月森あき先生インタビュー

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月森あき先生インタビュー 時を越えた運命の恋♥ 褐色王子×突然ショタ化した精霊使い!! 小説『砂漠の王は精霊使いに悠久の愛を誓う』

2020/02/01 18:48

水不足を救え! 王命で砂漠の友好国へ… 著者渾身の描写に注目!

 


BL作家インタビュー「801 AUTHORS 108」第2244回
月森あき/小禄/幻冬舎コミックス/リンクスロマンス
小説『砂漠の王は精霊使いに悠久の愛を誓う』1月31日発売
サイン本プレゼントあり! 詳しくはインタビュー後に!

 

STORY
水の精霊使いのリーファは、王の命で、友好関係にある砂漠の国・アガスティア王国の水不足を救うため、海を渡った。しかし、航海の途中で嵐に遭い、なんと八歳の子供の姿になってしまう。そんなリーファを助けてくれたのは、アガスティア王国・第一王子のサラムで、リーファは子供の姿のまま、精霊使いとしてサラムと共に水源を探すことになった。砂漠での活動を通してサラムとの間に固い絆と友情が芽生え始めた折、リーファは一時的に本来の十八歳に戻ることに成功する。しかし、その姿でサラムに会ってしまい、子供のリーファと同一だと気づかれないまま、思いがけず交流を持つことに。再び子供の姿に戻ったリーファが目にしたのは、大人のリーファに想いを馳せるかのようなサラムの姿で――?


――作品紹介をお願いします

水の精霊使いが精霊の力を用いて砂漠の国を救うお話です。
その過程で、受の精霊使いが子供の姿になったり、ある条件で元の姿に戻ったり……といったハプニング(?)もあります。また、攻が砂漠の国の王子なのですが、ある事情から王宮内で孤立していて、自分には国を救う力もない、と思っている人です。そんな攻が受と出会い、砂漠の国を潤すため二人で奮起するお話になってます。


――主人公たちはどんな攻×受ですか?
主人公となる受・リーファは水の精霊の力を操れる精霊使いです。世間から隔絶されて育てられたため、やや世間知らずなところがありますが、人々を救いたいという純粋な想いを胸に行動する子です。
攻・サラムは第一王子として生まれたけれど、その出自から少し不遇な身の上です。私の萌えポイントである、褐色の肌、黒髪ウェーブ、ちょっと不憫な境遇、を詰め込んだ人物になってます。あ、あと、放浪癖(?)があるところも。


――当て馬や重要な脇役は?
水の精霊のシャディが重要な役割を担ってます。彼女をどのような姿にするかで悩み、作中ではスナギツネと呼んでますが、モフモフが好きなのでフェネックの姿にしてみました。イラストを担当してくださった小禄先生に参考資料としていくつか画像をお送りしたのですが、振り返ってみればフェネックの写真を一番多くお送りしていました(笑)。
個人的には、主要キャラよりも脇キャラに注目してしまう性質なので、攻の幼馴染であり相談役を務めるリゲルがお気に入りです。苦労人なところとか、忠臣なところとか、標準装備で敬語なところとか……。

――今作のこだわりはどのあたりでしょう?
砂漠に水場を作るシーンです。昔、テレビで井戸を掘る番組を観て、水がどれほど大切なものか、水を確保するために人々がどのような苦労をしているのか、また、一つの井戸を掘るのにどれほどの時間と労力を要するのかを知りました。その部分を織り込みたく力を入れて書きすぎた結果、かなりのページ数を割いてしまう事態を引き起こしてしまい、改稿に次ぐ改稿で少しずつ減らして……。でも書きたかったポイントは残してこのような形になりました。

――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
今作はページ数を大幅にオーバーしてしまって、既定のページ数に収めるのがとても大変でした。書きたいことがたくさんありすぎて……。基本的なことが出来ていなくてお恥ずかしいのですが、ページ配分が難しかったです。

――今作にまつわる裏話はありますか?
裏話の一つはあとがきに書いてあるので、誰にも気づかれていないだろうある設定をご紹介させていただきます。それは今作だけに限ったことではないのですが、攻が水に濡れるシーンが必ず入っている、ということです! 私自身、つい最近気づいたのですが、攻が水を浴びた姿に普段と違った色気と萌えを感じるようです。全くの無意識だったのですが、今作にもこの性癖が発揮されたシーンがありますので、チェックしていただけると嬉しいです。濡れそぼった攻萌えの同志の方に巡り合えるといいなと思ってます。

――執筆中の思い出に残る日常エピソードなどうかがえますでしょうか
著者校正時のことなのですが、締め切りに間に合うようゲラを発送出来るかギリギリの時間を迎えてしまい、某宅配会社さんの営業所に荷物の最終受付時間を電話で問い合わせた時、応対してくださったお姉さんの優しさに心を揺さぶられました。今から一時間以内に営業所に持ち込めば最終便に間に合うと言われ、喜びのあまり「うおーっ! ありがとうございます! 今すぐ行きます!」と二日寝てないテンションで返したら、「外も暗いですし、十分に気をつけていらしてくださいね」と繰り返し心配してくれて、急ぎつつも安全運転で向かい、無事にゲラを締め切りに間に合うように発送することが出来ました。極限状態だったためか、お姉さんの優しさが心にしみて涙が出そうになりました。

――今、何かハマっていることは?
中華風ファンタジーにはまって最近よく読んでます。可能ならばいつか自分も書いてみたいな、と思いながら、諸先生方の作品を読んで萌えてます。

――発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう?
私にとって三冊目となる書籍なのですが、正直、三冊も自著を出版していただけると思っていなかったので、夢のように感じてます。一作目の時も二作目の時も、実際に書店に並んでいるのを見て実感がこみ上げてきたのですが、きっと今作も書店に置いてあるところを見て、「夢じゃないんだ」と実感するのだろうと思います。それくらい、自分の書いた小説が一冊の書籍になって本屋さんに置いてある、ということを光栄で喜ばしく思っております。ありがとうございます!

――ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!
こんにちは。月森あきと申します。おそらく初めましての方が多いと思いますが、登場人物が幸せになれるように、なるように、と心を込めて書きました。お手に取っていただけるととても嬉しいです。小禄先生のイラストの美しさも必見です! どこかワンシーンでもお心に残るものがありましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

担当編集より
子供の姿になった精霊使いの、時を越えた運命の恋――。
月森先生のリンクスロマンス3作目! 今作は主人公の精霊使いが子供の姿で奮起するちょっぴり異色のBLファンタジー。もちろん異国の王子様との恋愛にも注目です。ぜひこの機会にお手にとってくださいね♪

【試し読み】

「大丈夫か?」
 聞き覚えのない、落ち着いた男性の声。
 この人は誰なのか、ここがどこなのか、聞きたいことはたくさんあったが、喉が渇いてなかなか声が出てこない。
 リーファが口をパクパク動かしていると、身体を反転させられた。
 その時ようやく男性の顔が見えた。
 いや、見えたと言っていいのかわからない。
 男性は、頭と顔に白い布を巻きつけており、目元しか露出していなかったのだ。
 深い新月の夜空の色をした黒い瞳。布からわずかに見える肌は、船乗りよりも浅黒く陽に焼けている。
 顔の判別はつかなかったが、声や身体つきから、おそらくリーファより年嵩であることが窺えた。
 男性は羽織っていたマントをめくり、腰に下げている筒を外し、それをリーファの口元に押しつけてきた。
「水だ。飲めるか?」
「み……ず……」
 細長い容器を傾けられ、温い水が口内に流し込まれる。リーファは反射的にそれを飲み下そうとしたが、上手く飲めずに咳き込んだ。
「うっ、げほっ」
「ゆっくり飲むんだ」
「んっ、んくっ」
 今度はむせないように、慎重に飲み下していく。
 身体が欲するまま容器の中の水を全て飲み干し、ようやく口を離す。
「っ、はぁ……」
 わき水のように冷たくはないが、渇いた身体を潤すには十分だった。おかげでぼんやりしていた頭もはっきりしてきた。
「起きられるか?」
 男性の腕が背中にかかり、上体を起こされる。クラリと目眩がして、目元を押さえた。
「まだ動けないか?」
「そうみたいです……」
 リーファが俯いたまま答えると、男性がもう片方の腕を膝裏に差し込んだ。そのまま立ち上がり、リーファを抱き上げる。
 いくら動けないからといっても、抱えられるのは恥ずかしい。
 降ろしてもらおうと身じろぎすると、男性に窘められた。
「じっとしていろ。ここは日陰もなく暑い。身体を休ませられる場所まで連れていくだけだ」
「で、でも、そこまで抱えていくのは大変でしょう?」
「子供一人抱えるくらい、平気だ」
「子供って……」
 小柄かもしれないが、子供というほど幼くはない。
 そう反論しようとして、リーファはあることに気づいた。
 着ていた衣服がずいぶんと大きくなっていたのだ。服の袖や裾が長すぎて、手足が埋もれてしまっている。
 この衣装に袖を通した時はぴったりだったはずなのに、それが今や身体が埋もれんばかりに巨大化していた。
 リーファは混乱しつつ袖を手操る。そして現れた自分の手のひらを見て愕然とした。
 ――小さい……。
 小さな手、ふくふくとした指、細い腕。
 これではまるで子供の手だ。
 信じられない気持ちで反対側の袖もまくるが、やはりそこには子供の手が生えていた。
 ――まさか……。
 リーファは震える両手で顔を触る。
 ペタペタと顔中撫で回しわかったのは、顔も小さくなっているということ。
 つまり、服が大きくなったのではなく、リーファが小さくなっていたのだ。
「うそ……」
 リーファは呆然と呟いた。
 わけがわからない。
 いったい、どうしてこんな身体になってしまったのだろう。
 最後に覚えているのは、船から投げ出されたこと。いや、その前に身体に変調を来した。
 原因はわからないが、身体が焼かれるような熱さと息苦しさを感じ、海に落ちて気を失った。
 なぜこんなことになってしまったのか。
 やはり、船を嵐から守る際に力を使いすぎたからだろうか。
 だが、精霊の力を使いすぎると身体が小さくなるなんて聞いたことがない。
 けれど事実として、リーファの身体は子供の大きさになってしまっている。
 ――そうだ、シャディなら理由を知っているかも……。
「シャディ、シャディどこ!?」
 周囲を見回してもシャディの姿はない。
 まさか、船から落ちた時に別々に流されてしまったのだろうか。
「シャディっ」
「どうした? 誰か探しているのか?」
 顔色を変えてシャディを探すリーファに、男性が声をかけてきた。
「あの、僕の傍に……」
 藁にもすがる思いでシャディの行方を知らないか聞こうとしたが、寸前で思いとどまる。
 ――精霊のことは、無闇に人に言ってはいけないんだった……。
 それに、そもそも精霊使い以外に精霊の姿は見えないのだから、彼に聞いてもシャディの行方を知っているはずがなかった。
 ――どうしよう……。シャディ、どこに行っちゃったんだろ……。
 生まれた時から一緒にいたシャディ。彼女が傍にいないというだけで、かつて感じたことがないほどの心細さがこみ上げてくる。
「シャディ……」
 もう一度彼女の名を呟くと、下の方から甲高い動物の鳴き声が聞こえてきた。
 男性が歩みを止め、先ほどリーファの頬を舐めた小動物を目線で示す。
「シャディとは、このスナギツネのことか?」
 この小動物は、スナギツネという名前らしい。
 てっきり男性が飼っているのかと思っていたが、彼の口振りからして違うようだった。
「この子は、シャディじゃ……」
 ありません、と続けようとして、先を遮るようにスナギツネがまた鳴いた。
 男性の足に前脚をかけ後ろ脚で立ち上がって、リーファをじっと見つめている。
 そんなはずはない、と思いつつも、黒々とした瞳から目が離せず、彼女の名前を口にする。
「シャディ、君なの?」
「キャンッ」
 するとまたもスナギツネが鳴き声を上げ、リーファはこの小動物がシャディなのだと悟った。
「シャディ……っ」
 リーファは男性の腕の中から抜け出し、スナギツネを抱きしめる。
 なぜシャディまでこんな姿に変わってしまったのか。
 全く状況が把握出来なかったが、このフワフワの被毛に包まれた小動物からは、確かにシャディと同じ気配を感じる。
 姿形など、問題ではない。
 子供の姿になってもリーファだとシャディが気づいたように、リーファにもシャディがわかる。自分の半身とも言える存在を、間違えるはずがなかった。
 リーファはしっかりとその身体を抱きしめる。豊かな尻尾が喜びを表すかのように、ゆったりと揺れた。
「よかった、シャディが一緒で」
 ギュウッと抱きしめると、苦しかったのか腕の中でシャディが抗議するように低く唸る。慌てて拘束を緩めたら、頬をペロリと舐められた。くすぐったさに首を竦めると、その光景を見ていた男性が教えてくれた。
「そのスナギツネが、砂浜で倒れているお前のところまで案内してくれたんだ。主人想いだな」
 ――そうだったんだ……。
 シャディが助けを呼びにいってくれたんだ。
 周囲に他に人は見あたらないし、あのままだったら自力で動くことも出来ず、通りかかった人に発見されるのももっと遅くなっていたかもしれない。
 シャディのおかげで助かったのだ。
「シャディ、本当にありがとう……!」
 心からの感謝を込めて、柔らかな被毛に顔を埋め頬ずりする。
「そこまで歩けるか?」
 男性が示した先の朽ちた流木には、一頭の動物が繋がれていた。
 目覚めた時よりは身体に力が戻ってきている。少しなら歩けそうだ。
 リーファは立ち上がり、裾をたくし上げて男性の後ろを歩く。
 こうして後ろをついて歩くと、男性がずいぶん長身だということがわかった。リーファの身体が子供程度に縮んだからそう感じるのだろうか。今のリーファは男性の腹の辺りくらいの身長しかない。
 それだけ差があるので、体格に比例して足が短いリーファは、男性の後をついていくのも一苦労だった。


月森あき 好評既刊
天上の獅子神と契約の花嫁』ill.小禄
獣人騎士と幸福の稀人』ill.絵歩

 

小説『砂漠の王は精霊使いに悠久の愛を誓う

 

特典情報

 

コミコミスタジオ限定:書き下ろし小冊子
電子限定:書き下ろしSS
詳しくは幻冬舎コミックスホームページ

 

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(C)月森あき・小禄/幻冬舎コミックス

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