chill chill ちるちる
 
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【第3回】

「好きなBLジャンルを選ぶ」
パート1
<前回までのあらすじ>
ひょんなことから、「BL荘」に迷い込んでしまったBL小説家志望のナルヨちゃん。
そこで、黒いマントをかぶったナゾの管理人と出会う。
管理人いわく、BL荘から出るためには、6つの部屋にある鍵を集めなければいけない。
さらに、それぞれの部屋にはBL小説の真髄が詰まっていて、そのすべてを己のものにすれば、今をトキメクBL小説家になるのも夢ではないらしいのだけど……?



  「前回『小説を書くための基本』で、ジャンルを決める話をしたな。ここからは具体的にBL小説で書きたいジャンルを決めていこう」
「BLジャンル!!!」
待ってました! いよいよBL小説の書き方に突入ってわけね。
「職業もの萌え~!」
「まあ、待ちなさい。細かいキャラクター設定に行く前に、ジャンルについてもっと深く考えなければ。『職業』とひと口に言っても、世の中には多種多様な職種が存在するのだぞ。読者にこれからどんな世界の話を読むのかを理解してもらうためにも、大切なことをひとつひとつ、きちんと決めて進めていこう」


BLのジャンルには2つの大きな要素がある。ひとつは「キャラクターに関わるジャンル」設定。もうひとつは「ストーリーに関わるジャンル」設定だ。


まずは、「キャラクターに関わるジャンル」から説明していこう。

BL小説のジャンル選びは、主人公のキャラクター設定と大きく関係する。
受キャラクターが活躍するジャンルを選ぶか、攻キャラクターが活躍するジャンルを選ぶか、またはその両方が活躍するジャンルにするか、よく考えて決めよう。

それでは、BLでよく見かける「キャラクターに関わるジャンル」を以下に挙げていく。
ただし、ここに書かれているものがすべてではないので、自分の書きたいものがあれば、以下にとらわれず自由に新しいジャンルにチャレンジしていこう!

「キャラクターに関わるジャンル」

<学園もの>
学生(生徒会・部活動) / 大学院生 / 専門学校
生徒だけではなく、教師・教授・助手、など。


<職業もの>
一般の会社員 / 警察官 / 消防士 / 外交官 / 弁護士
政治家 / 極道 / 料理人 / 医者 / 軍人 / アスリート
経営者 / 芸能人 / 作家 / アーティスト、など。


<ファンタジーもの>
貴族 / 王族 / 天使 / 吸血鬼 / 妖精
武士 / 騎士、など。



たくさんのジャンルがあることがおわかりいただけただろうか?


「考えてみたら、同じ『職業もの』でも、弁護士と料理人じゃ全然違う内容になるのね」
「たとえば『政治』を舞台にした作品を書くとして、主人公を政治家にして書くなら、年齢を10代に設定したりするのは不自然だろう? このように、どんなジャンルにするかは、キャラクター設定に大きく影響するのだ」
「なるほど。じゃあ、もうひとつの「ストーリーに関わるジャンル」には、どういう意味があるの?」
「ストーリーに関わるということは、どんなコンセプトで書くかを決める、ということだ。明確なコンセプトを表すジャンルとして、BL小説には以下のようなものがある」


「ストーリーに関わるジャンル」

オヤジ / 下克上 / 年下攻め / 兄弟もの / 鬼畜
ショタ / 執事 / 時代もの / 花嫁もの
擬人化(動物・器械・乗り物・食べ物ほか)
奴隷・調教 / ファンタジー(西洋・中華・異世界)、など。



 「社長と社員のBL小説を書くにしても、『下克上』と『奴隷・調教』では展開が変わってくるから、最初にコンセプトを決めたほうが話を作りやすいかも!」
 「そうだろう。「キャラクターに関わるジャンル」「ストーリーに関わるジャンル」「受・攻のキャラクター設定」をほぼ同時に考えていくのが、BL小説の特徴だ。これらはその小説の『骨格』になる大切な要素なのだ」

「ジャンルを学んだところで、さてどんなものが書いてみたいんだ?」

「『IT企業』を舞台にしたサラリーマンたちの熱き愛!!」
 「ふむ。ところで、『IT企業』と言ったが、その会社がどこにあり、どんな業務内容でどれだけ業績を上げているか、ちゃんとイメージできているか?」
「うっ……」
 「そんなにギクッとしなくてもいい。しかし、漠然と『IT企業』というだけでは、主人公の会社生活を描くのに矛盾が出てくることもある。具体的にイメージしているほど、いきいきと描写できるものだ」
「そうか。じゃあ、情報誌を読んで……」
「ちょっと待った! 注意してほしいことがある」
「注意してほしいこと?」
 「作品世界をよりいきいきと描写できるよう、調べるのは大切なことだ。だが、参考書やインターネットなどで得られる情報は、あくまで他人の理解と解釈によるもの。自分なりの理解と解釈が身につくように、できるだけ自分の足で取材したほうがいい」
「わかりました……さっそく会社を訪問して取材させてもらおうっと!」
 「いい心がけだぞ。もちろん、個人で直接取材するのは難しい場合もある。そのときは、本やインターネットなどの二次情報を参考に、書ける範囲のことを作品に生かしていこう。だが、基本的には自分で調べる意識を忘れないでほしい」
「はい!」



ナルヨ、はじめての取材   画:赤根 晴




 「それにしても、「キャラクターに関わるジャンル」「ストーリーに関わるジャンル」「受・攻のキャラクター設定」をほぼ同時に考えていくのって、すごーい難しくないですか?」
「たしかにそうだな。ジャンルを決めるときに迷ったら………………」

次回は、『好きなBLジャンルを選ぶ』パート2をお届けします!
管理人さんが、ジャンルを決めるときのコツを教えてくれますよ!
あなたもナルヨちゃんといっしょにBL小説家目指して、B-PRINCE文庫新人大賞にレッツチャレンジ!

次回更新予定日:5月14日

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