作風の多彩さで知られる神葉理世先生。みなさんの中にも、それぞれお気に入り作品が存在するのでは! この秋、BL、非BL作品をエンターブレインから1冊ずつリリースされる神葉先生に、ジャンルの枠を越えていろいろうかがいました。
Q. 2011年は10月までで4冊と、コミックスのリリースラッシュ。なかでも9月の『ジューシィ・サイダー』は、2004年~2007年の毎年1話ずつの連載に今年の描き下ろしを加え、足かけ8年です。1冊にまとまった感想はいかがですか?
A:いろいろありましたが、やっと1冊にまとめることが出来てホッとしています。まだDVDよりもビデオテープのほうが多かったらしき頃の漫画です。
連載当時はあちこちでスケジュール詰めすぎで、まさか年1話で進行していたなんて気づいていませんでした。どうにも時間の使い方が下手でいけません。
何人の編集さんと単行本化の打ち合わせをしたのか……。足りない枚数を描く時間がなかなかつくれず、その間にも絵のバランスが微妙に変わってしまうので、描き下ろし部分が地味に大変でした。
Q. 『ジューシィ・サイダー』では幼なじみの高校生、貴之と健の関係が1話ずつ深まっていきますね。思春期ゆえの性の悩みが第三者から見るとコミカルで、とても楽しかったです。ストーリーの着想はどういったところから得られたのでしょう?
A:貴之:高校生でスーパー攻め様視点のお話描こう→恵まれてるようで実は努力家なんてのもかっこいいな→なんかかっこ悪く。健:天真爛漫で健気で前向きな受け描こう→あほのこ。
「バカップル初Hもの」ということだけ決めて、あとはキャラまかせです。若さゆえの過ちや戸惑い、どうでもいい些細なことを本気で悩みたおすキラキラ思春期ものが好きです。
Q. ターンの長い連載の中で、泣く泣く見送られた幻のエピソードなどありましたら、よろしければご披露願えないでしょうか。
A:貴之がもっと色々な妄想してたり、寸止め生殺しな目に遭ったりする案もありましたが、ドM街道まっしぐらな感じになるのでやめたような……。未遂や寸止め萌えはほどほどにしておかないと、読んでいただけないかもしれないですし。
それとこの作品に限ったことではありませんが、だいたいどこかで受け攻め逆転フラグがたちます。今回は貴之が必死でへし折ったようです。
Q. 神葉先生のキャリアの中に、ときどき顔を出してきた『ジューシィ・サイダー』の貴之と健。彼らを振り返って、思い出される先生のターニングポイントなど教えていただけますか?
A:4話を上げた後あたりで心身ともにダウンしてスケジュールが狂い、各所にご迷惑をかけてしまいました。反省。それからは予定はゆとりをもって組むようにしています。
フリー作家として落ち着いてきた? のが成長……? 貴之タイプ(几帳面)に生まれたかったです。
Q. 今回、非BLの新シリーズ『自堕落妖精ユルルモン』の第1巻も発売となります。この作品が生まれたきっかけや、見どころについて教えてください。
A:最初は「ゆるーくまったり癒し系な連載」という打ち合わせをしていたのですが、突如わたしの中で人外好きの血が騒ぎ「癒しなら妖精さん」ということで提案しました。
担当さんに一瞬でも難色を示されると逆に燃える天邪鬼気質です。イケメン設定をつけると何か思いきりマイナス要素が欲しくなるので、ゆったり穏やかな妖精はヒモニート的なダメ男へと変わり、名前はなんとなくノリでつけました。某モンスターに被ってはいないはず……(自分調べ)。
見どころは……いろんな男子がおっきかったりちっちゃかったりするよ!
Q. 『自堕落妖精ユルルモン』は、妖精を題材にしていますが、妖精の萌えどころについて語っていただけますか。
A:架空の存在であらゆる可能性が未知数なとこ。妖精っていうだけでなんか可愛い感じがするとこ。ヨゴレな言動も「妖精なのに……」とギャップ萌えに変換できるとこ。
Q. 『腐女子彼女。』は原作書籍を元にしつつも、ストーリーにはオリジナル要素が豊富でしたね。神葉先生のご経験が反映されたシーンなどありましたら、教えていただきたいのですが……。
A:コミケ参加やコンセプト喫茶のシーンは実体験が役立ちました。原作書籍にないオリジナルキャラたちに関しては何かしら自身の日常が反映されていると思います。
Q. 『ジューシィ・サイダー』のあとがきで、先生のお好みのシチュエーションについて触れられていますね。では最近、日常生活でもっとも萌えた出来事など聞かせていただけますか? どういったポイントに萌えられたか、詳細もお願いします!
A:現実で萌えることがあまりないのですが……三次元萌えの鉄板ネタとしては、子猫を手でじゃらすだけの動画がお気に入りです。男性のほどよくきれいな手×生後1ヵ月以内の子猫の組み合わせ限定でテンションあがります。
この感覚は間違いなく「好き」よりも「萌え」。手だけや猫だけではそこまで楽しくないんです。ちなみに動物は苦手です。不思議。
手だけといえば、先日終わった特撮の彼はいい萌えキャラでした。さみしい。
Q. そのほかに日常、漫画家として常に気にしてしまうことや、身についてしまった習性といったものはあるでしょうか?
A:漫画を読むと「このきれいなトーン何番だろう」「このページ仕上げるの何時間かかるのかな」と画材や技巧面のことばかり考えてしまい、素直な読者目線で楽しめることが少ないです。あとは……無意識のうちにペンだこ潰しマッサージをしています。
Q. お仕事がひと段落したときの、ご自分へのご褒美の定番は? また、今欲しかったり、体験したいご褒美は何でしょう?
A:長風呂~~惰眠~~焼肉~~ヘッドスパ、というのが修羅場明けの定番の流れです。
今現在の最高のご褒美(願望)は某プレミアムライブのチケット!
Q. 先生はコミカル、ファンタジー、マニアックなど、幅広いストーリーを手がけてらっしゃいますね。そろそろ描きたくて、実は心の奥がうずいている……なんてジャンルがありましたら、ぜひ教えてください!
A:描きたいけど絶対描けないなぁと思うのは命懸けの本格バトル漫画。描きたいけど描いてもなぁというのは本気のフェチ漫画。どちらも脳内妄想で1人ニヤニヤしてます。
Q. ちるちるユーザーのみなさんにひとこと、メッセージをお願いします。
A:今回はエンターブレインさんで2冊連続発行記念ということで、期間限定公開の描き下ろし(PC向け電子書籍)企画進行中です。
『ジューシィ・サイダー』はその後の健サイドのお話、『自堕落妖精ユルルモン』はパラレル番外編の予定です。コミックスはどうぞダブルでお手元に置いてやってください。
よろしくお願い致します!