★作品発表★ 著者:秋葉るい
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「マサユキさま、着替えて参りました」
替えを済ませたカズトは、カーテンの陰からおずおずと顔を出した。憧れのご主人様――マサユキづきの使用人にやっとなれたと喜んでいたら、マサユキから直々に着替えを命じられてしまった。
渡されたのは、何故かメイド服。仕方なく身につけて、マサユキの前に出てはきたのだが……。
「全身を見せろ」
「えっ……でも」
マサユキは溜息をつくと読んでいた本を閉じ、カズトに歩み寄ってカーテンをめくり上げる。……見られてしまった。カズトはいたたまれなくなって目を逸らす。
「ふうん。似合ってるじゃないか」
マサユキは感心するように言う。
憧れの方のそば近くでお仕えする夢が叶ったのに、何故こんなことになっているのか。カズトは混乱していた。
「マサユキさま……何故このような事をさせるのですか……?」
「理由が知りたいか?」
唇を持ち上げて意地悪く笑うマサユキが、スカートへと手を伸ばした。
「あっ、マサユキ様っ。何をなさるんですか!?」
「何って……中身の確認だろう? アレ、どうした?」
マサユキはにやりと口元をいやらしく歪ませて、頬を赤らめたカズトに問いかけた。彼に渡された服は見て分かるように女性物だ。
「あ……アレって、ぼくはそんなもの……付けていませんっ」
「カズト、俺が何の為に着替えろと言ったのか、分かっていないな。それじゃあ意味が無いじゃないか」
マサユキは呆れ顔でソファに腰を下ろす。わざと女性物を着させて、恥ずかしがっているカズトをいじめてみたかったのだ。
「で、でも……あんな小さいのでは、収まりきらない……と、言うか……何というか……」
恥ずかしそうに語尾を小さくしていったカズトの顔は、真っ赤になり薄っすら涙を浮かべている。その様子を見て悦に入ったマサユキは、おいでとカズトを呼び寄せた。
「そうだよな。あんなのじゃ収まりきれない。じゃあ、今、この中はどうなってるんだ?」
ぐいっと腰に片手を巻きつけ引き寄せ、マサユキはあいたほうの手でスカートの裾をつかむ。
「あっ……」
再び中を見られそうになって、腰を引いたカズトは慌てて銀のトレイで前をガードした。
「お願いしますっ。メ、メイドならメイドらしく仕事をさせてくださいっ」
「メイドらしく、一体どんな仕事をしてくれるんだ?」
「マ、マサユキ様に、最高のアールグレイティーをお入れする事です……」
ふっと頬を赤くしたカズトが背中を向ける。カートに乗せられてあるティーセットに手をかけて、お茶の準備を始めた。
この際なんでもいい。スカートの中を見られるくらいなら、メイド姿でもいいからちゃんと仕事をさせて欲しいと思った。
「へぇ、メイドの仕事……ねぇ……」
シニカルなその笑いに気がつかないまま、黙々と準備をしている。マサユキはカズトの背後から左腕を腰に回し、もう片方はスカートの中に手を入れいやらしく尻を撫でる。
「ひっ……あっ……」
驚いたカズトは手にしていたカップを派手に揺らしてしまった。その拍子にマサユキの袖口にまで飛沫が跳ねて、白いシャツにてんてんと茶色のしみが出来た。
「あーあ……。メイドが仕事を増やしちゃだめだろう。俺のシャツまで汚すなんて」
「も、申し訳ありませんっ」
焦るばかりでおろおろするカズトを見て、マサユキは口元を緩ませた。そう仕向けたのはマサユキなのに、慌てるカズトを見てほくそ笑む。
「別にかまわないさ。じゃあ、俺のお願いをひとつ聞いてくれるなら、今の無礼は許すことにしよう」
「な、何をすればいいでしょうか?」
縋るような目で見つめるカズトに、マサユキは言った。
「俺の前で跪いて、スカートの端を口でくわえてみせて」
「そ……そんな、ことっ……」
こうなった原因はマサユキだが、失態を犯したのはカズトだ。これなら普通に中を見られていたほうがましだったかもしれない。
「出来ないのか?」
しかし、出来ませんとは言えずぎこちなく床に膝を付いて、震える手でゆっくりとスカートの裾を持ち上げ捲りあげる。何も付けていない下半身が露出され、微かにそれが鎌首をもたげているものを見て、マサユキは目を眇めじっくりと眺める。
結局は中を見せる羽目になって、さっきよりも恥ずかしい行為にカズトは耳先まで赤くさせた。
「へぇ、何もつけなかったんだな。意外とカズトっていやらしいんだ」
そんな言葉にも口にくわえたスカートの裾が邪魔で、言葉を発する事が出来ない。ふーふーと口の端から漏れる空気音が聞こえた。
「両手もあいてるようだし、使ってみろよ」
顔の前に突き出されたマサユキの股間は、張り詰めていた。返答できないまま震える手でスラックスから取り出し、両手で擦り始めるとそれはどんどん大きくなっていった。
「いいよ……カズト。お茶なんて入れるよりも、こっちの方が上手いじゃないか」
微かにマサユキの腰が揺れている。膨らんだ股間を上から視姦されているかと思うと、それだけで達しそうになってしまう。
「んっ、んんっ、うっ……」
スカートをくわえている口の端から、まるでおあずけされている犬のように涎を垂らした。カズトの両手はマサユキの液体で、淫猥な音を立てるほどに濡れている。
「……っく、カズトッ……ちゃんと、受け止めろよ」
苦しげに眉をひそめたマサユキは両手でカズトの頭を抱え込んで、うっと喉の奥で唸り、その顔に間欠的にあふれた精を放つ。
言葉通りに全てを受け止めたカズトは、熱が灯ったうつろな目でマサユキを見上げた。
「カズトは、最高のメイドだ。素質はあると思っていたからね」
その言葉に一瞬驚いたカズトは、体に溜まる疼きを早く解放できるなら、もうメイド服のままでもいいとさえ思う。その願いはこの後すぐに叶うことになった。
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【Fin】
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「SS Party 2nd Season」は今回で終了となります。
たくさんのご応募ありがとうございました!
引き続き、B-PRINCE文庫新人大賞 ではオリジナルボーイズラブ作品を募集中です。
今度は完全オリジナルにもぜひ挑戦してみてくださいね♪
ご応募お待ちしております!