――好きです。やっと会えた…――

ハロー、マイアリス

Hello may Alice

ハロー、マイアリス
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×26
  • 萌7
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
4
得点
57
評価数
19
平均
3.2 / 5
神率
10.5%
著者
綾ちはる 

作家さんの新作発表
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イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784778123789

あらすじ

大学生の有泉真聡は、通りすがりのサラリーマンに告白される。男の邑上零という名にも端正な顔立ちにも覚えはなく、臆した真聡は逃げ帰ってしまう。後日、偶然立ち寄った神社で奇妙な喋る白兎を見かけ、導かれるように跡をつける。辿り着いたのは住み慣れた街だったが、景色も人の様子もどこか違っていた。戸惑う真聡を救ってくれたのは、邑上の面影を持つ高校生で……。

表題作ハロー、マイアリス

邑上零、突然真聡に告白してきたサラリーマン
有泉真聡、この春大学に入学した新入生

その他の収録作品

  • ディア マイアリス
  • あとがき

レビュー投稿数4

元ネタの小説を知らない方が逆にいいと思った

恥ずかしながらルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を読んだ事がなかったので急遽ネットであらすじを調べてみたが、これだったら逆に分からなくてもいいと匙を投げてしまった。
あの話から何かの想像力を養うとか、社会風刺を読み取る考察を見抜くとか余計に訳が分からなくなってしまう…
それよりも、この本紹介のちるちるインタビューにあった『攻めの成長』ってキーワードのほうがずっとヒントになると読み終わった後に気がついた。

いきなり過去に舞い込んでしまって途方に暮れる主人公・有泉真聡(通称・アリス)を助けたのは、街中でいきなり告白してきた見ず知らずのサラリーマン…の高校生の頃の零だった。
アリスは零の家に当面の間世話になるが、彼の義理姉、甥っ子との共同生活で垣間見えてくる零の気の張りつめよう、誰にも甘えてはいけないと思っている様子に気付き、引っ掛かりを覚えた事からアリスの中で放っておけない情が湧いてくるのだった。

タイムスリップものといっても滑り落ちた先はアリスのその後にも影響を及ぼす範囲の過去だし、SF設定とかのパラレルワールドから生じる弊害ってのにもピンとこない。

自分なりに話を掴めたと感じたのは、何故アリスが零の14年前と現在と行き来することになったのだろうって理由を考えてみた辺りかな。
(本当は冒頭に出てきた白兔のミスでアリスを巻き込んだのが原因なんだけど)
これってもしかして周りに甘える事ができず、独りだけで不安を抱え込んでいた零の救済物語なのかもと閃いた瞬間、頭の中で話の冒頭と終盤が繋がって嬉しかった。
だとすると、作中では姿を見せなかった縁結びの神様ってのもちゃんと仕事してるじゃんってなるし、「兔の眼が赤いのは赤い糸を見分ける為や」って一行にもグッときた。
ホントかどうかは定かではないが(笑)

こうして自分なりに解釈できると、BLってラストがカップルが誕生するのが確定しているから、その過程を埋める手段として受けが時間を行き来する今回の設定が活きているんだなと感じる事ができた。

3

ちょっぴり不思議

不思議なウサギを追いかけたら、そこは14年前の世界でした-。

と、「不思議の国のアリス」をベースとした、ちょっぴり不思議なお話でした。


内容です。
通りすがりのサラリーマンから、「ずっと待ってました。やっと会えた・・・」と突然声をかけられた大学生・真聡。驚いて振り切るものの、その男が親友の兄だと分かります。
そんな中、トレッキングで訪れた山中で、不思議なウサギに出会い追いかける真聡。気が付くと、そこは14年前の世界でー・・・。


タイムスリップものになります。14年前の世界で、例の突然声を掛けてきたサラリーマンそっくりの高校生に出会う聡。その高校生・零の家に置いて貰う事になり・・・という流れです。

繊細で常に気を張っているような零に、飄々としていて男前な真聡。キャラクターも魅力的ですし、二人が心を通わせていく過程に萌えます。
また、本編後の短編はとっても甘くて糖分補給出来ます。零の変化に戸惑ってる真聡が可愛らしくて。


ただ、ストーリー的には先が読めちゃう分、あまり面白味に欠けると申しましょうか・・・。
ここがタイムスリップものの難しさになると思いますが、もう最初から結末が分かっちゃってるのですね。冒頭に現在の二人がくるワケなので。
じゃあ過去編の二人が、ヒドく切ない展開を経て、「ああ、二人が巡り会えて良かった・・・!」と思わせてくれるかと言うと、そのへんも中途半端に感じる。真聡が過去でそれ程辛い目に合う事も無いうえに、絶対未来に戻れると本人には分かっているので、悲壮感だったりがそれ程無いのです。

ちゃんと二人の恋愛部分には萌えるのですが、その点がちょっと軽い分、お話に深みが感じられない印象を受けました。決してツマラナイわけでも、萌えないわけでも無いのですが・・・。
う~ん・・・。強く心に響く部分が欠けてると言うんですかね。もうちょっと、ハラハラドキドキさせてくれる何かだったり、一捻り欲しい印象です。

2

不思議の国のアリスっぽい?

タイトルからは想像できなかったですが、不思議なウサギに導かれてタイムスリップするという不思議の国のアリス風タイムスリップものです。

大学一年生の有泉真聡(受け)は大学からの帰り道、知らない男に「アリスさん!」と声をかけられ告白されます。全く身に覚えのない名前と告白に驚く真聡は逃げ帰るのですが、次の日もまた同じ男・邑上零(攻め)が待ち伏せしています。それが親友の邑上善の叔父だと知り再び驚きます。折しも、英文学の授業で「不思議の国のアリス」についてのレポート課題を出されます。それ以来なぜかウサギに縁のある真聡は、たまたま訪れた狛兎のいる神社で関西弁を放す兎の後をつい追いかけてしまい、気が付いたら何故か14年も過去にタイムスリップしていたのでした。
途方に暮れる真聡を助けてくれたのは警戒心のない保育園児の男の子(善)と高校生の零でした。

邑上家に居候させてもらうことになった真聡は、初め今の自分が好感度を上げなければ未来の告白はなくなると軽く考えるのですが、零が高校生らしくない落ち着きや悟りを開いている様子や自分よりも他人という強い気持ちが気になって世話を焼いてしまううち零の心の底の寂しさに気が付くのです。
やっと過去に帰れる目途がついた時には最初の思惑と違ってしまったことに気が付く真聡でした。

それにしても零の一途さには舌を巻きます。14年もよく耐えたねと労いたいです。
零にしてみたらいきなりあらわれて、自分の中にするっと入ってきて初めて自分をさらけ出せる人を見つけたと思ったら、また絶対会えるからといっていなくなってしまうんですから、ひどい振り回されようです。それなのにやっと会った真聡はまだ零のことを知らない真聡で変態扱いされるし、なんて気の毒な。
でも、すごい適応力だと思いまいした。普通14年たって全く変わっていない男が目の前にいたからってそれがその男だと確信できるでしょうか。「考えるな感じろ」と何度も真聡が言っていたからかな。

作中では再会できてなかったけど、善の母親と再会したときの反応が楽しみです。
幼児だった善と違ってちゃんと記憶があるだろうからちっとも変わってない真聡
を見てなんて言うんだろうってちょっと楽しみです。

なんだかんだ言って、縁結びになってくれた狛兎が末永く見守ってくれることでしょう。

2

どこか読み飛ばしてしまった部分があるのでしょうか?

電子書籍で読了。挿絵あり。あとがきあり。

綾さんのお話は概して好きです。
多分私が好きなのは、主人公の周りで自然の摂理に反する様な出来事が起き、それによって今まで知らなかった(あるいは、知ることを避けていた)自分の気持ちに気づくというシチュエーションが好きなんだと思います。
で、殊に好きなのは『自分の気持ちに気づく』部分。

今回のお話でも、主人公の真聡は見も知らない男性にいきなり「アリスさん」と呼びかけられ愛を告白され、その後、神社の前に現れた白ウサギを追いかけてタイムトリップしてしまった世界で、まだ高校生のその男性、零に出会うのですが……うーん、どうもいつもの様に乗り切れませんでした。

真聡が零に対して恋愛感情を抱くことが、私の中で消化しきれていないんじゃないかと思うんですね。
零は親に見放され、養子となった家庭で自分の居場所を見つけた子どもなのですけれど、その新しい家庭での家族を事故で亡くしています。今は義兄の妻とその子ども(零にとっては甥)と良好に暮らしているのですけれど、そこでも自分の居場所を守るために必死で役に立とうとしている高校生です。
とてもいじらしくて、ホント、泣きそうになっちゃうんですけれど、だからと言ってそれが恋に直結する訳ではないんじゃないか、と思うのです。
残念ながら、私には『恋に落ちる決定的な何か』が足りなかった……

真聡も零も白ウサギも、キャラクターは好みなんですね。
「読み方が悪かったのかなぁ」と、もったいない気持ちでいっぱいです(しょぼん)。

1

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