美味しい恋を召し上がれ☆

背中で恋を語るな

senaka de koi wo kataruna

背中で恋を語るな
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×216
  • 萌10
  • 中立2
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
7
得点
116
評価数
35
平均
3.5 / 5
神率
11.4%
著者
火崎勇 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
砂河深紅 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
シリーズ
背中で恋を語るな
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784778115531

あらすじ

学生時代の先輩から紹介されたレストランで働き始めた小谷悠紀。オーナーやギャルソン仲間はみんな親切でとても居心地がいいが、ただ一人、シェフの九曜数馬は常に不機嫌な態度でこたにに対する苛つきを隠そうともしない。だが、優しく親切な人々が簡単に豹変するのを目の当たりにした小谷には、最初から自分に好意的でない人間の方が気が楽だった。相手が距離を置くなら自分からも近づかない、近づかなければ傷つくこともない……そう思っていたのだが、アパートの火災によって住むところを失い、なぜか九曜の部屋に間借りすることになり……。

表題作背中で恋を語るな

九曜数馬・悠紀が紹介されたレストランのシェフ
小谷悠紀・ある事情から転職したギャルソン

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数7

ゲイ嫌いの裏にある苦悩と恐れ

主人公の小谷視点で描かれる話は、ギャルソンとして誠実に働いていた小谷が
ある事情で職場を辞めざる得なくなり、更に気の合う同僚や上司と思っていた
店の人間全てが小谷の言うことを信じてくれない、気の合う同僚も職場も失っていたが、
大学時代の先輩で同じくギャルソンをしていた先輩に相談し、先輩が田舎に帰るので
その後を引き継いで先輩が働いていた店に雇われることになる。

その店の人間たちは皆いい人だけれど、一人だけ不愛想で露骨に自分が嫌われていると
思える態度をするシェフが一人、そのシェフ九曜との関わりがあったから
結果的に最後は全てが上手くいくような話です。

かなり中盤まで小谷が何故前職を辞めなければならなかったのか、
なかなか解らないのですが、表面的に良い人を演じるのがかなり苦痛に見える小谷
優しくされれば相手にも同じように返さなければならない、でも相手が自分を嫌うなら
自分もそれなりの対応をするだけ、それが小谷と九曜との初めの間柄。

でも実は九曜はかなり不器用で寡黙、男は黙って背中で語れタイプみたいです。
でも、パニックになるほどゲイが嫌いな小谷にはそんなものが伝わる訳も無く
それでも、だからこそ相手に気を使って神経をすり減らす事が無いだけに小谷にとっては
成行で同居する事になった九曜との生活は楽に感じる。
本当は小谷が思うよりも細やかに九曜が気を使っていたりしますが。

小谷が心に抱えているものは現在進行形で続いているある男からの接触で、
言葉が通じないストーカーはやっぱり怖すぎです。
小谷のゲイ嫌いはこのストーカーのせいなんですが、エスカレートした男に
恐怖し、でも前職で誰も小谷の言い分を信じてくれなかったことで、
新しい店の人間たちまで信じてくれないかもと言う不安で押しつぶされそうな小谷。
それを九曜が知り、信じ、店の人間全てが小谷を守ろうとしてくれる。
ゲイが嫌いなのではなく、言葉が通じない相手が嫌なのだと小谷が皆といて理解する。

結果的に自分も男と付き合う事になりますが、ゲイストーカーから逃げていた小谷が
幸せと安心を手に入れることになる店の人間全てがゲイだったと言うのも設定として
かなり面白いと感じます。
登場キャラそれぞれが個性的で、他にキャラ達でも続編か、スピンオフを読みたいと
思うような素敵な内容でした。

10

お前は中学生かはたまた健さんかっ!と突っ込みたくなった好みのタイプの攻めでした

今回のこの火崎作品、ものすごく良かった~☆☆☆
いつもラストに怒涛の謎解きがあるのですが、それは今回は若干ゆる~く。
主人公を怯えさせる原因になった出来事と、彼の勤めるレストランの様子や人々が実に対照的で上手く作用し
何と言っても自分が一番惹かれたのは攻めのキャラクター!!
ぶっきらぼうで、すぐ「バカ」と言い、何か言われると「ちっ」って舌打ちして、でもすごく男らしくて決して不器用というのではないのですが、この妙に硬派でクール(?)で熱くて優しい様々な面がとっても魅力なのです。
主人公の心の変遷もとても読ませます。
本当、毎度毎度言ってますがうまいなーと関心しきり。
またレストランが舞台だけに、食事も登場しますがメニューと材料から味を想像するのも楽しいですヨ。


小谷が先輩の紹介で転職したのには何か訳がありそう。
いい人達でよかったと安堵する小谷だが、シェフの九曜だけは無愛想で嫌われているのかと思い好きになれない。
しかし、小谷の住むアパートが火事で焼けてしまい仕方なく九耀の部屋にしばらく世話になることになるのです。
大きく全ての事態が動くきっかけは、店の常連客が小谷の手を触り誘ってきた時。
激しい拒絶を示して同性愛であることを批難するのですが、かなりパニックになりヒステリー状態を起こしてしまっています。
更に店に送られてきた薔薇の花束、九曜の家に届いた小谷宛てのワイン、次いで店に現れた絶対に会いたくない、その人物の為に仕事を辞めて転職せざるを得なかった元凶の男・小暮の登場。
それによって小谷の同性愛嫌いの原因、人に対する接しかたへの恐怖が明らかになるのです。

小谷がすごくネガティブな思考をしているな、と、そしてちょっぴり人との付き合い方に用心しているような部分の原因、とっても酷いのです!
やはり店の常連客だった小暮が小谷に懸想して思い込みの激しい妄執を抱いたストーカーになったのに、元の店の仲間は小谷の苦しみをわかってくれなくてやっかみ、耳を貸してくれなった。
不本意な男からの執拗な求愛と、上手くやれていたと思っていた仲間の冷たさに、用心深くなってしまうのはしかたないでしょう。
また、同性愛車への偏見と嫌悪ができてしまうのも同時ということで、この二つが結びついているので厄介なのですよ。
それにしても、小暮は本当に気持ち悪いストーカーで、今世の中でストーカー犯罪というのが多々ありますが、周囲の理解がないと、という良い一例のようなこの物語での設定の仕方だったのです。

さて、肝心の恋愛のほうです。
九曜の魅力は冒頭に書いたので、おいておいて、小谷が彼が自分を嫌っていると思うことに一番のポイントがあったように…
人に好かれようと表面を作ろう必要がない、相手が自分を嫌いとおもうようなら、そういう風に接すればいい、この自分が「素」でいられる存在というのが、人間への不信と恐怖を持っている小谷に必要な要素だったとわかるからスゴイ。
後に明かされる九曜のちょいツンデレ部分(笑)
好きなタイプだったけど、同性愛が嫌いと言われていたから好きにならないようにしてたって・・・かわいすぎるじゃないですか!!
それが癖ではあるようだが「ちっ」とか舌打ちになってるなんて~お前はどこの中学生だ!って♪
それにさりげない優しさが、男前だよね~って惚れてまうやろ!!(自分が惚れてどうするんだw)

最後は店のスタッフのおかげで無事ストーカーの事も解決するような流れです。
事件も絡めながら、人の心 というものをとても上手く演出して読ませました。
この本、滅茶好きですっ☆☆☆

8

愛されたがりの寂しんぼが出会う楽園の仲間たち

一生懸命なのにいろんなことがうまくいかない小谷。
仲間だと思っていた同僚たちに信じてもらえず辞めるしかなかった前の職場での辛い出来事がトラウマとなって、対人関係に臆病になったいた。
けれど、次の職場で事件に巻き込まれそうになったとき信じて助けてくれた同僚や癒してくれた仲間の存在に救われるというストーリーでした。

同僚の中で、シェフの九曜だけはいつも感じ悪く近寄りがたい空気で話しかけると舌打ちをするという訳もわからず絶対嫌われてると思われる態度に萎縮してしまいます。
けれどそれは九曜が一目で惹かれたノンケの小谷を好きにならないように近寄らないようにしていたとか、理由が分かればなんとも大人げないです。
結構優しくて親身になってくれるんですがなかなかその心情を理解するまで時間がかかります。
九曜のほうにも同性を愛することで家族間にわだかまっている感情があり臆病になる気持ちもわからないではありませんが不器用過ぎです。

九曜に嫌われていると思った時すごく傷ついて悲しそうにしていた小谷。
お互いひと目で惹かれてしまったんですね。だから嫌われて悲しくて親切にされてうれしくて…
お互い不器用でかわいらしい恋愛です。

人間関係がうまくいかなくて考えすぎてぐるぐるしてしまうところや、人にやさしくするのは自分が嫌われないために人の気持ちを探っている自分の偽善的なところを嫌悪している小谷に共感できました。
いくら努力しても報われないのに、何の努力もなしに周りが気を使って好かれているようにみえる九曜が憎らしく思う八つ当たり気味な本音や、そう考える自分を嫌う小谷に、あるよねそういうことってと言ってあげたくなりました。

このレストランのみなさん実は見栄え抜群のゲイなんですよね。
だとしたら他の方々の恋バナなんかもありそうだななんて思ったらあるんですね『見つめ合って恋を語れ』で派手目なイケメン宮崎さんの登場です。

6

不器用すぎだろうw

本の裏にあるあらすじを見て何気なく手に取ったのですが…

予想以上に受け様が酷い目にあってたなんて!!
最初にそんな感じの雰囲気は出てたけど・・・やっぱり吐いちゃったよね(;´Д`)
精神的に追い込まれちゃって可愛そうだったけど
武等派の攻め様の不器用すぎる愛情とお店のみんなのおかげで立ち直れるのでよかったです!

それにしても攻め様・・・昔やんちゃしてたのもあるけど
不器用すぎるw 不器用すぎて可愛素すぎるし
「可愛過ぎて近寄れない」と言った時の攻め様の顔がみたい!!!

そして周りホモまみれ・・・続編ですか!?(*´∀`*)

4

萌え2には至らないが心に残るやり取りがある

火崎さんの文章は読んでてすぐに分かります
『~で。』でよく終わる、改行多め、独白多めで密度が薄い
紙よりネット向きの文体だと思います
初めて読んだときは違和感の塊でした 今は慣れてきましたが…
元々そういう作風なのか、
多作な方なので一作に掛ける時間が短いのか、いまだに分かりません
ヘビーなネタだと逆に薄っぺらくみえてしまう文体なので
コメディテイストだったり
事件も悲劇も起こらない恋愛メインの方がハマると個人的に思ってます
今回は受けにサイコパスなストーカー男が纏わりついていて
受けがそれによってトラウマを抱え、追い詰められている設定なので
もうちょっと丁寧に描いてほしかった、というのが本音
でも火崎さんのお話はそういう時でもふっと心に残るようなやり取りがあり
読んで失敗したなって思うことは少ないです
また火崎さんの別のお話を読みたいなと思いました

2

恐怖体験を癒すのは、背中で語る男。(言葉足らずともいう)

2013年発表作品。

視点は、主人公の一人称。
そして、彼の語り口から彼の過去に不穏な「何か」があったことが匂わされて、読み手としてはなにかサスペンス的な空気感を感じます。

主人公は、レストランに勤務する事になったギャルソンの小谷。
勤務先のレストランはおおむね居心地は良いのだが、シェフの九曜だけが無愛想で自分を嫌っているようで。
しかし、嫌ってくれているのなら逆に安心できる…

ここだけでもう小谷が過去に何があったのかなんとな〜くわかっちゃいますね…
しかし、その真相が分かりかけるのは中盤以降。
前半で、小谷はアパートが火事になって焼け出されます。
当然レストランの同僚は心配して色々してくれるんだけど、本人は周囲の好意に懐疑的だったり思う事を言えなかったり。
そんな小谷の振る舞いの陰に何があったのかが後半にどっと出てきます。

これは…
小谷が可哀想で。
やっぱり怖い目に遭って周囲も信じられなかったらこうなりますかね…
周囲に助けを求められず、自分が悪いからと思ったり。
そんな彼を助けてくれるレストランの同僚たちは頼もしくてまぶしい。
小谷にはほんとに良かったね、なんだけど。

なんともラストに向けての展開は都合が良すぎるというか…
ちょっと「あれよあれよ」過ぎたような気がしました。
ノンケが男にストーキングされて男性不信になってるのに、助けてくれたからって「受け」としてのHまでも受け入れられますか?……
とか。
いきさつを知った先輩が、全員ゲイのレストランに勤めるように紹介しますか?…
とか。

総合「萌」で。

1

ハピエンは良いのですが…

久しぶりに火崎さんを読ませていただきました。
火崎さんは結構な数の作品を書いていらして、
いくつか読ませていただいていたのですが
結構あっさりめで終わってしまうイメージが定着してしまって…;
しかし今回はシェフとギャルソンという
色んな意味で美味しそうなシチュエーションに飛びつきました☆

初対面が良くない印象同士って萌えるんですが
本当にシェフの九曜の態度が悪くて、若干ムッとしましたw
舌打ちされるってすごく気分悪いですもん!w
(それは小谷に対しての事じゃないと後から判明しますけども)

小谷は普通の常識人という感じで
他人との距離をそれなりに測れるタイプなんですが
九曜とだけなかなかうまくいかない。
という時に、小谷のアパートが火事に…。
それこそ同居せざるを得ないパターンでも
こういうお約束めいた事は結構好きですw

九曜に対して苦手意識が抜けなかった小谷ですが、
ぶっきらぼうな態度の中に裏表もなく、
自分を好きだと思わない分、逆に安心出来て
思いのほか居心地が良くなってしまいます。

自分を好きだと言い続け、断る言葉も全く聞かない
前に働いていた店の常連の男・木暮。
客だからという他に、将来社長になるであろう地位の為、
無下に出来なかった小谷。
それが裏目に出て、木暮を増長させてしまい、
結局前の店を辞めなければならなくなったのです。

今の職場は皆思いやりがあって辞めたくない。
でも木暮が再び姿を現して危うい状態に…。
で、九曜がナイトのような役目になるわけです!
言葉だけで誤魔化すでもなく、
きっちり守ってくれて不器用な態度が素敵!


しかしですね、どうもスルスルうまくいきすぎなような…。
店の皆はいい人で
ストーカーの事も協力してやっつけてくれる。
小谷が、一度男に言い寄られるのがダメになったら
それが覆ることって簡単に無いような気が私はしてしまいました。
いくら同僚がゲイとカムアウトしても、
いい人だからってだけで納得してしまえるかなぁ…って。
九曜も実はゲイで、最初から小谷が好みで
つい素っ気ない態度をとってしまったとか鉄板ではありますが、
守ってくれて安心できる存在でも、
たぶん無意識にでも拒否しちゃうんじゃないかなーと。
ご都合主義っぽく思えてしまって…すみません!
(そうでなくちゃ結ばれないでしょうけれど)
何年も付きあいのある幼馴染とか親友なら
そんなに不自然じゃないかもなぁ、というか。

ラストでお店のみんなが実は…というのも
「そんなお店、あるかーい!」とついツッコんでしまいました;

九曜が普段の様子では考えられないくらい
好きな相手には自分の欲望をぶつけなるようなことはせず
ひたすら我慢して小谷を大事にするのはとても良かったのですが
やっぱりノンケで怖い思いをしたら
男に触られるのは無理なんじゃないかな…というのが抜け切れませんでした…。

火崎さんは文章にクセがなくて
やっぱりスルスルと読めるのですが
印象深い作品だったか?と自分に問うてみても
「…んー…」になってしまうのでした…。
(すみません!!)

10

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

小説



人気シリーズ

  • 買う