アナタの見ている向こう側

anata nomiteiru mukougawa

アナタの見ている向こう側
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×29
  • 萌4
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
4
得点
63
評価数
17
平均
3.8 / 5
神率
17.6%
著者
火崎勇 

作家さんの新作発表
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イラスト
松尾マアタ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784778121983

あらすじ

誰かに恋している人を好きになるなんて。 俺様デザイナー・宮本(みやもと)は、行き付けのカフェでシェフ・関東(かんとう)の視線をいつも感じていた。だがそれは宮本が可愛がっている後輩に向けられたものだということにも気付いていた。武骨で口数も少ない関東の一途な想いを好ましく思い、その恋を手助けするつもりで宮本は彼に近づく。やがて自分が関東のその強い視線を渇望するようになるとは思わずに…。書き下ろしSSも収録。

表題作アナタの見ている向こう側

関東光一・宮本の会社近くのカフェのイケメンシェフ
宮本薫・才能、顔、愛想もある新進気鋭のデザイナー

レビュー投稿数4

俺様初の本当の恋は切なくて

職場近くのカフェのシェフ・関東が、自分の後輩・福原をいつも見つめていることに気付いていた宮本。
声をかけず、ただ福原を見つめ、その食事をする姿に微笑むだけ。
そんな姿が気にかかった宮本は、福原のことを話題にし、次第に関東と親しくなっていきます。
そうするうちに宮本自身が関東に惹かれていくのですが、関東の視線はいつも福原に向けられていて・・・というお話です。

物語は宮本の視点、一人称で語られていきます。
宮本の人生が超勝ち組なうえに性格も俺様で、読み始めは宮本というキャラクターを好きになれるかな、感情移入できるかな、と不安を抱いていたのですが、問題ありませんでした!杞憂でした!!
宮本が、関東の言葉にむきになるところで可愛いく思えてきて。関東への恋心を自覚したところでは、一緒に涙してしまいました。
勝ち組でも俺様でも本気の恋をすると不安になるのは変わらない。何より恋をした宮本が可愛いくて可愛くて!!あの俺様な性格はどこへ?と何度突っ込んだか(笑)
関東は宮本のことを好きなんだよね?と思いつつも、福原へ向ける視線を考えると分からなくて、最後までハラハラしながら読むことが出来ました。
宮本が関東に惹かれていく過程が丁寧に描かれている分、関東の想いが語られる部分が種明かし的にあっさりしている気がして、ちょっと物足りないかな。
関東が福原に声をかけない理由も、ちょっと納得し難いような・・・ですが、関東がカッコイイし、宮本は可愛いし、二人が幸せになるので、私は満足しました。

ノベルスで出版されていたものを文庫で再出版されたようですね。
文庫は書き下ろしの短編が追加されています。
短編は、宮本が風邪をひいてしまい・・・というお話です。エロはありません。エロ無。
エロがなくても、二人らしい日常が垣間見れて、こちらも大満足です。
一冊通して全体的にエロは少なめですが、切なさを味わいつつ、読後は幸せな気持ちになれる良作です。ノベルス版を未読な方は是非!

4

暗いお話じゃないです

久しぶりに火崎先生読みました。この作品は松尾マアタ先生の挿絵に惹かれて3年前に購入。その当時ですでにノベルス版の文庫化でした。どんだけ積んでいたのか…。

読みやすさ、キャラ立ち、すれ違いからの両片思い、それと作家様による本編後の妄想ストーリーが楽しめるあとがき。安定のクオリティでした。火崎作品は一文ごとに改行されているので、それが気になったこともあったのですが、常に眼精疲労気味の今では優しさしか感じません笑

カップリングは男気あふれる堅物シェフ×おちゃらけ俺様グラフィックデザイナー。受け視点です。

宮本が勤めるデザイン事務所の近くに、ランチ利用にもってこいのカフェ「かなりあ」がある。宮本と後輩の福原は常連。そこで腕を振るうシェフの関東が、どうやら相原に好意を寄せているらしいことに宮本は気づく。めちゃくちゃに可愛いがっている後輩を守るため、関東に近づく宮本だったが…。

最初から関東の立ち位置が予想できてはいたのですが、それでも宮本のキャラがよかったので楽しめました。女王様タイプではあるけれどツンツンしてなくて、仕事に関するプライドとプロ意識だけが高い。恋愛については経験はあっても初心者同然の臆病者。関東を「あなた」呼びするところには地味に育ちの良さが、「〜だもん」の口癖にはオレ様感がよく表れていて上手いなー、と思いました。

関東にとって自分は全くの恋愛対象外だと自覚させられるたびに宮本はちょっと傷ついてしまうけれど、ウジウジはしていません。ヤワな部分も見せるのですが、最終的にははっきりと相手に気持ちを伝えるところが潔い。

宮本の心理の変化が読んでいてとてもよくわかるし、関東の優しい不器用さ加減も、彼の少ないセリフや宮本以外の人間に対する振る舞い方で間接的に伝わってきます。

宮本、関東、福原、それから宮本の同僚の深田、みんな人間味のある良い男たちでした。宮本と、彼の同僚でゲイの深田が恋する男としてBLらしい萌えを提供してくれたのは確かだけれど、本作を倍楽しませてくれたのは挿絵の力もありました。

個人的に松尾先生のコミックスはもちろん、作画がものすごく好きなので、ちるちるのノベルス版作品ページに松尾先生のインタビュー記事(2011年)のリンクを見つけたのは思わぬ収穫でした。インタビュアーさんの質問が自分も知りたいことばかりでしたので嬉しかったです。ちるちるのインタビュー記事は本当に貴重ですね!

挿絵は割と多めで口絵を含むと9枚ありました。受けのお尻がキュッと上がってる最後の一枚が…。先生の描く丸みのあるお尻が好きです♡

関東の無骨な性格と宮本の勝気さから、なかなか甘い雰囲気にはなりにくい二人ですが、SSでは関東のデレな包容力が見られます。

ドキドキな新刊開拓も楽しいですが、これこれ〜、っていうなじみの味にほっとするのも贅沢だなぁと感じたひと時でした。

2

誰かに恋をしている人を好きになる

A→B→Cのベクトルの方向の違う片想い。切なさMAXで大好きなパターンです。BLじゃない漫画でも映画でも好きでした。好きな人がいる友人を応援するうちに自分がその友人を好きになってしまうヤツ。リアルでも青春時代に絶対多いパターンだと思う。それがBLだとさらに萌え倍増。

シェフ×グラフィックデザイナーという職業もBLドリームな感じで良い。受けの宮本は顔が良く仕事もできる天才型で自分で自分を平安時代の貴族に例えるくらい人生に満足してる俺様キャラ。ちょっと傲慢キャラが努力だけじゃどうにもならない片想いの沼にハマってるのってイイ!攻めの関東が名前も変わってるけど無骨なのに料理のセンスも服のセンスもいいカッコいい人なのです。ギャップ萌え。

あとキーパーソンになる宮本の後輩、福原がまたいい奴。男前な柴犬タイプで若いのに洞察力のある良い子で周りの男達からモテモテなのも納得できるキャラです。中盤くらいで勘のいい方なら先が読めちゃうかもしれない展開ですが、出てくるキャラが皆個性があって魅力的なので最後まで楽しめた良作でした。

これは新装版で10年前くらいに書かれた作品みたいですが、ファンタジー設定無しで男の人達のラブストーリーを描いているのが最近では逆に新鮮です。ありふれたような設定でもついつい読まされてしまうのはやはり作家さんの腕だなって思います。

2

俺様が恋にジタバタして…

コレね〜…「面白い」と「なんだかな…」を行ったり来たりする感覚でした。
「面白い」のは偶然知り合った全然性格の違う2人が最後に恋人になる、その過程を楽しみきれる作品であること。
「なんだかな…」は、ひとえに主人公・宮本の造形。
宮本みたいな人間好き!っていう方もいると思いますよ、もちろん。
でも私はねぇ…やだわ。私に言わせれば鼻持ちならない。
本作では、恋の始めをなんだかんだ小理屈つけて、可愛い後輩にかこつけて、という過程があるんだけど、これはほぼ一目惚れに近いのでは?
ここで会ったが百年目…
で、往生際悪く後輩の写真やらビデオやらで会う時間の言い訳をして、心の中でジタバタジタバタ…
ただ、この話では同僚と後輩がくっつく話まではいらなかった気がする。クライマックスも痴話喧嘩絡みで動くのはイマイチだと感じた。もっとストレートに!
恋を自覚した宮本がカッコ悪く可愛くなってしまうことはチラチラわかってたけど、男っぽい関東に対して完全ウケウケな感じ、子ネコちゃんになってたなぁ。
アノ宮本がこんな風に?という面白さはありますので、トンガった子がメロりんになるのが好みな方におすすめかな?

「アナタの瞳のその中で」
こちらは文庫版ですので書き下ろしが追加収録されています。
関東x宮本の本編後。
仕事は相変わらず強気ブイブイの宮本だけど、風邪をひいたようでクライアントのOKが出た途端熱で倒れてしまった!
いつもは甘さの足りない関東が甘やかしてくれるよ、というお話。
宮本もすっかり甘えん坊ですね…

2

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