運命の向こう側

unmei no mukougawa

運命の向こう側
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神101
  • 萌×247
  • 萌29
  • 中立5
  • しゅみじゃない11

--

レビュー数
21
得点
785
評価数
193
平均
4.2 / 5
神率
52.3%
著者
安西リカ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
ミドリノエバ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
シリーズ
運命の向こう側
発売日
価格
¥689(税抜)  
ISBN
9784778125554

あらすじ

Ωでありながらも持ち前の明るい性格で前向きに生きてきた春間は高校の入学式で予期せず運命の番である冬至と出会ってしまう。
それから数年、傲慢な所がありながらも春間には甘々な冬至と二人で幸せに日々を過ごしていた。
だが子どもを産んでほしいと熱望する冬至とは対照的に春間はなかなか決心がつかずにいた
。そんなある日、二人が目を覚めるとそこは別次元で?? 。

表題作運命の向こう側

石田冬至、国立研究所勤務の天才肌の研究者・アルファ
小野春間、大手メーカーのグループ会社勤務・オメガ

その他の収録作品

  • 運命のこちら側
  • あとがき

レビュー投稿数21

もしもバース性のない世界に転移することができたなら

スピンオフ作品である『オメガは運命に誓わない』の方から先に読み、あちらにも出てきていたスピン元が気になり、読んでみました。

高校の入学式で運命的な出会いをし、10年が経つカップルのお話。
ある日突然、バース性のないパラレルワールドに飛ばされ、今まで阿吽の呼吸のように匂いで分かっていた互いの気持ちが分からなくなり、困惑し…という姿が描かれた作品です。

もう、この「バース性のないパラレルワールドに飛んでしまう」っていう設定を思いつく安西先生の頭が素晴らしすぎる&すごすぎるなあと…
アルファとオメガという結びつきがなくなり、フェロモンも感じなくなり、生まれる不安と疑念。
そして、オメガの春間にとっては発情期もなく抑制剤も不要な、不思いがけず居心地のいい世界に転移し、元の世界に戻るのか?この世界にとどまるか?という葛藤。

主に受けの揺れる気持ちと悩みに共感しながら、夜中に読み始めてほぼ徹夜で読み切ってしまいました。

個人的には、カップルの恋の進展を見たい、という欲があるためスピンオフ作品の方が好みだし、萌えたなあ、と。
スピンオフの方でマッチングセンターに登録して成婚を夢見る「(一人は)さみしいだろ」って呟くアルファ攻め様がめちゃくちゃ好きだったので//

こちらの作品は、より「考えさせられた」という感じ。
自分が春間だったらどうするだろう、と思いを巡らせ、春間と一緒になってうーんと悩み、そこに読み応えを感じました。

スピンオフ作品に出てきた菅田によると、風花は戻った後、子供を産んだんですね。「子供を持たないという選択をしたアルファ・オメガ」の姿を見てみたかった気持ちもあるので、彼の中でどんな心境の変化があったのか、主役ではないけれど、そのへんを掘り下げて読んでみたかったなあ、という気持ちも。

”萌え”とはちょっと違ったけれど、愛とは”本能”に左右されるものなのか、それを超えた結びつきがあり得るのか、そんな深いテーマについて色々思いを馳せることのできる作品でした。

0

なるほど…新感覚!

最新の”普通の恋人”がすごく好きだったんですが、そういえば、
こちらのオメガバは読んでなかったな~と復習中。

バース性のある世界からない世界へ移動してしまったアルファとオメガ。
うわっ、、オメガバだけでもお腹いっぱいなのにさらにパラレルワールド!?とちょっと抵抗を感じたのですが…サンドイッチの具材に例えるワープの仕組みがわかりやすくてw、あとは没入できました。

それぞれのバース性によって当たり前のように結ばれた二人が、その当たり前のような”性”がなくなったときに、本当に恋人でいられるのか?という実験的ラブストーリー。伴侶を決定づける要素がなくなって、バースによるハンデもなくなった世界では選択肢が広がるんですけど、それでも同じような選択をするのだろうか?というオメガバ作品へのアプローチ、安西先生らしいな~と思いました。

お互いの存在と状態を判別していたシグナル(匂い)がなくなって、相手の気持ちに対して確信が持てず不安になる描写が素晴らしいです。バース性のない世界で改めて「好きだ」と気持ちを確かめあった受の気持ち、”言葉にしなくてはいけない感情が、なんだかすごく頼りなかった”、という表現がめちゃくちゃ刺さりました。”伴侶”ではなく”恋人”という立場から、あらためて相手を好きな気持ちを自覚していくという流れが新鮮でした。番でいたとき以上に、相手を思いやって、それぞれが後悔しない決断をしようと受が葛藤する場面はハラハラしてしまいました。

また、周囲と共有する記憶(事実)が違うところで生きていくってちょっと気持ち悪いというか違和感でしょうね。そこで同じ過去を積み重ねてきた人間関係の大切さも感じたりして、、いろいろと考えさせられる課題図書的作品だなと思いました。ただ、、やはり”子供”云々の描写はモヤっとしちゃいました。

0

オメガバースだった

全くそうだと知らずに読んだのですが、普通のオメガバースじゃ無かったので面白かったです。
オメガ性の世界からそうじゃ無い世界へ移動してしまった二人。

オメガ性の世界なら、番、伴侶という絶対的なつながりがあるのですが、普通の世界にはそれが無い。すぐに別れることだって出来る。
そんな不安定な関係に不安を感じながら、戻るべきか悩む受け。
オメガ性の世界では、オメガであることに引け目を感じ、妊娠も避けて、ちゃんと自立したいと考えていた受けですが、普通の世界で考えが変わります。
攻めとの関係が実は添え物ではなく、二人でしっかり作り上げるものだと認識できたからでしょう。
そして子どもを授かっても良いと思えるようになり、自分の仕事とオメガ声の世界に戻ることを天秤にかけて…

自分の身に置き換えると、そこで仕事を取っちゃったんですが、攻めのような強力な愛情があったら変わっていたのかな。
考えさせられる作品でした。

0

斬新!

2018年というと、もうオメガバースが浸透して作品もかなり増えていた頃じゃないかなと思います。そんな中で王道でありながらも一捻りある設定が書ける安西先生はさすがです。

安西先生は「何も起こらない話(ご本人談/意訳)」を書くのが本当にお上手です。大事件を起こさずとも丁寧な心理描写で引き込まれます。
今回は大事件が「起こって」ますが、あくまでもメインは心理描写であり、安西先生のいつものテイストでお話は進みます。

オメガバース・安西先生 初心者から上級者(?)まで幅広い方におすすめできる作品です。

1

異世界ワープ 春間は「当たり前」に気づく

「オメガは運命に誓わない」が面白かったので、関連作も読んでみました。

紹介文には、
>Ωの春間は高校の入学式で運命の番・冬至と出会ってしまう。
それから数年、春間に甘々な冬至と幸せに過ごしていた。
子どもを産んでほしいと熱望する冬至。でも春間は決心がつかない。
春間に発情が来た翌朝、起きたらオメガバースが無い別次元に二人だけが移転 <
・・・SF要素のパラレルワールドに二人がワープ。
必要性があったのか疑問だけれど、異世界ワープでコメディ度が上がってる。

想像した内容と異なるけど、いつもの著者の作品と比較すると非日常性、異色で面白かった。
私は、「オメガは運命に誓わない」のほうが楽しめた。

1

運命!?

オメガバースの運命の番だからと強烈に惹かれ合うことに、どれほど気持ちが伴ってるのかモヤモヤしてたとこに刺さった!!

突然バース性がない世界に飛ばされオメガバだけど日常BL!
当たり前がなくなり、戸惑いながら言葉を尽くし思いやり、改めて関係を強固にしてくの愛が深い~

性差が逆境となり力が湧く時もあれば、線引きしてるとこもあり、そこに気づいて踏み出していくのも良かった!!風花さんとこも愛が深まり、クールぶってるCPのデレは良い、笑っちゃうくらい痛快!!
運命で出会えたことはあくまできっかけで、運命や性に葛藤しつつそれ以上の想い募らせてくの沁みる!

発情期えっちとオメガバのない世界の不馴れな初々しいえっちと2パターン読めたのも嬉しい!!普段は男前な受けがどろどろで誘っちゃうのも、素面で勇気振り絞って誘えのもどっちもクル!!
日常→オメガバ界に飛んだ違う世界線の二人のことも気になっちゃいます。

1

これは読まねば!と思わせるテーマ

オメガバースと異次元トリップという流行に乗った派手な設定だが、内容は平和な日常系で、カップルの普遍的なテーマが主軸となっている。運命で結ばれたカップルがバース性のない世界に突如トリップし、関係を見つめなおすお話。
一緒にいるのが当たり前になっていた二人が、ふと立ち止まったとき、本当に相手のことが好きなのか?という疑問にぶち当たる。その瞬間を強制的に与えられているということで、これは読まねば!と期待して手に取った。

導入はオメガバ世界での二人。出てくる人は皆理解が早く、展開はサクサク進む。本題はここじゃないと分かりやすく、ストレスフリーで読める。冬至の理解が早すぎる点も、しっかり理由が書かれていたので良かった。
ダレそうな長い説明文には、ベストなタイミングでさりげなくコミカルな表現を入れてくれ、飽きさせない安西さんの文章の魅力を感じた。「すたこら」帰ってくる攻めとか、「豊かな沈黙」なんて表現がとても好き。

バース性のない世界にトリップしてからの話は、二人の恋にどっぷり浸かって満たされる。
オメガのハンデが無くなった春間は仕事が上手くいき、元いた世界に戻るか否かを迷い始める。冬至はただただ春間を尊重し、見守り役に徹する。
春間の葛藤は当然のものだし、恋愛に悩む内容も初々しくて良い。特にバース性が消え、匂いが無くなり相手の気持ちが初めて読み取れない状況に戸惑う二人が好き。最終的に冬至を選ぶまでの流れも良かった。
冬至の方は最後まで理想の彼氏すぎて逆に辛くなった。アルファの下駄履いてた分が無くなったのは大きいし、新発見も多かったはず。そこを深く書いてくれたら良かったが、さらっと流して子供の話になってしまったのは残念。
お互いを尊重し合い思い合っているのは伝わってきてすごく良かった。だが欲を言えば冬至も感情を露わにするシーンがもっと欲しかった。風花カップルにいいとこ持ってかれてる気が……。

受けが子供を作れるオメガバース世界。春間は子供を作って“あげよう”から気持ちが変化する。冬至も自分の子を孕ませて春間を自分のものにするという考えから、“二人の”子供を作ろうという考えに変わった。
オメガバ設定を活かした様々な二人の変化の描き方がとても巧いと思う。ただ一点、子供に関してはその先のビジョンが気になった。二人の未来=子供ってことかもだが、産んで終わりじゃないし、そのずっと先までの二人の想いも深堀りして欲しかった。

……ちょっと求め過ぎかな。ここが読みたい!のピンポイントを突いた素晴らしきテーマで、テンション上がって期待過剰になってたかも。
とはいえ運命に縛られなくても想い合う二人はしっかりここにいたので、読後は多幸感に浸れて満足!

タイトルは秀逸。これ以上ないくらいピッタリだと思う。好き。


~蛇足~
オメガバースは性欲だけが直接的で、システム的に理性的でなくされ、獣がヒトのふりをしているようなところが苦手だが、この作品も当然そこはオメガバースしている。導入部で受けは「受精したい」と望み、二人して人目も憚らずに発情する。
さらに地位格差の問題が男女差と被り、子供問題も入っている。
あからさまなオメガ差別やレイプは無いが、オメガバースが苦手な人に勧められる作品と言われても、私はピンとこない。
(あえて読んだので、上記要素で萎えた点は萌え度評価に加味していない)

3

出来る子

◾︎石田冬至(アルファ)×小野春間(オメガ)
以前オメガバース漫画作品で、「オメガバース世界から、βだけの世界(つまりは今この現実)を思う演出」があって面白いなと思ったのですが、まさにそんな作品でした。

春間が自分が思ってたほど出来る子、優秀な人間じゃなかったと自覚するシーンが好きでした。恋愛的な描写とは全然関係ないところだけど。自分の能力が足りないことを何かのせいにするってままありますけど、結局何かのせいではなくて自分のせいなんですよね。

恋愛的な描写だと、"バース性がないせいで相手の本心が分からずすれ違う"というこの作品の根幹はやはり面白かったです。読み始め、こんなに出来あがっちゃってる2人をどう展開させるのかな?と思ったらそういう"向こう側"だったか。

春間が戻る戻らないでうにうに悩んでましたけど、向こうに飛んでったベーコンの事を考えるのは一番最後なんだ〜という純粋な驚き。ベーコンはベーコン、卵は卵、某書籍じゃないですが「置かれた場所で咲く」べきだと思うから戻る一択の自分には、不思議だった。いや、演出上ラストシーンの向こうのベーコンからのメッセージを盛り上げるためにあえて脇に置いておいたのかもしれないけど。

ちょっと、ん?って思ったのは、春間も同調した風花のセリフ「発情したときの自分って、自分でもちょっと引くもんな。メスかよって感じで」
偏見と戦いたいタイプじゃないのか?メスって…こちとらメスだが、女性蔑視か?となんとなく違和感。別に登場人物が偏見に満ち満ち溢れたセリフを言ってても、作品がそういう思想のもと書かれているとは思いませんが、風花や春間がこれを言って、特にその後フォローが入るでもなくってとこになんとなくモヤッとしたり。

最後、冬至目線の「運命のこちら側」、終わり方が大変好きでした。冬至の人生は完全に春間と出会う前と後で別ものなんだなと。"完璧になった"後は、完全に春間のためにある人生なんだなと。最高潮でのENDマーク。美しい。

萌〜萌2

2

ハートフルオメガバース。

 安西先生の書かれるオメガバース!!!
とても楽しみに、わくわくと読ませて頂きました。
なんというか、意表をつかれた、というのかな。
なるほどー。
物語の中で春間と冬至が、普通に一生懸命生きていて、とても好感の持てる愛おしい2人でした。


 オメガバースの世界から、バース性のない異世界へトリップしてまった2人。
出会ってすぐ運命の番として生きてきた2人にとって、フェロモンで相手の気持ちがわからない不安があり、運命の相手ではなくなった自分以外に好きな人が出来るかもしれない、という不安がつきまとう。
 
 フェロモンを感じなくても、バース性がなくても、やっぱり春間が、冬至が、誰より好きで、何より大事にしたい存在。
これからは言葉にして「好き」って言い合おうって笑う2人がとてもかわいかったです。
そして、自分が歩んできた人生を大事にしている姿がとてもかっこよかった。


 読み終わった後、自分の人生をふと振り返ってみたりして。
そして、周りに対してもっと優しくありたいなー、と思ったりして。
そんな気持ちにさせてもらう、ステキなお話をありがとうございます。

2

ちょっと設定擦りすぎ

中立寄りの萌評価です。

さすが、安西先生。
文章は上手いです。読みやすく、引き込まれスラスラと読み終わりました。キャラクターや世界観に破綻はなく、きれいにまとまったオメガバースです。ですが・・・

設定を擦りすぎかなと思いました。
オメガバース設定を自分の得意分野に持って来るために(現代設定・切ない恋愛)凝りすぎた印象があります。それに感動している方も多いようですが(もちろん理解はできます!)少しだけ作者のわがままというかあざとさを感じなくもないです。ちょっとギミックが利きすぎている。そして説教臭い。

産む・産まないの悩みもBLとしては読みづらいものでした。
そこをテーマにするのなら一般文芸を読むし、そんな作品は巷に溢れている。読者はBLが読みたくて本を買っているのですから、何をテーマにしてもそこの満足度は高くないといけないと思います。

まんま男女のそれで興ざめしました。答えはありきたりな正論で、またそれも引きました。
安西先生がオメガバースを書く必要があるのかなと個人的には思いました。そんな設定なしでも、日常の何気ないシーンをキラキラ書ける素晴らしい作家さんです。読者が読みたいのもそういう作品なのでは?

ベテランの方でもオメガ設定がぴたりとはまる方がいるので一概には言えませんが、独自の持ち味を消してまでオメガを書く必要はないと思います。ブームなので仕方がないのかもしれませんが・・・。

キャラの好感度が高かっただけに残念でした。

5

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