Sakura0904さんのマイページ

萌×2作品

女性Sakura0904さん

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壁の中の天使 コミック

びっけ 

殊勝さに心を打たれる

 おとぎ話のような優しい物語でした。かと言って、さらさら読み終えてしまうような作品でもなく、しっかり読者の心に余韻を残してくれる良作。画家であるロレンツが仕事でとあるお店の外壁に描いた2人の天使。心を込めて描かれたものには魂が宿り、夜の間だけ彼らは壁を抜け出す。素敵な導入ですよね。

 幼さが残り、子供のように無邪気で可愛らしい金髪のユリウスと、ユリウスよりも大人びていて思慮深い慎重派のマリオン。彼らの性格はロレンツが描く時に想像したものなのでしょうかね。性格は異なれど一途で温かい心を持った2人が、最後にはそれぞれの想いを遂げることができて嬉しかったです。

少しずつ自分の人生を

 同じ会社で働くリーマン同士なので、職場での活躍ぶりも拝みつつ、ノンケ×ゲイのもだもだした恋愛を楽しむことができました。もだもだと言ってもノンケの正宗はまったく裏表のない猪突猛進な性格で、ゲイである渉が思わずおろおろしてしまうほどの強キャラ。好意を持っていること、可愛いと思った瞬間なども素直に伝えてくる彼は、渉のような凝り固まった人間には相性ぴったり。渉が両親にも正宗とのことを言える日が来るかどうかは分からないけれど、前向きに考えられるようになったり、自分の気持ちに嘘をつかずに生きられるようになっただけでも十分過ぎる変化ですよね。

とっても楽しい攻防戦

 ひなこ先生のダークな攻め、堪らないですね。まだ完結していないようなので、是非鴫原には最後まで今のサイコパス感を保ったままでいて欲しいなと願うばかりです。受けで年下の陸も、見た目性格共に好みでした。一旦こいつはもう受け入れない、と思ったら断固拒絶するという一貫した態度が素晴らしい。結局エロいことをされたらすぐ絆されるみたいなことがなく、もちろん生理的な反応はしてしまうけれど、心は明け渡さないと強い意志が感じられて見応えのある受けだなぁと。頑なな陸を鴫原がどう攻めるのか、楽しみです。

朝田先生の感性が好き

◆ディーン
 表題作ではないけれど、冒頭収録でボリュームもあり、一番印象に残った作品でした。性行為の際に痛めつけられる相手の様子に欲情するコト。こういう癖って、一歩間違えてというきっかけで0が1になるのか、元々潜在的に持っているものが発現するのか、どちらなんでしょうね。いずれにしろ本人にどうこうする術はなく、犯罪者にならないように上手く付き合っていかねばならない。ゲイである上に、特殊性癖。もう一生、誰とも恋人らしいことはできないだろうという諦念。でも、実際に好きな人と付き合ってみたら、向き合う術が見つかるかもしれない。新しい視点が生まれるかもしれない。一歩踏み出すことによって得られたコトの新たな人生。短編でも読み応えのある作品でした。

◆ハレの日
 親子揃ってゲイという設定はまだ珍しいですよね。父親の見守り方、息子の失恋に際してかけた言葉、息子が幸せを掴んだ日の彼の表情、すべてが素晴らしく、温かい気持ちになれました。

◆アイ、セイ(表題作)
 本当に大切な人とはセックスしたくならない。この考えも分かりますよね。たとえば彼氏や夫が家族のような存在になればなるほど、性欲が湧かなくなるのもそうですよね。いつまでも旺盛なのも、性欲がなくなって穏やかな時間の共有で満足できるのも、お互いが同じ温度ならどちらも素敵なカップルだと思う。その狭間で揺れる2人の行き着く先は分からないけれど、BLの多様性を広げてくれる作品だと思いました。

花鳥風月 10 コミック

志水ゆき 

受けも積極的なのが最高

 吉利谷と財前については子供の頃からいろいろ背負ったり我慢したりしてきた2人が、この巻でようやくそういった柵から解放されて、お互いを思う存分愛し合える結末を手に入れた感じがしました。吉利谷への好意もオープンで性行為に積極的な財前なんてまさか見れると思っていませんでしたから、人は愛でこんなにも変わるんだなぁと嬉しくなりました。

 後半は一見と糸川がメイン。多分吉利谷達よりもページ数は多かったと思います。陽明と火弦が特にお気に入りの私ですが、最初に登場した一見と糸川のカップルも同じくらい好きなので、やっとこの2人が最後までするところを見れて感激しました。一見は一言で言えば古き良きドSなスパダリですが、普段は糸川に甘く、濡れ場でも基本的には糸川を気持ち良くさせるために意地悪を言う男なので、その経験を積んだ大人だからこその甘さがたまらないんですよね。絶妙なさじ加減は一見ならではだと思います。宣言通り、お互い相手を幸せにしてあげて欲しいですね。

家族だから手に取るように分かる

 地雷というほどではないのですが、長髪受けにあまり萌えられない私に珍しく刺さった作品でした。母親の連れ子として血の繋がらない父親の元で育ったものの、早くに母を亡くした後、成人するまでに父も亡くしてしまった泉水。唯一の救いは両親とも彼を心から愛していて温かい家庭だったことですが、だからこそたくさんの思い出があって、突然襲ってくる孤独が身に沁みて辛い。それは、泉水の父の兄である、充も同じ。 

 ただ、この作品ではその辛さが強調されて描かれてはおらず、あくまで泉水と充の日常の中に時折湧き出るものとして描かれます。大切な人を亡くしても、1人ではなく、2人での生活は続いている。血の繋がりがないことなど微塵も感じさせない家族として、2人は穏やかな日々を築いています。その描写が微笑ましく、温かい。そして、成長と共に、昔から充への好意を募らせてきた泉水が動く。家族という絆の上に、恋人という関係性を優しく重ね合わせる2人。いろんな意味で難しい題材だったと思いますが、とても自然に、違和感なく読めた物語でした。

あらゆる先入観を感じないで読める

 あくまで友達のノリの中で彼女代わりに気持ちいいことを共有する。BLではよく見かけるシーンですね。そのありがちな導入でありながら、そこからの2人の心情、言動がごく自然に描き出されていて、そのリアルなぎこちなさ、その中に潜む高校生らしい可愛さにすごく萌えました。カミングアウトされても何ら態度を変えず、フラットなままでいてくれた菊池も令和の男子っぽくていいですね。こういう子が増えて欲しいな。

 他にもいろいろ絶妙なポイントがあり、たとえば女子である宮坂の存在。彼女が邪険にされることも、ぶりっ子や悪女、なよなよした子のように描かれることもなく、からっとした性格で瀬戸も菊池も普通に接している所が見ていて気持ち良かったです。BLでは案外まだ少ない気がします。受けである菊池の見た目が可愛過ぎないのもいい。瀬戸と同じくらいの体格で、顔も男らしい彼が瀬戸を受け入れるのに萌えるんですよね。続編が読みたいと思うくらい、素敵な青春作品でした。

ギヴン 7 コミック

キヅナツキ 

この歳で一番大切なものがブレない凄さ

 今回はシズと柊が多めではありましたが、秋彦と春樹の話もそれに続く多さなので、この2組が好きな方は満足できるのではないでしょうか。私は7巻ですっかりシズと柊が好きになってしまいました。攻め側が受け側を立てて、穏やかに包み込むようなカップルが多い中、シズの愛のぶつけ方はかなり過激。よく考えて、とか、最初はよく分からないままでもいいから、なんて猶予や妥協を許さない、白黒をはっきり迫る潔く容赦ない態度は、相手に酷かもしれないけれど、私はありだと思いました。

 自身も長年柊への好意と孤独に向き合ってきて、柊が自分に対して無意識にどんな気持ちでいるか、彼の甘えはどんな感情の上に乗っているかも薄々感じてきた上での迫り方だったのだなと解釈しています。そして、彼に煽られた後、1人で今までの自分を見つめ直しどういう選択をするか決めた柊も、シズの重い愛に耐えうる大きい器の持ち主だなと。すべてを柊に捧ぐというシズと、そんな彼を丸ごと受け止める柊の関係性は、きっとこれからより強固に太く結ばれていくだろうと思います。この2人も追いたいですね。

生意気でも素直な子はやっぱり可愛がりたくなる

 ハイテンションいろいろ渋滞ホストラブコメ。コウキ先生は推し作家さんなので多少贔屓目に見てしまっている自覚はありますが、私は今回も楽しめました。描き込みや設定、萌え要素は本当に渋滞しているので、疲れている時にはあまりオススメしません。心に余裕があってどんなトンデモ話でもどんと来い!という時に読むのをオススメします。

 私もごちゃごちゃした雰囲気はそこまで得意ではないのですが、コウキ先生の作品は攻め受けの好み、濡れ場の萌え所がぴったり合って、そこでカバーされてしまうことが多いです。今回もニキが受けのままだったら萌評価にしていたと思いますが、令が受けの方が萌えるなぁと思っていたらその通りになって、リバと言いつつ令受けの方が多かったので満足でした。誰にでも広くオープンな態度で一見とっつきやすく見えるけれど、本当に懐に入れる相手は一握りというニキのような人間に、歯に衣着せぬ性格で素直な令が少しずつデレるようになっていく様は美味しかったです。ホスト事情などは令和でも、攻め受けの関係性は古き良き王道とも言えるのではないでしょうか。濡れ場も快楽に素直な2人が可愛かったです。

きっと大人は彼の根まで腐らすことはできなかったのね

 この爽やかな表紙からは想像できなかったダークな要素、シリアスな要素を孕んでいて、良い意味で表紙詐欺でした。でも、読後はこの表紙に見合う清涼感を得ることもでき、雰囲気が二転三転する作品でもあります。そこで評価が分かれそうですが、私は結構楽しめました。

 大学生でありながら既に学会にも関わっている理系で優秀な2人。何でもそつなくこなす里見が、少し燻っている力良をリードしていくような恋愛が始まるのかと思いきや、里見はハードな過去を抱えている上に、力良への想いはかなり拗らせていて。ここは予想外の点だったわけですが、こんな経験をしていてもグレずに勉強する気力があったことがすごいなぁと。その辺りの経緯が描かれているともっと良かったかなと思いました。体に刻まれた傷も、歪んだ人との向き合い方も元には戻らない。それを受け入れた上で新しい視点、新しい風を与えてくれるどこまでも清浄な力良という存在。何作品読んできても、こういう出会いは奇跡的で尊いなぁと思います。