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女性Sakura0904さん

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うみのお城 コミック

蜂煮 

鼻血も勃○も脇フェチも隠さない漢の中の漢

 タイトルとぱっと見の表紙から勝手に時代ものかと思っていたんですが、よく見たら普通に現代人の服を着ていました(笑)。蜂煮先生のギャグ漫画テイストのタッチ、とても好きです。そして、なんといっても主人公・ウミの宇宙人感が突き抜けていてすごかったです。面白いとかを通り越して、すごかった。自分だけの世界を持っている彼は芸能界でもっと花開くと思います。社会人不適合者に見えて、目的が定まれば真面目に働くこともできるし、役者としての意気込みは十分なところがいいギャップでした。BL面では、彼女と切れていない状態でヤマとウミが関係を持つのを残念に感じたり、シュールな雰囲気からロマンチックな雰囲気へ私自身の気持ちの切り替えが追いつかなかったりして、すごく萌えたとはなりませんでしたが、今後の作品が楽しみな作家さんに出会えて嬉しく思います。

巻みたいな子が大好きだから、どうか

 ホラー色が大分濃くなってきました。ホラー映画を1人で観れるほど肝が据わっていないので、巻の部屋はかなり怖かったです。ただ、主軸によしきと光(ヒカル)の関係があるので、やはりそこがただのホラー作品とは違って魅力を感じ続ける理由になっています。読者もよしきもヒカルへの畏れはほぼなくなってきていると思いますが、物語が終わりに近づくにつれ、彼が向かう先に不安も感じているはずです。この世ではないどこかへ行ってしまうなら、よしきには何も残されないということになるのでしょうか。光もヒカルもいなくなってしまったら、光の生きた証は消え、よしきの深い想いは行き場を失くす。緻密に練られた土着信仰の不気味さに期待すると同時に、彼らがもっと子供らしく爽やかに青春を楽しめたらいいのにと思う自分もいます。

子供は穢れなんてないんだから

 どんな理由が明かされてもけっして許容はしない、と上巻を読んだ時に頑なに思いましたが、結局下巻では木場に同情の余地を感じてしまいました。やはり、大人の罪が一番重いと思う。子供にした仕打ちは本人を苦しめ、その本人がまた別の人間を苦しめる、と悪循環を生んでしまう。ただ、事件については父親が唆したわけではありませんから、私は100%木場の罪だと思っています。一瞬でも踏み止まる理性はあったはず。何の非もない子供に手をかける残酷さに気付く瞬間も。

 だから秋鷹に赦されてなんだかんだハッピーエンド、みたいな終わり方だったら中立評価にしようかとも思ったくらいでしたが、最後にちゃんとあの子供のことを彼がきちんと考えているのだということが分かったので、評価を下げませんでした。人の命にも、秋鷹の失われた15年にも向き合った上で、木場が子供の頃に溜め込んだ悲しみが秋鷹の存在によって少しずつ癒されますように、と祈ります。

 同時収録作はここまでのシリアスさを吹き飛ばす明るいラブコメで楽しく読めました。誰が見てもモテそうなイケメンが実は……、という導入は王道だけどやっぱり好き。攻めの方が背も低いのに迫り方が男らしいというか、戸惑う受けに構わずことを進めていく強引さがあるところに萌えました。

タブーに切り込んでいく姿勢が好き

 表題作も同時収録作も、一口に面白いと言ってしまうと不謹慎だと受け取られかねない内容でしたが、ストーリーに捻りがあって面白かったので、そこは正直に言いたいですね。木場が秋鷹と何らかの繋がりがあったであろうことは匂わされていましたが、そっちの当事者だとは夢にも思わなかったので、途中で告白されてとても驚きました。100%冤罪だったと知ると、秋鷹の奪われた15年があまりにも重くのしかかってきます。たとえどんな理由があろうとも、他人を冤罪に陥れていい理由にはなりませんし、私は憤りを覚えます。下巻で何が明かされてもそこだけは揺らがないと思うけれど、何か印象が変わるのか、読むのが楽しみです。

 同時収録作は小児性愛者が登場する話。これは非常に難しい問題で、児童が大人に虐待されることは絶対にあってはならないと思うけれど、小児性愛者もなりたくてそうなったわけではない人が大半で、じゃあ彼らは一生好きな相手と恋愛関係を築くことを諦めなければならないのかと言われると、私もその問いに対しはっきりYESと突きつけるのは辛いものがあります。写真や人形で我慢し、生身の子供たちは傷付けることなく、大人を捌け口にした彼はやはり罪人でしょうか。児童ポルノの観点から見れば間違いなくそうだし、私も身近な子供が被害者だったらきっと憤る。でも、こうして架空の人物として彼らを描かれると、頭ごなしには否定できないと思ってしまいました。

このスケールの話を完結させたことはすごいけれど

 ファンタジーな世界観の描き方は最後まで見事でしたが、肝心のレイとグアンの2人が心を交わす時間が、あまりにも短かったなと感じてしまいました。3、4巻は真実の解明と壮大な物語を終結させることにほとんどが割かれていて、レイとグアンはお互い強く想い合っているのだから、どれだけの距離や時間で隔たれようともとにかく大丈夫なのだ、と強引に押し切られているような感じがしました。一般漫画なら十分だけど、BL漫画としては私には物足りなかったかな。綺麗で、スケールが大きくて、設定や相関図は練られているけれど、もっと2人の感情が多様に交差するシーンや、世界や政治とは離れて相手のことで感情を激しく乱すようなシーンも見たかったです。

広狭両方見て

 魔法も存在するファンタジーな要素と、混沌としたリアルなディストピアが混じり合う世界観は斬新で面白いのですが、肝心のレイとグアンのBL面については物足りないかなぁというのが正直な感想です。2人を取り巻く状況が常にシリアスですし、世界の謎も解明しなければなりませんから、そんな場合ではないと言われたらそれまでですが。このままいったら2人で大きな壁を乗り越えた達成感は得られるだろうけれど、恋愛面での距離感はあまり縮まった気がしないんじゃ?とちょっと心配になりました。吉祥とゼラの濡れ場は、意外性も最初からお互い晒け出している感じもありよかったです。

もはやアイドル

 学生時代も、アナウンサーとなった今も、優等生だったり人気者だったりする沖に負けじと常に奮闘している鮎川が可愛かったです。意外と落ち着いている部分もあるので、ずっときゃんきゃん吠える系の受けが苦手な私でも好きになれました。ただ、私生活で仲が良いことがバレてから、番組でアナウンサーというより俳優やアイドルのように扱われることが増えていったので、そこは残念でした。そういう芸能人同士のBL作品はたくさんあるので、アナウンサーだからこその仕事の大変さというか、番組をサポートする立ち位置として切磋琢磨する2人の描写がもっと欲しかったなと。鮎川を鈍いという沖だけど、沖の距離の詰め方も気持ちをはっきり言わずもどかしく感じるシーンが多々ありました。恋人になってからは、積極的に愛を伝えられる人になってほしいですね。

危機感もまだまだ足りないのね

 今回もシリアス巻でした。藍浮と饕餮の関係性の描写に割かれている部分が多く、正直そこまで饕餮の組織に興味を持てていない私には、ちょっと物足りなかったです。ずっとひっついてばかりでは成長しませんから、離れて互いに自分の頭でよく考えて行動する期間が必要なのは分かります。でも、だとしたらこれでまた一緒になってしまうのは早すぎるような気もしました。都はなんだかんだ冬夏のためならどこででもそれなりにやってのけると思うので、冬夏の裏社会で生き抜く術を会得する過程や、覚悟を決める過程をもっとじっくり追いたかったなと。皆、冬夏を闇の世界に踏み込ませたいのか、関わらせたくないのか、中途半端だと感じてしまいました。ただ、都と冬夏の可愛らしくて時々重いやりとりは好きなので、徐々にBL面の比重が大きくなっていくのを楽しみにしています。

おかえり、秋仁

 秋仁が香港に攫われた時以上にシリアスだったイノセントアイズ編が堂々の完結を迎えました。麻見と何度引き離されても、最後は無事に戻ってくる秋仁に毎回安堵しています。今回は洗脳まで受けてしまいどうなることやらでしたが、短い間にあれだけ濃い関係を築いたわけですから、麻見を思い出すトリガーは秋仁の中にたくさん眠っていたでしょう。秋仁が麻見に伝えたかった言葉を今度こそ伝えられたシーンにぐっときました。

 蜜月と同じくらい濡れ場も多く甘々だった今作ですが、本シリーズで長年ドンパチや裏取引、裏切りに馴らされてきた身としては(本当に大丈夫か? また何か起きて引き離されるのでは……)と完全には浸れず(笑)。やっぱり最後は追われる展開となり、ですよねといつもの雰囲気が戻ってきたようで逆に気持ちが落ち着くありさまでした。それでも2人きりの時間を堪能する麻見に、何度触れ合っても飽き足らないほど麻見の心は秋仁によって満たされているんだな、と嬉しくなったり。秋仁も麻見を守るという決意を改め、これからはどちらかの意思で離れることはなく守り合って生き抜いていくんだなと、また一段と強い絆を得た2人に期待が高まります。

もっと八重辰のことも自分のことも信じて

 やっぱり江戸BLはいいなぁと改めて思いました。こふで先生の繊細で美麗なタッチで江戸の色男2人をたっぷり拝めて、本当に眼福です。ストーリーは1巻でめでたく恋人となった2人がお天を蔑ろにせず、主人と奉公人の立場も弁えてなんとか2人の時間をつくろうと精を出したり、猿北という個性的な新キャラに引っかき回されて寅次がかなり沈んでしまったりと、また波乱が。幼子を抱えながら、立場も境遇も違う2人。寅次にはどっしり構えていてほしいというのが個人的な願いでしたが、八重辰と異なり生活基盤が不安定な寅次はいつどんな風に己が切られるか分からないという不安が根本にあるんですね。八重辰を探し続けた苦労も凄まじいものでしたし。

 でも、けっして八重辰からの気持ちが軽いというわけではなくて、彼も同じくらい寅次を欲していたし、今も情熱的に愛しているということを知ってほしい。大きな料亭の主人の心の拠り所となれて、その血を継いだ子供もまるごと愛せるのは自分なのだと自信を持ってほしいと思いました。最後は八重辰が漢気を見せ、寅次にたっぷりの愛情を伝えようとしたのが嬉しかったです。まだ続くということで、落ち着いた蜜月も読めることを期待しています。