みずのいろ。

mizu no iro

みずのいろ。
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神54
  • 萌×217
  • 萌13
  • 中立6
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
11
得点
383
評価数
92
平均
4.3 / 5
神率
58.7%
著者
槇えびし 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics CRAFTシリーズ
発売日
価格
¥676(税抜)  
ISBN
9784813031024

あらすじ

生と死が隣り合わせの街「天国」。
記憶のない少年・礼夏は、
全身傷だらけの殺し屋・世都とこの街で暮らしている。
彼はいつも礼夏に赤い服を着せ、
とても優しく、ふとした瞬間泣きそうに笑う。
それはいつも礼夏を不安にさせた。
けれどある日、世都の過去を知る男・ロマネが現れてからいつもの日常は変化して……

表題作みずのいろ。

礼夏(リーシア).記憶喪失の子供.攻め受け不明
世都(セツ).子連れの殺し屋.攻め受け不明

同時収録作品みずのいろ。

ロマネ/シュラール,世都を拾ったプロの殺し屋
世都(セツ).子連れの殺し屋

その他の収録作品

  • chapter1 a wonderful day.
  • chapter2 天国となる縁。
  • chapter3 幸せという言葉を。
  • chapter4 赤のいろ。
  • chapter0 wonderful days.
  • 表紙裏:『こじらせてる人』『あとがき語り』

レビュー投稿数11

「みずのいろ」が何の色か分かった時の衝撃…

ちょうど去年の今頃出会って読んだ作品なのですが、その時の衝撃といったらなかったです。
そこから何度も読み返し、レビューを書いては消し、書いては消ししているうちに1年が経ってしまいました。
万人受けするとは言い難く、ハマる人/ハマらない人がハッキリ分かれる類いのお話だと思いますが、私は全力でオススメしたい!


犯罪者やはみ出し者が集う、法も秩序もない街「天国」。
そこで殺し屋として生きる全身傷だらけの青年〔世都/セツ〕と、セツに引き取られて暮らす記憶のない少年〔礼夏/リーシア〕
そして、セツの過去を知っていてセツを救いたいと思っている〔ロマネ〕
3人の物語です。

良い意味でまったくBLの域を逸脱しているような作品。
愛とか絶望とか贖罪とか希望とか、そんなキーワードが散りばめられていて、「儚げで綺麗な表紙だなー」で読み始めると、しばらく現実に戻ってこれないくらいガツンとやられます。
読み終わった後、「救い」という言葉の意味について深く考え込んでしまいました。

この作品がハッピーエンドなのかそうでないのかを考えることは、あまり意味のないことのように思います。
むしろ、そのことを教えてくれている作品なのではないかな。
ロマネがセツを想って考えた「幸せ」な未来は、セツにとっての「幸せ」ではなかったし、シン(リーシア)が外の人たちから与えられた「幸せ」な生活も、シンにとっては「幸せ」ではなかった。
「幸せ」というのはその個人のものであって、幸せの定義は他人には決められないんだよ、と。
だけど、そう解っていても自分の幸せの定義を他人に適用しようとするのが人間で、なぜかと言うとそこには相手の幸せを願う愛があるから。
「愛」ってなんだろう
「幸せ」ってなんだろう
自分にとっての「天国」ってどこだろう
人によって答えの変わるこれらの問いは、感受性の強い人ほど苦しめられると思うのです。
槇えびしさんが考え、出した一つの答えが〈chapter1 ...a wonderful day.〉で始まって〈chapter0 wonderful days.〉で終わるこの作品なのかなと思いました。

作中では「愛す/愛されたい」の同義語のように「赦す/赦されたい」という言葉が使われます。
帯に大きく書かれている「僕を愛して」の文字は、そのまま「僕を赦して」なのだと解釈しています。
表紙のセツが流す涙は赤から透明に変わっていて、贖罪に生きたセツは過去に流れ去ろうとしている。
それならラストシーンのセツの穏やかな表情とシンの幸せそうな笑顔がきっとこの物語のすべてで、セツの赤い涙が全部流れ去った時、新しい希望(chapter1)が始まるはず。

カバー下に、ほっこりするようなその後の3人が少しだけ描かれています。
3人がどういう関係になったのかは分かりませんが、楽しそうに暮らしていそうでホッとしました。
英語の訳としては正しくないかもしれないけれど、
a wonderful dayが1日1日積み重なってwonderful daysになるという解釈以外に、誰かと誰かのa wonderful dayが集まってwonderful daysになるんだという解釈もアリなんじゃないかなと私は思っています。

【電子】ebj版:修正-、カバー下○、裏表紙×

13

2.2cm

槇えびし先生の作品も今年出会いまして、こんな素敵なBL作品なのに一冊しか出てないなんて…。と思っていた。

そして、出た新刊。
2.2cmの厚さに驚いた。
槇えびし先生の新作BLが本当に読みたくて、読みごたえのある厚さに感動もした。
この一冊に10年の重みがある。
本当にすごい。

身体中に傷があるとか鋏で傷つけられていて鋏を見るとパニックになるのとか、受けの要素としてめっちゃ良い。

ロマネの世都を愛してはいるけど途中からは利用するためだったってのが…悲しくて泣きたい。
まあ、そんなことはすぐに問題じゃなくなるんだけど。

タイトルの「みずのいろ。」って自分の血ってことだったんだ。
「みずしかでない 冷たい 冷たい 」と泣く世都をロマネが抱き締めるシーンには切なすぎて込み上げてくるものがあった。
世都の見てる世界は白と黒、赤しかないようで色を認識できないようです。
ロマネと出会うまでは赤が認識できなかったようです。

世都とロマネが一緒に暮らすようになって、二人は恋人同士になって、不感症でイクことが出来ないからロマネがあの手この手で頑張ってるんだけど、それに対して謝った後に「好きだよ ロマネ」という世都が可愛かった。

5年後の世都は人形のようにベッドに座っているだけ。

ラストはバッドエンドではないものの、世都はロマネを忘れ、シンを過去に自分が殺してしまったリーシアだと認識。

カバー裏の描き下ろしなどから3人は一緒に暮らしているらしいですが、どんな関係かはわからない。
仲は良さそう。

自分的には世都とロマネが恋人同士に戻っていることを願いたい。

ちるちるではリーシアことシンが攻めに登録されてるけど、シンとは5年後の再会でキスのみ。
ロマネとはそれ以上の関係。
過去に恋人同士で帰ってくる言ったロマネが仕事で戻らず、後に世都がロマネの「3日帰って来なかったら死んだと思ってくれ」という言葉を思いだし、ロマネの死体探し→危ない目に何度か合う→最終的に殺し屋となる模様→6年たちロマネが表れる。
(かなり、ざっくりだけど)

本当に壮大なストーリーだった。
評価もすごく迷うところですが、神をつけます。
このラストだけだったら、えっ?なに?これ?で趣味じゃないだったかも知れない。
始まりから終わりまで、この世界観と10年という重み、世都のキャラや表紙の美しさなどを含め神をつけました。

で、コミコミで購入しましたがイラストカードが表紙のイラストを全面に使用し縦11センチの横21センチで素敵なイラストカードでした。

槇えびし先生のメッセージで「世都があなたにも愛されますように」とあります。
世都のキャラ愛してます。
(レビューでも愛してるっていうの恥ずかしいが)

ゆっくりじっくりと約2時間かけて読んだのですが、また日を改めてゆっくりじっくりと読みたいです。

槇えびし先生、10年の絵柄の変化を危惧しているようだけど「きみにあげる。」同様に丁寧で綺麗な絵でした。

帯が付いてる表紙が素敵です。
帯は白で大きく「僕を愛して」と書いてある。
この帯あってこそのこの表紙だと思います。

最後に世都の母はどうしてそこまで狂って世都を傷付けるようになってしまったかは疑問です。

10

恐ろしい

恐ろしい作品だった、読み終わった瞬間息も出ない溢れそうだった涙も出ない。
とにかく衝撃的な作品

4

甘さはない。でも読みごたえしっかり。

今日の私は、長期連載コミックス化まとめ読みの日。
この淡い淡い、きれいなカバーイラストからは想像もつかないような、硝煙と血にまみれたオープニング。
長い年月をかけて完結した物語は、その年月に見合うだけの時間の経過の重みがあります。
世都と礼夏が暮らす「天国」と、その崩壊をもたらすロマネと世都の因縁。
ロマネによって「天国」から救い出された礼夏=慎の成長。
「天国」に捨てられた世都を拾うもう一人の礼夏の話。
そして、慎とロマネが世都のためにたどり着いた結末は、、、。

堪能しました。

3

一度では足りない。

本屋でたまたま題名が目に入り、手にとって表紙を見たときに衝撃が走り衝動買いしました。表紙の絵が本当に美しくて…。槇えびしさんのことは別の作品で知っていたので、この人BLも描いてたんだ…!と驚きました。
分厚いこともあり読み始めてこれはどんな展開になるのだろうとドキドキしながら読みすすめました。世都の放つ独特な雰囲気と「天国」という場所の異質さが読む人を引き込みます。ロマネが現れることによって明かされる過去も衝撃的です。礼夏が幸せのために選んだ決断。正直なところ、読み終わった後うまく話を整理できず、すっきりしませんでした。これはきっと何度も読むべきものなんだろうと思い何度も読み返すうちに、だんだん納得していったというような感じです。本当に読み応えのある作品でした。読み終えてからまた表紙を見るとああこの表紙はこういうことだったのかと分かります。
未だに完全に消化しきれたわけではないですが、とりあえず人それぞれ「幸せ」の形は違うのだなあと。
萌、という評価の基準とはまた違う魅力を持つ作品なので少々評価に悩みましたが最高評価で。BLとか関係なしに素晴らしく、繊細で美しい作品でした。

3

個人的にはロマネ×セツ希望

少年・礼夏(リーシア)は殺し屋の世都(セツ)と暮らしている。時々感情がなくなる世都と、過去の記憶のない礼夏の、死と隣り合わせの日々。薄氷を踏むような、しかし穏やかな日々は、世都と昔一緒に暮らしていたロマネという男の登場とともに終わりを告げる。


礼夏は子供(記載はありませんが、外見的には10歳くらいに見えます)なので、最初はセツとカップリングになるようにはとても見えず、BL的にどういう展開になるんだろうと思いました。
セツは礼夏が好き、というか執着しているのですが、礼夏はいい子ではあっても子供だけに無力で、セツを任せるに足る感じではないのです。セツがかなり危うい、トラウマ持ち全身傷持ちの受けらしい受けなので、もうちょっとわかりやすい攻めだと萌えるのになぁ…と思いつつ読んでいました。
そしたら外見上はセツ相手の理想の攻め的なロマネが出てきて、かなりテンションが上がりました。味方なのか敵なのかわからないキャラで、昔セツと暮らしていた過去あり。
…いやまさか、そのあとにああいう怒涛の展開が繰り広げられようとは思いませんでした。
最後の最後まで息もつかせぬ展開でした。長編映画を見たような読後感でした。ただ個人的には、もうちょっとはっきりした終わり方だったほうが良かった気はします。

分厚い(でもお値段はあまり普通ページの本と変わらない)本で、すごく読み応えがありました。作者さんによると10年かけて描かれた作品らしいです。線は小綺麗になりましたが、それほど顕著な絵の変化はなかったように思います。
槇えびしさんは大好きな作家さんで、非BLの著作もすべて読んでいますが、すごく画力が高いですね。

2

読み終わるとあまりのすごさに溜め息がでる。

1度全て読み終わった感想は、恐ろしい作品に出会ってしまったというものだった。
BoysLoveというだけで、読者が限られてしまうのが勿体無い作品だ。絵の美しさもさることながら、ストーリーが表紙の美しさの如く、深いもので、何度も読み返してしまう。まるで長編映画のようだった。
この作品は一切のネタバレを見ずに読んでもらいたい。

2

ページも内容もかなりの重厚感

これは奥が深いというかなんというか…
一読した後の感想は、正直いってスッキリしない読後感。
なので、すぐもう一度読み返してみて、主人公の『過去』や『望み』を頭に入れた状態でページをめくっていくと、
「ああ、そういうことだったのか」と、作中で主人公が見せる表情や言動の意味がわたしの単細胞な頭にも染み込んできて、
ズシンと胃にくるような展開、胸が痛くなるような結末に、
本を閉じた後、軽く放心状態になり、後から“読み切った感”がじわじわ来ました。


殺人•窃盗•売春などが当たり前に繰り返される生と死が隣り合わせの街『天国』が舞台。

全身傷だらけの美しい殺し屋•世都(セツ)と、
記憶をなくし、セツに保護されてから共に暮らす少年礼夏(リーシア)の前に突然現れたセツの過去を知る男ロマネ。
ロマネが現れた事によって、セツの秘密や過去が明らかになって行き、リーシアの記憶も戻ることに…
危険な街でのいつもの日常の歯車が狂い出します。


表紙の青年がセツなのですが、見るからに危うい感じですよね。
裏表紙には、セツが銃を持つ腕で護るようにリーシアを抱えていて、
そんなセツに悲痛な表情で縋るように覆いかぶさるロマネ。
セツの涙が何故赤色に変わっているのか?タイトルの意味は?身体中にある無数の傷は?
なんだかほんとに上手く物語を表している装丁だなぁと思います。

さまざまな謎が徐々に明らかになっていき、最後の最後にセツの『希望』がなんなのかハッキリして思ったのは、なんて残酷な男なのだろうかということ。
そんなセツを愛したふたりの男にやるせなさを感じますが、
彼らがそれぞれに求め、選んだ『幸せ』がどう映るかは読み手次第でしょうか。
本編ラストでは、結末をハッキリさせない幕の降ろし方でしたが、その先は描き下ろしで補完。
ですが、間違いなく完全なハッピーエンドではなく、これが主人公たちの各々の『幸せ』のカタチなんだよ。といった感じ。
愛したい、愛して欲しい、護りたい、救いたい、見て欲しい、赦されたい
さまざまな想いや願いが交差した結末がこのラストだったのかな。

うまく感想をあげられないけど、これはネタバレ無しで読んだほうがいいのかなぁと思います。


『殺し屋』というワードが個人的ツボで、美しい装丁に惹かれ、ページ数の多さに期待して購入しましたが、読めば読むほど満足感があがっていきました。

BL的にはロマネとセツの関係性が萌えました。ロマネが意外と健気で可哀想になるくらい、見かけによらずアツい気持ちを持っててギャップ萌え。
殺し屋受というのも個人的ツボですね!
エロは全体を通して超少なめ。
でもエロとかどーでもよくなるレベルの重たさです。

今作収録の1話が2006年のころのもので、完結までの長い歴史にも重さを感じました。
絵にそこまで古さを感じなかったのもスゴイ。

なんとなく少し疑問に思うとこもあったので、萌×2評価で…

4

重いなあ。

前作のBLを読んで以来、BLはかかれないのかしら?と思っていたのですが、この本が刊行されると聞いて、浮かれて購入。
あ、厚い!
まず厚みに驚きましたが、制作期間も10年かかってるのですね。
なのに、絵がほとんど変わらないっていうのもすごいです。

ああ、やはり皆さんロマネ×セツ推しですか。
私は最初から育ったら礼夏×セツになるんだ!とワクワクしていたので、シン×セツであって欲しいと思うのですが、あのエンドだとどうだろう。
何か三人で暮らしているみたいですよね。
うーん。
結局のところ、ハッピーエンドなのかそうでないのか全くわかりません。
そこは読者に委ねられるのかなあ。
長い映画のような一冊でした。

3

ところどころ理解が追いつかない

 全体を通してとても重厚感のある物語でした。この作品でいう「天国」というのは、他の地域よりずっと治安が悪くて、犯罪が蔓延している上にそれが当たり前で誰も文句を言わないようなエリアです。ファンタジーではないのにどこか異世界チックな雰囲気が漂っていました。

 読み終わった後に、この作品は登場人物の世都の過去を清算することがストーリーの主軸だったのかなぁと感じました。母親に天国でなら存在することを赦されると連れてこられ、彼女に鋏で全身を傷付けられトラウマ化し、その後に出会った自分を気にかけてくれた礼夏を死に追い込んでしまい、それを償うために拾ったシンに自分を恨むよう仕向け自分を殺させることを計画するという、とにもかくにも壮大で救いようのない人生。

 ただ、発想がすごいなぁとは思うのですが、そもそも母親が世都を傷付けた理由が明確にされていないことが気になったり、自分の贖罪をまったく関係のない第三者を巻き込んで果たそうとする考えがいまいち腑に落ちなかったりして、あまり世都に共感することができませんでした。世都が礼夏を殺してしまうほど大切に想っていたらしい父親とのエピソードもありませんし、個人的にここは大事な部分だろうと思うところが描かれなかったり、ふわっと匂わせる程度にしか描かれていないことが何度かあった気がします。おかげでシンは世都と出会えたので結果論的には良かったのでしょうが。でもやっぱり、世都にとっての礼夏と、シンにとっての世都が同一化することはありえないですよね。そんな世都の独りよがりなところこそが魅力なのかもしれませんが、なんだかすっきりしませんでした。

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