鬼は笑うか

oni wa warauka

鬼は笑うか
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神132
  • 萌×238
  • 萌23
  • 中立11
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
22
得点
892
評価数
209
平均
4.3 / 5
神率
63.2%
著者
木村ヒデサト 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
発売日
価格
¥648(税抜)  
ISBN
9784864422437

あらすじ

平凡な中学生・星谷は、クラスで浮いた存在の柏瀬と男性体育教師の情事を目撃してしまう。それ以来彼が気にかかる星谷だが、ある日体育を見学していた柏瀬にふいに接近した折、「俺は今生理なんだ」とからかわれ―。世界の理不尽と大人の身勝手に翻弄されながらも懸命に寄り添う少年達の愛の形を描いた実力派・木村ヒデサト渾身の一作。

表題作鬼は笑うか

星谷光一,平凡な中学2年生~
柏瀬ゆたか,浮いた存在のクラスメイト,中学2年~

その他の収録作品

  • sequence
  • カバー下:漫画

レビュー投稿数22

素晴らしい作品だわ。

「マリアボーイ」で、衝撃を受けて大好きになった木村ヒデサト先生。
この物語・・・途中まで、痛くて苦しかったなぁ・・・。
最後、甘々なハッピーエンドが読めて良かったよ。

これ中学生2年生から、大学生までのお話なんだね。
2人の出会いから、14歳から20歳位?
おおよそ6~7年かぁ。

一般家庭で育った、普通の男の子な星谷。
異常な大人に囲まれた、柏瀬。
対極な2人が、交わって行く流れが素晴らしいと思いました

柏瀬のネグレクト・虐待・教諭からの性的暴力。ただ、1人で耐えるしかなかった日々に、
星谷が1つの希望になる。
幼いながら、一生懸命考えて〜2人でいる事の意味や理由を探していく様子に心打たれたな。

タイトルの「鬼は笑うか」の意味がわかりませんでした。ことわざからなんだね。
意味を調べたよ!
これで、ガッテンがいったよ!

素晴らしい作品でした。

0

救われた…(私が

文句なし神です


序盤〜終盤にかけジェットコースターみたいな展開が続いて(省略
最後の最後一緒にいる理由がなくなるからと一緒にいるための理由探しのために妊娠検査して、もちろん結果は陰性で…世界を変えたかったけれどそんなことできなくて、二人の関係性に未来なんてないと二人とも思っており、一緒にいる意味を探したいけれど見つからない。

で終わりです。え?え?
えーーーー!?すごいところでおわった
どうなってるんだ!!
と思っていたら、よかったーーーー!
鬼大爆笑 こちらも爆笑、そしてあんな終わりだったからどう転んでもおかしくなかったので、ラブラブな二人をみて泣きそうにもなった
二人はあれから一緒にいる意味を見つけることができたのか、と
最後の最後に救済された…
本当によかった。色々考えさせられるとても素晴らしい作品でした。

1

読んだら忘れられない作品

読んで吃驚。「生理」をテーマに描かれる作品の
世界観は初めて読んだ時、衝撃が走りました。

読んだ当時は、
とても申し訳ないことをしましたが
途中で読むのを辞めました。

言い訳をするならば、
柏瀬くんがおナプキンを見せるシーンで
個人的好みではないふたなりか女体化の類いかと
早とちりをして本を閉じてしまいました。
とくに当時は、血の描写は鼻血くらいが
許容範囲でハードルが高かった。

月日が経ち、読み返してみると
一度読んでいた感覚と180度変わった。

(初めて読んだ時、私の思考も感性も幼稚でした。
歳をとり、少しは成長したのかもしれない。)

まず、(当時)汲み取れなかった柏瀬くんの
心情と生い立ちを理解出来たこと。
………知る前に中断したので。

彼の胸が張り裂けるような生き方を
知ると知らないでは天と地ほどの差。

その後は吸い込まれるようにページを捲りました。

ヘビーなお話で読んでいて辛くもなりますが、
彼が早く幸せになるまで見届けなければ。
そんな使命感が芽生えました。

柏瀬くんが17歳になり、
ようやくハラハラが消えました。

はて、どう言う流れで星谷くんは
彼女を作ろうと思ったのか謎ですが
2人の関係が途切れてなくて一安心。

一安心と思った束の間、雲行きが怪しい。

一難去ってまた一難。

でも、人生なんてこんなものだ。

悩み、葛藤し、不安になる生き物。

根拠のない未来の話で不安になる2人を
鬼が、笑った。

深いお話。

「来年の事を言えば鬼が笑う」と言う
ことわざ、恥ずかしながら知りませんでした。

タイトルの伏線回収、私の知力では無理でした。
ちるちるのレビュー者様のおかげです。
心より感謝申し上げます。

日頃、己が考察なしに浅く読んでいるのが
身に染みました。

とても深いお話で私にとって
忘れられない作品になりました。
ありがとうございます。

0

2人一緒ならそれだけで幸せ

〖DMM電子書籍〗
修正 : 局部あんま出てこない
カバー折り返し : なし
カバー下 : なし
帯 : なし
裏表紙 : なし
備考 : 前半は柏瀬を取り巻くものが意外と重くてしんどくて、後半は2人が微妙にかち合わなくてしんどくて、けどラストでお揃いのダサカワスリッパ履いてる2人を見たらあっさり安心してしまった。

〖紙媒体〗
未読

2

今を大事に生きたっていい

 淡々と描かれているけれど、いろんな要素の詰まった大作だと思いました。最初は学校で淫行に及ぶことにも抵抗のない、ちょっとビッチ感のある柏瀬に星谷が絆されていく話なのかなと思っていました。けれど、星谷はけっして早熟な生徒なんかではなかった。彼は体育教師に強姦されて抵抗もできず、自棄になっている生徒だったのです。それまであまりにも楽しそうに星谷をからかっていたから、まさかそんな経験をしていたとは夢にも思わず、急な物語の転換に驚かされました。

 父親、そして体育教師の山下に搾取され続けてきた柏瀬。幸運にも山下の魔の手からは逃れられますが、柏瀬も星谷も本人達が何か直接的に復讐を遂げたり、伸びて来る手を払いのけたりできたわけではありません。ただ星谷は柏瀬の傍にいてくれて、2人は嵐が去るのをじっと待っていた。子供というのはどこまでも無力な存在であることを突きつけられる。でも、相手の心に寄り添うことは、子供にだって十分できることなんですよね。

 柏瀬が父親や山下から解放されたのはただの偶然で、ラッキーなことでした。でも、運を味方につけるのも1つの手だし、星谷が傍にいてくれた柏瀬は今までよりずっと心強かったはず。そこから可哀想な同級生に手を差し伸べた生徒と、同情されて救われた生徒という関係を抜け出して、2人は自分の気持ちと向き合い、徐々に恋人へとシフトしていきます。星谷の幸せそうな家庭を目の当たりにして、憧れを抱く柏瀬の台詞が胸を抉りました。「星谷のお父さん、お母さんみたいな人と結婚したい」という彼の言葉は、性別など関係なく、温かくて優しい人間と穏やかで楽しい家庭を築きたいという素直な気持ちが溢れ出たものだったと思います。黙って彼に寄り添う星谷が印象的でした。将来への不安も抱えたまま本編が終わるところも現実的、でも最後に星谷の家族に温かく受け入れられている柏瀬に、本当に幸せな気持ちになりました。

0

来年の事を言えば鬼が笑う

表紙と中身の雰囲気が違う気がするので、表紙が理由で買ってない方はぜひ

木村ヒデサト先生のえぐみにじわじわと侵食されながらも確実にBL漫画的萌もある作品です。

強姦から始まるラブなBL漫画を何本も読んでおいて何言ってんだって話ではありますが、未成年への性犯罪者が出てくる作品には精神が疲れますね。
中学生ぐらいまでしか感じないような性への何かとか、高校生ぐらいまでしか感じないような性への何かとか、そんなのが絶妙に配置されてます。妊娠検査薬に男子高校生2人で尿をかけて、2人で笑って泣くシーンは純文学っぽかった。すごく好き。

すでに詳しく書かれてる方がいますが、ファミレスのコーヒーとソーダフロート、凄い演出ですね。コマ割りカット割りも含めて木村先生に痺れる。

2

反芻したい本

「生理」というテーマで描かれるBLに初めは全く予想することもできませんでしたが、途中からは何度も泣きながら読み進めていました。

大事なところは他の方が先に書かれていると思うので、私が気になったところだけ書きます。ネタバレ含みます。




ファミレスで柏瀬とお父さんが話す場面。
店員さんがソーダフロートを柏瀬に、ホットコーヒーをお父さんへと自然に置き、それを二人がまた自然に置き換えるところが印象的でした。
店員さんという第三者から見れば当然柏瀬は子供でお父さんは大人なわけですが、
体が大人になりきる前に心の方が先に成長してしまった息子と、
精神が成熟せずに大人として生きている父親という二人の関係がここで上手く描かれていました。
マリアボーイでもそうですが、木村ヒデサト先生は食を通しての描写の技術が高い作家さんだと思いました。


あとは柏瀬の両親は柏瀬と星谷の2人との対比に使われているのかなと思いました。
酷いことをしても何度も結婚できる親と、お互いに好きでも結婚できない二人。
生まれた子供を迷惑そうな眼差しで見る親と、どんなに望んでも子をなすことのできない二人。
それでも、結婚して子供が出来ても永遠を手に入れられなかった親と違って、柏瀬と星谷にはこの先何年経っても一緒に居て欲しいです。


発売の3年後ですが素敵な作品に出会えて良かったです。

6

電子書籍の場合は、カバー下の有無を事前に確認すべし!

以前から読もうかどうか迷いつつも、手にする事が出来なかったこちらの作品。

皆様のレビューを拝見して、「カバー下に大爆笑」というレビューがあったので
カバー下を見れば、何らか救いがあるんだなと思ってRenta!で購入しました。
電子書籍派なんで。
そしたら・・・はぁ〜。カバー下なかったです。
同じ値段出して、それはないよ・・・と思いましたが
Renta!のサイトにも「こちらの作品には紙書籍の特典ペーパー・カバー下画像は収録されておりません。」とありました・・・
確認不足なので自業自得ですね・・・・。皆様もお気をつけください。

さて、覚悟を決めて読んだこちら。

柏瀬が生理ナプキンをあてがわなくてはいけなかった頃について。
読む前から、虐待の結果の裂傷なんだろうなと、最悪の事態を覚悟して読み始めました。
でも事実はそれよりも酷かった。それが身を守る術だったとは・・・。
本当になにしやがるんだ、体育教師。去勢したうえで地獄に落ちやがれ。

あまりにも衝撃でうまく感想がまとまりませんが、
星谷のご両親のような人になりたいなと思いました。

過去のトラウマ・性的虐待を受けてた主人公ものは他作家さんの作品でも読んだ事はありますが、
これがダントツで重くてダメージ半端ないです。
自分の粘膜もゴリゴリ削られて痛い。
読み手を選ぶと思います。

私にとっては非常に重い読後感で、23歳となった彼らのページだけ読み返せば、過去の暗い出来事は全く見受けられないごく普通の仲良しカップル、という事が救いです。

それにしても、なぜ鬼が笑ったか、知りたかった・・・。
これを知れたら、もうちょっとダメージが軽くなったかなぁ・・・。

4

時間が経つほどに訴えてくるもの。

初めて作品に触れた時のインパクトも大事だけど、時間が経ってから思い出されるものの方が本当の意味でインパクトがあったといえるんじゃないかと思うことがあります。…年齢的なものもあるのかもしれません、が。

今年読んだコミックでよく思い返すのがこのお話。結末を力業で寄り切られたイメージが残っていたのですが、読み返すとこんなにも奥深くてヒリヒリする物語だったかしらと。

中二で出会った同級生、星谷と柏瀬のお話です。思春期の性、男と女、家族、妊娠。マジ語りするのがちょっと気恥ずかしい、デリケートなテーマが扱われています。親に恵まれなかった柏瀬が星谷に求めていたのは、家族の愛。自分が女だったら、星谷との間に子供が出来て、家族になれたのかな?なんて、真剣に思ってる。

思春期って性を意識せざるを得なくて、時に受け入れるのが難しかったり、好奇心から無茶をしたり。生まれ持ったもの、生まれてしまった境遇を引き受けて生きていくには、相当な自覚と覚悟が必要ですが、柏瀬がメチャクチャ辛くて苦しかった時期に、星谷と出会えたのは幸運です。

高校に進学してからも頻繁に柏瀬の家へ泊まりに来る星谷。星谷は単純に優しいから自分と一緒にいてくれるのだと思い至った柏瀬は、星谷からの自立を決意します。しかし、星谷は星谷で柏瀬とずっと一緒にいられる理由を探していて…。

セックスは新しい命の誕生に繋がっていくもの。男同士では叶わないことだけれど、だからといってそれが家族として共に生きるための必須条件というわけではない。

もちろん、作品にはBL的な萌えもありましたが、二人の姿から様々なことを考えさせられました。個人的に2016年の作品で、地味ながら最も衝撃を受けた作品かもしれません。

15

胸にズシンとくる重み。。

冒頭から受けの奇妙さが際立っていて、思春期特有の危うさに、萌えのドキドキではなくて、ホラー的な意味でドキドキしながら読んでいました。
受けの生理のくだりは、どんなトリックを使ったんだー?!と見当違いな事を考えてましたが、その答えを知ってガツンとやられました。。
なんて酷い大人達なんだと憤ります。。
ただ、高校生になってからは、受けがキャラ変したかのように雰囲気が変わってて、それはそれでこちらが本来の姿だったのかなーと思います。
妊娠検査のくだりも切ない。。
2人でこれからずっと一緒に居られる確証も形に残せるものも何もない。。男同士の哀愁のようなものを感じました。
萌え要素は正直あまり感じませんでしたが、作品としてのインパクトはありました。

2

純文学のような一冊。

雑誌の表紙か何かで、紅葉のような地面に横たわる2人のみたいなイラストが印象的で、以前から気になっていたコミックの一つでした。
受けの方が家庭が複雑なのをよいことに、体育教師に淫行を受けており、それを知ってしまう攻め。
最初はかわいそうと思っていた気持ちや、関係が次第に変化していく様子は秀逸でした。
木村ひでさとさんの、登場人物一人一人の性格の違いやキャラ立ちはいつもながらすごいと思います。
他の作品にも言えますが、悩んでいる人間の世界の閉塞感や、2人の間の刹那的だけど必然的な絆は、どうにも思わず引き込まれます。
エンターテイメントというよりは、純文学にも近いような不思議な感じもあり。
読後感が重めな作品がすきな方には是非おススメしたい一冊です。

5

ある意味カルト漫画

なんだろうなんで何回も読み返したくなるんだろう。
主人公達を最初からまた確かめたくなる。こんなだったんだ、こういう感情だったはずなのにと。
愛情を受けずに育った柏瀬だけど、ほんとに嫁いだとしても、ウエルカムに違いない天然な星谷父母の元で、一生幸せに暮らして欲しい。
しかしあの体育教師、クソでしたね。婚約者だった女性教師は、気の毒だったけど、結婚前に本性がわかってよかったと思うと同時に、もっと早くあんたが気づいてれば、柏瀬はあんな目にあわなくてすんだのにとも思ってしまった。

9

体育教師は地獄に落ちろ

中学生の星谷(攻め)は、クラスでも浮いている柏瀬(受け)のことが気になっている。以前柏瀬が、体育倉庫で体育教師と淫行しているところを見てしまったからだ。しかし星谷が憧れている女教師がその体育教師と結婚するということを知り、柏瀬を責めると、「俺が悪いのか」と激昂されてしまい…。


最初は中学生時代の攻めの幼い正義感や、高校時代の攻めのまっとうな人間の無神経さがすごく受け付けなかったのですが、だんだんと持ち直しました。
受けはいわゆるかわいそうな子で、親からはひどい性的虐待を受け、それから助けてくれるはずの教師からさえも虐待を受けています。
読む立場として、歳をとって年々こういうのがダメになってきているのですが、このかわいそうさと、攻めと出会えてよかったなと思う落差にすごく感情を揺さぶられました。もう受けが今後の人生でつらい思いをしないといいな、と思ったり、それほどまでに感情移入して読ませる作品をすごいなと思ったり。

攻めは、小さい頃はウザ…もとい、ちょっと鼻につくキャラでしたが、いいふうに育ってくれてツボな人に成長しました。身長がのびて、ビジュアル的にもとても好みです。
本編がヘビーだったぶん、その後を描いたクリスマスの話や、封入ペーパーの旅行の話なんかは、成長した攻めと相変わらずな受けの様子が可愛すぎてどうしようかと思いました。
そしてタイトル、どういう意味があるのかなーと思っていましたが、「来年の話をすると鬼が笑う」ということわざのアレでした。受け取り手によって印象が変わるような、いろいろ深い意味も持たせてあるので、そちらはお読みになって確認してください。

10

このタイトルって

中学で出会って、お互いがお互いを得ることで成長していく子ども達のお話。
このタイトル、途中までは良く意味がわからなかったんだけど、
最後にこう来たか!

先の見えない子ども時代、いつか別れが来てしまう事を怖れて、いっぱい、いっぱいセックスしたのに、二人の間には産まれる物など無くて、そうやって泣きながら眠ったあの日から、こんな日が訪れるなんて、
そうか、
あの日の言葉を、
鬼が聞いたら、笑うんだ。

中学生時代の話が結構ハードで、読むのがちょっとつらい。
でも、ちゃんとハッピーエンドが待っています。
絵もきれいで読みやすくなっているし、お勧めです。

カバー下のおまけまんがは、ちゃんと本編を読んだ後で読んでね。

8

買ってよかった!

好きな漫画家さんと作家さん買っていたので、購入しました。
あまり買わない絵なのでどうかな~と思いながら読み始めました。
わたしは読み始めてすぐ、そのストーリーに引き込まれました‼
1回読んでも読み足らず、何回も繰り返し読んでいます。
柏瀬の不思議な感じとかとても面白かったです‼
中学生、高校生、社会人という長い年月を見事にまとめた1冊だと思います。
鬼、大爆笑。でわたしも大爆笑しましたwwww
読み終わったら、本のカバーをはがして見てください!

3

再読必須!

まさかの中学生で、なかなかえぐい状況から始まりました。
それなのに読み進める手が止まらないこの魅力は一体どこから…?
星谷の純粋さの中に潜む狂気や、大人びているようで年相応の心を隠していた柏瀬。
等身大の男の子と、大人な性の問題や家庭の問題などが見事に混ざり合って不思議な物語を形成していました。
最後の方は中学時代の闇も気にならなくなるほのぼの感で、重いだけでも軽すぎるわけでもない非常にうまい1冊だと思います。
鬼、大爆笑で私も大爆笑。(笑)

面白かったですが何が何だかよくわからないまま1度目を読み終えてしまった感じもあるので、また読み直したい作品です。

2

二人で世界を変えたかったんだ...

直近で一番好きな作品でした
中学生から始まる物語です

出会いは体育用具室で柏瀬が男根を咥えてるのを目撃した星谷
そこから星谷は柏瀬のことが気になって仕方ない
いつも体育を見学している柏瀬に「何で?」と問う星谷
「生理だから(にや)」と答えた柏瀬
もう、星谷の中では柏瀬でいっぱいになります
「男だと思ったら本当は女の子?」など
ありもしない事を考えて頭がパニック

でもだんだん柏瀬の謎が解き明かされていきます
体操服を着れない理由など
柏瀬がフェラしていた相手は男性体育教師でした
その教師と婚約を発表したのが二人が慕う女性教師
星谷は柏瀬を詰ります
男性教諭との関係の事で
「俺が悪いのか!」と憤る柏瀬「俺だってあいつが大嫌いだ」
深まる謎と見えてくる真実
徐々に距離が縮まり友情が芽生える二人
柏瀬の置かれた凄惨な現状が明るみになった時に
二人が信頼していた女性教諭も失います

そうして星谷は柏瀬に強い同情を寄せ
側にいるようになります
星谷との関係を恋だと想っていた柏瀬
しかし、優しい星谷は同情じゃないかと不安になり
疑心暗鬼になる柏瀬
星谷自信も不安だったんです
何の理由もなく同性の自分達がずっと
一緒にいるのは不可能だと

そんな或る日妊娠検査薬を持って
やってくる星谷
体の関係がある二人の子供が
できていればいいと思い検査を迫ります

結果...陰性。
そりゃそうだ、男性同士だもん
泣き笑う二人
出来てて欲しかった
「二人で世界を変えたかったんだ...」
この言葉に滂沱しました
一緒にいる理由が欲しかった
そうじゃないと俺たち居られなくなる
お前と居なくて誰を好きになれると言うのだと...


鬼が笑った

子供ながらに考えていたんです、二人でいる正当な理由は
ないかと
社会通念でいう夫婦や家族の重さ
外れてしまう怖さ
考えれば考えるほど居られなくなる俺たち...

星谷の両親は凄く暖かい人達なんです
そんな人と結婚したいという柏瀬
きっと遠回しにお前がいいと言ったのかなと思いました
柏瀬に凄惨な仕打ちをした先生や親
それに対極するように暖かい星谷両親
人間の善悪の両面を見せる上手さに脱帽でした
思春期の男の子の可愛さ馬鹿さ
大人の勝手さ愚かさ醜悪さと優しさ包容力
そして、恋から愛へ
様々な要素を丁寧に収束した素晴らしい構成でした
痛さもありますがそれを乗り越える愛があります
その後の二人を見て下さい
鬼が大爆笑するんです
笑えて泣けたラストでした
こんなに見て良かった、そして何度も手に取るであろう
作品に出会える事がBLを見る上でも醍醐味です
この作品は生きづらさを抱えそれでも生きていくそんな
人が心を寄せられる作品だと思います
ヒデサトさんサイコー!!!です

29

それでも、今を

この方のコミックスは、どんなテーマでも迷わず手に取ってしまいます。今作は前袖にも、先日のちるちるの作家インタビューでも紹介があったのですが「生理」がテーマということで話は彼らが中学生のところから始まっているのですね。チャレンジングなテーマですが、大変意気込みを感じる作品でした、またその生かし方が見事だと思います。辛い、痛いシーンがありますが、心に残るのはそこじゃない。作者の作るストーリーが好きです。できればあらすじだけ見て読まれることを、私は強くおすすめしたい一冊。

※※※ネタバレ※※※
やはり人は親や家族によって作られている部分が大きく...絵に描いたようなというか、家族の距離が非常に近い星谷と、両親は離婚再婚、自分に興味を持ってくれないままの父親がいる柏瀬というそこは真逆のふたり。柏瀬はそんな家族を持つ星谷の温もりが大好きになってしまうが、一方で星谷も柏瀬のことを、一緒にいて「妙に落ち着く」と早くから感じているんですよね。ひとときの家出をして星谷が柏瀬の家に泊まることになったシーン。ただ明るいだけの誰もいない柏瀬の家の中で、彼らが寝る部屋は "暗くてやたら暖かい部屋"・"妙に気分が落ち着く生ぬるさ" それを「柏瀬自身みたいだ」と感じながら眠るんです。

私が忘れられないのは「scene.5」のファミレスシーン~その回のラスト。特に星谷のお父さんと柏瀬の初対面でボロ泣きになってしまった。
続く「lastscene」のエンディングには、言葉にできない感覚がありました。読み終えて、その先、あんなに泣いて笑った彼らの未来を知りたいけれど、ここから先を読みたくないとも思うような。今を、今をと過ごしていったら、ふたりは大人年齢になっていったのだろうなぁ。カバー下は笑わせてくれましたね。23歳なのにちょっとおっさん臭が強い気がするけれど(笑)。

次はどんなのがくるかなと
ますます楽しみな木村ヒデサト作品です。

7

男の子も生理になるの!?

今までのヒデサトさんのコミックの中で、
一番読みやすく、萌えやすい作品じゃないかなぁと感じました。

最初は、BLなのになぜ生理!?
あんまり気持ちよくないよ…と思ったのですが、
(本当にまるで生理のようで、受けが下着を下げると血が…)
それで攻めと読者の興味を引きつつ、
ゆっくりと丁寧に受けの状況と気持ちを読ませる作品でした。

受け(表紙中央)が教師に無理矢理ヤられて血が出て…
という怒りさえ覚える可哀想な場面もありましたが、
エロシーンの見せ方はあまり激しすぎず、最後はあたたかな読後感。
今まで読んだヒデサトさんの作品の中では一番好きです。

前半(半分ちょいまで)は、中学2年の時の話で、
ラストは心の傷を共有するように肌を重ねたふたり。
それが、
その後(約3年後)の高校生時代の話では、
攻めは格好よく成長しているし、元カノもいるし、
だけど受けとは半同棲状態で、はて…空白期間にはなにがあった?
その不透明さに最初は、もや…っとなったけれど、
それがより若さと同性愛者ゆえの先行きの不安や心の揺らぎを、
よく表しているようにも感じられて、巧い…。

生理がなくても、女の子じゃなくても、
結びつきの基盤が同情であっても、
すごく脆そうに思える関係でも、、、
いや、そんなふたりだからこそ、それでも一緒にいる未来が、
お揃いのスリッパが、何年経っても相手を求めちゃうその気持ちが、
なんだか感動的にすら思えて、心がすごくあたたかくなりました。

※ あたりまえだけど、男の子は生理にはなりません。
  でも、どうして生理だったのか、…考えると結構深いです。

10

病んでるのに、正統派BL

作家買い。いやー良かった!
ほんわかテイストと「毒」が、絶妙なバランスで混在する作家さんですが、今回は、登場人物が中学生ということもあり、意外とほんわか寄り。思春期感あふれる感じでした。(作中で成長して高校生になります。ちなみに書き下ろしは、3年後で大学生。カバー下はさらに3年後で、社会人風23才。)

私は、木村ヒデサトさんの作品の病んだ感じとか大好きなのですが、思春期なんて皆多かれ少なかれ病んでるし、その揺らぎ具合がすごく良かった。

あんなダメダメな親や教師に、あんな風に扱われてたら、それは病むし、この作品は、そこからの救いまで描かれてて良かった。
「未確認の証明」の先。解決編って感じ。(この作品も、「未確認の証明」も、生徒に淫行する、犯罪教諭が出てきますので、ダメな方は注意!)

ラスト近くで、二人が泣くシーンで、感情移入して、ホロリときてしまった。
ちなみに生理ネタですが、どうして男の子なのに生理なのか、ちゃんと分かります。酷く悲しい理由ではあるのですが、終盤、食事中に、サラッと口に出すシーンでは、笑わしてもらいました。この、シリアスと笑いと萌えが混在する感じ、いいなあ。

ヒデサトさんの作品って、意外とリアルで真面目。ほんとうに好きだなあ。
神に近い、萌え萌えで。(「マリアボーイ」が神すぎて!是非とも、そっちも読んでほしい。)

そうそう、「ちゃんとBLになっているか」微妙に悩んでしまう作品の多い作家さんですが、この作品は大丈夫。結構、正統派のBLだと、私は思います!

6

笑うのは誰か

『柏瀬ゆたかはホモなんだ――』

中学生の星谷(ほしたに)はある時、クラスメイトの柏瀬(かしわせ)と体育教師、山下(男性)との密かな淫行を目撃してしまう。それ以来柏瀬のことを気にしはじめた星谷。いつも体育の授業を見学する柏瀬を不思議に思い、理由を聞いてみると「生理、二日目」とからかわれる。

生理なんて男にあるわけないだろう、いやまさか……と混乱した思考で日々を過ごすが頭の片隅には常に柏瀬の存在。
ある日夏風邪で寝込んだ星谷の家に柏瀬が訪ねてきて「生理を見せてあげる」とおもむろにズボンを下ろす。股から血を流す自分の体を見世物に笑う柏瀬。どうしてそこから血が出ているのか。何故他人にこんな姿を晒すのか。中学生の星谷には何もわからず、熱でぼうっとした頭でそれを眺めるだけだった。

翌日、自分が片思いをしていた小椋先生(女性教師)が結婚すると聞いた星谷。相手は柏瀬と情事を交わしていたあの体育教師、山下と知り、星谷は柏瀬に当たってしまう。
その夜、星谷の家の窓を叩いた柏瀬は「家出に付き合って」と二人で深夜の街へと出掛ける。静かな夏の真夜中。ぽつぽつと自分のことを話す柏瀬。一緒に過ごしてわかった柏瀬の本当の姿は、優しくて、照れ屋で、寂しがり屋の普通の男の子で。そんな彼の近くにいたいと星谷は心に決めるが……。

身勝手な大人たちの仕打ちに懸命に己を保とうとする柏瀬とその不安定な心に寄り添う星谷。
そして高校生になった二人の先の見えない未熟な関係。
大人の真似ばかりして、けれど大人になりきれずはらはらと揺れる十代の心境が見事に込められていました!
シリアスながらも端々のノリは木村ヒデサトさんならではのくすっと来る展開もあります。内容も個人的には充分読み応えありました。
エロシーンはあるにはありますが少なめだと思います。

作者さま自身がちるちるのインタビューでも答えていますが、一見無害そうな星谷くん(攻)にあれ?と思うシーンがありましたね(笑)。これは読んでほしいです。
そして今回もご飯、おいしそうです。

傷だらけの脆い心、一緒にいたいともがく願い、不安ばかりの未来。そして、それを温かく包む二人の世界。最後に笑うのは……

今回も木村ヒデザトさんの魅力が詰まった一冊です。

7

前作からの振り幅の広さに脱帽

ものすごい漫画を描かれる(いい意味で)作家さんだよなー
っていうのは分かっていたのですが、
『おれ、被害者』のイメージが強過ぎて、こちらは気にはなるけど、
何本かレビューがあがるまで静観しているつもりでした。
基本的にラブラブ&ハピエンが好きなので。
しかし、やっぱり何だか気になって、買って、読了。

いやー。ほわ〜〜〜〜〜ってなりました。
すごく好きなお話でした。
わー、でも木村先生だもん、やっぱりね、っていう所もありますけど。
星谷も柏瀬もどっちもかわいい。ふたりがお互いを想う様子に萌えです。

何度も言いますが、私は『おれ、被害者』(←でも好きなんです)の
あの衝撃的な1ページがトラウマになっており、
こちらでも物語が終盤にさしかかり、ページが残り少なくなっても、
大どんでん返しが来ないかと正直ヒヤヒヤしていましたが、
皆様、大丈夫でございました!

こうなると、絵はうまいしストーリーテリングは巧みだしで、
今後の作品もきっと衝撃は受けても後悔はしなそう。
作家買い決定です。

私は電子でも読むのですが、修正の問題もあり、
気に入った/気に入りそうな作品は紙で買います。
こちらは表紙カバー下から初回封入ペーパーまで含め大変美味しいので、
味わい尽くしたい方は紙で買われる事をおすすめします。

9

この作品が収納されている本棚

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