柳沢ゆきお先生インタビュー

恋人を殺した死刑囚が「執行」に至る迄を24時間生中継

BL作家インタビュー「801 AUTHORS 108」第2513回
柳沢ゆきお／竹書房／バンブーコミックス麗人セレクション
コミックス『僕が君を殺すまで (上)』『僕が君を殺すまで (下)』10月27日発売
サイン本プレゼントあり！ 詳しくはインタビュー後に！

STORY
殺人犯をある閉鎖空間の中に収監し、被害者と同様の手口で『死刑執行』がなされ、その様子が生中継される世界線の日本。あらたに送り込まれた死刑囚・織田薫は、男の恋人との痴情のもつれで相手を絞殺した殺人犯だった。刑務官の水谷航平は、体格が近いという理由だけで選ばれ織田の死刑執行を命じられる。被害者で織田の元恋人である渡瀬の顔に整形し、織田と親しくなるように近づく水谷だったが…。

――作品紹介をお願いします
人を殺めたら必ず死刑となる「新死刑法」が施行され、被害者の顔に整形した刑務官が被害者を死に至らしめた行為を完全再現することで死刑執行とする……刑務官と死刑囚は事件前の日常を再現した閉鎖空間に送り込まれ「執行」に至る迄を24時間生中継される世界の話です。



――主人公たちはどんな攻×受ですか？
攻の人が整形して別人になりきっているので、外見(渡瀬・被害者)は融通が利かず面倒臭いエリート、中身(水谷・刑務官)は仕事は真面目で私生活は緩々の眼鏡、受の人(織田・死刑囚)は男前で死にたがりの同性愛者です。



――当て馬や重要な脇役は？
水谷の友人の及川はTHEモブとして登場したのですが物語が進むにつれ熱血系のTHE主人公になっていきました。メインの二人が無口だからです。

――今作のこだわりはどのあたりでしょう？
新死刑法や再現執行などややこしい設定が当たり前に登場するのでそこを説明するのに「テレビ番組を使用する」という手法を思いつき「よっしゃ」となりました。それと、登場以上に人物の「退場」を意識しました。




――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
アナログ作画なのでモニタールームが大変でした。テレビの映像や雑誌の表紙に時事ネタを入れられたのは楽しかったです。連載前に担当に提出したプロットには世界観の説明くらいしか書いてなかったのでどう終わるのか担当も知らず、ミスリードが成功した時は思わずニヤッとしました。



――今作にまつわる裏話はありますか？
登場人物の苗字は全て有名刑事ドラマの出演俳優から拝借しています。終盤に登場するモブの宮崎一朗太は織田以外で唯一の同性愛者なのですが最終話のバスツアーにその恋人がコネでこっそり参加しているという裏設定があります。さてどれでしょう。

――執筆中の思い出に残る日常エピソードなどうかがえますでしょうか
漫画家的にはあまり生活は変わりませんがやっぱり「コロナ」です。趣味で集めていた(家族からは悪趣味と眉を顰められていた)牙とか豚鼻がプリントされた黒マスクが市民権を得たことには吃驚しました。

――今、何かハマっていることは？
DVD移行の際に振り落とされてしまったVHS映画を集めて真夜中にこっそり観ることです。とんでもない化物(良くも悪くも)が潜んでいて面白いです。今は昭和のお笑いを中心に観ています。1970～80年代のコメディ邦画をちゃんと観たことがなかったので。

――発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？
ガッチガチに緊張してます。上下巻同時発売も初めてなので。

――ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
全13話400P以上ある物理的に重い単行本になりました。タイトルの通り内容も割と重い……かもしれませんが、人が人に惹かれていく過程を丁寧に描けたんじゃないかなと思っています。ので、お手に取っていただけたら嬉しいです。そして少しでも楽しんでいただけたら本当に嬉しいです。


担当編集より
新たな死刑制度が布かれた特殊な設定の世界観で、刑務官×死刑囚の二人という禁断の関係でお話は進んでいきます。しかも、刑務官の水谷は死刑囚・織田の元恋人の顔に整形し、“自分自身”ではない状態で接しているのです。そんな中でも、人としての在り方やキャラクター同士の歩み寄りなど、人間ドラマを丁寧に描いてくださってます。先生のお力もあってお話としてはとても面白い仕上がりになっておりますので、ぜひ最初のハードルを飛び越えてくださると嬉しいです。

コミックス『僕が君を殺すまで（上）』『僕が君を殺すまで（下）』

特典情報

【上下巻購入連動特典】
ホーリンラブブックス／描き下ろし4ページリーフレット

【上下巻別特典】
アニメイト／描き下ろしメッセージシート
とらのあな／描き下ろしイラストカード
中央書店コミコミスタジオ／描き下ろし漫画ペーパー
特約書店／描き下ろし漫画ペーパー
電子書店(各社共通)／描き下ろし漫画4ページ

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(C)柳沢ゆきお/竹書房