<前回までのあらすじ>
ひょんなことから、「BL荘」に迷い込んでしまったBL小説家志望のナルヨちゃん。
そこで、黒いマントをかぶったナゾの管理人と出会う。
管理人いわく、BL荘から出るためには、6つの部屋にある鍵を集めなければいけない。
さらに、それぞれの部屋にはBL小説の真髄が詰まっていて、そのすべてを己のものにすれば、今をトキメクBL小説家になるのも夢ではないらしいのだけど……?
さっそく『小説を書くための基本』という部屋に放り込まれたナルヨ。
今回は、基礎中の基礎をお届けします!
BL小説家になるには、いきなりパソコンに向かう前に、おさえておくべきポイントがある。
BL小説に限らず、どんな作品を書くにしろ基本となる流れなので、しっかりチェックしよう!
①ジャンルを決める
学園ものなのか社会人ものなのか、はたまたファンタジーか時代劇か、ミステリーか?
書きたいジャンルによって、設定やキャラクターは変わる。どんな世界を描きたいのか、まずはそこをはっきりさせよう。
書きたいジャンルが決まったら、次はそのジャンルに関わることを調べる。本やインターネットではなく、できるだけ自分の足で調べに行こう。
実際に見たり聞いたりしたことをもとに書くことで、あなたにしか書けない要素――「オリジナリティ」が生まれる。いろいろと集めた情報から、作品に活かせそうな部分を拾い出そう。
「ナルヨ、書きたいジャンルは決まったか?」
「え~と、学園ミステリーで~、エスパーが出てきて~、魔法が使えて~、タイムスリップしたりとかぁ」
「こらこら、欲張るな! あまり広げすぎると収拾がつかなくなるぞ。それよりも、描きたい世界をしぼりこんで、しっかりと形作る方が大切だ」
②キャラクター設定を作る
次に、物語に登場するキャラクターたちの設定を作ろう。最低限、決めるべきは、
・名前……印象に残りやすく、キャラクターに合ったものにしよう。
・容姿……どんな見た目をしているか。髪型や目の色、背の高さや体型など。イラストにしたときに特徴がはっきり出るような魅力的な個性をつけよう。
・年齢……ほかのキャラクターたちとのバランスを考えよう。
・性格……どんな感じ方をし、どう行動するタイプか。「明るくて元気のいい人気者」「内気で天然ボケ」など。
・職業……学生なのか、働いているのか。働いているなら、どんな仕事をしているか。
・服装……どんなファッションを好むのか。何を持ち歩いているか。キャラクターの性格に合うものを考えよう。
といったところ。
まずは主人公(一般的には「受」であることが多い)の設定を決め、それに合わせて相手役、周囲の人物などを決めていくと作りやすい。
さらに、物語の場所や季節など、環境も設定しよう。
「え~と、主人公はね、攻が守ってあげたくなるようなカワイイ子なの!」
「だから、それってどんな子なのだ?」
「え?」
「『カワイイ子』と言われても、読者には伝わらない。小柄で目が大きいからかわいいのか、やさしくて天然な性格だからかわいいのか、具体的に描写するべきだ」
「そうか、私の頭の中のイメージを読者に伝えるには、ていねいに説明しなくちゃいけないのね」
③プロットを立てる
キャラクター設定ができたら、いよいよストーリー作りにとりかかろう。といっても、いきなり小説のように長々と書き出すのではなく、物語のもとになる要素を書き出すことから始めよう。その際、「起承転結」を意識することが大切だ。
・起……物語の導入部分。キャラクターを紹介したり、世界観を説明したりする。
・承……導入部分からの流れを受けて、ヤマ場に向けてキャラクターや事柄を動かして行く。
・転……物語のヤマ場。それまでと大きく展開を変え、ドラマチックに盛り上げよう。
・結……物語の終わり。ヤマ場で起こったことの結末や、その後の展開を描く。起承転で広げた風呂敷(ネタ)は、ここできちんと畳む。続編があったとしても、ひとまずきっちり物語を終わらせよう。
「管理人さんの言うとおり『起承転結』にすると、メリハリの利いたストーリーにできそう。ストーリー全体を4等分して書けばいいのかな?」
「必ずしも『起承転結』それぞれを均等に書く必要はない。作品を面白くするためなら、たとえば『転』をほかより長く書いてもOKだ。書きたい内容に合わせて、それぞれの配分バランスを決めればよい」
④プロットに沿って、最後まで書ききる
さあ、後はプロットを元に、「小説」として書くだけ!
全体の流れに沿って、文章を組み立てよう。
大切なのは、とにかく最後まで書くこと! 途中であきらめずに、完成させること!
「最後まで書くって、意外と一番やっかいなところかも。前にも、書いてる途中で書きづらくなってきて、結局やめちゃったことがあるし」
「ナルヨの場合は、きちんとストーリーを決めず『なんとなく』書き始めたからではないか?」
「あ~そうかも。プロットなんて書いたことなかった!」
「プロットをしっかり作っておかないと、いざ書き始めたときに話が横にそれたり、矛盾したりして挫折してしまうことになりかねない。そうならないよう、プロットで流れをきちんと把握するのだ」
「プロットって、大事なのね」
「そのとおり。そして、プロットで納得した内容ならば、とにかく最後まで書く! 当たり前のことだが、ラストシーンまで書ききって完成させなければ『小説』として成り立たないのだからな」
「う……わかりました。管理人さん」 |
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