は、実は右介と高校時代から付き合いです。出会って以来長きに渡り、大和×右介は人生を奪い奪われる関係……。4月25日発売、恋煩シビト先生の新刊『バラ色の時代』。“酷い”関係の中にあるボーイズラブを、じっくり楽しみましょう! それでは「801 AUTHORS 108」第328回、恋煩シビト先生どうぞ!
Q. 新作の紹介をお願いします!ヤクザと医者の漫画です!
ざっくりしすぎたので説明しますと、高校時代に医者の息子がたまたま図書室で出会った人がヤクザだったために、長年にわたりつきまとわれ、利用され、酷い事をされつづけていくお話です。その酷い状況の中生まれていく愛、みたいなものが基軸になっています。
Q. メインカップルはどんな攻×受ですか?やりたい放題ヤクザ×やられ放題医者です。
攻めの方は自分の事を可哀想だと思っているので、何でも我侭を聞いてくれて、愛してくれる存在を探しています。そして受けは主体性のない普通の子です。そんな子がターゲットにされたとき、じゃあ一緒に傷ついてあげるねっていう子ですね。
Q. 当て馬や重要な脇役は?途中で奥村くんという男の子が出てくるのですが、最初はこの子を当て馬にしようと思っていました。ところが話がややこしくなるのと、「大和の救いが右介」だと思って描いていくと、右介にとっての救いはいらないなと思い、右介は大和以外の人間に逃げ道を作っては意味がないと思ったので、消えました。
私は当て馬がとても好きなので、奥村くんを描いているときはとてもワクワクした気持ちになっていたんですが、泣く泣くお話の途中でフェードアウトさせてしまいました。私にとっては救いのキャラだったので、意味はあるキャラです!
あと、本編にはじっくり絡んでこないのですが、菊池というメガネのお付きの人。このキャラが好きでしたね。描き下ろしで大和の人格形成の補足として菊池を出せたのが嬉しかったです。本編中たくさんは出てこないけれど自分の中では出来上がっているキャラで、この菊池というメガネの男の人生は大きく考えていました。なので、描き下ろしで少し描けた事はとても良かったです。彼は大和の父親にとっての右介的立場の人ですね。
Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう?好きという言葉と、わかりやすい幸せを全部排除してみました。最初は単純に、ヤクザ×医者が萌えるから描いてみたいな~という軽い気持ちだったんですが、描きだす時に何か私の中で、きっと幸せというものについて考える事があったんだと思います。苦しみの共有に幸せを見いだす、という2人を描きたかったのかもしれないです。
絵については、前作『
溺れる』(祥伝社刊)で見開きでドンッ! という描き方を覚えたので、多用しています。
そして作画が裏社会ものという事もあって、サラっと描いて終わり、という訳にはいかない画面ばかりで時間がかかりました。
1回のお話で50~60Pというのも初めてで。ページ数があるということは大変な作業ですが、今までは削っていた細かい心理描写や時間の流れを追う展開を描くことができたのかな…などと思ったりしました。
あと、バラをいっぱい描きました!!
Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください!バラをたくさん描いた事ですね。誰にも頼まれてないんですが、やはりバラかな…とバラを描きまくりました。
あと、黒社会ものということで、調べる事がとても多く…なかなか情報が集まらずに(当然ですが…)収集に苦労しました。
楽しかったのはネトラレのシーンを描けた事です。わたしはネトラレを好きだと最近自覚したんですが(最近まで気付きませんでした)、意識的に、受けを攻めの目の前で第三者に抱かせるというシーンを入れて描いてみたら…ネームと作画のときのテンションの上がりっぷりといったらありませんでした。やはり描いてみて…好きなんだな!って思いました。
Q. 今作にまつわる裏話ってありますか?上の質問でも書きましたが、菊池というメガネのキャラが少しだけ出てくるのですが、このキャラが誰にも言う事なく、ひっそりと私の中で出来上がっていました。担当さんにもお話していなかった…と思うんですが、描き下ろしの話になった時に、このキャラ描きたいです~って言って描く事になりました。
メガネの菊池と大和は「母」と「息子」のような関係で、大和には物心ついた時から母親はいない、その穴を埋めてくれたのは菊池。菊池は大和の父親を愛していたから、息子の大和を愛する事で自分のアイデンティティにしている…。これは本編を描いている間にはもう出来上がっていました。大和の事は、母親のような愛で死ぬまでサポートすると誓っているけれど、大和の犠牲にはなれないから、大和にとっては右介とは違う存在です。
そこまでたくさんは描いてないんですが、いつもいるメガネの人はそんな人なのです。
Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露お願いします!黒社会ものということで…うちの近くにおそらく…その筋の方の事務所があるんです。何度も怪しげな黒塗りの車が停車して、その筋の方がビルの中にババーっと入って行く様子を目撃していました。私はいつも、ここはその筋の方の事務所なんだなあ…と思っていたのですが、ある時その事務所だと思われるビルの窓ガラスに『入れ墨入れます』という文字が…。店を構えはじめたようです。わたしの気持ちはだだ上がりです。ヤクザ…×彫り師…? と。
そのときはもうこのお話のネームを制作していたので、ヤクザ×医者になっていたのですが、その目撃がもっと早ければこのお話はヤクザ×彫り師になっていたかもしれません。
Q. 今、何かハマっていることは?ドライブ。
ほんとうに車の運転が好きなのです。車の運転というか…、運転自体も好きなのですが、私は自分の見知らぬ遠くの土地へ行くのが好きなのです。見知らぬ地へ足を踏み入れると、制覇した気になるんです。
長時間ドライブは大好きなのですが、私も人並みには疲れるので疲れたら無理せずSAか道の駅かに停車してそのまま車の中で寝ます。1~2時間寝ると60%くらいまで回復するので、また運転をし続けます。体力が0になる前に帰宅、がいつものコースですね!
温泉が大好きなので、温泉が良さげなところへ行く事が多いですが…、温泉に入ってしまうと疲れてしまうんです…。なので3カ所が限界ですね。
SA、道の駅のコロッケが大好きです。ソフトクリームも大抵食べてます。おいしいです♥
Q. 発売前の今のお気持ちはいかがでしょう?頑張ってたくさん原稿を描いて、1回にこんなにページを使わせてもらった漫画は初めてなので感慨深いです。装丁もとても素敵にして頂けましたし、担当さんや色んな方のサポートの上にこの漫画ができています。それが読者さんの手元に渡るというのは、本当に嬉しいです!
Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!読んで頂けて、なにかしら思ってもらえたらこれ以上なく幸せです。是非とも読んで楽しんで戴けたらなと思っています! よろしくお願いいたします!
onBLUE編集部より孤独のうち、若くしてヤクザの組長となった大和と、その男に魅入られたために人生を奪われてしまった右介。そんな2人の、20年にも渡る壮大な愛と絆を描いた物語です。シビト流「幸せの形」が、これでもか! というほど詰まった、読みごたえある1冊となりました。何度も読んで、2人の間に存在するのが果たして「愛」なのか「同情」なのか…、その関係性をじっくり味わって欲しいですね!
また、同時発売の『
onBLUE vol.13』は恋煩シビト先生の大特集となっております! 最新作『三色混ざれば黒になる』は『バラ色の時代』大和の2人の息子の物語。こちらもぜひ、ご期待ください!
特典情報onBLUE応援団書店にて、特典まんがペーパーを配布しております。
※なくなり次第終了となりますので、お早めにお求めください
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