溺れた純愛

oboreta junai

溺れた純愛
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×24
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
3
得点
36
評価数
10
平均
3.8 / 5
神率
40%
著者
中原一也 

作家さんの新作発表
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イラスト
高嶋上総 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイデジタルノベルズ
電子発売日
価格
ISBN

あらすじ

船の上、青年を犯しているのはダイオウイカだった…。行方不明になった幼馴染みを探し一人で海を出た一郎は、そこに現れたダイオウイカに拘束され吸盤で性器を刺激され射精してしまう。身体を嬲られることに悦びを感じてしまった一郎は自分の中に侵入してくるイカ類の生殖器である交接腕を止められず中出しされてしまい…!? より濃厚で刺激的なエッチを詰め込んだ短編読み切り!!

表題作溺れた純愛

ダイオウイカ
海原一郎,町役場の観光課職員,27歳

レビュー投稿数3

是非読んでいただきたい(それしか言えない)

2015年9月刊行の『エロとじ♥悦』掲載作品。イラストが1枚入っています(表紙絵はそれを構成したもの)。

「北斎かよ!」と心中で『キワモノ』と決めつけて読み始めたのですが、ちょっと待って。これ、全然違う!
むしろ、今年の某有名映画賞で作品賞を取った『シェ○プ・オブ・ウォー○ー』を思わせるようなラストに、今日一日、無意識のうちにこの作品のことを考えてしまっていました。完全に心を持って行かれた状態(早朝に目覚めちゃったんで朝読んだのですよ)。

いや、エロいっちゃエロいんですよ。かなり凄い事になってるんですけれども。
でも、心に残ったのはエロではなく『取り返しのつかない人生の哀しさ』。

ええと……
ネタバレなしで読んだ方が面白いと思うのですよ。
上記の紹介に書いてある以上の事を知ってしまうと、最後に来る「ああああああああああー!」という感情が目減りする様な気がします。
なので、書きません。
騙されたと思って読んでください(短いからお値段も安いし、時間だってそんなにかからないし)。

どうしてこういう結果を招いてしまったのか、文字に書かれていない事を考えてしまう作品です。
例えば「海原が暮らす海辺の町で、同性に想いを寄せることがどういう事なのか」とか「海原が27歳になる過程であったであろう様々な事」だとか。

そして何よりも、このラスト。
そうなの?……それとも海原、それはあなたが現実に耐えられず、違う世界に行ってしまったって事なの?

前述の映画がお好きだった方は必見です!
最後にひと言。
ここの所、何度も書いているような気がするのですけれど、
中原さん、すげぇ……(絶句)!

13

ただのイカ姦と思うなかれ

海のように深く黒い大きな瞳に見つめられながら、全身にキスを施されるように犯される青年がいた。

2023年最後の日にダイオウイカ攻めはいかがですか?
なんて言いたくなってしまうほど噛めば噛むほどと言いますか、余白を考えたくなる不思議な読後感がとっても良い。
元々はアンソロジーのエロとじに収録されていたこともあって、なかなかに色っぽいことになってはいるのですが…
なんだろうなあ。それだけではなくて、短編小説の長さを生かした構成の上手さが光る作品でした。
高嶋上総先生のイラストも大変色気のある素敵さになっています。

舞台となるのは寂れた海辺の港町。
寂れた漁村では何かが起こると勝手に思い込んでいる節があるので、この舞台設定と主人公・海原の設定、そして海原視点で淡々と語られる何気ないエピソードの中に妙に惹かれるものがあります。
あらすじにもある通り、ダイオウイカに海原は抱かれてしまいます。もう書いてあるそのまんまなんです。
あらすじを読んでまず、なぜダイオウイカに抱かれているのか?と思いませんか?

それが分からないんですよ。
なぜ抱かれているのかが分からないですし、ラストも人によって受け取り方が変わるものなのではないかな。
ありえないことや分からないことばかりが起こるお話です。
そのありえないの中に、ささやかな恋心や切なさがあったりと、作中に中原先生が少しずつ置いていった欠片を読みながら拾っては、こうなのかも・ああなのかもと自分なりに考えるのが面白い作品かなと思います。

あれこれと書きたくなってしまいますが、面白くなくなってしまうと思うと書けないのです。
もしイカに苦手意識がなければ、まずはぜひ1度読んでみてほしいです。読めばきっと分かります。
決して多くはないページ数の中に「誰かの癖に刺さるかもしれない」が濃密に描かれていました。
いやしかし、すごいお話を考えるなあ。面白かったです。

1

非キワモノ

まず表紙絵。
そしてあらすじのダイオウイカ。
意味がよくわからないながらも読んでみたのだが。
これは驚き!

どう言えばいいんでしょう?
まず冒頭が、漁船の甲板上で巨大ダイオウイカに絡みつかれ、身動きが取れない青年の描写です。
これは遭難なのか、事故あるいは(例えば)クマに襲われるといった事件なのか?
しかし、イカの10本の腕は巧みに動き回り、ある腕は青年の服を脱がせ、ある腕は青年が動けないように拘束し、ある腕は乳首をこねくり回す。
遂にダイオウイカに犯された青年の脳裏には、幼馴染のことだけが浮かんでいた…

主人公は公務員の一郎。元々東京生まれだが子供の頃海辺の街に引っ越してきた。
いじめられる一郎をいつも助けてくれたのが、今は漁師になった櫂(かい)。
いつの頃からか、櫂の視線に熱を感じ始めていた一郎。
最近急に揚がるようになったダイオウイカを、生捕りにしたらお前に言いたいことがあるという櫂だったが。
翌日の漁から櫂は帰ってこなかった…

櫂の姿を求めて、夜に一人船を出す一郎。
再び、あのダイオウイカが現れて。


これは短編ならではの作品なのかな。
解答や結末を見せずにブツっと終わらせることで、物語の不条理性のようなものを際立たせているというか。
また、ダイオウイカ?どんなキワモノかと思わせておいて、日常の亀裂や不安、友人か恋心かの揺れの急な終わりの宙ぶらりんさ、隣り合わせの死、非日常…
それらの全部が、海の大きな波にさらわれるようにドッと押し寄せて急に去る感覚。
ただの触手BLじゃありません。切なさがすごい。

2

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