君の名前で僕を呼んで

kimi no namae de boku wo yonde

君の名前で僕を呼んで
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
30
評価数
6
平均
5 / 5
神率
100%
著者
アンドレ・アシマン 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
マグノリアブックス
発売日
価格
¥950(税抜)  
ISBN
9784775527740

あらすじ

原題:Call Me By Your Name

「あとで! 」乱暴で無愛想でそっけなくて冷淡なその響きは、オリヴァーについて真っ先に思い出す言葉だ。
十七歳のあの夏、エリオがオリヴァーと過ごした日々は、鮮やかな記憶として今も消えずに残っている。
毎年、夏休みになるとエリオの家に滞在する若い研究者のひとりでしかなかった彼の最初の印象は、
好きになれるかもしれないし、大嫌いになるかもしれない男だった。
しかし、すぐにエリオは彼から目が離せなくなり、話ができれば幸せに、
よそよそしい態度をとられれば傷つくようになって──。
切なくも甘いひと夏の恋を描いた青春小説。
特典:寿たらこによる描きおろしのカバー&漫画版リーフレット付き!
翻訳:高岡香

表題作君の名前で僕を呼んで

オリヴァー
エリオ

レビュー投稿数3

死ぬとき僕がさよならを言いたい相手は君だけ

映画を見て小説を読みました。エリオに魅了され動揺が収まらずレビューを投稿することにしました。長文お目汚し失礼いたします。

舞台は80年代の夏、北イタリアの避暑地で家族と過ごすエリオ(17歳)は、大学教授の父が招待した大学院生オリヴァー(24歳)と出会い恋をします。

一緒に過ごした日々はたった6週間だけどエリオにとって生涯忘れられない恋となるのです。

映画ではオリヴァーがアメリカに戻ってから電話で結婚をすると報告をして涙を流すエリオで終わりますが原作ではクリスマス休暇に再びオリヴァーがイタリアにやってきてエリオに直接結婚の報告をします。そして数年後オリヴァーは妻子を連れてイタリアを訪れますがエリオはアメリカにいて会えず、15年後にアメリカで再会、20年後にイタリアで再会したところで終わります。物語はエリオの回想録のようになっているのでエリオの一人称で展開します。

映画でもそうでしたが原作でもエリオに萌え転がり必至です。オリヴァーが現れてからというもの、とにかく振り回されます。原作ではエリオの動揺が文字で直に伝わってくるので読み手もあたふたです。

とりあえずエリオの心の中は常にオリヴァー、オリヴァー。君は僕の事どう思ってるの?好き?嫌い?無視しないで、僕の気持ちに気づいて、僕に話しかけてよ、触れてよ、君に触れたいよ。というような状態。クローゼットで見つけた使用済みの赤い水着に顔をうずめ匂いを感じ、キス、もしそこに陰毛を見つけることができたら舐めたい!水着をそっくり口に入れたい!履いて射精したい!とどんどん妄想が加速していくエリオ。たまらん。

オリヴァーの気持ちは会話からしかわかりませんが、そんなエリオの気持ちにオリヴァーは気付いていてオリヴァーもエリオに惹かれますが関係が進む事態を自制しています。
でもエリオはオリヴァーへの気持ちを抑えきず、メモをきっかけにとうとう二人は結ばれます。エリオは一つになれたことを喜びオリヴァーは「君の名前で僕を呼んでくれ。僕は僕の名前で君を呼ぶ」と言います。エリオはこの言葉を耳にして後にも先にも他の誰とも分かち合ったことのない境地に達したと語っています。

ところがエリオ、翌朝おしりが痛いやら罪悪感やらで自己嫌悪に陥ってしまいます。反応の悪いエリオにオリヴァーは若干引き気味になりますが、フェラを中途半端にしたり、わざとオリヴァーの水着を履いて家族の前に現れ挑発します。するとエリオはまんまとその挑発にのって興奮し、その水着は今朝ぼくのコック(ペニス)が収められていたのに、今はネット上の生地にオリヴァーのコックが~~。てな具合に。さすがオリヴァー兄さん!そのあとすり寄ってきたエリオに「君と寝たのを僕がどんなに喜んでるか君はわかってるのか」とトドメをさします。エリオメロメロ。

オリヴァーの帰国までの残り3日間はローマで甘い一時を過ごします。ホテルに着くと一緒にシャワーを浴びてイチャついて素っ裸のまま窓から街を眺め、たばこをふかし、イチジクを食べ、オリヴァーの尻をなで、指を入れ??再びシャワーを浴び、服も下着も交換して身に着け、、等々。「オリヴァー僕は幸せだよ」とエリオは言います。至福の時。

そして最終章。ここは何度読み返しても辛いです。喪失感を抱えて戻ってきたエリオは家の中にオリヴァーの痕跡があちこちにあるようだけど現実はいないのだという悲しみに襲われます。そこにオリヴァーからアメリカに到着したと電話が入り、君を失いたくないとエリオは伝えクリスマスに会おうと約束します。

悲しそうなエリオを心配するお父さんはモンテーニュとラ・ボエシーの友情を引用して二人の稀有な出会いを無理に忘れる必要はないと激励します。

エリオはその時口にはしなかったけど自分たちの関係をブロンテの嵐が丘を引用して「彼は私以上に私そのものだった」と言おうとしていました。

お父さんは良き理解者ですよね。身体は別々だけど心は一つ、魂は一緒、ツインソウルみたいな感じ?。エリオはそう感じていたのですね。

クリスマス、オリヴァーは約束通りやってきます。そして結婚するかもしれないと報告します。。

数年後エリオがアメリカにいる時にオリヴァーは妻子をつれてエリオの実家を訪れます。その時電話でエリオはあの時のように僕の名前でオリヴァーを「エリオ」と呼んでみましたが忘れてしまった様子。。しかも上機嫌で妻にあってほしいと。。なので来られて嬉しいと言うオリヴァーに綺麗な場所のせいで喜んでいるんだねとちょっと嫌味をいいます。切ない。

15年後エリオはアメリカでオリヴァーの大学を訪ね再会するのですが、さっそくオリヴァーは自宅へ誘い妻に会ってくれと言います。。
未だにエリオはあの夏の記憶の中でオリヴァーを見ているので平常心で妻子を受け入れることなどできません。
その後バーで「死ぬとき僕がさよならを言いたい相手は君だけ」君がいなきゃ僕の人生に意義はない。君が一緒にいない時は昏睡状態。ってオリヴァーにいいます。。号泣しました。
オリヴァーももちろんエリオを大切に思っているんだけど温度差を感じずにはいられません。

20年後今度はエリオの実家で再会します。エリオはナーバスな感じでオリヴァーを迎え、あの夏のように寺院を案内するよ道は覚えてる?なんてカマをかけます。でもオリヴァーはそんなエリオを理解していて「君と同じだよ、僕はなんでも覚えてる」といいます。嬉しくなったエリオは願うのです明日帰る前、振り返って僕をみつめて「君の名前で僕を呼んで」と。。

ここで話は終わるのですがこの感じからすると呼んでくれるかかなり不安。。続編の翻訳版近々発売されますね。楽しみです。

それにしても使用済みの波打つシャツと一緒に使用済みの赤い水着もおねだりしたはずだけど、どうして水着はくれなかったんでしょうね。。ビョーキの変態だから?

6

これも一つの愛の形…

映画版のエンディングの先こそがこの物語の真髄でした。何度も涙してしまいました。甘いBLに慣らされていると、ズーンと心に来る内容でした。「トリステ」という言葉の意味を身を持って味わいました。それでも読んで良かったです。

 今年の冬が例年になく寒いので、寒い国に住むヨーロッパの人達が陽光を求めてイタリアに来るような気持ちで原作を手にしました。
イタリアでの滞在生活気分をオリバー達と共に楽しめました。陽光、海のきらめき、地中海の風土にそぐった陽気な人達や様々な国からの滞在客がもたらすもの、シエスタが必須のまどろんだ日常。どれもエリオットとオリバーが愛したものたちでいっぱいで。

ひと夏の年齢差のある恋、しかも同性で遠距離の…。行く末がどうしても見えてしまう中で、読者もエリオットともに若さ故に甘酸っぱい、盲目的で大胆な恋を堪能できます。
最後の二人っきりでローマで過ごした日々が描かれた章もとても良かったです。二人の愛を暗喩する、二人にとって特別な存在であるサン・クレメント聖堂。今後ローマに行く機会があれば行ってみたいと思いました。

私と同じく映画の結末に「エ…ッ。」となった人には原作を読んで欲しいと思いました。非常に「トリステ」に満ちた内容になっていますが…。
その後のエリオットの生き方、オリバーの生き方。二人の生来の気質もあって、感受性の強いエリオットらしいし、奔放に見えて律儀なオリバーらしいと言えるかな。一度は重なり合った二人のどちらかが選ばなかった道。
 エリオットの年齢がオリバーと変わらないくらいの年だったら、二人の愛は違う道を辿っていたのかとか、エリオットの父親がキーパーソンだったのか、とか色々考えたりしてしまいます。 

 二人の愛はあの二十年前の別れで終わりじゃなかったんだね…
最後まで読んで、表紙を見た時また泣かされました。
人生引きずるもの、背負っていくものもあり、割り切れるものでないね。。

歳月を重ねて感覚が鈍くなってくる…、だからこそ再会しえた二人でないかと思われるのですが、メンタル的には別れたまま会わない方が無難かな。文学的で素晴らしい作品でした。 

映画の方は続編の噂もあるようですが、実現化は難航しているようでどうなるのか…。
小説の方の続編を読みたいです。 
年老いた二人の再会の話になりそうかな…

1

思春期の心情を豊かに表現した文体

映画を先に観て、本書を読みました。
映画版がいかに原作へ忠実につくられていたのか感服させられました。
本作の映画版が良かったという方はぜひ原作も読まれてほしいです。

物語はエリオの一人称視点で進行します。
オリヴァーの態度に一喜一憂する様子がときにわかりづらいほど婉曲に描かれており、まさに少年の心そのままを文章に起こしたような美しさに感動しました。
好きだからこそ嫌いになってみたり、それでもやっぱり構われると嬉しかったりと、エリオの揺れ動く心がみずみずしく表現されています。
小説としても非常に完成度が高く、文章の美しさだけでも十分に読む価値があります。

もどかしい期間を経てやっと思いを遂げる二人ですが、時代背景からハッピーエンドとはいきません。
映画のエンドロールを観たときのように、胸が締め付けられるような切なさがあります。
しかし、エリオとオリヴァーを囲む人々の暖かさは彼らが十分痛みを感じられる手助けにもなったのだろうと感じられ、救いがありました。

個人的に映画→原作小説の順番での鑑賞がおすすめです。
映画の映像美は美しい文章によって呼び起こされ、シーンごとのエリオの本心を小説でより深く触れられます。

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