いわゆるBL作品で言うところの「(気持ちが)伝わらないもどかしさ」ではありません。
作者の意図が伝わらないもどかしさ。
結構辛口です。
幼馴染のユウと在咲(あさ)。
クラスが離れようと、共通の友人に「変」と言われようとずっと一緒だったのに、高校2年のある日を境に、2人の道はすれ違ってしまって…。
という話がユウ目線で展開します。
2人が通うのは同じ大学の別の学科。
3年生になっているということは、すれ違いから早3年〜4年近く。
前述の共通の友人は在咲と同じ美術科で、心理学科に通うユウとも頻繁に交流あり。
さらにユウと在咲の母親同士が強い絆あり、という状況。
おそらく作者さんの中には綿密なプロットと設定があるのは感じられるのです。
だけど、それが伝わってこない…。
練りに練った構想の上っ面の部分をずっと見せられているような、核心に触れるどころか、核心の周囲を分厚い何かで包んで、さらにその上に何かを纏わせて、その表面をさわーっと描いているような心理描写やモノローグ。
言わんとしていることは分かるんですよ。
設定自体は真新しいものではないので、何が言いたいのかは分かる。
でもどれも遠回しで、最後まで遠回しなままというか。
ユウ目線のみ、匂わせる程度のモノローグや回想で、ユウ自身の心情の核心にすらじわじわ攻め込むこともないので、切なさも焦ったさも感じられず。
熱量が全く伝わってこないまま、終わってしまった。
ユウ的に決定的に思えたエピソードに関わっている人物が途中に登場するものの、そのシーンもはっきりしないというか、「あ、あのときの!」みたいなピリっとした緊張感も伝わってこないし、「もしかしてあのときの子かな?」と、こちらが気を回してページを戻って確認しないと分からない程度の扱い。
主人公2人の心の動きも最後まで熱量を感じられなかったんだよなあ…。
残念。
その後の展開も、「うーん?これはBLなの?」と首を傾げてしまうばかりで、久々にBL作品を読んでみたのですが、手応えが感じられませんでした…。
無念です。