妖精と人間が共存する世界に迷いこんだ高校生――傷つき死さえ覚悟した心が、あたたかく解れていくファンタジックLOVE!!

親愛なる僕の妖精王に捧ぐ

shinainaru boku no yousei ni sasagu

親愛なる僕の妖精王に捧ぐ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×214
  • 萌3
  • 中立1
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
8
得点
106
評価数
30
平均
3.7 / 5
神率
26.7%
著者
月東湊 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
価格
¥640(税抜)  
ISBN
9784199009198

あらすじ

この世界から、消えてしまいたい──親の離婚、義父の蔑み、学校での性的虐めに傷つき、海に身を投げた高校生の優翔。ところが目覚めると、背中に透明な翼を持ち、銀髪で桃色の瞳の王族の少年が、自分の顔を覗き込んでいた!! そこはなんと、妖精と人間が共存する世界――妖精といってもサイズは人と変わらず、先天的な者や後天的な者など様々らしい。王族最後の生粋の妖精だというウィーのもとで、しばらく暮らすことになって……⁉

表題作親愛なる僕の妖精王に捧ぐ

ウィー、優翔を助けた妖精族の王族の末の王子、17~
篠崎優翔、自殺しようとしてトリップした高校生、16

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数8

一方、残された人たちは

ここのレビューや、電子書籍のレビューから、優翔が海へ身を投げるほど酷い目に遭わせた同級生たちがどうなったかは書かれていないと分かっていたので、身を投げるシーンまで読んでてもやもやしました。
その後は異世界でがんばる優翔に物語の中へ引きずり込まれ、読後は、優翔とウィーの作る2種類の妖精族と人間の世界が今後どうなるかの方が気になるようになりました。

しかし、ちょっと想像してみます。
優翔は校長室へ連れていかれる最中に逃げ出しますが、校内で見つからないので、学校側は義父と警察に連絡します。優翔は16歳なので警察はちゃんと捜索します。上履きのまま電車に乗ったので、目撃者は多数、警察は行きついた先に崖があれば学校から逃げ出した優翔がどうしたか想像するでしょう。ただし、優翔は異世界にトリップしてますので死体は見つかりません。
義父は優翔が怪我をさせた生徒の親から慰謝料の請求をされますが、それを突っぱね、最近優翔がいかがわしいサイトに書き込みなどされていたことを警察に話します。
サイトの書き込みや、怪我を負った生徒が受け取ったメモから、優翔が誰かにいじめられていたことが表面化し、警察と学校は犯人捜しをします。優等生のクラスメイト達は自分が疑われることを嫌がり、上田や美冬、山城達の名をあげます。学校は私立の進学校なので、醜聞を避け彼らを退学にします。
義父は空っぽになった家に住み続けるか、再婚するか、ともかく優翔が自殺したかもしれないということを一生引きずるのではないかと思います。

0

楽園は存在しなくても・・・。

こちら、異世界トリップもので、主人公成長ものでもあります。
何だかホロリとさせられる、とても優しい物語でした。


内容です。
自身の状況に絶望し、海に身を投げた高校生・優翔。
気が付くと、何故か妖精族が暮らす、まるで楽園のような場所に。
夢であろうと、この優しい世界で穏やかに暮らしたいと望む優翔。
しかし、妖精族は絶滅の危機にあり、また種族間の問題を抱えていてと、ここも楽園では無い事を知りー・・・と言うものです。


まずこちら、妖精族の次期王・ウィーと、不憫な高校生・優翔と言うカップリングです。
序盤からかなり痛々しい展開で、義理の父親からは邪険にされ、学校では性的な事も含めた陰湿なイジメに遭いと、優翔がかなり不憫だったりします。
また、以前は優しかった義父をあくまで恨まずと、優翔がホントいじらしいのですよ。辛い目に遭おうとも、自分の力だけで懸命に踏ん張る・・・。
が、とうとう追い詰められた彼は崖から身投げして、と言うのがプロローグてトコでしょうか。

で、ここから妖精族の世界にトリップ。
人懐っこく天真爛漫なウィーとの出会い。
優しくあたたかい時間を過ごす優翔は、この世界に安らぎを覚えます。
しかし、女性の妖精族が生まれずに、彼等は絶滅の危機に瀕している事。
また、元人間の妖精族・茶色の妖精への酷い扱いを知り、この世界もきれいなだけの楽園では無い事を知りと言う流れです。


朗らかで天真爛漫に見えた、最後の妖精族であるウィーの孤独。
茶色の妖精を挟んで、人間と妖精族のこんがらがった種族間の問題。
優しくはあるもののどこか現実味が無かった妖精族の世界が、裏の姿を見せる事で主人公に成長を促し、地に足を付けた印象になると言うのが巧みです。
またこちら、主人公が16才でトリップしてから、5年と言う長い歳月を掛けて様々な事が変化してゆくのが書かれています。
主役二人が、共に少しずつ成長をし、ゆっくりと心を通わせてゆく-。
健気で頑張り屋な優翔に、そんな彼をひたすら大切に思いやりを持って接するウィー。
この二人を見守っていると、ラストの幸せな着地点が何だか感慨深い・・・。思わずホロリとくる感じでしょうか。

全体的には優しくゆっくりと進むストーリー運びなのですが、ハラハラドキドキさせられる部分もありと、飽きさせずに読ませてくれるのもお上手でした。

ところで、優翔の居た元の世界では、彼が居なくなった事でどうなってるんでしょうね。優翔を苛めた同級生や父親の、ザマァ展開が読めなかった事が心残りです。ホント酷いから!!

と、ちょい残念な部分はありつつも、心あたたまるとても優しいお話でした。

12

大切な人と共にあるために

今回は妖精族の王族の末の王子と
投身自殺で界渡りした日本人高校生のお話です。

現代では受身だった受様が
精霊族と人間の架け橋となり
攻様と共に歩む未来をつかむまで。

受様は地区で一番の
進学校に通う高校生です。

受様の実の両親は小五離婚し
母は今の義父と結婚しますが
中二の時に別の恋人を作って
家を出て行ってしまいます。

真面目な義父は
受様の面倒を見ていましたが
半年前に恋人らしき女性を
自宅に伴って以来
態度が変わってしまいます。

母が離婚すらせず出て行った為
今の生活を変えられず
徐々に荒れていきます。

そして
受様の家庭内不和を知った級友達が
受様を語って縁交サイトに登録、
男もいける3年生に受様を襲わせるまでに
イジメはエスカレートしていきます。

校長室に呼び出された受様は
担任を振り切って逃げだしますが
飛び乗った電車の終着駅で
何もかもに疲れはて崖から
身を投げて自殺を図るのです。

しかし…

受様は甘い香りと誰かの呼びかけで
再び目を開くことになります。

そこは人間とは別に
羽をもつ妖精族が暮らす世界で
受様は王宮の庭先に
倒れていたというのです。

受様を見つけたのは
桃色の瞳を持つ精霊族で
王族の末の王子でした。

彼が今回の攻様になります♪

この世界には人間もいますが
精霊族との交流が絶えていて
受様は攻様の友人扱いで
精霊族の城に留まる事になります。

精霊族は花のみを食べて暮らし
皆穏やかで優しい気性ですが
特に攻様は天真爛漫な明るさで
受様を歓待してくれます。

そんな精霊族達との生活は
受様にとって楽園そのものでしたが
精霊族にも暗い影がありました。

精霊族には男精霊しかおらず
攻様は一番の女妖精だった王妃が
最後に生んだ妖精で
攻様は最後に残される1人として
未来を軽視していたのです。

また、精霊族には
精霊の種を埋め込まれて精霊になった
元人間の精霊族がいます。

元人間達は花の他に肉も食べる為
茶色の精霊と呼ばれて
純粋な桃色の精霊たちとは
一線を博した生活をしていたのです。

そんな精霊族の実態を知り
攻様を最後の1人にしない為にも
受様は茶色の精霊になろうと決意します。

果たして受様の願いは叶うのか!?

現代日本でイジメから命を絶った受様が
辿り着いた精霊達の住む世界で
攻様と出会い成長していくお話になります。

月湊先生のお話は
受様の不憫率がとても高いので
スタートはかなり痛い展開も多くて
読み手を選ぶかもしれませんが

そんな状況から立ち上がっていく
受様の(主に精神的な)強さが
とても強く心を打ちます。

日本にいた頃の受様は
母に捨てられて以来血のつながらない義父に
捨てられない様に必死だったのでしょう。

その為に自己主張するよりも
目立たず他人と関わらない道を選びますが
それも級友達から孤立する理由の
一端となっていました。

攻様の世界で攻様と暮らすうちに
桃色の精霊達が子供のいない未来を
茶色の精霊達が自分達を
まがい物の精霊でしかないという事を
ただだくだくと受け入れている事が
受様には歯がゆくなっていきます。

そして自分を助けてくれた攻様が
1人残される事の無いように
共にいたいと願うようになるのです。

攻様に並ぶ者として恥ずかしくない様
受様は攻様とともに様々な事を学び
成長していきます。

そして何度も現王の側近による
試験に挑んでいますが
なかなか合格出来ずにいましたが

その後の地殻変動による
山の湖の決壊で人間達の抱いていた
誤解を氷解させる事件や

精霊の種を埋められた受様が
生死をさまよう事件等を経て

受様が攻様の良き伴侶と認められるまで
とても楽しく読めました。

虐げられる状況のままで
全てを受け入れて過ごす事は
誰にとってもままならない事です。

受様の成長は
受様を大切に思う攻様をも
大きく変えてゆく展開で
それもとても良かったです (^-^)

今回は精霊繋がりで
鴇六連さん『妖精は花蜜に濡れ』は
いかがでしょうか。
こちらは受様が羽付き妖精さんです。

6

これが本当のセックスなんだと思った。

この一言に辿り着くまでにどれだけの物語があったか。
文庫1冊に収まった壮大な異世界トリップファンタジー。
でまとめてしまっていいものか悩むほどに、面白かったです。
ただ、タイムリーな題材で。
世間で最近よく耳にする虐待やいじめ問題・豪雨による被災状況を思い出し
てしまう程だったので、人によっては今は受け付けれない
かもしれない話かと。


受けさんのユウトは、
両親が離婚・母親が再婚・母親に置いていかれ義父との二人暮し
という、置かれた状況が本当に悲惨で。
そのうえ賢かった事が同級生の嫉妬を受ける火種となり
義父と関係があるという噂から、出会い系サイトに勝手に登録され
散々な目に遭ってしまい、
心身共に疲れたユウトが崖から飛び降り自殺を図ると
目の前には妖精が…!

という、始まりは本当に辛いです。
何もそこまで苦しめなくても…と思うほど、いじめの内容が酷です。
自殺未遂?後の妖精国での生活を通して段々と元のユウトらしさを
取り戻していく様や、更に心の成長もしていく様に
本当に良かった…と、心からほっとしました。

ただ、そんな素晴らしい妖精国にも影があるわけで。
子供が生まれなくなった事で人間族との間に出来た歪みだったり
茶色の妖精と桃色の妖精の関係だったり
いつでも元気な様子を見せるウィーの心に抱えた闇だったり…。
”いいことばかりでないのはどこでもなんでも共通”
だと学ばされ。
日本にいた頃に負った精神的苦痛により
他者との触れ合いを出来なくなったユウトが
報われた最後のシーンは
純愛とは何かを改めて気付かされ。
色々な題材が詰め込まれたこの1冊に、
少なからず学ばされ気付かされる事があると思うので
読める機会があるならばオススメしたいです。

6

攻めが愛おしい。

あらすじにもある「親の離婚、義父の蔑み、学校での性的虐めに傷つき、海に身を投げた高校生の優翔」という部分がかなりの過酷さ&具体的で、しかも彼らに制裁があったかどうか書かれていないのでちょっとモヤぁ…が残りましたが、全体的な雰囲気はとても優しくて好みでした。

なんといっても攻めが好み。
優翔は強姦されそうになったトラウマゆえに人に触られることに恐怖を覚えるようになってしまったんだけど、そんな優翔のそばで穏やかにじっと忍耐強く佇んでいる様子に萌え。
じーっっと数年間我慢し続けててえらい!
優しいし、泣いちゃうようなところも愛おしい。
数年分なので出会った当時の無邪気で幼い様子から、妖精王として成長した様子まで楽しめました。
巻末に収録されていた「愛しい片羽の君に捧ぐ」は多分電子の特典SSだと思うんだけど、攻め視点SSで出会いの様子や、理性を総動員して優翔のそばで我慢する様子などが綴られていて萌えました。

ここが桃源郷か?!と思えた妖精の世界にも陰の部分があったりして、諦めつつ終わりに進んでいるような状況だったけれど、優翔の決意がきっかけで好転していく様子が良かったです。


2

捧げ愛

色々乗り越えて感無量!

はぁ〜、大作でした。
性的イジメが大の苦手で序盤はキツかったですが、ユウトが妖精の世界に来てからは一気に引き込まれました。

優しいウィーがいつもそばにいてくれて、ユウトはトラウマや過去の自分を乗り越えて。
ウィーを大切に思う気持ち、こんなに強い気持ちは初めてだね。

ユウトの決断や川の氾濫の危機や妖精と人間との交流。ユウトがこの世界に雪解けをもたらしましたね。

さて、すごく感動していいお話なのですが、あの〜そろそろエッチの方は…?と思ってたら!あらまあ。
てっきり二人とも性欲ないかと思ってた!
ウィーの嫉妬も可愛いですね。

二人の支え捧げ愛ですね。

1

ふわんふわんの綿菓子のようなファンタジー

陰湿ないじめや親からのひどい仕打ちで辛い状況にあって追い詰められた主人公が命を捨てた時、妖精の住まう国に転移してしまったところから物語は始まります。

妖精の出てくるファンタジーとくれば、不憫な少年が美しく高貴な妖精に愛されて幸せになっていくストーリーかなと思ったのですが予想とはだいぶ違いました。
傷ついた主人公が強く生きていこうと努力して行く姿に触発されたもう一人の主人公や周囲の人たちを巻き込んでいく成長物語でした。

愛される努力や理解を得る努力をせずに愛されたいと願い、わかってもらえないと悲しむばかりでは何も得られないと気がつけた主人公に好感を持ちました。
待つばかりの受け身ではなく行動することで道は拓けると思わせてくれる展開がよかったです。

0

優しい王子との未来

みずかね先生おっかけで購入。ふわふわ甘々話を期待していたのですが、月東先生、そうそうお気楽甘々話ではありませんでした。冒頭40Pほどムカつくシーンが多いので心して読み始めてくださいw。ゆっくりゆっくり近づいて未来を切り開く二人の複数年にわたるお話、本編のみ320P弱 です。

冒頭シーンはとにかくムカつくので割愛。ありえないと思いたい高校でのイジメのお話です。因果応報って言葉を知らんのか貴様ら と言いたい・・・ で、異世界にトリップし。夢のような異世界。目が覚めると、白い肌、先が桃色に輝く銀色の巻き毛に桃色の唇、とどめに背中に透明な羽がある王子様♡のような方が見守っていてくれて・・・と続きます。トリップ先は、飛び道具ないし戦闘シーンないからか剣も出てこない、農耕社会な感じです。

攻め受け以外の登場人物は
妖精王(攻め父)、王の側近、その他妖精さん、トリップ先での人間さん複数です。
今回は挿絵情報必須。カラー口絵1枚目(5月に発売された小説Chara vol.38のポスターだったもの)は安定の神絵、個人的に好きなのは王子たちの衣装♡(白に金糸刺繍系)と、茶色の妖精さん(人間→妖精となった方)と受けさんの立ち姿図。色々書き込まれていて楽しいし、みずかね先生の描かれる立ちポーズに弱いと今回気付きました。ちなみに衣装は月東先生が「センスないので、みずかね先生に一任」されて産まれたものだそうです、ああ有難い。楽しい。作って着たい(でも私は10頭身じゃない)。。。

****以下は内容に触れる感想

もともといた社会から逃げたような形で異世界に行って、頑張ってハピエン。元の世界はどうなった とやはり気になってしまったです、ごめんなさい。あと、優しい、やや泣き虫?な王子様が超好き!なタイプではなかったので萌2よりですが萌です。頑張って未来に希望を持たせる形で終われて、わー良かった♡と思いますし、二人でよく困難を乗り越えたなあと思います。

頑張り屋さん二人のゆっくり頑張るお話がお好きな方は間違いないだろうなーと思いました。もうちょっと可愛いイチャイチャ話が後日談であっても嬉しかったんだけどな。ページ数結構いってるから入んないか、残念。

3

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