朝丘戻先生インタビュー

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朝丘戻先生インタビュー 末っ子アルファ×第二性に悩むオメガ♥甘くて酸っぱい青春×オメガバース。小説『ラムネの小舟 1』

2025/03/21 17:00

この舟が、いつか沈んでしまうとしても――。

 


BL作家インタビュー「801 AUTHORS 108」第3936回
朝丘戻/犬居葉菜/ラヴィノベルズ
小説『ラムネの小舟 1』 3月22日発売
サイングッズプレゼントあり! 詳しくはインタビュー後に!

 

STORY
高校2年生の紺(こん)は、担任教師に頼まれたのをきっかけに隣の席の朱理(しゅり)と接するようになる。2年生になってから不登校気味になり、授業にも参加していなかった朱理を警戒していた紺。しかし話をしてみると朱理は誰より大人で、紺が日々胸に秘めていた悩みや苦しみを分かちあい、消してくれる唯一の存在だった。朱理も紺と画像系SNSを始め、恋心を深めていくにつれ日常を取り戻していく。α家系で育った朱理は、生まれたときからαだと自覚して堅実に生きていた。一方で紺は、βだと信じていたのにΩである可能性を感じ、怯えながら過ごしている。揺れ動く心を結びあい、育み続けていた順風満帆な恋は、ふたりのバース性が覚醒したとたん予想だにしなかった苦難に見舞われていく。αとΩとして成長し、生きていくこと。恋をして幸せになりたいと願うこと。ただそれだけのことが、この世界では心が潰れてしまうほどに難しい――。高校で出会ったふたりがバース性とむきあいながら大人になり幸福を見いだしていく、著者初の甘くて酸っぱいオメガバース作品。犬居葉菜がイラストを担当した待望のコラボとなる第1巻は、個人モバイルサイト掲載分に電子書籍限定書き下ろし60頁を加えた大ボリュームの特別版!

 

――作品紹介をお願いします
『ラムネの小舟』というオメガバース作品になります。
この世界を大海にたとえたとき、その中心で無気力に翻弄される舟のように生きている人たちを描いています。

具体的には“わたしたちが生きている現実世界にオメガバースの第二の性があったら”という意識で想い描いている世界です。
αは有能だからこそ嫉妬や過度な期待や正しさを押しつけられて生きづらさにもがいています。
Ωは子どもが産める存在として敬われつつも、産まない選択をすると現実世界以上に軽蔑を受けます。
βは繁殖本能が薄く、運命のつがいもいない者として孤独感を抱き、存在意義を求め続けています。
Ωの抑制剤はちゃんと効きますが、αは“自制してこそ有能なα”とされているのでフェロモンにあてられても我慢する一方です。
性的暴行は当然犯罪とされており、Ωに手をかけるαはきちんと裁かれますし、世間から蔑視されます。
αとΩのあいだには運命のつがい関係もありますが、膨張するのは本能のみで感情は無関係です。

そんな世界で主人公のふたりが出会い、さまざまなバース性の人たちの心に触れながら彼らなりの幸福を見出していくお話です。

――主人公たちはどんな攻×受ですか?
五十嵐朱理(いがらししゅり)と広瀬紺(ひろせこん)のふたりです。
高校二年生の同級生で、朱理がα、紺がΩになります。

朱理はα家系で育った生まれつきさまざまな才能に恵まれた人ですが、お兄さんがふたりいる末っ子で、紺の前でだけ末っ子らしいお茶目さを見せます。
紺は自己主張が下手で人づきあいも苦手な人でしたが、朱理と深く知りあっていくうちに前向きに凜々しく成長していきます。
もともとβだと思って生活していたのに、バース性が定まってくる十代後半にΩかもしれないとわかってきて、その恐怖心も朱理といることで受けとめ、変化していく姿を見せてくれます。

十代の高校生だとしても言葉で気持ちをちゃんと伝えたり、自分たちの将来や周囲の感情をしっかり見据えて行動したりする誠実な人が好きなのですが、そういう子たちもオメガバース世界のバース性があるからこそ説得力を持って描けますし、男女問わず妊娠、出産できることもあって同性愛に対する偏見が令和のいま以上にゼロなのも、とても好ましい世界だと感じています。

――当て馬や重要な脇役は?
ネタバレにならないように登場人物の名前は伏せますが、朱理と紺の関係に嫉妬とコンプレックスを抱いている男の子や、紺が突然子どもを生める身体に変化して怯えているとき強く支えてくれる女の子が、重要な存在として登場します。

――今作のこだわりはどのあたりでしょう?
オメガバースの世界で生きる人たちは、どのバース性の人もみんな大変だ、と以前から感じていました。
なのでα、Ω、βのそれぞれのバース性の人たちが、表向きは平等であるとされているこの世界をどう生きているのか、を深掘りしながら大事に書きたくてむきあっています。

――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
小説を書くのはいつもどんなときも楽しいです。
『ラムネの小舟』1巻はネット上で個人活動として執筆していた作品なので、読者さまがリアルタイムで見守りながら一緒に楽しんでくださったのもとても嬉しくて幸せでした。
下巻となる『ラムネの小舟』2巻からはまだどこにも発表していない書き下ろしになるので、そちらも楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

――今作にまつわる裏話はありますか?
「電子書籍だからページ数に融通が利くよ」という担当さんのお言葉に甘え、60ページの書き下ろしを書かせていただきました。
2巻の前に知っていただきたい重要な内容の短編が3話収録されているのでぜひご覧いただきたいです。
また、『狼への嫁入り』で衝撃的な出会いをした犬居葉菜先生に朱理と紺たちを託させていただきました。
犬居先生が大好きで、商業でやり残したことのなかに“犬居先生とお仕事をご一緒したかった”という夢があったのですが、ラヴィさまのおかげでその夢が叶いました。
もともと『ラムネの小舟』の朱理と紺たちや世界観は、犬居先生の絵で想い描きながら執筆していたこともあり、絵を頂戴するたびにずっと見てきたふたりと再会しているような、不思議な感覚になれるのも幸せでしかたありません。

――執筆中の思い出に残る日常エピソードなどうかがえますでしょうか
『ラムネの小舟』をリアルタイムで追いかけてくださった読者さまがいたので、ひさびさに“読者さまと一緒に作品をつくっている”という感覚になれて幸せでした。商業化も喜んでいただき、感謝の念に堪えません。
それと、犬居先生とたくさんおしゃべりをさせていただいて『狼への嫁入り』に対する想いの丈を存分に伝えられたことと、「わたしたちが運命のつがいだったんだ…」と不躾ながらも贅沢な喜びを感じさせていただけるぐらい意気投合できたことが、幸せな出来事として胸に刻まれています。

――今、何かハマっていることは?
映像作品でインプットする質なので、Netflixに登録してからいろいろ観るようになりました。
いまはドラマも好きでバカリズムさんの『ホットスポット』や『クジャクのダンス、誰が見た?』が毎週の楽しみです。

――発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう?
犬居先生とデザイナーさんがとても素敵な表紙で『ラムネの小舟』の世界を彩り、ひろげてくださいました。
朱理と紺たちの恋と人生を軸に、わたしなりのオメガバース世界を楽しく大事に描いているので、ご興味を抱いてくださいましたら手にしていただきたいです。

――ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!
インタビューまでおつきあいくださいまして心からお礼申しあげます。
2023年刊行の『とのこい』を最後に商業活動にはこだわらず、個人活動を中心に執筆を楽しんでおりましたが、このたびラヴィノベルズさまがお声をかけてくださいました。
現在のBL小説界においてわたしの作風では出版社さまにもお世話になる皆さまにも読者さまにも貢献できないと思う、と正直な不安と懸念をお伝えしても期待を寄せてくださったうえ、担当さんは数年前にリアルサイン会にも足を運んでくださった読者さまで、わたしの作品をきっかけに編集者になろうと決めたのだと熱く語って聞かせてくださいました。
これまで心をこめて上梓し続けてきた作品を受けとってくださった読者さまのひとりが、戻ってこいよ、と手を差し伸べてくださっている。
そのご厚意と強い想いに胸を打たれ、恐縮ながらいま再び商業の場へお邪魔した次第です。

ラヴィノベルズさまと犬居葉菜先生をはじめ、お世話になる皆さま。
そして『ラムネの小舟』にご興味を抱いて、大事な時間を割いて読んでくださる読者さまに、お心を寄せていただいたぶんのご恩返しがきちんとできましたら幸せに思います。
朱理と紺たちをとおして彼らとこの世界を心から愛し、大事に描いている気持ちと、彼らが懸命に生き抜いて幸福を得ていく姿と想いが届きますように、祈っております。

◆ラヴィノベルズ編集部より
先生のインタビューに記載されている通り、私がBL小説の編集になるきっかけをくださった先生です。

人の心の揺らぎを繊細かつ丁寧に書かれていて、朝丘先生のどの作品を読んでも心がぎゅっとなり、何度も何度も読み返しては泣きながら眠ったりしました。

ブランド立ち上げの際、無理を承知でお声がけさせていただき、快くご承諾いただいたときは心臓がつぶれそうなほど嬉しかったです。

そんな素晴らしい作品を生み出している朝丘先生が、初めて書いたオメガバース作品。
先生らしさが存分に詰まった作品に仕上がっています。
さらに、書き下ろしも3本入っているファンにはたまらない大ボリュームの特別版です。

また、朝丘先生×犬居先生との初のコラボ作品でもあります。
犬居先生の描かれたあざやかな色彩が、今にも動き出しそうなくらい美しく、きらきらと輝いています。

その分、表紙のデザインも難しくなり、朝丘先生と何度もデザインについて話し合いをしました。
朝丘先生は丁寧にデザインについてお話してくださり、デザイナーさんもそれに応えてくださり、素敵な書影になりました。
先生方もそうだと思いますが、担当編集にとっても自慢の表紙です。
また、本文にはとっても素敵な挿絵も入っています!

是非沢山の方に読んでいただけたら幸いでございます。
またこちらの作品でショート動画も作成予定です。
よろしくお願いいたします。

 

小説ラムネの小舟 1

 

その他情報

 

詳しい情報はラヴィノベルズ/comic 公式HPをチェック!

 

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(C)朝丘戻・犬居葉菜/ラヴィノベルズ

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