chill chill ちるちる

涙で字が読めない!号泣BL特集

涙なくして読めないBL 読者は皆ドSなのか?
  評者 編集部
 年の差特集から、半年以上の時を過ぎて、ついに実現したちるちる大特集は「号泣特集」です。
前に企画した「鬼畜特集」がズッコケて流れてしまったので、今回の特集を企画したときは、もうコラムが集まらないのではないかと、ぷるぷる震えておりました。もしかしたら、これで大特集も消えてしまうのか?としかし蓋をあけてみるとびっくり、みなさまからこれほどコラムが集まるとは思えませんでした。
悲しみの涙から、うれし涙に変わるとは―― 企画したときは思いもよりませんでした。
ですから涙なくして「号泣特集」を読むことができません。
この特集の中で語られた作品を見てみますと、「号泣」というテーマに関係なく、名作の誉れ高い作品がズラリと並んでいます。
その中でも木原音瀬、榎田尤利、水城せとなとちるちる常連の作家が並んでいます。今回、募集したコラムでは、彼女たちの作品に半端でない投稿が集まりました。
もう“涙のビッグスリー”といっても過言ではないでしょう。
アメリカのビッグスリーはすでに崩壊しましたが、こちらのビッグスリーは永遠に語り継がれそうです。
これら名作は、もちろん「ラブ」の部分の萌えますが、それ以上に「せつなさ」「痛さ」「もどかしさ」といったものが主軸となっている作品です。
ボーイズラブ名作は、このようなポジティヴじゃない感情を使って、うまく作品に味付けることができているようです……「苦しみ」によって「萌え」のメーターが大きく振れる。
あたかもあんこを作るときに甘みを際立てるために塩の役割といっしょなわけです。
コラムを投稿していただいた可恋さんがこのような文章を書いております。
「男同士だから!兄弟だから・先生と生徒だから・・・
それら社会的に容認されていない禁断の恋に悩み・苦しみ・もがいて、ツラいかこそっ!
読者も共感し涙を誘うのではないでしょうか。
そして、登場人物達が悲惨な過去を持ってたり、壮絶な運命が待ち受けてたり、酷い目に合えば合うほど、さらに涙を誘い、それらの問題に立ち向かったり、挫折したり、周りに流されたり・・・
それぞれの考えで生きていく様にドキドキvvわくわく♪して登場人物達の世界に思いを馳せているんだと思います。
その思いを馳せた分だけ、感情移入するんだと思います」
なんというサディスティックな欲望でしょうか。ドSにもほどがあると思います(笑)。差し詰め、涙を流しながらも、鞭を振るい続ける女王様ですね。
しかしこれはBLにだけ限られたことではないでしょう。
少年漫画のヒーローも、順調な冒険を繰り返していても人気は出ません。主人公が痛めつけられ、踏みにじられて、もう駄目かと思わせてこそ感情移入ができるというものです。そして、それでもなお心を奮い立たせ、自分の夢に向かって突き進み、思いを遂げる。
そんなストーリーの骨格は、共通しているのかもしれません。私たちは無意識にドMなヒーローを求めているんでしょうか。この特集を組んで、そんな気がしてならなくなりました。

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