強風吹き荒れる春になり始めの頃、ちるちるユーザー4名によるBL座談会が行われた。
場所は電脳スペース、誰一人として相手の顔はわからない、声を聞けないエア座談会。しかし、なぜか話は盛り上がり、そして奇跡のように噛み合っていく…。
BLパワー恐るべし!
熱烈BLユーザーの萌語り、総文字数2万字に迫る「2012年度BL界をぶった切る大座談会」をお腹いっぱい頂いて下さい。
__モコ__さん
2012年5月末、突如BL好きになった若葉マーク初心者。だが恐るべき、それ以来情熱でレビューを積み重ねる!
東雲月虹さん
コミック、小説、CD全般をこよなく愛する熱いBLレビューアー。攻めでも受けでもオヤジが良い。ケンカップル万歳! が心情。
御影さん
かわいい絵や甘いお話が一番癒やされる乙女な腐男子。腐女子以上に甘くて切ないものが好きです。
イサヲさん
ちるちる最初期からのベテランレビューアー。王道からははぐれた作品を好む。イラストのサムネイルは自作。
■2012年BLコミックを斬る:『空と原』『イベリコ豚』 / ほのぼのじゃない雲田はるこ /
語り尽くせぬ日高ショーコ作品 / 初々しい『成長痛』『スロースターター』 / 『キャッスルマンゴー』完結
■2012年BL小説を斬る!:小説『erotica』『ステノグラフィカ』『甘い水2』 / 凪良ゆうの驚きの展開 / 話題集めた文庫版『箱の中』 / 初めて読む木原音瀬作品 / 『お菓子の家』『愛とは言えない 4』
■2012年BLCDを斬る!:CD『憂鬱な朝 3』『≠(ノットイコール)』 / CD『リンゴに蜂蜜』『嘘みたいな話ですが』 / CD『散る散る、満ちる』『イベリコ豚と恋と椿。』『空と原』
■2012年の注目作家と作品:個人的にツボった作品はコレ / やっぱり『宇田川町で待っててよ。』 / 池玲文はすごい! / 一押しの作家はこの人! / 一押しの声優は?
■2013年のBLに求められるもの:この作家さんがこんな作品描くの!? / 大長編BL読みたい / ハッピーエンドではない作品を読んでみたい!?
『空と原』『イベリコ豚』
編集部
さてランキングが発表されましたが、人気作はだいたい読まれていますか?
__モコ__さん
はい、それもたった一度読むだけでは満足出来ません、というのが率直な感想です。
私は2012年の6月くらいから急激にBL本を読み始め、その殆どが漫画なので小説等にまで当て嵌まるかは分からないのですが、手に取った2012年の作品だけで考えると、読み終えてから余韻に浸り呆けるような、いい意味で一度読んだだけでは満足感を得難く「もう一度」と再度表紙を捲るような、そんな雰囲気の作品が多かったのかな、と。
東雲月虹さん
確かに一読で終われない作品多かったですよね!!
そしてBLアワードに向けてクローゼットから引っ張り出し、投票する為のはずがしっかり読み返して時間を忘れてしまった。本当に何度読んでもまたきゅん! としたり、ああ、こういう意味があったんだなと理解できたりなので、時間がいくらあっても足りませんよねー!
御影さん
同感です! 本当に時間がいくらあっても足りないですよね!
__モコ__さん
勿論今までもそんな作品は多かったのでしょうけど、徐々にラストに向かっていることを匂わせているような『憂鬱な朝 4』、女装男子と同級生を描いた『宇田川町で待っててよ。』は特にそういう存在になりました。
大好きな中村明日美子さんの『空と原』も、ハラセンは大人なのに可愛いとか、ソラノは子供なのに大人びているとか、そういう掛け合いと共に二人の傷付いた心がゆっくりと癒されていく温かさも読んで居て心地よかったです。
そういう作品は何度読んでも飽きないし、何度も読むから新たな発見もあるので、私の中での中毒性は物凄く高いです。
御影さん
ハラセンとソラノが最後に海岸を歩いているシーンは情緒がありました。CPの掛け合いは私も大好きです。
イサヲさん
2012年は大人ものよりも、高校生ものが私の中でベストを締めていました。
その中でもダントツ一位は『イベリコ豚と恋と椿。』
ギャグだけではなく、甘みも苦味もブレンドされていて絶妙で、今現在実在しているような高校生らしさと、「んなバカな」と笑える破天荒さ。
BL漫画ならではのフィクションとエロスとファンタジーが充分に生かされていて、最強の作品だと思います。
ほのぼのじゃない雲田はるこ
東雲月虹さん
『イベリコ豚と恋と椿。』、かなりSHOOWAさん色全開で楽しめましたよね!
私は雲田はるこさんの『新宿ラッキーホール』。こちらの作品は色んな意味で衝撃的でした。雲田さんはほのぼのーとしている作風だと先入観がありましたので…。それが、ヤクザ絡みとか、メインカプが違うお相手をしてたり!
もっと昔の私なら「駄目! 愛し合っている二人がお互い以外の男となんて!!」でしたが、年を重ねたせいか、それだけが愛じゃないんだとわかるようになりました。
状況が複雑でも、関係が曖昧だとしても、想いはいたってシンプル。お金をからませつつの実質プロポーズ、素敵でした!
あとはなんと言ってもリバ!!! 自分が気持ち良い事を相手にしてあげられるのってやはり愛だと思うのです。枠にはまりきった間柄じゃなくても、そこには充分、唯一無二の二人がいました!
__モコ__さん
『新宿ラッキーホール』が雲田さん作品初読みだったのですが、懐かしい空気を帯びる絵柄に対してのストーリーとのギャップを感じてまず驚いたのを覚えています。
多分、苦味とサクマさんのリバを見て、私はオヤジ受萌えが発覚した気がします(笑)
逆に、『新宿ラッキーホール』を読んだ後に他作品を読んだので、そちらのギャップにも驚きました。
東雲月虹さん
そして『彼のバラ色の人生』秀良子さん。
レビューで2012年上半期暫定1位!! とのたまってしまった後、次々と素晴らしいBL作品が世に出ましたが、やはり当時の自分の気持ちに揺るぎは無かった。夏樹のおネガっぷり、コマノのマイペースぶり。想われる幸せが怖くて、ノンケでチャラいコマノを信じきれない夏樹がいとおしかったです。
モノローグが多めなところと少なめなところがあって、夏樹の戸惑いや葛藤がすごく伝わりました。私は『宇田川町で待っててよ。』より好きなのです。コマノがスケベでストレートに想いをぶつけてくれる人で本当に良かった(泣)
語り尽くせぬ日高ショーコ作品
東雲月虹さん
あと日高ショーコ先生の作品が『初恋のあとさき』と『憂鬱な朝 4』とで迷いました…。あちらはあちらで自らの人生をなげうってまでも想い合う壮大なストーリーですから。
ただ、私がバカなせいで全部が全部理解しきれないのです…。自業自得か…。綺麗な絵ってだけじゃなくて、きっちり胸きゅんとぐわーーー!! をもれなくいただける!!
捻くれた想いの原点、初恋の相手。十年経っても「今までの何もかもを一瞬で変えてしまえる“誰か”」だなんてもう現れない。いくら傷付いても傷付けても、たった一人だけ…。
そんな相手とのリバ!!! 「もう どっちがどっちかわからなくなって 溶けて泥みたいになって」…このうえないじゃないですか! おまけに榊×岡田も読めるし! 最中につい声がデカくなってしまう岡田、可愛い…。
多少お年をめされた感じがまたリアルな気がしました♪ 個人的に、ものすごく贅沢な1冊だと思ってます!!
御影さん
日高ショーコ先生の『初恋のあとさき』について、言葉にできないと思ってしまうの、分かります! タイトル勝ちという気もしますが、内容もタイトルに沿ってるから外さないです。私にとって、『初恋のあとさき』は。そこで繰り広げられる人間関係が分かりづらいと思い、もっと日高作品を読まなくては…。と実感した一冊となりました。
__モコ__さん
あの岡田は可愛すぎました! あの二人こそTHE・大人の恋愛の空気感(笑)
日高ショーコさん大好きですが、あまり『初恋のあとさき』に萌えることが出来なかった私。けれど、最後の最後でのリバで一気に盛り返しました。リバはいい! おいしい!(笑)
御影さん
『憂鬱な朝 4』では、言葉にできないことを絵(コマ)で魅せてくれている気がして、お気に入り作品になりました。
『憂鬱な朝 4』は、一番のツボだったように思います。BLに萌えを求めていて、それが当然だと思っていた自分ですが、じっくりとした恋愛を初めて知った作品です。
東雲月虹さん
あんなに時代背景を掘り下げていらっしゃって脱帽です。だからこその愛、最後まで見守りたいですね!! なんだかもう終わって欲しくない程ですけれども。
暁人の下宿に赴いた桂木が、暁人の成長した姿を見て、偽りのない想いを告げられ、混乱し、戸惑いながらも自ら抱き寄せてしまう。自分でも何故そうしたのかわからないといった表情がとても印象的でした。勿論その後の甘くて泣ける交わりも、ラスト、暁人の荒れた手に口づけし、告白する桂木にも鳥肌が立ちました! 暁人泣いちゃうし…(涙)
初々しい『成長痛』『スロースターター』
御影さん
2012年度のランキング上位を見たとき、正直「王道」をいっていると思いました。『キャッスルマンゴー 2』と『憂鬱な朝 4』は必ず入ると思っていたし、『飴色パラドックス 2』は「もしかして」、と思ってました。
人それぞれの好みはあるにしても、一度は手にしたことのある作品、あるいは一度はその作家さんのお話を読んだことがあるのではないかと思いました。意外だったのは、『スロースターター』の市川けい先生のような新しい方も入っていて嬉しかったです。
さて、梶ヶ谷ミチル先生の『成長痛』市川けい先生の『スロースターター』が個人的なツボでした。この作品から分かるように、どこかほっとできるような作品が好きです。
特に、『成長痛』も『スロースターター』もエロシーンが少ないか無い中で、(体ではなくて)気持ちの上で「好き」を表現してくれて、初心者同士の恋愛、学生同士の初々しさが好きな人にはおいしかったのでは?(笑)
__モコ__さん
梶ヶ谷さんの『成長痛』。一度読んだ時、正直言うときゅんも萌えも面白さも何も感じなくて、どうしたらいいんだろうと宙ぶらりんの気持ちが有り、そう言った意味で何度か読み返した経緯のある作品です。
その頃の私、きっと、エロシーンの少なさが物足りなかったのかも?(笑)
でも、時間を置いて改めて読み返すと、きゅんの嵐なわけですよ。何でこれをあの時感じなかったかなぁと思えてならなくて、自分の中の「レビューし直したい作品」のひとつに挙げております(笑)
東雲月虹さん
そういう事、私もあります(笑)
青春まっしぐら! な『成長痛』『スロースターター』でしたよね!!
ああ、こんな恋がしたい…。体を繋げていないからこその期間限定の想いといいますか。
もだもだしますね。結ばれてからの愛も美味しいですが、初々しい様子はニヤけてしまいます!
イサヲさん
この2作品は、青春ものでも王道ではないのかなと勝手に思ってたので、みなさん同じようにきゅんときてらっしゃるようで、安心しました(笑)
生まれ変わったら男子高校生になって、こんな電車通学や遠距離恋愛をやり直すんだ絶対! と心に誓ったものでした。
『キャッスルマンゴー』完結
御影さん
あと『キャッスルマンゴー 2』が無事に終わってよかったです(笑) アンソロジー『Cab VOL.2』で小椋ムク先生の連載があると知り、買ったのですが、ラブホテル、中年男性、惰性など、これまでの先生が描かれる世界とはまるで違う世界だったので、どう表現するのかが不安でもあったのです。結果、先生の画力の高さが証明されたように思いました。
東雲月虹さん
『キャッスルマンゴー』、やはり『リバーズエンド』を読んでからだと、奥行きといいますか深さが全く違いますね!
ムクさんは柔らかい作品を描かれる漫画家さんだという認識が、払拭されたコミックスでした! 木原さんの原作あっての、ですけれども。無愛想&無精髭の十亀、セクシーでしたよね。
小説『erotica』『ステノグラフィカ』『甘い水2』
編集部
小説に関してはいかがでしょうか。
東雲月虹さん
榎田尤利さんの『erotica』が2012年の私の中でダントツです!! 短編集なのに、これだけ満たされるだなんて普通はあり得ない! 特に『ストロベリー』と『10×3』が大好き。勿論『書生の戀』もです! エロティカなのにHが無くてエロスを感じさせられ、泣かせられ……。各話キャラが被ることもなく。
ちょっと苦手なシチュエーションかも…と思う内容でも最後まで満足させていただきました。
__モコ__さん
『erotica』は中村明日美子さんの表紙でしたよね? 発売された当初とても欲しくて欲しくて、迷った末に何故か買わなかったんです…。東雲さんの2012年ダントツ、絶対買います!
そういうあからさまな絡みがないのにエロスを思わせるなんて最高の賛辞。今すぐでも読みたい気分です(笑)
東雲月虹さん
ありがとうございます!! 是非!(笑)
そして『ステノグラフィカ』一穂ミチさん。
大好きで、ミチさん節に傾倒している私です。ミチさんの作品は、どのキャラも人間愛があります。多少口が悪かろうが。私は敬語受けより敬語攻めが好きだしオヤジ受けが好みなんですが、そんな事はどうでもいい! と言わんばかりに今作も外さない。
速記者だなんて職業もかなり新鮮でした。もう、エピソードの無駄が何一つとなくて小さな誤解を訂正する間も無く後々まで引きずる事になってしまいお互い苦しいすれ違いとか…悶えずにいられません。青石ももこさんのイラストも素朴ながら好き!
御影さん
一穂先生、かわい先生のお名前を聞かない日はないという位に大人気ですね。私はあまり著作を読んでいないので、もっと読んでいたら印象がかわっただろうなー。
東雲月虹さん
ありがとうございます! お好みもあるかとは思いますが読んでいただきたいです。
さらに『甘い水 2』かわい有美子さん。
命懸けの男同士って、どうしてこんなに素晴らしいんでしょう!
刹那主義で食欲と性欲には貪欲な遠藤が半月だけ年下の神宮寺にゆっくり丁寧に愛される…。しかもお互い、自分の最期を委ねてもいいくらいだなんて! 北上れんさんのイラストがまた、たまらん相乗効果!
御影さん
『甘い水』を読んでみたくなりました。レビューから萌えのお裾分けにつながることもあるので、こういうお話は重要ですね。
イサヲさん
『甘い水』良いですよね。かわいさんの作品の中ではちょっと異質と思える警察シリーズですが、私は他のかわい作品よりむしろ好きなので、まだまだ続編お願いしたいです。
凪良ゆうの驚きの展開
__モコ__さん
読んだ小説の数はまだまだ少ないのですが、その中でも私は『まばたきを三回』がとても印象的です。あまりにファンタジー過ぎるものや突拍子もないもの、場面転換が多いものはついていけない事が多いのですが、こちらはそういう要素が強くあるのに、予想出来ない展開に引き込まれました。
御影さん
『まばたきを三回』について、確かに場面展開に驚きがありました。そして、予想できないきっかけがおもしろかったというのも一緒です。
『まばたきを三回』では、一言だと、一佳と令の結びつきの強さに驚かされるばかりでした。私は読者の立場から、何だか申し訳ないほど二人の間に入れなくて、そっと成り行きを観察するような形で読んでいたのですが、いい意味で二人の間に入れる人はいたのでしょうか?
生と死、時間軸の往来、この世とあの世…。いろいろな「仕掛け」がすごくおもしろかったです。
どんな形でも良いから令に会いたいという一佳の気持ち、冒頭の「腐ったケーキ」からの回想情景の描き方は萌えました。安心して読んでいられるような文書作法も好印象でした。「また令と出会いたい。」「どんな形、姿だって良いから。」といって落ちていくシーンが萌です。
東雲月虹さん
あああ、わかりますー! 『まばたきを三回』、ファンタジーはあまり得意じゃない方なんですが、ここまで強く惹かれあう二人を誰が引き裂けるのか!! って、胸が熱くなりました! 凪良さんて読ませて下さる作家さんですよね…。
話題集めた文庫版『箱の中』
__モコ__さん
木原音瀬さんの『箱の中』が文庫版もとても話題になりましたね。『美しいこと』の文庫版も発売決定とか。実は木原さんの『箱の中』 『檻の外』はあまりに評価が高いので興味が湧き持ってはいるのですが、未だ読まず積まれたままです。
文庫版を読まれた方のレビューを拝見すると、意外に賛否両論なのかな? という印象を受け、感じ方の違いにとても興味が湧きました。
イサヲさん
わあ、もったいない!『箱の中』『檻の外』是非お読みになるといいのに…。でも、評価が高すぎて読まないでいるというのもわかる気がします。そういえば私もなかなか読めずに積んでましたが、読後はあまりの良さに他の作品がしばらく読めずに後悔したことを思い出しました。こんなこと言っちゃうと、ますます読めなくなりますよね(笑)、すみません。
御影さん
BL小説は、BLレーベルを扱う出版社から出ているのが当たり前だった時代。それが一般レーベルで出版されるということは、BLを知らない人にも手に取られる機会が増えるのでしょうか?カ バーとかBL漫画家の先生方が手がけられることが当たり前でしたが、一般小説になったら、カバー、挿絵等はどうなるのでしょうか? BLを知らない方も受け入れてもらえるような配慮などもありがたいかも!
イサヲさん
昨年出版の小説はさほど読んでいませんが、『渇仰』以外は読んでいてちょっとホッとしています。
この中では『お菓子の家~un petit nid~』が印象深いかなあ。凪良さんの作品は、明るめの作品でも、読んだあとに心に小さく引っかき傷が残るようなお話が多い気がします…。
この作品は重苦しい部分もあったけど、読後にほっこりあたたかい気持ちにさせれ、読めてよかったと思える秀作でした。
初めて読む木原音瀬作品
御影さん
ランキングの中では、『まばたきを三回』『リバーズエンド』『お菓子の家~un petit nid~』『愛とは言えない 4』しか読んでおりません。『リバーズエンド』は私が初めて木原作品に触れた作品でした。なぜ十亀が海に白い花を手向けたか、実は十亀に弟がいたんだなどという、『キャッスルマンゴー』のところどころに出てくる「回想」がとても気になったのです。
初めて読んで驚いたのですが、十亀の過去が色々ありすぎて…。貧乏、差別、ホームレス…。そして家族との別れ方。何もここまで彼に背負わせなくてもとおろおろしながら読みました。「今日は贅沢しちゃった」という小春に何事かと思えば、肉まんを買ったというではないですか。その上、その贅沢がこの世の最後というのも、不幸ばっかりで、このお話のどこに「BL」や「萌え」を見いだせるのか正直理解できなかったのです。
余談ですが、お骨を川に流すシーンで、お金がなかったから流した、リバーズエンド(映画)の影響で流した、一人で逃げなくてはいけなかった、やりきれなくて流した、などいろいろな鑑賞ができるのかも。
そして、一番今年のお気に入りのシーンは、大人になった二宮が十亀に言った「しあわせに、なれ」「俺は幸せなんだよ。そっくりそのままお前に返してやる。」でした。物語の中で、十亀の昔を知っている人がどれだけいるのかは分かりませんが、この言葉に胸を打たれました。
__モコ__さん
私は御影さんとは逆に、昔ほど一般小説を読まずに何年も過ごして居たので、自身初となるBL小説が割とライトで読みやすく、「もっと他のも読みたい」という気持ちを加速させました。
そういう気持ちがあってか、木原音瀬さんの人気を見て、この作家さんには軽々しく手を出しちゃいけないと思っていた矢先に読んだ『リバーズエンド』。
正直、自分の中での期待値が勝手に高まっていたせいか、軽々しく云々と思っていたくせに、もっとドス黒く痛く心をずたずたにされても良かったな、というのが第一印象でした(苦笑) 痛いものが好きな訳じゃ全くないんですが…そういうイメージを勝手に抱いた結果ですね。
東雲月虹さん
私が『リバーズエンド』で好きなシーンは、ラストにさしかかる時、万に「僕には十亀さんだけです」と言い切られるも「そんなこと言われてその気になって、捨てられたら惨めの極みだな」と発してしまう十亀。
“知っているのだ。どんなに大切なものも、唯一だと思ったものも、簡単になくしてしまえることを。十代のあの日に、嫌というほど思い知らされた”
十亀の壮絶過去が衝撃的で、どん底を味わったものにしかわからない、信じたいけれど失うのが怖い想いがひしひしと伝わってきました。きっと万は十亀を幸せにしてくれるでしょう! いえ、二人で幸せになるんだと信じています!!
『お菓子の家』『愛とは言えない 4』
御影さん
『お菓子の家~un petit nid~』はすごく残酷なセンテンスから始まるので、手にして正直失敗したと思いました。阿木は加瀬をあっさりと雇ってしまうし、加えて恋愛、気持ちの通い合いについて、その鱗片を見つけることが難しかったです。
加瀬は人を殴ること、何かを滅茶滅茶に壊してしまうことを恐れていること、クロワッサンがいじめられるシーンなど、暗い場面が多かったので、読んでいて少し辛かったな。しかし、情景や気持ちを登場人物の背景に沿って、分かりやすく書いているところは好印象です。
『愛とは言えない 4』は、読んでいくうちに「既読感」を感じぜずにはいられませんでした。英と淳平、橘高とサガンというCP。ボタンの掛け違え、そこからの巻き返し…。コミックのコマを活字化したらこうなるのかな? という気持ちでした。
東雲月虹さん
確かに橘高、以前は俺様でしたもんね…。でも、決して思い通りにならなかったサガンを愛して彼も変わったのかと… (笑)
『愛とは言えない4』で私の好きなシーンは、仙台駅に駆けつけ、すれ違う可能性が高い中、やっと会えた橘高とサガン。
思わずしがみつくように抱きしめた時、橘高が思った、
「いい歳してなにやってんだ、とも思わなかった。むしろいい歳だから焦るのだ。永遠なんてないとわかっているから、いまこの人を抱きしめたいと思う」
アダルトチームならではの、遠回りして手に入れた愛、感動しました!
御影さん
さらに白状すると、小説を読み始めたのは去年からなので、語れるほど読んでいないのです。初めて読んだ作品は、これまで親しんだ一般小説とは作法や構成が違う気がして避けていたような気がします。(一般小説に比べて、BL小説は場面展開や心情変化が早かったりなど、物足りない気がして、慣れないうちは読んでいるのが辛いこともありました。)
それでも、再びBL小説を手にするきっかけが『座布団』と『花扇』だったのです。カバーの、どこか遠くを見る要が手にするきっかけでした。
初出が2001年ということですから、古いといえば古いのですが、今読み返しても何の遜色もありません。一般小説と遜色ない文書作法、しっかりしたストーリー構成という土台がしっかりしている上に、様々な「萌え」が入っているのは完璧です。一般小説を読み慣れている人なら、違和感を感じることなく読めると思います。
CD『憂鬱な朝 3』『≠(ノットイコール)』
__モコ__さん
ドラマCDでは、『憂鬱な朝 3』が丸々コミックス4巻とリンクしているのですが、最高に良かったです。
レビューでも書かせて頂いたのですが、元々は桂木役の平川大輔さん目当てで購入したものの、聴いていると暁人役の羽多野渉さんの演技に全部気持ちが持って行かれました。コミックス4巻は暁人の成長が目覚ましいシーンが多かったので、それが立体的になって耳に届く喜びが半端じゃなかった(笑)
脇をかためる声優さんの演技もリアリティがあり、音楽も雰囲気を決して損なわない素晴らしい1枚かな、と。
又、池玲文さん原作の『≠(ノットイコール)』。これも良かった!
原作のコミックス1巻にあたるドラマCDですが、タイムスリップする、というファンタジーをどう表現するのかな、とか、37歳から14歳に切り替わる果役の野島裕史さんはどういう感じなのかな、とか、とにかく興味が大きかった1枚です。
御影さん
『≠(ノットイコール)』は原作未読ですので、内容には触れられませんが、37歳から14歳へ同じ野島さんが演じているとしたら、これは是非聴いてみたいです! 14歳くらいの時だと、体も心も難しいときだと思うので、余計どう演じられているのか興味が出てきました!
CD『リンゴに蜂蜜』『嘘みたいな話ですが』
__モコ__さん
でもドラマCDだと、『リンゴに蜂蜜』がマイベスト。日野聡さん演じる夏樹の繊細さが、もうスピーカーいっぱいから伝わって来る!
こちらの原作『リンゴに蜂蜜』、正直言うとそこまで面白みを感じなかったのですが、続編の『彼のバラ色の人生』を読んで急激に盛り返しまして。
このドラマCDには、『リンゴに蜂蜜』『彼のバラ色の人生』2作分が入っていると知ったのですぐ聴きましたが、タイミング的なものもあったとは思いますが、もう夏樹もコマノも、日野聡さんと前野智昭さんによって物凄く新鮮に感じたんです。
自分のマイノリティやコマノの未来を考えてぐるぐる考え込む夏樹と、とにかく夏樹が好きで好きでどこででも突っ込みたいと考える前向き? コマノの雰囲気が全く壊されず、むしろ原作を読むとお二方の声で夏樹もコマノも喋り出す位、大好きな1枚。
秀良子さんの世界観を1mmたりとも崩さず表現されていると思います。
東雲月虹さん
『リンゴに蜂蜜』私、原作を好き過ぎてしまって…。
いえ、主演お二人の演技もお声も良かったんですけれども。私は『嘘みたいな話ですが』がよかったです。
腰乃さんのエロエロを音声で楽しめるって幸せです! エロいシーンが多いのに、コミカルなBGMで軽く聴けるのが良いのかもしれません。リピ率も高めです。
なんと言っても受を演じる声優の野島裕史さん! 喘いだり叫んだり激怒したり企んだり妙なところで漢気があって潔い! 色んな際どいセリフを連発する野島さんを楽しめるCDかと。きっと、かなり全力で望まれたんじゃないでしょうか。
そして、暴走する攻の中村をこれまた全力で演じたであろう興津和幸さん、種付け宣言、大変満足しました。
__モコ__さん
私も『嘘みたいな話ですが』、めちゃくちゃ楽しめました!
興津さんの壊れっぷりは笑えるわ、野島さんの感情の起伏が激しくて笑えるわで、すぐに神評価決定!何度でも聴きたくなる気持ち分かりますし、実は苦手だった腰乃さん作品ですが、今揃えようかと目論見中なんです(笑)
本当に野島裕史さんのご活躍は素晴らしいですねー。私も、東雲さんの足元にも及ばない数ではありますがドラマCDを聴くと、必ずと言っていいほど野島さんがご出演されているものが多かったです。
そして…なんていうか、とにかく野島さんのお声を聴くとメロメロになる自分がいるという(笑)
CD『散る散る、満ちる』『イベリコ豚と恋と椿。』『空と原』
東雲月虹さん
いえいえ! 私もそんなには聴けていませんよ!
野島さんにメロメロ…なりますよね(笑)
そして凪良ゆうさんの小説が原作の『散る散る、満ちる』。原作もすれ違い&勘違いで、きゅーーんだったのですが、攻の里見がちょっと許せなくてですね。ところがCDだと羽多野渉さんの好演で「…仕方ないな」くらいになってしまうのです!
さすがKING OF 年下攻め! 勝手に決めてますが…。受の如月を演じる野島裕史さんが結構モノローグもずっと喋っていたし、私のような野島さんファンには楽しめると思います。
如月主任、人がよすぎてもだもだしました…。しかもやたらと色っぽい。最高!
すれ違う様はきゅうきゅうするし、切なさ満載で、プロデューサーも『嘘みたいな話ですが』と同じ阿部信行さんだし安心して聴けました!! 二枚組って、やはりじっくり楽しめます。
御影さん
私は、これまで原作が好きだからCDを聞くという姿勢をとっていたのですが、原作とCDで印象が違ったりすると結構がっかりしたものです。原作はすでに絵や文字でイメージが固まってしまっているので、音声化したときのハードルは、高いと思うのです。それでも原作ではあまり良い印象を持っていない場合で、音声化したら「許せてしまった」というのが、声優さんの魅力なのかなと改めて思いました。
東雲月虹さん
最後に『イベリコ豚と恋と椿。』も。
不思議な原作をCD化って凄いチャレンジャーだなと思いました。その点、どうしても原作未読な方だと分かりづらい箇所もあるでしょうが、淡々とした野島裕史さん、しかも演じたのが攻め。好青年でまっすぐな間島淳司さん、キャスト買いでも損はしないんじゃないかと。
前野智昭さんも、羽多野渉さん同様年下攻めカテゴリです(勝手に) 渋めの源路に前野さんはどうなんだろう!? という懸念もなんのその、低いトーンが合っていました。
「源路…なんだかかなしくなる」が可愛い。小野友樹さんの吉宗、色っぽい……っ! どことなく野島さんみたいかもって思いましたが、好きな感じ。
__モコ__さん
印象的なシーンを切り取るとしたら、ドラマCD『空と原』のワンシーン。しかもハラセンとソラノのやり取りではなく、ハラセンの高校時代の思い人・有坂先生と、彼の元教え子で恋仲である佐野響との場面です。
響の家族を巻き込んでの本当に悲痛な叫びばかりのシーンでしたが、原作を超える程の切なさが込み上げました。
両親を振り払ってでも有坂先生と繋がっていたい響。そんな彼を小野友樹さんが、そして、自分の気持ちを押し殺してでも響と離れる事を選ぼうとする有坂先生役の飛田展男さんが熱演されています。
飛田さん演じる有坂先生が泣いて彼の親に謝り、全てを手放す事を誓う。それを見て、自分の思いを泣き叫び伝える小野さん演じる響。そして、響の母親の泣き崩れる声。
原作も勿論切ないシーンでしたが、原作を超えるんじゃないかと思える程身震いしました。
東雲月虹さん
私は聴いていない作品が沢山あるんですけれども、小野友樹さん急上昇かもしれませんね。飛田さんもかなり要チェキな気がします。
飛田さんはわりと声色も変えられるし様々な演じ分けも出来て実力派声優さんだと思います。あと、実は最近『同級生』『卒業生』を聴いたので
やはり『空と原』も必聴ですね!!メインカプじゃなく、そちらに注目(注耳?) なさって作品をじっくり楽しんでいらっしゃるなぁと思いました!
原作を超えるかも、なんてかなり制作側の方々は嬉しいんじゃないかと!
個人的にツボった作品はコレ
編集部
ランキングを離れまして、個人的なツボ作品はありましたでしょうか?
御影さん
正直とても難しい質問です。(苦笑)実は私の「萌え」はあまり一般受けしないところにあるようで、話題作自体手にすることが非常に少ないです。
コミックなら、『若葉の-少年期-』、『溺愛イトコン!』、『恋と帰ろう』、『成長痛』、『みひつのこい』小説なら、『純潔契約』、『お菓子の家』『まばたきを三回』などを読んでおりますが、きゅんとするのはするのですが、何度も読み返したいまでは至っていないような気がします。
イサヲさん
青春もので良作が多かった2012年。市川けい先生の『スロースターター』梶ヶ谷ミチル先生の『成長痛』などが頭に浮かびましたが、びっけ先生の『先輩』これは頭ひとつ飛び出ていたように思えます。
等身大の高校生の恋愛と思えるような初々しく切ない物語に、腐りきった心が洗われました。
鎌倉の美しい風景が、丁寧で瑞々しく繊細なストーリーを引き立てていて、今すぐ鎌倉に行きたい! と尻がうずうずしました。
『先輩』というタイトルの奥深さを噛み締めながら読んだ、厚みのある忘れがたい一冊です。
東雲虹月さん
『先輩』、未読ですが読みたくなりました! 読んだらきっと私も鎌倉に行きたくなってしまうかも(笑)
ツボ作品は『双子の獣たち』中原一也さん。ガチ兄弟が不得意な私でしたがようやく遅咲き致しまして。さらに3Pって!
どれだけ受けが攻め二人に愛されているかが重要ポイントの中、双子にも関わらず全く違う性格の二人がそれぞれのアプローチで兄の誕生日を祝うとか、うっとりしてしまいました。
更に! Hでは双子の性格が逆になるようなところが激ツボ!
御影さん
そっかー。今まで駄目だったシチュエーションがなぜか好きになる時ありますよね! 私も昔は「肌色」が多い作品は駄目だったのですが、なぜそれが読めるようになったのかは未だに分からないのです。遅咲きには違いないのですが、それだけ成長したのでしょうか?(笑)
やっぱり『宇田川町で待っててよ。』
__モコ__さん
秀良子さんの『宇田川町で待っててよ。』。実は私の中で、秀良子さんは全く好みの作家さんじゃありませんでしたが、この作品によって全てが覆った感覚です。
その上この作品、どれだけ読んでも「萌え」ではない。じゃあ何かと言われれば、それこそ「私のツボ」なんだなぁと思います。何も考えずにストン、ジワッと落ち嵌る感じ。何コレ好き…! みたいな(笑)
東雲月虹さん
やはり『宇田川町で待っててよ。』強いですね!! __モコ__さんとは趣味がだいたい似ていると勝手に思っておりましたが意外なところで相違点が(笑) でも作品に対する愛がビシバシ伝わりました!!
池玲文はすごい!
__モコ__さん
マイベストは色々考えた結果、池玲文さんの『バンフォード侯爵家の執事』です! 色んな作家さんの作品を読んだ中でも、池さんのこちらはもう色んな意味で衝撃的でした。
執事・グレアムの髭は実は美貌を隠す為ですとか、眼鏡のチェーンの先を辿ると耳朶の穴を通しているですとか、そんな細かい事までが私のツボ。
色っぽいシーンも、何と言うか、外国人ならではの雰囲気があり…これはもう作品を読んで感じて欲しい気恥ずかしさが芽生えました(笑)
同時収録されている『The SHOW』も、18禁誌として大きく取り上げられた『PINK GOLD』に掲載された1作。この『The SHOW』の作りが物凄く丁寧だなと感じました。
語弊がある言い方になるかもしれませんが、池さんの他の作品よりも線一本一本の細やかさと言ったらないのです。やはり18禁誌という色んな意味でハードルが高く注目された書籍ですので、池さんの気合の入り方も違った? なんて勝手に想像しています。
耽美な世界、艶やかさ、危険でいやらしく甘い香りが漂うこのコミックスの虜になりました。
池さんで言えば、人外・江戸・SF要素が詰まった『たつのおとしご』も僅差でマイベスト候補に! 江戸なのに職業が「メカ屋」等々不思議と楽しさが詰まった作品でした。
御影さん
萌えが無いのに「ツボ」と言われる__モコ__様すごいです! 私にも同じように思ったことがあり、萌えないのですが、なぜか手放せなくなってしまった作品があります。何度も読んだのが2011年発売の『僕はすべてを知っている』でした。
評価は「萌え×2」にしていますが、今まで言葉にできなかったことを的確に言葉にしていただいた気がして、とてもすっきりしました!
一押しの作家はこの人!
編集部
作家さんで今、注目されている方はいらっしゃいますか?
御影さん
雑誌『ihr Hertz』で連載の上田規代先生『やるっきゃない!』を楽しみにしてました。主人公の男の子の髪質が柔らかいのか、頭が爆発していたシーンがとてもかわいらしかったです。昔好き嫌いが激しく、料理人のおかげで克服できたという水野と、勉強が苦手で、高校中退後、料理の道に入った男の子、松永のお話です。勉強はできるけど、料理は苦手というお坊ちゃまタイプの子と、料理は得意だけど、勉強は駄目、だから調理師免許なんて夢のまた夢という子が協力して、夢を叶えていく姿に萌ました。2話目では、そんな二人が一緒に住むようにりなり、そこで、松永は水野の意外な一面を見るようになります。ぜひまた続きを読んでみたいです。
__モコ__さん
2012年の途中からこのジャンルへ参加(笑)しているので、注目というにはおこがましいかなと思いますが、今後この方の作品が出たら買おうと思った作家さんは、羽生山へび子さんと緒川千世さんです。
2012年に発売されたコミックスで、食わず嫌いで後悔したのがへび子さんだったのですが、1ページに対する書き込み量が凄い! 紙が黒く見える!(笑) そしてギャグセンスに脱帽。何で早く読まなかったかと心底悔やみました。
緒川さんは2012年に初コミックスを出された方との事ですが、繊細な線が儚げで、痛いもの・ギャグものも描ける方なので今後も読みたい作家さんの1人です。
イサヲさん
へび子さん、最高ですよねえ! デビュー作から続くあの昭和テイストは、ほんとにクセになります。笑えて泣けて、最後にはあったかい気持ちにさせられる、BL界の山田洋次監督と崇拝しています。
東雲虹月さん
あと元ハルヒラさん凄かったですよね! 猫を飼った事が無いのでよくわからないのですが、ハルヒラさんのお描きになる日向さん(『虎穴ダイニング』攻キャラ)だけでも「…あー、可愛い…」になれます(笑)
イサヲさん
元ハルヒラさん。一年に4冊も出されたことにも驚きましたが、『虎穴ダイニング』は、なにか突き抜けていたように思えました。日向さんがなぜ虎なのか謎なのも良かったです。
ネコ科ならではの、進行先を無意識に妨げる本能の足運び…これほんとに猫はよくやるので、ちょっとたまんなかったです。
大きな日向さんが寝ぼけて喉をゴロゴロ鳴らしたり、甘咬みしたり、新しいジャンルきたなこれと思いました。
__モコ__さん
人気が有りながらも未読だった『虎穴ダイニング』を先日読んだのですが、あれは…今まで私が読んだケモミミや人外とは一味違って相当な驚きが!
同じく人気のあった左京亜也さんの『クロネコ彼氏のアソビ方』も猫科人間でしたけど、あの作品とは全く別物の魅力を感じました。
個人的には犬派だった私、近頃ネコ好きになりつつあります(笑)
東雲虹月さん
コミックスでは赤星ジェイクさん、名取いさとさん。初コミックスらしからぬ(?)貫禄と魅力にあふれていました!
小説では羽生有輝さんです。絵師さんで興味を持って読んでみたのですが内容もしっかり読ませてくれたので今後も要チェックさせいただきます!
一押しの声優は?
編集部
声優さんに関してはどうでしょうか?
__モコ__さん
ドラマCDのレーベル倒産・撤退が進んでおりますが、続き物があれば是非発売して欲しい気持ちでいっぱいです。そして、森川智之さんはBLCD離れしないで頂きたい(笑)
東雲月虹さん
森川さん! 私も大好きな声優さんですので、是非是非これからも出演していただきたいです! もしかしたら「もう若手に譲ろう」とか思っていらっしゃったり…?
__モコ__さん
譲っちゃダメです! 森川さんはBLCD生涯現役希望です(笑)
東雲月虹さん
CDは作っていらっしゃる方々等の情熱や真剣な姿勢が作品から伝わってくるものばかりなのでこのまま色んな原作をCD化していただきたいです。CDを聴いて原作も読みたくなった、という事も多々ございます。
声優さん方の個性と演技力には文句のつけようがございません! どなたの組み合わせでも様々楽しめて、原作とは違う(もしくは世界観ぴったりの)魅力を味わえて、一度BLCDにハマったら止められませんね。
__モコ__さん
私も東雲さんと同じく、BLCDの魅力に嵌りまくり…勿論現在進行形で(笑) 本当、声優さんの演技が素晴らしくて、原作以上のときめきを覚える作品もたくさんありました!
大好きな作品があると、「これ、ドラマCDにならないかな」と自然に思うようになりましたよー。
この作家さんがこんな作品描くの!?
編集部
2013年度、こんな作品が読んでみたい! という希望はありますか?
東雲月虹さん
作家さん・漫画家さん共に、大好きな方々ばかりで毎月嬉しい悲鳴をあげております。
皆様体調にはくれぐれも気を付けて、ご無理をなさらずまた次々と素晴らしい作品で楽しませて下さる事を願います。あとは、「ええ!? この方がこんな作品を!?」という今迄の逆をいったり新境地を開いてくれるとますます嬉しいかもしれません。そんな事言ったら贅沢でしょうか……。
__モコ__さん
色んな作品を読むにつれて、地雷というものが少なくなっている自分に気付く今日この頃ですが、「この作家さんがこんな作品描くの!?」という意外性のある作品が読みたいです。(難しいとは思いますが)
例えばリーマン作品が多い作家さんなら人外モノとか、ギャグ系多めの人がシリアス一本の作品とか……(漫画家さんで言うと、日高ショーコさんがケモミミ人外エロ! 一方、鹿乃しうこさんがエロシーン一切なし! とか(笑) 期待と言うより既に願望になっております)
それと、需要がないので少ないと言われているようですが、オヤジ受作品をもっともっと読みたいです。年下との年齢差の他にも、オヤジ×オヤジも絶対いい!
御影さん
日高ショーコさんがケモミミ人外エロ! 一方、鹿乃しうこさんがエロシーン一切なし!とか(笑)これはすごいですね!! 確かに、それぞれの先生にお好きな分野、お得意な設定があるのは承知しておりますが、それはそれでおもしろそう! オヤジとオヤジの恋愛。来年はきっとくるのでしょうね。
大長編BL読みたい
イサヲさん
ちょっとお友達と話していたことなんですが、BL漫画で30巻ぐらいの長編って未だないよね? と。
『G・DEFEND』がありますが、こちらははっきりとBL作品というわけではないので、あきらかにBLで、少年漫画のように2ヶ月に1冊ペースぐらいで34巻完結みたいな長編が読みたいです。あ、これは「2013年度」という質問からはズレてますね。
東雲月虹さん
確かにそういうコミックスは無いかもしれませんね。“2ヶ月に1冊ペース”なら夢のようです! 漫画家さんのご事情もあるのかもしれませんが、丸1年も次巻まで空くと、正直ツライですよね。
__モコ__さん
2ヶ月に1冊ペースって本当に理想ですよね。それでいて長編。今の状態だと、10年で16~17巻ですか……とても凄い事では有りますが、先が長すぎてちょっと(苦笑)
是非そういう作品を読みたいなぁと切実に思います。
東雲月虹さん
私はあまりマニアックではないはずなので、それほど「これ!」というのは無いのですが、出来ればリーマンオヤジ受けを数多く拝めたら嬉しいです。あ、リーマンじゃなくてもいいですし、オヤジ×オヤジは非常に読みたいです(笑) でも、人外ものも萌えの範疇になりましたので、色んな人外ものも楽しみにしています。
あと、これからまだまだ初コミックスという漫画家さんが出ていらっしゃるでしょうからなるべく読んでみたいなと思っております。
個人的には穂波ゆきねさんにコミックスを出していただきたいです! 原作ありなしに関わらず!
何かご事情でもおありかもしれませんが、好き過ぎて困るくらいなので、どうにかお願いしたいです。こちらで叫んでもどうしようもないですよね…。
御影さん
穂波先生を挙げられるのはさすがですね。いつも小説のイラストでお目にかかることが多くても、コミックは見ない方もいらっしゃいますので、新しい萌えの分野が開拓できそうですね。
__モコ__さん
2013年度も大注目は日高ショーコさんかな、というイメージが大きいです。現在連載されている『花は咲くか』もそろそろ続巻が出るようですし、『憂鬱な朝』はラストにじわりじわりと向かっているでしょうし、着地点はどうなるのかという期待感が膨らみます。
ハッピーエンドではない作品を読んでみたい!?
御影さん
今年は、雑誌にしてもコミックにしても、初心者同士の恋愛だったり、受が攻にエスコートされる恋愛が多かったように思います。こう思っているのは、自分の趣味が高じただけの私だけ?(笑) 年齢層も、個人的には、大学生CPものから、20代社会人ものまでのCPものが多かったように思います。小説は、カタギと元ヤクザという組み合わせものが多いのかな? と思っています。
2013度は、ヨネダコウ先生の描かれている、『リプライ』(コミックス『NightS』に収録)のような大人同士のじっくりした恋愛や、大人同士に多いような、芯のある恋愛が読みたいです。また、時代考証などがしっかりしている『憂鬱な朝』や、天禅桃子先生が描かれる、CP葛藤を描いたような作品にももっと挑戦してみたいです。
最後に体をひとつに重ねてハッピーエンドになる展開はもちろん好きですが、その後が読みたいといったら、それは怒られるでしょうか?(笑)
コマの間にある独特な笑いがあるもの、一緒になりたいけれど、理由があって離れてしまったという様な話も読んでみたいです。
__モコ__さん
「その後」はまだまだたくさん読みたくなりますよね。続き物だったりスピンオフだったり、オリジナル同人誌で出されるのもいいのですが、出来ればより多く商業誌として日の目を浴びせて欲しいなぁと常々思います。
本編ではハッピーエンド、なのに「その後の今」は離れ離れで連絡すら取ってない二人…等々、考えただけで切なくてきゅんと来ちゃいそう(苦笑)
御影さん
これは考えただけで切ない!!
東雲月虹さん
大人同士だからこその葛藤や迷い、大好物でございます! そして、ハッピーエンドではない作品を読んでみたい、と…。切なすぎて苦しくなりそうですが、お伽噺のように「めでたしめでたし」とはいかないでしょうね…。
ツライ別れですら、BLのお話にあっても良いかもしれませんね。…でも、やっぱり幸せそうなカップルを読みたいです。せめてBLの中にだけは永遠の愛を信じたいのです。だってリアルではそうそう無いですよね?(笑)
__モコ__さん
その上で、2012年の『PINK GOLD』のように、年齢指定をされるようなものが出されても面白い気がします。あの本が出された当初は18禁にする意図が分かりませんでしたが、それに挑戦するということに意義があったのかも、と思えてならないんですよね、今となっては。「無修正=18禁!? それならそれで、もっと大胆なものが読みたい!」という気持ちばかりが湧き上がり、物足りなさも大いにあったので。
昨年の18禁誌に手応えが見えたのか、今年はリブレ出版さんが18禁レーベル立ち上げ・そして3ヶ月連続で18禁誌を刊行すると、(2013年)2月に発表が有りましたよね!
絶対的な需要があると思うので、リブレさんに限らず、色んな出版社さんから色んなカラーの18禁誌が出されたらと贅沢なことを願ってやみません。
御影さん
BLといえば、高校生、大学生と年齢層が固まってしまうかのように思っておりましたが、こうして新しい作品に触れる度に、いろいろな表現があり、無限の可能性を感じます。そして、私は読者として、この時、この作品を一緒に過ごせたことが嬉しいです。
編集部
みなさん、たくさんお話いただきましてありがとうございました。2013年度もこのように萌え語りが尽きない作品がたくさん出版されることを期待して座談会を閉じたいと思います。