<前回までのあらすじ>
ひょんなことから、「BL荘」に迷い込んでしまったBL小説家志望のナルヨちゃん。
そこで、黒いマントをかぶったナゾの管理人と出会う。
管理人いわく、BLの真髄が詰まっている6つの部屋にある鍵をすべて集めれば、今をトキメクBL小説家になるのも夢ではないのだとか。
ナルヨは、BL小説家デビューをめざして3つ目の扉「かっこいい男子キャラを作る」の中で、理想のイケメン創作に挑むが!?
「さあ、主人公(メインの受・攻)のキャラクター設定ができたところで、続いてサブキャラクターを設定しよう」
「正直、めんどくさいよね……ブツブツ……」
「攻・受2人しか出てこない作品を書くつもりか? そうでないなら、登場人物すべての設定に手を抜かないことだ。主人公と同じように名前や容姿、性格などを決めていくぞ」
<サブキャラクター設定>
・友人
主人公の味方になる人たち。クラスメイト、会社の知人、旧友など。
・恋のライバル
主人公に憧れや恋愛感情を持つ人物たち。元彼女、元彼氏など。
・家族
主人公と血縁関係にある人たち。親、兄弟、姉妹、いとこ、叔父、甥など。
・敵
主人公と敵対する人たち。
・そのほか
会社の上司や先輩、後輩。または学校などで関わる存在を主張しない人たち。
「メインカップルをジャマするサブキャラクターを出したら、盛り上がりそう! 攻の元カレが~、受と同じ会社に転職してきて~、受と正反対の勝気な性格で~」
「その『受と正反対の勝気な性格』というのがキャラクター設定の一部に当たるのだ」
サブキャラクターを登場させることで、
・物語にどんな変化が加わるのか
・サブキャラクターは主人公とどんな関係なのか
・主人公をどう思っているのか
をきちんと決めておこう。
ここで大切なことは、ただ漠然とサブキャラクターを出すのではなく、主人公との関係の中で彼らの設定を考えていくことだ。主人公と正反対の性格のキャラクターを出せば、主人公の性格がより引き立つだろう。逆に、似たようなキャラクターが複数出てきてしまうと、主人公の存在意義が薄れる。 物語の主役である主人公がより魅力的に見えるよう、サブキャラクターを設定していく必要がある。
また、サブキャラクターは受や攻の主人公と会話をするだけの存在ではなく、主人公の性格や心情の変化を読者に伝える大事な役割を果たす。ときにサブキャラクターは、読者が主人公にしてあげたいことや言いたいことを、代わりに行ってくれる存在にもなるのだ。その結果、主人公よりも個性が際立ち、読者が好きになってくれることもある。
サブキャラクターの設定を難しく考えることはない。日頃、君たちが見ているマンガや小説、映画やドラマには、主人公の周りに個性的なサブキャラクターたちがたくさんいるはずだ。彼らの存在を参考にしながら、自分独自のサブキャラクターを作り出してみよう。彼らもまたメインキャラたちと同じで、作品には書かれなくてもそれぞれ日々の生活を送っているはず。作品には直接描かない部分もきちんと考えておけば、主人公との会話や行動にリアリティが生まれ、より物語が活き活きと描かれることだろう。
「主人公と関わるからには、サブキャラクターもきちんと考えなければいけないんだ。今まで、超テキトーに出してた……」
「これまで書いたものを読み返すと、どの作品でもサブキャラクターが似たりよったりになっていないか? ちゃんと考えていれば、少ししか出番のないキャラクターでも個性が出るはずだ」
「サブキャラクターが魅力的なら、彼らに支えられる主人公ももっとすてきに見えるよね」
「そうだ。サブキャラクターを考えるうちに主人公の設定をより深く理解して、もっと魅力的に変更できるかもしれない。だから、最後まで手を抜かずに決めよう」
「はい! よし。カップルも決まったし、サブキャラクターたちも設定したし、物語の基本設定がだいぶ固まってきたみたい」
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