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萌×2作品

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女性ポッチさん

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攻めさんたちのカッコよさにKO

西野さん×笠井さんという神タッグの今作品。
笠井画伯にしてはややマイルドな肌色率ですが、それでもはだけた着物の胸元にちゃっかり手を入れているイケメンさんに加え、口絵のイラストはほぼ着衣無しでの絡みなので、リアル書店で買われる腐姐さま方は注意が必要かもです。

さて。
表紙が三人、ということで、はい。西野さんらしい複数攻めのお話でした。笠井画伯のイケメンが3人も見れるのでコスパ良しともいえるかな?

ということでレビューを。



若者たちがどんどん村を出て行ってしまう過疎の村・常師栄(とこしえ)村が舞台。この村には古くからの言い伝えがあった。

身体の下半身(のどこか)に、特徴的な痣を持って生まれてくる赤子がいる。
その赤子を「月印の者」と呼ぶ。「月印の者」が生まれてくると村が栄えるという。が、「月印の者」は快楽に弱いという性質をもっており、その淫乱な性質を抑えるために「夜者」と呼ばれる男が選ばれる。

という、ファンタジーなバックボーンを持つお話です。

で、表紙の真ん中の黒髪の男の子が、今作品の主人公。
もちろん「月印の者」。絢都という名の男の子です。
そして脇を固める二人のイケメンさんたちが、「夜者」。黒髪の佳孝と、明るい髪色の諒賀。

「月印の者」が18歳になった時、村人たち(しかも男だけ)の衆目の集まる中で、夜者に抱かれなくてはならないという風習があり…、と、現代日本にあるまじき設定です。

この「とんでも設定」を上手に読ませるのはさすが西野さんといったところか。エロエロ、どころではなくエロエロ×100の内容でありながら、常師栄村の悪しき風習、家族との軋轢、村人たちとの微妙な関係、佳孝+諒賀×絢都たちの過去、すれ違う恋心、からの恋の成就とエロの中によくぞここまで、という部分まできちんと描かれています。

絢都という男の子はかなり危うい立ち位置にいる男の子で、そこから生まれてくる彼の葛藤や苦しみもきちんと描かれています。が、そんな彼はかなり淫乱でもある。それは「月印の者」であるからでして。エロとシリアスを上手にミックスさせる手腕はさすが。二転三転するストーリーも面白いです。

ちなみに絢都の月印の痣のある場所ですが、え、そこ?
描き方によってはコミカルにもなりえるバックボーンですが、至極真面目にドシリアスです。最高です。

エロ描写は、西野さんらしく、あんなことやこんなことまで、二輪挿しあり、モブレありと人によっては地雷になりうる描写もあるので苦手な方は注意が必要かもです。

そしてそれらを笠井さんが描いてくださっているという。
眼福でした。
イケメンさんたちのカッコよさが、笠井さんのイラストによってより引き立ちます。複数攻めあるあるかと思いますが、タイプの異なる攻めさんたちなので、読み手のお好みの攻めさんがいらっしゃるんじゃないでしょうか。個人的にはどっちも良いです。二人のタイプの異なるカッコよさに終始翻弄されっぱなしでした。

受けちゃん大好きな溺愛攻めさん(しかも二人もいるという贅沢さ)に愛される薄幸受けさんという個人的に神CPのお話で、エロももちろん、彼らが築き上げていく絆と愛情に萌える、そんな1冊でした。

評価で悩みましたが、笠井画伯のイラストにKOされっぱなしだったので、ちょっぴりおまけして萌え×2で。

『ぼくは恋をしらない』の続編。

作家買い。
崎谷作品の『ぼくは恋をしらない』の続編。
『ぼくは~』は、崎谷作品の人気シリーズ「慈英×臣シリーズ」のスピンオフに当たる作品ですが、慈英×臣シリーズの作品は未読でも問題なく読めると思います。ただ『ぼくは~』の続きものなので、そちらが未読の方は『ぼくは~』を読まれてからこちらを読まれた方が良いと思います。

あとがきで崎谷先生も書かれているのですが、慈英×臣、のシリーズはスピンオフもたくさんあるので、未読の方はすべて追うのはなかなか難しいかもしれません。順番も分かりづらいですしね。長きにわたって(崎谷先生、今年デビュー25周年を迎えるそうです。おめでとうございます)一線で活躍してきた作家さまゆえ、でしょうね。

と、今作品とはちょびっと関係ない話で申し訳ない。
ということで、レビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




子役出身で、今や人気俳優の仲間入りをした瓜生には大切な恋人がいる。
もともとガチなファンだった、人気作家の灰汁島だ。不思議な縁で繋がり、そして今ではお互いに深く愛し合う恋人になり、公私ともに順調な日々を過ごしている。

が、そんな彼に不穏な空気が。
それは、高校時代の先輩で、芸能人としても先輩として憧れていた五十公野との再会がきっかけだった。単なる先輩後輩といった関係ではなく、数度身体の関係を持ったこともあった五十公野は、かつての人気アイドルとしての輝きを失っていて、今は黒いうわさもある人物。

そんな五十公野とあまり関わりたくないと思う瓜生ではあったが、なぜか五十公野は執拗に瓜生に絡んできて―?

前作『ぼくは恋をしらない』は攻めの灰汁島視点で描かれていましたが、今作品は受けの瓜生くん視点で紡がれていきます。仕事も、大切な恋人である灰汁島との時間も、少しずつ五十公野に脅かされる日々が瓜生くん視点で描かれているので、いったいどうなっていくのかハラハラしつつ読み進めました。

ストーリーとしては王道といった感じか。
が、前作『ぼくは恋をしらない』の時に比べて灰汁島さんがカッコよくなっていて悶絶しました。人見知りでコミュ障の灰汁島さんが、瓜生のために心を配る。スパダリ感が半端なくって、恋は人を変えるなあ、なんて思ったりしました。

終盤に慈英×臣のSSと、照映×未紘のSSも収録されていますが、こういったSSが、他の既刊誌のお話と絶妙にリンクしているのがさすがという感じ。崎谷先生っていったいどこまで見通してお話を描いているのかな、といっそ感心します。

崎谷作品と言えばこってり濃厚なエロ、って代名詞だと思うのですが、今作品はエロ控えめ。でも、エロなどなくとも甘い空気感はたっぷり満喫できる、そんな1冊でした。

エロ良し、甘さ良し、キャラ良し。

作家買い。

2021年に刊行された、みちのくさん作品の『カリギュラの恋』の続編。
高校生だった攻めさんが大学生になって、という時系列のお話です。前作ありきの作品なので、前作未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。

続編でもあるのですが、前作が受けさんの成瀬視点だったのに対し、今作品は攻め・清高視点で描かれています。タイトルの「サイドマスター」はそういう意味なのね、と思いつつ読み進めました。前作のネタバレも含めてのレビューになります。




SMクラブ「ベースメント」の客とスタッフ、という形で出会った二人。
が、その後彼らは教師である成瀬と生徒の清高、という形で再会し―?

というのが前作「カリギュラの恋」で描かれていた部分。

Mという性癖を持て余し、でも恋もしたかった成瀬と、成瀬の性癖を知り尽くし願望を叶えるご主人さまである清高。紆余曲折を経て恋人になった二人。そして時は経ち、清高は大学生になり、けれど二人の間に流れる恋心は確実に育っていて…。

という、甘々な序盤で、今作品はスタート。

みちのくさんの描かれる美麗絵柄と、圧倒的な画力で紡がれる濡れ場はさすがのエロさ。そして綺麗さを見せます。もう、一気に萌えを鷲掴みにされてしまいました。

成瀬先生の方はですね、もう安定の可愛さ。
清高のことが好きで好きで、というのが滲み出てる感じ。それは前巻から一貫して描かれている部分ですが、今巻のキモは清高の心情の流れかと思われます。

イケメンでモテる彼は、常に「選ぶ側」だった。
その彼が成瀬と出会い、本当の恋を知り、そしてー。

という成長物語です。
くっついた後の二人、ということでBLではテッパンと言える存在。そう、当て馬くん。今巻もイケメンの当て馬くん登場です。教師をしている成瀬のもとにやってきたのは教育実習生の小野田くん。

この小野田くんという男の子は、実は…、
という展開です。

そして後半はもう1CP登場してきます。
清高の叔父で、SMクラブ「ベースメント」のオーナー・堂山。
そして、彼のお相手は、

と、あまり書きすぎてしまうとネタバレになりすぎちゃうので、ここまでで。

この二人のお話もめっちゃ良かった…!
堂山さんが、とにかくカッコいい。大人の余裕を醸し出しながら見せる色香が、ヤバいです。雄味たっぷりの彼が受けさんというのも良い。Sなのに、受け。カッコよ!

「カリギュラの恋 サイドマスター」しかり、「カオスの縁」しかり、ストーリーとしては王道っていうんですかね。良くあるお話、ではあるんです。あるのですが、素敵すぎるキャラたちと、美麗でエロ過ぎる絵柄がそれらを凌駕しひれ伏してしまう。そんな迫力のある1冊でした。

「カリギュラの恋」はSMがバックボーンとしてあるので、緊縛とかお道具とかの描写があります。もしかしたら苦手な方もいらっしゃるかな?けれど、ベースとしては甘々でほのぼのな恋心を描いているので、甘さもたっぷり。

みちのくさんらしいエロ良し、甘さ良し、キャラ良し、に満ち溢れた、そんな良作でした。

大団円。

『狼の花嫁』の5巻にして完結編。




戦争に出征していったゼスを心配しながら待ち続けるルーイ。
が、休戦が決まり、無事にゼスは帰還する。はずだった。

ゼスの無事だけを祈り続けてきたルーイのもとに帰ってきたゼスは、瀕死の状態で―。

りゆま先生の描く「狼シリーズ」は、狼×白鹿をベースに紡がれていくストーリーですが、そのどれもに共通しているのはほんのりと漂うシリアスベース。シリーズの第三弾に当たる今作品は政略結婚によって番となった二人のお話。

お互いに愛情があるわけではなく番になった彼らの行く末は…、と、まあハピエンになるんでしょ?と思いつつ読み進めたわけですが。

ゼス×ルーイ。
全5巻という長さも手伝い、二人が少しずつ心を通わせていく様が丁寧に描かれています。この二人は、もう最高、ということは間違いない。5巻の表紙の二人の笑顔を見れば一目瞭然というもの。ゼスのデレがめっちゃ可愛かった。

今巻の個人的萌えツボは、政略結婚で嫁がされてきたルーイに伴ってやってきた、従者のマルジャです。冒頭から一貫して、マルジャ最高。の1冊でした。寡黙で感情が読み取れないマルジャの、ルーイへの愛情が、もう、もう…!と萌え滾って仕方なかった。

狼の花嫁が完結してしまいましたが、次はもちろんマルジャのお話でしょ?

と思っていますが、りゆま先生、いかがでしょうか。
りゆま先生の書かれたあとがきを拝見しましたが、いやいやいや。彼はどこでも生きていけそうですけれども。彼の幸せになった姿を拝みたい!

あとはですね、アズラク。
彼も幸せにしてあげて欲しいな。彼に、心から愛し、愛される相手に、再び会えることを願っています。

狼シリーズの中で一番と言えるシリアス展開を見せる今作品ですが、最後は大団円。気持ちがほっこりと温かくなる、そんな優しい完結でした。

王道のストーリー、だけに非ず。

初読みの作家さま。
もしかしたら今作品はデビュー作でしょうかね?おめでとうございます!

初読みの作家さまですが、星名さんの描かれた美麗表紙を拝見してお買い上げ。タイトルからも推測できるように、オメガバものです。ということでレビューを。ネタバレ含みます。苦手な方はご注意ください。






ミシュアルは名門・アブズマール家の三男。
優秀で正義感の強い軍人の父を持ち、父のように立派な軍人になり、そして王子で次期国王のイズディハールを守りたい。そのために日々鍛錬を欠かさない少年。

が、13歳の時に行われた検査で、己がオメガだということを知る。
オメガでは軍人になれない。絶望するミシュアルだったが、彼の幼馴染で王になったイズディハールの後宮に入ったラナの計らいで、ラナの護衛として後宮に入ることになるが―。

イズディハールに淡い恋心を持ち、けれどその思いを封印し軍人として彼を守り続けたい。が、その夢はオメガであったことで儚く散ってしまうが…、という、ミシュアル視点で紡がれていくお話です。

イズディハールは国王、ということで沢山いる妃候補の身分の高い女性たち。
国王への成就することのない恋心。
幼馴染で自分を救ってくれたラナとイズディハールとの仲睦まじい姿を傍で見なければならないという苦しみ。

BLという点での萌えは、王道と言っていいんじゃないでしょうか。バッサリ言ってしまうと良くあるお話。かと思われます。

が、今作品のキモは、ミシュアルの番の存在。
性的な接触を持ったことはおろか恋人すらいたことのないミシュアル。にもかかわらず、彼には身体をうずかせる匂いを持つ「番」がすでにいて…?

という謎を軸に進む展開で、どうなっちゃうのかと気になってページをめくる手が止められませんでした。

なぜミシュアルに番がいるのか、その番は一体誰なのか。

その辺りはこういう展開なんじゃないの…?と推測できる部分はあるのですが、晦さんのミスリードがお上手で翻弄されっぱなしでした。

ミシュアルという青年がまた良い。
己の、オメガであるという状況に絶望しつつ、男気がきちんとある青年なので読んでいて応援したくなる。

そして、ミシュアルの番の「彼」も。
いやー、すごく萌えが滾るスパダリでした。誰がミシュアルの番なのかはぜひとも手に取って読んでいただきたいですが、クソほどカッコよくて悶絶しました。

ストーリー自体二転三転する展開で、読み始めたら最後、行きつくところまで行きつかないと本が手放せない。ハラハラも、萌えも、きちんと詰まった作品でした。

非常に面白く読みごたえのある作品でしたが、ワタクシはひとこと言いたい!

なぜ挿絵が無いのか…!
星名さんの美麗イラストを楽しみに手に取ったのに、この哀しみと言ったらない。挿絵も小説を読む楽しみの一つなんですけど。

と、ここで憤慨しても仕方がないですね。
そこだけが残念でしたが、デビュー作とは思えないクオリティの高い作品でした。次回作も楽しみに待っていようと思います。

攻めさんがカッコよすぎて。

作家買い。
伊達さんの新刊は、伊達さんらしい、と言っていいでしょう、ファンタジーもの。しかも可愛らしいモフモフに癒される、そんな1冊でもありました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。



ドラゴンや魔獣を倒す「冒険者」がいる世界。
冒険者はその強さでランク分けされているが、エミリオは薬草採取しかできない底辺冒険者だ。

その日も山で薬草を摘んでいたエミリオだったが、ドラゴンと対峙した特級冒険者・リカルドとの闘いに巻き込まれる形で命を落としてしまう。いや、落としたはず、だった。

が、たまたま目の前にいた人狼の子どもの中に入ることで人狼として転生してしまう。まだ子どもの「彼」を見たリカルドは「彼」を放っておけず、エミリオの魂が入った人狼にルーシィ(愛称はルゥ)と名付け育てることにするが―。

視点はあくまでエミリオ、もといルゥ。
冒険者だったのに、死んだ途端に人狼に転生してしまい、どうしようかと思う間もなく偉大な特級冒険者であるリカルドに育てられることになってしまう、という。そこに伊達さんらしいコミカルさを加えたストーリーです。

タイトルにご注目。
「過保護な冒険者」なんです。リカルドという男は。
闘いによって身体についた傷。
凍土よりも冷たいと噂されてしまう孤高さと寡黙さ。
数少ない、選ばれし特級冒険者。
でありながら、ルゥにはゲロ甘です。他人にはそっけない態度を取り続けるのに、ルゥのために甲斐甲斐しく食事を作り、手ずから食べさせ、グルーミングし、人狼のルゥが人に擬態できるよう(生活しやすくなるよう)様々な教育を施す。

ルゥの本性は、人狼の子どもではなく、冒険者として生きてきた17歳の青年なのでそのリカルドの行動に戸惑いつつ、それでも惜しみない愛情を注いでくれるリカルドに、ルゥは少しずつ惹かれていくけれど。

リカルドという攻めさんは、紛うことなきスパダリさんなのですが、いわゆるBL作品における「スパダリ」とは一線を画すスパダリさん。カッコいいのに可愛くって素敵という、新しいスパダリさん像を魅せる攻めさんなのです。

BLとしての軸は二人の想いが成就するまで、なのですが、これがすんなりいかないのが面白くって。最終的にはくっつくんでしょ?と思いつつ、二人のすれ違いっぷりにハラハラさせられるのです。

ルゥはねえ、とにかく可愛い。
可愛いんですよ。
人狼ゆえにケモ耳、シッポが生えていますが、それらが彼の内面を表すツールとして描かれているもの良い。

でも、個人的萌えキャラはリカルドです。
冒険者としては有能で、他者を寄せ付けない孤高さを持っていながらルゥには激あま。まさに「過保護な保護者」です。そして、それがなぜかという理由もきちんとあるので、これがまた良い。パーフェクト男子に見える、リカルドの過去。これ、萌えずにいられます?という。

そんな素敵攻めさんを、犬居さんの描かれる挿絵がドンピシャで、これも最高過ぎました。

ルゥのことを庇護すべき子どもだと思うリカルドと、リカルドの横に立つにふさわしい男になりたいと思うルゥ。この二人のお話だけでおかわり3杯いけますが、彼らは途中、二人で旅に出ます。この旅の理由もまた良い。

ストーリー良し、キャラ良し、挿絵良し。
二人を取り巻くキャラが数人登場しますが、彼らがまた素敵なのです。続編、あるいはスピンオフを激しく所望しています。

伊達さん作品の、このホンワカさ、っていうんですかね。
シリアスにも振り切れるバックボーンを、これでもかというくらい温かな作品に仕上げる手腕に脱帽。読後、心がほっこり温かくなる感じが凄く好きなんです。

ファンタジー、コミカル、そういったものを上手にミックスさせた良作でした。

シリアスなお話、かと思いきや

初読みの作家さま。
お試し読みしてみたらめちゃめちゃ面白そう!ということでそのままお買い上げしました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






小さな村で暮らす翔太朗は、優しい両親に可愛い弟と4人で暮らす青年。
が、実は翔太朗は捨て子。彼の育ての両親は、彼を引き取り、実子と同じように深い愛情を持って育ててくれた。そういう事情もあって、翔太朗は両親と弟に愛情と共に感謝の念も持っている。

が、村に伝わる言い伝えから、村から一人の少女を鬼に花嫁という形で生贄を捧げることになった。そして、両親への感謝の思いもあって翔太朗はその「花嫁」として自ら鬼の元へ行くことを了承し―。

というお話。

序盤、翔太朗という青年の生い立ちが綴られていますが、さほど多いページ数ではないんです。ないのですが、その限られた紙面で、翔太朗という男の子の現状がきちんと読み取れる。読者への魅せ方が非常にお上手で、一気にこの作品の持つ世界観に引きずり込まれてしまいました。

鬼のもとに連れていかれた翔太朗は、そこで夫となる鬼・冴月と出会うが―。

翔太朗、そして冴月。
この二人の根っこにあるのは、それぞれの「家族」なのですが、この描き方も実に秀逸です。シリアスになりそう…、と見せかけて、実は―、と続く展開で、めちゃめちゃ切なくも温かい展開ですごく良かった。

親(実両親、という意味ですが)のいない翔太朗が鬼の生贄になる、という出だしで、痛く切ないシリアス度満載なお話かと思いきや、家族愛、友情、主従愛、など形は違えどけれど様々なカタチの愛情を描き切った優しいお話でした。

読後はほっこり温かい気持ちになれること請け合いの、温かなお話でした。

まーちゃんがカッコよくてヤバい

『二重螺旋』の小説版、の15巻目。
今まではサブタイトルとともに巻数が振られていましたが今巻は記載なし。記載がないと順番が分かりづらくなるので、今後も順番を書いてほしいなあ、と思いつつ。

円陣さんの描かれた表紙にまずKOされまして。
え、されるでしょ?
されない方います?
という美麗イラストに、書店で本を手に取って目が釘付けでした。
しかも表紙を捲ってすぐのカラーの口絵。これは反則やわー。こんなイケメン、リアルでいたら萌え死するわー。と思いつつ読み始めました。この素敵イラストについては後程また。


さて。
前巻のレビューでも書いたのですが、サブタイトルが秀逸です。
箱庭にいた雛。囲い込んで、愛で、溺愛し大切に育ててきた雛が、羽音を立てるようになり―。

ナオという男の子は「持ってる」男の子。
彼の素質がもちろん基盤にはあるのですが、モデル界の帝王・加々美しかり、アズエラルの統括マネージャーである高倉しかり、アパレルメーカーのデザイナーであるクリスしかり。そして、スーパーモデルのユアンしかり。

カリスマと呼ばれる逸材たちからの求愛(恋愛的な意味ではなく)を一身に受ける。

そして、それは雅紀の焦燥にもつながっていき―。

カリスマモデルと持ち上げられるMASAKIではあるが、人気は水物。
これからどうなるか分からない。今までは、いつでもどこでも、自分は「選ぶ側」だった。が、これからはナオに「選ばれる」立場になるのだと。

あのMASAKIに、こんな風に思わせるナオはやっぱり最強か。

そして、そんな思考でいる雅紀のもとに、クリスからとある依頼がやってきて―。

ナオ、ってとっても好きな男の子ではあるのですが、ここ最近の『二重螺旋』の中ではすごく持ち上げられていて違和感すら感じていたのですが、今巻は雅紀のターンへと帰ってきた感があります。

ナオを手放さないために。
ナオに選ばれる男になるために。
雅紀が選んだ道は…。

で、口絵のイラストになるのですが、このイラストはとあるコスプレイベントでMASAKIが扮したキャラなんですけれども。小説内でも円陣さんが描いてくださっていますが、めちゃめちゃカッコいい…。圧倒的なオーラを感じます。ヤバいです。

で、このコスプレイベント(MASAKIのコスプレ姿)がきちんと意味があるので、単なるまーちゃん、カッコイイ、になっていないところが素晴らしかった。今まではナオの崇拝の存在だった雅紀が、真のカッコよさを爆発させるトリガーになっています。それはすべてナオのため、ってところにブレが無いのも素晴らしい。

あともう一点、見逃せないのは沙也加が少しずつ登場し始めている点か。
いやー、バトッて欲しいなあ。沙也加がけちょんけちょんにされるシーンが読みたい、と思う私は外道だろうか。

吉原作品ならでは、のドシリアス展開を、そろそろ読みたいと思うのです。

春野さんワールドへようこそ

作家買い。
春野さんの描かれる執着攻め×ツンデレ、でもチョロチョロのチョロの受けさん、というCPが大好きでして。今作品もそのイメージを損なうことのない可愛い受けさんが満喫できる1冊でした。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





リーマンの雪平は、吸血鬼。
吸血鬼だとばれないようになるべく人との関わりを断って生活しているが、ほんのりとした孤独は常に付きまとっている。

そんな雪平に懐いたのが後輩リーマンの百瀬。
さながらワンコのように雪平にまとわりつくが、ある日雪平は大けがを負ってしまう。怪我を治癒するためにほんの少しだけ、と思い百瀬の血を吸ってしまうが―。

というお話。

非情に春野さんらしい、っていうんですかね。
受けさんのことが好きで好きで、時に暴走してしまう攻めさんと、孤高の空気感を見せつつもお人好しで優しくて、常に人のことを気に掛けてしまうツンデレな可愛い受けさん、といった体を成す作品でした。

そこに彼らの家族、雪平の吸血鬼としての孤独、お互いを想う愛情が上手にリンクして、切なくも温かく、けれどコミカルさも良いバランスでミックスされていて、めちゃめちゃ萌えました。

雪平は吸血鬼。
けれど百瀬は人間。
違う時間軸を生きる二人の「未来」は―。

終盤、百瀬がどうなるのか、読者に示唆する描写があります。
ああ、そうきたか、という感じですが、個人的には良かったなあ、と感じました。

これで終わり?という感もありまして、春野さんの代表作と言っていいでしょう、人気シリーズ「トラさんと狼さん」のように続いていって欲しいなあと思ったりしました。実際、吸血鬼仲間なのでは?と思う人物もサラリとですが描かれていますし、これからの二人、が今作品のキモな気もしますし、ぜひとも続編プリーズです。

シリーズ化を期待して、待っていようと思います。

西野さん×奈良さん、+ラヴァーズ文庫、=エロてんこ盛り。

作家買い。
西野さん×奈良さん、そしてラヴァーズ文庫。
ときたらエロエロなんだろうなあ…、と思いつつ手に取りました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





人気動画配信者の友朗は、その日彼の妹と共に廃旅館へと撮影に来ていた。
妹とのコラボ動画をとるために、再生回数の稼げるオカルト動画を撮るためだった。が、そこで彼は悪霊に憑りつかれてしまう。

命の危険すら感じた彼は、友人に教えられた神社に赴き、悪霊を祓ってくれるという凄腕の巫女に助けを求めるが―。

というお話。

心霊スポットに遊び半分で訪れるという行為には個人的に反感を覚えるので、序盤友朗が好きになれないかも、という危惧を抱きつつ読み始めました。

ストーリーとしては予想の範囲内、っていうのかな。こういう感じなんだろうなという展開をみせる作品ですが、そこにスパイスとして効いてくるのが凄腕の巫女・紬の存在でしょうか。

彼が薄幸さんというか、健気で一生懸命な男の子なので好感度が一気に上がる。そして、友朗も。彼が廃旅館を訪れたのは冷やかしではなく仕事の一環ではあるので(ヤリチンとか遊び人ではありますが)、さほど拒否感を感じずに読めました。

ストーリーとしては奇抜な展開ではないと思うのですが、さすが西野さん。面白んですよ。すごく。面白いのですが、んー、エロがねえ…。

多い!

西野さん×ラヴァーズ文庫なので、エロは必須なんだろうと。
エロてんこ盛りなお話ではあるのだろうと。
そう思いはしましたが、ここまで濡れ場が多い必要はなかった気がしました。

二人が身体を重ねるのにはきちんと理由があります。この理由が西野さんらしい強引な展開(褒めてます)なのも良い。濡れ場も多いですが無理がない展開でもあります。ありますが、二人の感情の部分にもう少しページ数を割いてほしかったなあ、と。はじめに二人が関係を持った時は恋愛感情から身体を重ねるわけではないので、そこから二人がお互いを想い合うようになっていく、その心情面をもう少しきっちり書いてほしかったな。と思いました。

が、痛い展開になりそう…、で、なりませんし、二人の間に流れる糖度たっぷりな空気感も甘くていい。西野さんの描かれるストーリーは面白いし、奈良さんの挿絵は文句なしの素敵挿絵。

糖度たっぷりな2人の描写に萌える方は沢山いそうです。また、非常にツボに突き刺さるバックボーンを持つ作品で萌えどころもたくさんある。そんな萌え作品でした。