犬も送れば恋に落ちる

inu mo okureba koi no ochiru

犬も送れば恋に落ちる
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×28
  • 萌4
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
59
評価数
15
平均
3.9 / 5
神率
20%
著者
白露にしき 

作家さんの新作発表
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イラスト
石田惠美 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥689(税抜)  
ISBN
9784778123284

あらすじ

山中で迷った人間を麓まで送る代わりに見返りを貰う送り犬の野分はある日、遭難した大の犬好きな青年、陽向に出会った。どんな大型犬より大きく明らかに普通ではない野分をただの犬と勘違いし好意を向けてくる。今まで恐れられるだけだった野分は離れがたくなるが人間と妖怪、住む世界が違うと己に言い聞かせ、陽向を麓まで送り礼として二人で過ごした記憶を貰う。その後も陽向を忘れられなかった野分は数年越しに捜し出し…。

表題作犬も送れば恋に落ちる

野分、妖怪「送り犬」
伴坂陽向、過去に野分に助けられたカフェオーナー

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

気負わず読めるラブコメです!

ちょっと一癖あるユニークな設定や、適度にギャグの効いた軽快な文章が面白く、個人的にかなり好きな作家さんです。新刊も楽しみにしてました!
もうちょっと評価が高くてもいい作家さんだと思うんだけどなぁ(´・ω・`)

内容ですが、「送り犬」と言う妖怪・野分と、犬好きなカフェオーナー・陽向とのドタバタ系ラブコメディです。

野分の縄張りの空木山で、道に迷った大学生の陽向。野分は「送り犬」として陽向を道案内しようと近付きますが、犬好きの彼に無邪気な好意を向けられ、離れがたく感じます。
道案内の報酬として二人で過ごした「記憶」を貰うものの、どうしても陽向を忘れられない野分は、12年かけて彼を捜し出し-・・・というものです。

こちら、リアルなワンコ攻めです。陽向が好きで好きで、12年もかけて捜し出した上に、無理矢理押し掛けて「好きだ」と押しまくる妖怪・野分。(実在する、道に迷った人間を送り届け報酬をもらう妖怪との事)
そして、普段はごく一般的な感覚の普通の32才成人男性ながら、犬の事に関してはちょい変態が入っちゃう程の極度の犬好き・陽向。

陽向は「記憶」を奪われてしまった為に、野分の事を覚えていません。そんな彼が、ある日いきなりゴツイ男(野分)に目覚めたらくっつかれている。普通なら恐怖の状態でしょうが、野分が犬耳を出し、「記憶」を返した事からアッサリ流されてエッチしちゃうんですね。
この二人の会話と言うか攻防がホント可愛くて「記憶を返した代わりに、陽向をもらう」「俺はものじゃないから、あげられません!」て感じで。

また、一族の中で力の強い野分を、次代頭領にしようとする「送り犬」達に陽向が攫われたりと、本来ならそれなりに緊迫感のある事件なんかも起こります。しかし、これがまた笑えるのです。おびえるどころか、沢山の犬に囲まれて至福状態の陽向。そんな彼の浮かれた言動に「人間め!攻撃してきたか!!」と、逆におびえる妖怪達。
このユルイ感じがたまりません!!

まぁそんなこんなで、それなりにひと悶着ありながらも、ツンデレ対応(野分が犬の時はデレデレ)な陽向と、妙に憎めない感じのワンコ野分の、笑えて甘々な作品であります。何だかんだ言いつつ、互いに大好き同士な二人の関係にとても萌えました。

ところで石田先生のイラストなんですが、口絵カラーが汁気たっぷりにすごいアングルからのアップで、最初は手足がどの状態か分かりませんでした。あとエロシーンのイラストですが、tnkそのまま描かれてる気がします。修正しなくていいんかな・・・?と、ガン見。購入された姐さんは、ぜひご確認下さい。

8

この本もっと評価されるべき

私の大好きな『トンチキの香り漂うコメディ』で、おまけに犬!
好きの二乗で、現在とても楽しい気持ちです。

白露さんのお話に出てくる人達はとてもマニアっ気が強いと思います。
尋常でない状況に陥っても、自分の好きなものが目に入るとその不条理ぶりを忘れて『好きなもの』に没入してしまうんですよね。これが……憎めない。
このお話の主人公、陽向の場合はその対象が犬なんです。
とにかく犬を見てしまうと我を忘れてしまうんですよ。
たとえそれが妖怪の送り犬であったとしても。

送り犬というのは山で道に迷った時に送ってくれる犬の姿をした妖怪です。
山歩きが好きな陽向は学生の頃、この送り犬に出会って助けてもらうのですが、彼にとっては妖怪であろうがなかろうが、その送り犬の姿が『自分が理想としている犬』であったことの方が重要。もうメロメロになっちゃう訳です。
送り犬=野分は陽向を送った報酬としてその時の陽向の記憶をもらっちゃうのですが、その記憶があまりにも素敵な記憶なものですから何度も何度も繰り返し見ているうちに陽向に対する想いが高じちゃって、ついには何年もかけて陽向を探し当てることになります。
いきなり現れた野分に陽向は驚き、その無作法とまで言える求愛を当然の如く拒みます。ところが、野分が犬耳としっぽを出しちゃうと生来の犬好きの血が騒ぎ出し、もうモフモフを撫でたくてたまらない。モフモフしているうちに、気がついたら野分の手中で気持ち良くなっちゃっていました。
犬の姿の野分に強く言えないまま同居。経営するカフェを手伝ってもらえば、イケメンの野分目当てのお客も増えて売上は急増。一途な野分に絆されはじめた頃、不審な二人組が陽向の店の周りをうろつくようになります。どうも野分は力の強い送り犬で、彼の伴侶を巡る『送り犬界(こんなのあるんかいな?)』の騒動に陽向は巻き込まれることになります。

どこがトンチキくさいかと言えば、どんな状況でも陽向が深刻にならず「いぬ~っ!触りたい!」となる所なんですね。グジグジ悩まないの、全く。とってもドライで、ある意味クール。
この陽向の態度を見ていると、日常の些末なことで文句を言っている自分が馬鹿らしくなっちゃいました。
「好きなものを好きと言い、それを堪能するために生きていくののどこが悪い」
陽向も野分もそれを体現している超人です。
なんて清々しい!なんて潔い!
白露さん、オタクの守護神なのかもしれない。
心の底からスカッとしましたよ。

気を晴らしたい時に是非ご一読を。

2

究極の犬好き


送り犬の野分(攻め)は縄張りの山で遭難者を麓まで送っては見返りに何かをもらう犬のような見た目の妖怪です。
ある日、いい匂いのする青年・陽向(受け)が迷っているのを見つけます。自分を全く恐れず、理想の犬だという陽向を気に入った野分は自分のお気に入りの場所に連れていき、送った礼にと二人で過ごした記憶をとっていくのです。
その後、野分は陽向と別れたことを後悔し、仲間に協力を頼み陽向を探します。

それから12年後。
カフェオーナーになった陽向は大の犬好きで、カフェも犬同伴大歓迎でお客さんの連れている犬をかわいがることを一番の楽しみにしています。
ある日、趣味の山歩きに出かけると、知らないイケメン・野分が「やっと見つけた」と声をかけてきます。野分は店まで押しかけてきて、自分が遭難しかけた陽向を助け記憶をとっていった送り犬だというのです。
信じられない陽向でしたが、いきなり犬に変化した野分を見て理想の犬が目の前にいる興奮で大喜びしているうちに、あっさり野分に食べられてしまいます。

陽向は犬好き過ぎて、犬耳尻尾が生えているだけでもうっとりしてしまって全然抵抗らしい抵抗もできないで気持ちよくなってしまうという、驚きのちょろさでした。伴侶になれと言われて一応の抵抗は試みるけど、店員として居座られ、店も繁盛し、すっかりほだされ、なし崩し的に伴侶になります。


野分は妖怪と人間のハーフで、一族でも強い力を持つ次期頭領なので、野分の子供を望む一族の意向もあって、後半ちょっとドタバタします。
が、野分は子供を作るために伴侶となるのではなく陽向と一緒にいたいから伴侶となるのだとぶれない上、野分の力が強いためそれほどシリアスな展開にはなりません。

そして、陽向は一族に拉致されて大勢に囲まれても、天国かハーレムかと喜び、隙あらば抱きしめようとするしで、一族のものたちも驚きの肝のすわりかたというか危機感のなさというか究極の犬好きでした。
男でも子供ができると言われて、男の自分がとおののくのがお約束だと思うのですが、「子犬が産まれるー!」と大喜びし、二人の子供は犬だからとてもかわいいだろう、きっと複数生まれてくるだろう」と想像してはうっとりしている陽向のぶっとびすぎな思考にはびっくりでした。


できれば、あんなに子供子供と言っていたので、子供ができたところまで読みたかったです。きっとものすごーくかわいいだろうと思うのです。
そして、結局話題にならなかった寿命の話が気になりました。はじめは寿命が違うのだから無理という考えだったと思うのですが、その辺りは解決してないように思うのです。
野分と契ったことで陽向にも野分の力が流れているようですが(一族を蹴散らすくらいだから相当です)寿命とかも延びたりするのかしら?
送り犬の成長は遅いようで、陽向の家の近くの山を縄張りにしている颪が幼児でまだ子犬なのに250年生きているということは、野分は何歳なのだろうか?もし子供ができても赤子のうちに陽向の寿命は尽きてしまうんではないかとちょっと心配です。その辺りのことも話の中に盛り込んでくれるとよかったです。

送り犬のことを教えてくれた陽向の元同僚の妖怪好きの須賀。
野分の伴侶となったことを知っても動揺することなく、颪をかわいがる様はすごくおおらかな人物で、人間に陽向の事情を理解してくれる人がいてよかったです。
作者さまも須賀にも妖怪パートナー作ってあげたかったとおっしゃっていたのですが、スピンオフでいかがでしょうか。

深刻なことはほぼなく(本人は多少悩んでいたようですが)、流されるように送り犬の伴侶になった陽向のながされっぷりがびっくりな楽しい話でした。
あまり深く考えないで読むのにぴったりな話だと思いました。

1

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