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女性ポッチさん

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萌えないわけではないのだけれど

上巻と同日発売になった『壬生の番い』の下巻。

ついに池田屋に踏み込むことになってー。

という史実に基づくお話を軸に、怒涛のストーリー展開が繰り広げられていきます。
剣豪・沖田総司ではない総介は、命を懸けた戦では役に立たない。けれど、土方を守りたいという気持ちはだれにも負けなくて。

これ、どういう終わりを迎えるのかな、と思いつつ読み進めましたが、んー。ああ、こういう終わり方?とちょっぴり肩透かしを食らった感は否めなかった。「新撰組」という舞台ではありますが、硬派な展開ではないのでそういうストーリー展開がお好みの方にはやや不向きかも。反対に言うと、ホンワカ~とした雰囲気がずっと続くので、痛い展開が苦手な方にはお勧めかと思います。

土方×総介のお話は半分くらいで完結。
後半は沖田総司がどうなったのか?というお話。

総介が幕末にトリップしたのと入れ替わるように、総司は現代にトリップしていた。そしてそこで出会ったのは総介の叔父の響。響は総司が、すぐに自分の祖先の「沖田総司」だと気づき、彼をサポートすることにするが―。

総介と異なり総司はかなり豪胆な人物です。彼のその性格のせいなのか?ドタバタコメディの様相を呈しているお話なのですが。

今作品では、それぞれ自分の元いた世界に戻ることはなく、戻りたいというそぶりも見せない展開で、突っ込みどころもたくさんありますが、色々深く考えたらアカン作品ですね。綺麗な男の子たちがイチャコラしているのを楽しむが良き作品な気がします。

上巻でドツボキャラだった斎藤さん。彼を幸せにしてほしかった感も否めないのですが、響もナイスガイなのでこれはこれでアリだなと。上巻では響はちょっと変わってて、でも優しい人物として描かれていますが、総司の方がより破天荒な人物なので総司に説明したりなだめたりする役目を担うためかスパダリ感が半端ないのも良かった。

面白くないわけではないんですよ。
新選組とか、タイムスリップとか、斬新なストーリー展開ではあるんです。あるのですが、んー、もう一声ほしかったなあという気もしました。ごめんなさい、完全に好みの問題で、こういうほのぼのなお話がお好きな方は多いと思いますが、何回も読み直す作品かと言われると否かなあ…、というのが正直な感想です。

萌えないわけではないのだけれど

夏河さんの絵柄が大好きなんですよね。レーターさん買いしちゃうくらいに。水無月さんに、夏河さん、そしてあらすじ。ドツボに入る予感しかしなくて発売日を心待ちにしていました。








主人公はレイタ。
14歳の時に7人組アイドルとしてデビュー。一時人気を集めるがその後鳴かず飛ばずで10年後に解散、レイタはそのまま芸能界を引退し、今はその日暮らしをしている。
彼は女性と一晩共にした翌日の朝(というか昼間)、ホテルのティーラウンジで一人の園児と思しき男の子を見かける。ホテルのラウンジにその年の男の子が一人?と不思議に思ったレイタだったが、その謎はすぐに解けることに。近くにその子の父親らしき男性がいたのだった。仕事でここにいるのであろう父親に連れられて、その子がいるのだと気づいたレイタだったが、その男の子(自分の名前を「コウ」と名乗った)が泣きそうになっているのを放っておけずに世話をすることに。

コウを迎えに来たのであろう女性にコウを引き渡し、その場を後にしたレイタだったが、後日トラブルに巻き込まれてしまったレイタを助けてくれたのは、その時の父親・島崎で―?

というお話。

島崎は男手一つで4人の子を育てているシングルファーザー。
そして、仕事に忙しい島崎に代わって、家事や子どもたちの世話をするために、レイタは島崎家に足を踏み入れることになるが…、というBLではよくある展開。

レイタという青年が複雑な家庭環境で育ってきたことが少しずつ見えてきて、今は夢に破れその日暮しをしている。そして一方の島崎さんは大企業の社長というスパダリさん。

うんうん、薄幸青年がスパダリに愛されるお話ね?

そう思いつつ読み進めたのですが。

んー。
んんー。
なんだろ、この萌えない感じ。

まず島崎という男性がですね、全然萌えない…。
あっさりとレイタに手を出す。
手を出すと言っても体の関係までは持ちません。キスまで。
が、は、なんで?という唐突さでレイタにキスを仕掛ける。

アンタ、子どもがいる父親じゃん。それでその節操なしってちょっとどうなの?
と思ってしまってですね。
で、さらに納得がいかないのがレイタもでして。

あっさり島崎に惚れちゃってる感じ。
いや、どこで、どんな感じで恋に堕ちたのかな?という。

島崎さんは超お金持ちなのに3枚1000円のパンツをはいていて、しかもボロボロになるまで履き続けている、というエピソードがありますが、それのどこが問題なのか分からなかった。というか、それがどこにつながるのかわからなかった、といった方が良いかも。

島崎の部下とか、4人の子どもたちとか、登場人物はそれなりにいてかつそれぞれトラブルに巻き込まれます。レイタが芸能人だったこと、4人の子どもたちのトラブル、父親としての島崎さんの関わり方。バックボーンが多すぎてバッサリ言ってしまうと話に一貫性が全然ないと感じました。上手にミックスされているというよりもいきなり話が変わってしまう感じ。

あと大きかったのが、島崎さん、レイタともに、好きになれなかったというのも大きい。二人の魅力が全く分からなかった。

ごめんなさい、好みの問題だと思いますし、こういうお話が、こういうキャラがお好きな方がたくさんいらっしゃることもわかります。単純に、私の好みではない、ということなんですけれども。

夏河さんの描かれた挿絵は可愛いですし、全く萌えないわけではないのですが、ごめんなさい。次回作に期待。正直に言っちゃうと評価は「趣味じゃない」なのですが、夏河さんの挿絵に萌えたのでちょびっとおまけして「中立」で。

んー

作家買い。
高月さんの描かれる受けさんて、みんなガッツがあるっていうのかな。精神的にタフな受けさんがいつもドストライクなのです。そして石田さんの描かれたこの美麗表紙にも心鷲掴みにされ、発売日を心待ちにしていました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。







若干28歳の柏木はかつての仕事の株を売り払い大金を手にしたセレブ。
恵まれた精悍で美しい美貌と体格で、美女と一夜のアバンチュールを過ごす日々。その日も彼はとあるパーティーに出かけ、そしてそこで彼は懇意にしている女性が連れていた男性に目をとめた。

すらりとしたスタイルに綺麗な顔。
けれどそこはかとなく漂う退廃とした空気感が、その男性の「素」をあらわしているようでもあった。そして柏木はその男・拝島と再び出会う。柏木が運転していた車の前に、飛び出してきたのだった。

もしかして、彼に車をぶつけてしまったかもしれない。
そんな柏木の困惑に付け入るように、拝島は「数日間家に住まわせてほしい」と頼んできて―。

柏木はセレブ。
一方の拝島はヤクザから逃げている、裏社会でしか生きていけない男。

そんな相反する二人の男が期間限定の同居生活を送ることになって…、というお話。

序盤は柏木視点で物語はスタートします。
お金はあって、アバンチュールを楽しむ富裕層。
そして何より、柏木が今「ここ」にいるのは友人の裏切りにあったためで。

ただ時間を消費していくだけの日々。
上っ面だけを繕い享楽的な火遊びに明け暮れる男女の姿。

という、柏木の乾いた感情って言うんですかね。
退屈な毎日、という描写が続き、その柏木の感情に引きずられるように、読んでいても全然面白くないの。これ、高月先生の手腕なんですかね。

そして、そんな日々にするりと入り込んでくるのが拝島という男の存在。
真面目に働くことが嫌いで、女関係でトラブルを起こしヤクザから逃げている、今までの柏木の生活には無縁だった、そんな人物。

ほうほう、そんな二人の恋の行方は如何に?

そう思いつつ読み進めましたが。

んー。
面白くないわけではないんですよ。
が、話に締まりがない。

柏木という男性は友人で共に起業した人物から裏切られる形で失脚していますが、それに関して特に掘り下げられることもなく。
今、何をしている人なのかもいまいちわからず。
株の売却金で億という大金が入ってという描写はありますが、28歳の若い男性があれだけ湯水のようにお金を使って、なお余りあるってどれだけお金が入ってきたのかと不思議にも思うし。
女性、というか、人に対して執着することもなく、ましてや恋人という存在に重きをおいていないように、見える。

そんな人物が、なぜ、拝島に惹かれていったのか。
そこもよくわからない、というのか…。

拝島という男性は、確かに不思議な魅力を持った男性ではあります。ありますが、根無し草のような、女にだらしない(本人は自身を「ジゴロ」と称しています)、いかにも訳ありな、そんな男性を家に住まわすなんて、かなり現実離れしている感があってどうにも話に入り込めなかった。

そして肝心のストーリーも。
誰が黒幕なのか、拝島を追い詰めているのは誰なのか、というのが軸になっていると思うのですが、その辺りも非常にぬるい展開で、さらりと流されてしまう感が拭えなかった。

「恋は堕ちるもの」とはよく言いますが、おそらくこの二人には惹きつけ合う何かがあったのだろうとは思います。恋の駆け引きをしていた、大人の男たちが、その罠に自分が落ちてしまった。こういうお話がお好きな方は多いだろうなとも思います。思うのですが、いかんせん、萌えが滾らない。柏木も、拝島も、どちらも薄っぺらい人物像にしか読めなかったのが敗因か。高月先生ならではのなよなよしていない受けちゃんは素敵でしたが、ごめんなさい、完全に好みの問題です。

次回作に期待。

んー

表紙と帯、そしてあらすじが素敵すぎて思わず購入。
ドロンドロンのドシリアス系?と思いつつ読み始めました。

ひなこさん作品て実はあまり読んだことがなくて、今作品も『何かいいの見つけた!』のスピンオフ作品のようですが、そちらは未読。未読ですが問題なく読めました。




中学生の陸は一人でいることを好む少年。
そんな陸を心配した一つ年上の姉は、時々彼女の友人の男の子を陸に引き合わせていた。年の近い同性の友人ができれば陸が相談もしやすいと思ったからだ。

その日も一人の友人を連れてきた。洋二という名のその男の子は、陸がどんなにそっけなくしてもすげなくしても、もろともせずに声をかけてきた。そんな洋二に少しずつ惹かれ、信頼し、そして身体の関係を持つに至る。が、ある日陸は見てしまう。洋二が、女の子と関係を持っているところを。

洋二は自分だけを好きなわけではなかった。

そう感じた陸は洋二との関係を一切断つことに。けれど、とある理由により、陸は洋二と同じ高校に進学。そこで洋二と再会するが―。

人に懐くことのなかった、まるで野良猫のような陸が、洋二に心を明け渡し、身体も開き、けれどクズ攻めにきっちり別れを告げた。うんうん、攻めザマア展開なのね?

そう思いつつ読み進めたのですが。

んー。
なんだろ、この萌えなささ。
陸が洋二と同じ高校に進学したのには理由はあります。ありますが、今一つしっくりこないっていうか…。

結局陸は洋二を忘れきれていないんですよね。
口では露悪的なセリフを洋二に投げつけ、避け、けれど陸の言動の端々に洋二への未練がたらたらなのが透けて見える。その二面性が、おそらく萌えどころなのだろうとは思うんです。思うんですけれど、個人的にはなんて言うんですかね、女々しいというか何というか…、そんな風に感じてしまった。

そこまで思われるほど、洋二という人物が魅力的には思えない、というのも大きいかも。彼は陸を可愛がってはいましたが、再会して以降、陸に拒否されるたびに「可愛くない」とか「イラつく」という言葉を吐くんですね。彼は従順な陸だけが好きなんだろうか…。

面倒くさい二人の、こんがらがった恋の行方、なんだと思います。
こういうお話が好きな方がいらっしゃるのも理解できます。
執着心露わに迫る攻めに、逃げたいと思いつつ惹かれてしまう受け。設定としては非常に魅力的ではあるのです。
が、個人的には今一つ萌えない。完全に好みの問題かと思います。

あとゲス男の洋二は、女性とのセックスシーンの描写があります。女性との絡みが苦手な方は注意が必要かもです。

『何かいいもの~』の登場人物なんだろうな、というキャラも少し登場していて、このちょびっとの描き方だけでそちらの作風が読み取れるのは凄いなあと思いました。『何かいいもの~』がお好きな方には堪らないんじゃないかと思います。

正直に言ってしまうと評価は「趣味じゃない」なのですが、まだ続きがあるので「中立」で。次巻以降、どうなっていくのか、追いかけたいと思います。

設定は非常に魅力的だが

作家買い。
あとがきで月映先生自身書かれていらっしゃいますが、既刊とは「一風変わった」作品だったように思います。月映さんには珍しく、と言って良いんじゃないかな。ファンタジーものですが、今までの作風とちょっと異なるのはそのバックボーンだけではなかったような気がしました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





大学生の秀翔は、今、檻の中に入れられている。
自分を覗き込んでくるのは人の姿ではなく、獣の頭をしていたり、翼を持っていたり、獣の身体をしている異形たちだった。可愛い女の子についていって、少しの下心を満たそうとしていた彼を待ち受けていたのは、そんな思いもよらない世界だった。

そして、彼は売られ、食べられそうになってしまう。そこを助けてくれたのは山羊の頭を持つ魔物で―?

というお話。

序盤、なぜ彼がそんな憂き目にあうのか、彼が今いる場所はどこなのか、彼を助けてくれた山羊頭の魔物・サタナキアは一体どんな存在なのか、などなど全く分からない状態で物語は始まります。が、そこから、秀翔が普通の大学生で、それが「たまたま」目をつけられ、そして魔界に連れてこられたことが見えてくる。そして、サタナキアという人物像も。

そのストーリー展開の仕方は本当にお上手で、グイグイ物語に引っ張られるっていうのかな。うんうん、それでどうなるの?とページを捲る手が止められない。

が、うーん。
何だろうな、この消化不足な感じ。

「秀翔」という男の子の魅力が今一つ分からなかったからかも。

彼が魔界に連れてこられてしまったのも。
サタナキアが秀翔を買ったのも。
サタナキアが秀翔を愛したのも。

全部「たまたま」なんですよ、結局のところ。
秀翔でなければならなかった理由は、一つもない感じ。なので読んでいて今一つ説得力に欠ける。個人的に「秀翔」という男の子の魅力が分からなかったのが最大の敗因かと思います。

そして二人の間に育っていった愛情も。
んー、お互いに「彼」でなければ、という部分が大事だと思うのだけれど、そこもあっさりというか何というか…。秀翔の言動の一つ一つがサタナキアにはツボだったようですが、そこまで特別な何かがあったようには読み取れなかった。私の読解力不足かもですが。

秀翔がトリップした場所が魔界という部分は非常に独創的で魅力的な設定だと思うのですが、魔界でなかったとしても問題なく進むストーリー展開だった気がしました。

ベースとしてはシリアス寄りではあるのですが、いかんせんサタナキアがめちゃめちゃスパダリさん、かつ秀翔を溺愛していることもあってか痛い展開になることはほぼありません。スパダリに愛でられ愛される受けさん、のお話が読みたいときにはぴったりな1冊かと思います。

SOTUS 1 コミック

  BitterSweet 

んー

ドラマが人気だそうですが、ドラマの方は未聴。
「タイBLの金字塔!」という文句にも惹かれ、慧さんの描かれた美麗表紙にも萌え度が高まり、テンション高く購入しました。

内容に関してはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが一応ざっくりと。






その大学の工学部には、「SOTUS」と呼ばれる教育制度がある。
学部のシンボルでもある「ギア」を持つにふさわしい人物になれるように上級生の指導者(=ワーガー)が新入生に様々な試練を与える、というもの。

けれどその「試練」はいじめに近いものも多くあり、それに反発する新入生も多い。SOTUSの指導者の3年のアーティットの言葉に、反抗するかのように言葉を返したのは1年生のコングポップだった。

アーティットに目をつけられたコングは様々な難癖をつけられるようになるが―。

が、怖いはずの先輩は可愛いし、後輩を怒るときもきちんと意味がある模様。その怖い先輩に、彼に惚れちゃった後輩くんが攻めまくる、という展開のお話。
なのですが、まだ1巻ということもあってすれ違いの部分が多く描かれています。それゆえ、でしょうか、萌える部分が少ない…。

コングがアーティットに「先輩を僕の妻にします!」と衆目あつまる中で言い放つシーンが萌えMAXの部分なのかなと思っていたのですが、これ、別にコングがアーティットに惚れこんでいるから出たセリフではないんですね。

先輩を、自分に屈服させる、という意味の言葉なんです。

かと思うと、過去にアーティットと接点があったかのような描写とか、実は寮(だよね?アパートかな)の部屋が近いとか、コングがアーティットに惹かれているのでは?と思わせる部分もある。

んー、文化の違いなのか、それとも自分の萌えツボがずれているのか…。ストーリーに一貫性がなくちぐはぐな感じがして今一つ萌えが高まらない。怖い先輩のアーティットが、コングにぐずぐずに愛され攻略されるという部分まで差しかかれば、あるいは萌えるのかも。

同じくタイBLの「2gether」のコミカライズ版を読んだときも思ったのですが、ドラマでの綺麗な男の子たちのわちゃわちゃを愛でるが良い作品なのかもしれません。

慧さんの描かれるコミカライズはさすが綺麗で、普段ワーガーとして後輩たちに指導しているときは怖いのに、プライベートで前髪をおろしている時は可愛いとか、甘いドリンクが好きとか、そのギャップはめっちゃ可愛い。

おそらく今巻はまだ前座の部分なんでしょうね。
次巻に期待したいです。

攻め×攻め、という文句に惹かれたけれど

あらすじに書かれている「攻×攻陥落BL!」という文句にフラフラ~と吸い寄せられるようにしてお買い上げ。可愛い受けちゃんも良いけど、雄っぽい受けさんも良いよね。

ということでレビューを。






主人公はリーマンの橘。
彼はドSでタチ専を自認している。そして、恋人は不要。彼の望む「セックス契約」を結んでくれるセフレとの関係を楽しんでいた。

が、ある日バーで一人の男性に声を掛けられる。イケメンで、「タチ」の空気感を纏う久住という男性。タチには興味がない橘だったが、「自分はネコ専」といった久住の言葉を信じてホテルへと赴くが、そこで久住は豹変し―?

というお話。

一言で言ってしまうと、よくある話だな、というのが正直な感想。タチ×タチで、どっちがネコやる?という展開。が、今作品はそこに愛情が存在しているわけではありません。もともと恋人同士という二人ではないし、たまたま見かけた好みのタイプの男との遊びでの関係。どちらが攻めをするか、という、男のプライドをかけた勝負、といった側面が強い作品かと思います。

んー。
完全に好みの問題だと思うんですよ。
イケメンで、攻めオーラビシバシの二人の男が、攻めをしたくて奮闘する。それはそれでアリではある。が、個人的に、そこに愛が存在していてこその濡れ場、という展開が好きなので今一つツボに入らなかった。

久住という男性は凄く俺様なんですね。
半ばだまし討ちのような形で橘とホテルに行き、無理やり抱いてしまう。もともと久住は橘のことを好きだった、という展開であったならそれもありかと思うのだけれど、久住から橘への愛情を感じないので、橘を屈服させたくて無理やり抱いた感が否めない。

タチを気取ってても、お前は男に抱かれる方が好きなんだよ。

っていう感じ。
これ、自分がやられたらと思うとぞっとする。

そしてもう一点。
橘の攻めオーラが揺らぎないのは序盤だけ。早々に軟化してしまう。もう少し粘ってほしかったというか何というか。橘が久住に抱かれても良いと思うその理由が、「快楽」であったようにしか読み取れなかった。いや、それでも良いんですけどね、それだと単純に攻めさんがメス堕ちしちゃった、という流れになるわけで今作品の軸がぶれる気がするんですよね。

攻め×攻め、という心惹かれるパワーワードですが、それぞれが「自分は攻めです」っていう立場にいるだけ。精神的に強くカッコいい攻めさんが受けになる、といった展開ではなかった気がしました。

が、絵柄はとても綺麗で、濡れ場もとってもエッチ。
綺麗な受けさんがお好きな方にはお勧めかなと思います。

完全に好みの問題ですが。

ドラマが大人気だそうですが、ドラマは未聴。ちなみに原作小説も未読という、まったくの初心者状態で手に取りました。

内容はすでにご存じの方も多いのかもしれませんが、一応ざっくりと。




主人公のタインは大学1年生。
日常は常に「ペア」であふれている。自分も、自分の「ペア」になる彼女が欲しい。大学生になり新生活を始めたタインは運命の相手との出会いに期待する青年だが、彼に愛の告白をしてきたのはゲイの同級生のグリーンだった。

断っても断ってもしつこく付き纏うグリーンに辟易したタインは友人の勧めもあって架空の彼女を見つけようと奮闘するが、そのタインが偽物の恋人としてロックオンしたのはイケメンで女子人気の高いサラワットだった。サラワットに事情を説明し偽物の恋人になってもらおうとするタインだったがすげなく断られてしまう。

諦めずにアタックし続けるタインだったが、その過程で少しずつお互いを知っていき―?

というお話。

誤解の無いよう初めに書きますが、奥嶋先生の絵柄も作品も好きなんです。
好きなんですが。

んー、でも、この作品にはちょびっと合っていなかった気がしました。この作品のベースはコメディなんですね。そのコメディ調のストーリーに奥嶋さんの絵柄では、本当に少年誌、あるいは青年誌に掲載されているような作品になってしまった気がします。

画力はもちろん高いですが、BL作品として読もうとすると色香が圧倒的に足りない。コメディ寄りの作品であっても、そこはかとなく漂う色香とか綺麗さ、可愛らしさがなければそれはBLとしての魅力は欠如する、と個人的には思うんですね。これが青年誌であればアリだと思うのですが、あくまで今作品はBL作品なので……。

いや、失礼な感想で申し訳ない。
このコミカルさが今作品のキモであることは分かってはいますし、こういう作風がお好きな方がたくさんいらっしゃることも分かります。あくまで好みの問題です。

で、ストーリーも微妙に突っ込みどころがあったように感じました。

まず、タインはなぜサラワットに白羽の矢を立てたのか。
あれだけ拒否られ、女子人気が高い男性ゆえに女子の皆さんの反感も買うのでは?とか思うとなぜそれがサラワットでなければいけなかったのか、が分からない。いつもつるんでいる男友達でもよかったんじゃないですかね。

そしてそもそもタインは女の子が好きなんですね。
サラワットに架空の恋人になってほしいと迫っているさなかに、ギター部に入ってくる女の子に夢中になるシーンがありますが、それはあまりにもサラワットに対して失礼じゃないですか……?とかね。

そしてこれに尽きるかも。
サラワットがタインに惹かれ始めている風でありますが、いったいそれは何故……?

たぶん、綺麗な男の子たちのわちゃわちゃを楽しむが正解な作品なのでは?と思うのですが、何度も書いて申し訳ないですが、その二人の間に流れる色っぽい感情とか男の色香が読み取れなかったのが敗因かと思われます。

ドラマも小説も拝見していないので、今後ストーリーがどう動いていくのかわからないのですが、おそらくまだ序盤かと思われます。今後どうなっていくのか、楽しみではあるのですが。正直に言ってしまうと評価は「趣味じゃない」なのですが、今後の期待も込めて「中立」で。

人気作品に、人気作家さまの作品に低評価をつけて申し訳ない。
次巻に期待。

設定はツボなのだけれど。

秀さんというと何となくシリアスだったりダークな作品を描かれることが多い作家さま、のイメージが個人的に強くってですね。そんな秀さん作品がルチル文庫で刊行されると聞いて、若干の驚きとどんな作品になるのかという期待をもって、発売を楽しみに待っていました。

だって見てください、六芦さんが描かれた、この可愛らしい表紙を…!
ほっこり系?ほのぼの系?とか思いつつよみ始めました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






一人の青年が、とある場所で目を覚ますシーンから物語はスタートします。

扉のある場所で目覚めた、一人の青年。
扉を開けることもできず、そして自分に向かって人々が何やら拝んでいる様子。

どういうこと?

と自分が置かれた状況が理解できなかった「彼」だが、陽が落ちて一人の老人が自分の元へとやってくる。その男性が言う事には、自分は、

もともと車のディーラーとして働いていた叶野という名の青年。28歳。
仕事途中で事故死してしまい、魂が神へと転生してしまった。

のだという。

なかなか現実を受け入れることができなかった叶野だが、自分に熱心にお願い事を言いに来ていた優弥という青年のことが気になって仕方ない。ほかの神さま仲間に相談すると、自分が気に入った人物の願いを叶えることは問題ない行為だと言われる。

「小説家になりたい」という優弥の願いを叶えるために、新人神さまである叶野は奮闘することにする―。

というお話。

通常運行の秀さん作品とは一線を画す、ポップでコミカルな、そんなお話でした。

神さまはある一定の条件を満たすと「実態」を持つことができる。それを知った叶野が、人の姿で、あるいは人の目に見えない浮遊物の状態で、ありとあらゆる手段とつてを使って優弥を守り抜く。

神さまって、新人とかいるんだ。
とか、
死んだ人が、神さまに転生する。
とか、ちょっとぶっ飛んだ設定。優弥は作家になれるのか、とそこを軸に進むストーリー。

かと思いきや、え、そういう展開?という流れにもなって、どうなってしまうのか気になってページを捲る手が止められませんでした。

が、うーん。
設定は凄く面白いんですよ。面白いのですが。
肝心の2人の恋心、という部分に関してはかなりあっさりしています。速攻で身体の関係になり、瞬殺で両想いになる。

二人の想いが通じる部分、に、私は重きをおいているのでこのあっさり具合に肩透かしを食らった感が半端なかった。

反対に言うと、ほぼほぼ痛い展開にはなりません。
終始ほのぼの。優弥という青年が信心深いこともあって、他の神さまたちとの関係も良好。

痛い展開が苦手、とか、ぐるぐるするのはあまり好きじゃない、とか、そういう気分の時にはぴったりな1冊かと思われます。

どこかで読んだような…?

あらすじに惹かれて購入。

オメガバースものはその作品ごとに若干設定が異なりますが、今作品はアルファは獣人でアルファこそ至高の存在。対してオメガはフェロモンでアルファを誑かす害のある存在。という、オメガが迫害される世界観のお話です。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






主人公は人間でオメガのサナ。
彼は男手一つで息子のリンリンを育てている。リンリンの父親はセルディンティーナ王国の現国王・ガーシュイン。かつてガーシュインが王太子だった時に他国に留学していた時に大学の警備員として働いていたサナと出会い、そして恋をして。

けれど一国の王太子と、ヒトでしかもオメガのサナとは身分が違う。そう思ったサナは身を引く形でガーシュインのもとを去り、一人で子を産み育ててきた。が、リンリンが5歳になった時に王位継承権を持つリンリンが狙われ襲撃される。そこを助けてくれたのは、かつて愛した最愛の恋人のガーシュインで―。

というお話。

獣人が王族であること。
貧しいオメガが家を守るために兵として稼いでいたこと。
王族の子を身ごもり、身を引いた赤毛の、オメガの、薄幸青年が受けであること。
そして、獣人の子を身ごもり、貧しいながらも一人で愛情いっぱいに子を育てていること。

んー。
んんー。
あれ、どっかで読んだような…?
という既視感がぬぐえない物語のスタートです。

でも、こういうお話ってドツボなんですよね。薄幸で、でも一生懸命に生きる受けくんがスパダリ攻めに愛され幸せを手に入れる、というストーリーが。

読み始めたとき、サナの男気と健気さに萌え鷲掴みにされたのです。

が。
うーん。
なんて言うんだろうな。読み進めていくうちにすごくちぐはぐな感じがする、っていうのか。

今一つバックボーンが生かし切れていないと感じました。
サナの家は貧しく子どもの時から兵として働いていた、という出だしだったと思うのですが、実際にサナが兵として働いているのは大学の警備員。そこでサナは初っ端からガーシュインに見初められ甘やかされ溺愛される。

身分違いの恋から身を引いたはずなのに、ちゃっかり自分もリンリンにくっついて王宮暮らしに甘んじ、そのまま幸せな生活を送る。迫害されていたはずの「オメガ」という部分についても、あれ、その設定どこに行った?という感じ。

「身分違いの恋」だったはずが、国民たちはサナの味方。ガーシュインとサナが番になるのを反対するのもごく一部の人たち。そもそも、リンリンを狙って襲撃してきた派閥の人間はどこへ行った…?

みたいな。
グイっと惹きつけられて読んでいくと、途中であっさり梯子を外されちゃう、そんな感じが否めなかった。

設定、登場人物たちが似通っている他の作品とどうしても比較しながら読んでしまっていて、それと比べるとストーリーに奥行きがない。

が、反対に言うと、ドシリアスな話ではありませんし痛い展開になることはほぼほぼないので、そういったお話が好きではない方にはお勧めな作品かと思われます。